「訪問リハビリテーションで算定できる加算と、適用される減算を、一度に全部見渡したい」——請求担当になったとき、あるいは新しく訪問リハの事業所を立ち上げたとき、最初にぶつかるのがここです。個々の加算を解説した記事は世の中に多いのですが、「訪問リハという1つのサービスに、いま何がぶら下がっているのか」を告示の構造どおりに並べた一覧は、意外と見つかりません。

この記事では、指定居宅サービス介護給付費単位数表(平成12年厚生省告示第19号)の「訪問リハビリテーション費」の条文そのものを軸に、加算・減算を漏れなく一覧化しました。あわせて、要支援の介護予防訪問リハビリでは算定できない加算があること、そして令和8年6月1日から訪問リハビリでも介護職員等処遇改善加算が算定できるようになったことまで扱います。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員で、訪問リハが主戦場です。現場で実際につまずいた箇所を中心に整理しました。

この記事でわかること
  • 訪問リハビリの加算・減算の全体像(告示の条文順の一覧表)
  • 基本報酬308単位/介護予防298単位という差がついた理由
  • 加算8種類・減算6種類それぞれの単位数と算定の勘どころ
  • 認知症短期集中リハ加算と短期集中リハ加算は併算定できないこと
  • 診療未実施減算が「退院後1か月以内」には適用されないこと
  • 要支援ではリハマネ加算・移行支援加算・認知症短期集中リハが存在しないこと
  • 介護予防の12月超減算が5単位から30単位に拡大されたこと
  • 令和8年6月から新設された処遇改善加算(1.5%)の位置づけ
  • 特別指示書が出た14日間は訪問リハビリ費を算定できないこと
  • 各加算の詳細解説記事へのリンク(個別記事の索引として使えます)
ちびウルフちびウルフ

訪問リハの加算って、結局いくつあるんですか?

リハウルフリハウルフ

告示の条文で数えると、加算が8種類、減算が6種類です。訪問看護や通所リハに比べるとかなり少ない。数が少ないからこそ、1つの取りこぼしが収益に直結します。まず全体を1枚の表で押さえましょう。

訪問リハビリの加算・減算一覧【早見表】

まず全体像です。以下は、指定居宅サービス介護給付費単位数表「訪問リハビリテーション費」に定められた加算・減算を、条文の順に並べたものです。要介護(訪問リハビリ)と要支援(介護予防訪問リハビリ)で算定できる項目が異なるため、その差も列にしました。

項目単位数要介護要支援
基本報酬(1回20分につき)308単位298単位
短期集中リハビリテーション実施加算200単位/日
リハビリテーションマネジメント加算(イ)180単位/月×
リハビリテーションマネジメント加算(ロ)213単位/月×
 └ 医師が利用者・家族に説明した場合+270単位/月×
認知症短期集中リハビリテーション実施加算240単位/日×
口腔連携強化加算50単位(月1回)
退院時共同指導加算600単位/回
移行支援加算17単位/日×
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)6単位/回
サービス提供体制強化加算(Ⅱ)3単位/回
介護職員等処遇改善加算(令和8年6月〜)所定単位数×15/1000
特別地域訪問リハビリテーション加算所定単位数×15/100
中山間地域等における小規模事業所加算所定単位数×10/100
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算所定単位数×5/100
診療未実施減算−50単位/回
同一建物減算(同一敷地内等・20人以上)所定単位数×90/100
同一建物減算(同一敷地内等に50人以上)所定単位数×85/100
高齢者虐待防止措置未実施減算所定単位数×1/100
業務継続計画未策定減算所定単位数×1/100
12月超減算(利用開始月から12月超)−30単位/回×

出典:指定居宅サービス介護給付費単位数表 訪問リハビリテーション費、指定介護予防サービス介護給付費単位数表 介護予防訪問リハビリテーション費

この表の読み方「所定単位数×○/100」と書かれているものは、基本報酬に対する率で計算します。特別地域加算・中山間地域の加算・同一建物減算・虐待防止減算・BCP減算は、いずれも定額ではなく率です。一方、短期集中リハや退院時共同指導加算などは定額の上乗せです。率の加算は基本報酬が変われば自動的に金額が変わるため、改定のたびに再計算が必要になります。

訪問リハビリの基本報酬|308単位と298単位に差がついた

加算の話に入る前に、土台となる基本報酬を押さえます。令和6年度介護報酬改定で、要介護と要支援の基本報酬に初めて明確な差がつきました。

区分改定前改定後
訪問リハビリテーション費(要介護)307単位308単位
介護予防訪問リハビリテーション費(要支援)307単位298単位

いずれも1回(20分)あたりです。厚生労働省の改定資料には、この見直しの趣旨が次のように示されています。

「訪問リハビリテーションと介護予防訪問リハビリテーションの基本報酬に一定の差を設ける。」
(厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」より引用)

要支援の側が9単位引き下げられた形です。ここに後述する12月超減算(−30単位)が乗ると、要支援で長期利用となっているケースは1回268単位まで下がります。要介護の308単位と比べると、1回あたり40単位、率にして13%の差です。予防のケースを多く抱える事業所ほど、影響が大きくなります。

施行日は6月1日令和6年度改定のうち訪問リハビリを含む医療系サービスは、令和6年6月1日施行でした。例年の4月1日ではありません。過去の請求を遡って確認する場面では、4〜5月分は旧単位、6月分以降が新単位である点に注意してください。

訪問リハビリの加算一覧|8種類の中身と算定の勘どころ

ここからは加算を1つずつ見ていきます。単位数だけでなく、実務でつまずきやすい点を告示・老企第36号(留意事項通知)から拾って添えました。

短期集中リハビリテーション実施加算(200単位/日)

退院(所)日または認定日から起算して3か月以内の期間に、集中的にリハビリを行った場合の加算です。「集中的」の定義は通知に明記されています。

「『リハビリテーションを集中的に行った場合』とは、退院(所)日又は認定日から起算して3月以内の期間に、1週につきおおむね2日以上、1日当たり20分以上実施するものでなければならない。」
(平成12年3月1日老企第36号 第二の5(9)②より引用)

ポイントは起算日が2種類あることです。退院(所)日だけでなく、新規に要介護認定を受けた場合はその認定日からも3か月のカウントが始まります。入院を経ていない、いわゆる「地域から上がってきた」ケースでも算定できるということです。ここを知らずに取りこぼしている事業所は少なくありません。

詳細は短期集中リハビリテーション実施加算とは|200単位・要件・起算日【訪問リハ】で解説しています。

リハビリテーションマネジメント加算(180単位・213単位・+270単位)

令和6年度改定で最も構造が変わった加算です。従来のA・Bという区分が廃止され、次の形に整理されました。

改定前改定後
リハマネ加算(A)イ 180単位/月リハマネ加算(イ) 180単位/月
リハマネ加算(A)ロ 213単位/月リハマネ加算(ロ) 213単位/月
リハマネ加算(B)イ 450単位/月廃止(下記の条件に統合)
リハマネ加算(B)ロ 483単位/月廃止(下記の条件に統合)
医師が利用者・家族に説明した場合 +270単位/月

旧Bの「医師による説明」という要件が、加算の区分ではなく上乗せ270単位に組み替えられました。したがって現在の最大額は「(ロ)213単位+270単位=483単位/月」となり、旧Bロと同額です。名前と構造が変わっただけで、上限の金額は据え置かれているという整理になります。

(イ)と(ロ)の違いはLIFEへの情報提出・活用の有無で、(イ)と(ロ)は併算定できません。詳細はリハビリテーションマネジメント加算イ・ロ・ハとは?【令和6年度対応】をご覧ください。

認知症短期集中リハビリテーション実施加算(240単位/日)

令和6年度改定で訪問リハビリに新設された加算です。1週に2日を限度に、1日240単位を算定します。この加算には、見落とすと返戻につながる制約が3つあります。

  • 短期集中リハビリテーション実施加算とは併算定できない:告示の注10に「ただし、注8を算定している場合は、算定しない」と明記されています。退院直後の3か月間は両方の要件を満たしがちですが、どちらか一方しか取れません。
  • 対象者はMMSEまたはHDS-Rでおおむね5点〜25点:軽度すぎても重度すぎても対象外です。評価と記録が前提になります。
  • 過去3か月以内に算定していれば算定できない:通知に明記があります。退院を繰り返すケースで、期間の管理が必要です。
医師の判断が要件この加算は、精神科医師・神経内科医師、または認知症リハビリに関する専門的な研修を修了した医師が「生活機能の改善が見込まれる」と判断した者が対象です。事業所の医師が該当しない場合、要件を満たせません。認知症リハの専門研修を修了した医師とは?もあわせて確認してください。

単位数と要件の詳細は認知症短期集中リハビリテーション実施加算とは?単位数・算定要件【令和6年度・訪問リハ】で扱っています。

退院時共同指導加算(600単位/回)

こちらも令和6年度改定の新設です。退院前カンファレンスに参加して共同指導を行い、その後に初回の訪問リハビリを実施した場合に、当該退院につき1回算定します。600単位は訪問リハの加算のなかで最大額です。

実務で効いてくるのが、通所リハビリとの関係です。

「当該利用者が通所及び訪問リハビリテーション事業所を利用する場合において、各事業所の医師等がそれぞれ退院前カンファレンスに参加し、退院時共同指導を行った場合は、各事業所において当該加算を算定可能である。ただし、通所及び訪問リハビリテーション事業所が一体的に運営されている場合においては、併算定できない。
(老企第36号 第二の5(15)④より引用)

同一法人でも「一体的に運営されている」場合は片方しか取れません。訪問リハと通所リハを併設している事業所は、ここを取り違えると過誤請求になります。詳細は退院時共同指導加算とは?訪問リハの単位数・算定要件【令和6年度】を参照してください。

口腔連携強化加算(50単位・月1回)

訪問リハビリの従業者が口腔の健康状態を評価し、利用者の同意を得て歯科医療機関とケアマネジャーに情報提供した場合の加算です。令和6年度改定で、訪問介護・訪問看護・短期入所系などとあわせて新設されました。

単位数表の表記は「1月に1回に限り50単位」です。告示上は「回」の加算で、月1回が上限という構造になっています。要件として、歯科訪問診療料の算定実績がある歯科医療機関との連携体制を、あらかじめ文書で取り決めておく必要があります。口腔連携強化加算とは?単位数・算定要件をわかりやすく解説【令和6年度】で詳しく扱っています。

移行支援加算(17単位/日)

訪問リハビリを終了した利用者を、通所介護などへ移行させた実績を評価する加算です。1日17単位と少額ですが、評価対象期間の末日が属する年度の次の年度内、すべての利用者の毎回の訪問に上乗せできるため、年間で見ると無視できない額になります。

「社会参加」に含まれないもの通知は、医療機関への入院、介護保険施設への入所、他の訪問リハビリ、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は算定対象に含まれないとしています。訪問リハから訪問リハへの移行は実績にならない、という点は誤解が多いところです。

算定要件と平均利用月数の計算方法は移行支援加算とは?訪問リハの算定要件・単位を解説【令和6年度】にまとめています。

サービス提供体制強化加算(6単位・3単位)

勤続年数の長い職員がいることを評価する加算です。要件はシンプルで、通知に次のとおり示されています。

「指定訪問リハビリテーションを利用者に直接提供する理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士のうち、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)にあっては勤続年数が7年以上の者が1名以上、サービス提供体制強化加算(Ⅱ)にあっては勤続年数が3年以上の者が1名以上いれば算定可能であること。」
(老企第36号 第二の5(17)②より引用)

「1名以上いれば算定可能」——つまり全職員の平均や割合ではなく、該当者が1人いれば事業所の全利用者に算定できます。訪問リハは常勤PT1名の小規模事業所も多く、その1名が勤続7年を超えた時点で(Ⅰ)に切り替えられます。届出忘れによる取りこぼしが起きやすい加算です。詳細はサービス提供体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)とは|単位数・要件【令和6年度版】へ。

地域に関する3つの加算(15%・10%・5%)

離島や中山間地域でのサービス提供を評価する加算が3種類あります。名称が似ていて混同されやすいので、違いを表にします。

加算何に着目するか
特別地域訪問リハビリテーション加算15/100事業所の所在地が特別地域にある
中山間地域等における小規模事業所加算10/100事業所の所在地+小規模の施設基準に適合
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算5/100利用者の居住地+通常の実施地域を越えて提供

前2つは事業所側の条件、最後の1つは利用者側の条件です。5%の加算だけは、事業所がどこにあっても算定できる可能性があります。それぞれ特別地域加算とは?対象地域・サービスを分かりやすく解説中山間地域等における小規模事業所加算とは?単位数・要件で解説しています。

訪問リハビリの減算一覧|6種類のうち予防だけに効くものがある

診療未実施減算(−50単位/回)

訪問リハの計画は、原則として当該事業所の医師の診療にもとづいて作成します。それができず、外部の医療機関の医師からの情報提供にもとづいて計画を作成した場合に適用される減算です。

ここに重要な例外があります。

「ただし、医療機関からの退院後早期にリハビリテーションの提供を開始する観点から、医療機関に入院し、リハビリテーションの提供を受けた利用者であって、当該医療機関から、当該利用者に関する情報の提供が行われている者においては、退院後一ヶ月以内に提供される訪問リハビリテーションに限り、注14は適用されないことに留意すること。」
(老企第36号 第二の5(14)③より引用)

つまり退院直後1か月間は、自事業所の医師が診ていなくても50単位を引かれません。退院当日から訪問を開始するケースで、この例外を知らずに減算して請求している事業所を見かけます。逆に、1か月を過ぎたら自事業所の医師の診療につなげる段取りを、退院時点で組んでおく必要があるということでもあります。

詳細は訪問リハ計画診療未実施減算とは?50単位減算と要件を解説【令和6年度改定】へ。関連して退院日に訪問リハビリは訪問できる?算定の可否を厚労省Q&Aで解説もあわせてどうぞ。

同一建物減算(90%・85%)

令和6年度改定で区分が細分化されました。整理すると次のとおりです。

状況算定率
事業所と同一敷地内・隣接敷地内の建物、または同一建物に居住(下記を除く)90/100
同一の建物に、1月あたりの利用者が20人以上居住(同一敷地内建物等を除く)90/100
同一敷地内建物等に、1月あたりの利用者が50人以上居住85/100

50人以上のときだけ15%減となります。同一建物減算とは?わかりやすく解説【令和6年度・12%減算対応】で人数の数え方まで扱っています。

高齢者虐待防止措置未実施減算・業務継続計画未策定減算(各1%)

令和6年度改定で全サービスに導入された2つの減算です。訪問リハビリでもどちらも所定単位数の1%です。

  • 高齢者虐待防止措置未実施減算:虐待防止検討委員会の定期開催、指針の整備、研修の定期実施、担当者の配置——このいずれかが欠けると1%減算
  • 業務継続計画未策定減算:感染症・災害のBCPの策定、研修・訓練の実施、定期的な見直し——これらが未実施だと1%減算
訪問リハのBCP減算は令和7年4月から告示の経過措置により、訪問リハビリ(および訪問看護・通所リハビリ)の業務継続計画未策定減算は令和7年3月31日までは適用されませんでした。すでに経過措置は終了しているため、現在は減算の対象です。「まだ猶予があるはず」という認識のまま止まっている事業所は、この機会に確認してください。

介護予防だけに効く12月超減算(−30単位/回)

要支援の利用者に固有の減算です。利用開始日の属する月から起算して12か月を超えて介護予防訪問リハビリを行う場合、要件を満たさなければ1回30単位を減算します。令和6年度改定で大きく変わったのはこの幅です。

区分改定前改定後
12月超・要件を満たす場合−5単位/回減算なし
12月超・要件を満たさない場合−5単位/回−30単位/回

改定前は一律5単位でしたが、改定後は要件を満たせばゼロ、満たさなければ6倍の30単位という二極化になりました。要件はリハビリテーション会議の定期開催やLIFEへの情報提出等です。同時に、要支援の利用者に適用されていた事業所評価加算(120単位)は廃止されました。

起算日・入院時のリセットの扱いなどは予防訪問リハ12月超減算とは|要件・起算日・回避方法を現役PTが解説介護予防(要支援)訪問リハビリの減算とは|12月超減算と回避法で詳しく解説しています。廃止された加算については事業所評価加算とは?廃止された理由と内容をわかりやすく解説をご覧ください。

介護予防訪問リハビリには「そもそも存在しない加算」がある

ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。介護予防訪問リハビリテーション費の告示には、リハマネ加算・認知症短期集中リハ加算・移行支援加算の条文がありません。要件を満たせないのではなく、制度として存在しないということです。

加算要介護要支援
短期集中リハビリテーション実施加算200単位/日200単位/日
リハビリテーションマネジメント加算180/213単位(+270)条文なし
認知症短期集中リハビリテーション実施加算240単位/日条文なし
移行支援加算17単位/日条文なし
退院時共同指導加算600単位/回600単位/回
口腔連携強化加算50単位(月1回)50単位(月1回)
サービス提供体制強化加算6単位/3単位6単位/3単位
ちびウルフちびウルフ

要支援の人にはリハマネ加算が取れないんですか?会議はやってるのに…。

リハウルフリハウルフ

そうなんです。ただ、要支援でリハビリテーション会議を開いてLIFEに出す作業は、12月超減算を回避する要件のほうで効いてきます加算を取りに行く動きではなく、30単位を引かれない動きとして評価される——予防はそういう報酬設計になっている、と理解すると腹に落ちると思います。

令和8年6月から訪問リハビリでも処遇改善加算が算定できる

ここは新しい話です。令和8年3月13日厚生労働省告示第87号(令和8年6月1日施行)により、訪問リハビリテーション費および介護予防訪問リハビリテーション費に「介護職員等処遇改善加算」が加わりました。

「別に厚生労働大臣が定める基準に適合する介護職員等の賃金の改善等を実施しているものとして、(中略)届出を行った指定訪問リハビリテーション事業所が、利用者に対し、指定訪問リハビリテーションを行った場合は、イからニまでにより算定した単位数の1000分の15に相当する単位数を所定単位数に加算する。」
(指定居宅サービス介護給付費単位数表 訪問リハビリテーション費 ホより引用)

加算率は1.5%です。訪問リハビリは長らく処遇改善加算の対象外でしたが、訪問看護・居宅介護支援などとともに対象に加えられました。「イからニまでにより算定した単位数」が母数なので、基本報酬だけでなく、退院時共同指導加算・移行支援加算・サービス提供体制強化加算まで含めた合計に1.5%を掛ける構造です。

確度について加算率1000分の15と条文の存在は告示原文で確認しています(確度高)。施行日が令和8年6月1日であることは、同告示の附則および複数の解説情報が一致していることによる整理です(確度中)。算定にあたっては、必ず指定権者の通知および届出様式で確認してください。処遇改善加算そのものの要件は介護職員等処遇改善加算とは?2026年最新の算定要件と取得方法で解説しています。

加算の前に確認したい「そもそも算定できない」ケース

加算・減算の一覧を押さえたら、最後に基本報酬そのものが算定できない場面を確認しておきます。告示の注12・注13に定めがあります。

  • 特別の指示が出た日から14日間:主治医が急性増悪等により一時的に頻回の訪問リハビリが必要と判断して特別の指示を行った場合、その14日間は医療保険の給付対象となり、訪問リハビリテーション費は算定しません。
  • 短期入所生活介護・短期入所療養介護・特定施設入居者生活介護を受けている間:算定できません。
  • 認知症対応型共同生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護を受けている間:算定できません。

また「通院が困難な利用者」という要件についても、通知が実務的な整理を示しています。

「指定通所リハビリテーションのみでは、家屋内におけるADLの自立が困難である場合の家屋状況の確認を含めた指定訪問リハビリテーションの提供など、ケアマネジメントの結果、必要と判断された場合は訪問リハビリテーション費を算定できるものである。」
(老企第36号 第二の5(3)より引用)

「通院できているから訪問リハは使えない」とは書かれていません。通所リハに通えていても、家屋内のADLに課題があれば訪問リハを算定できる——この一文は、ケアマネジャーとの調整で根拠として使えます。併用については通所リハと訪問リハは併用できる?厚労省の根拠とケアプラン記載例もご覧ください。

よくある質問
訪問リハビリの加算は全部でいくつありますか?

指定居宅サービス介護給付費単位数表の「訪問リハビリテーション費」の条文で数えると、加算が8種類(短期集中リハ、リハマネ、認知症短期集中リハ、口腔連携強化、退院時共同指導、移行支援、サービス提供体制強化、処遇改善)、これに地域に関する3つの加算が加わります。減算は6種類(診療未実施、同一建物、高齢者虐待防止措置未実施、業務継続計画未策定、そして要支援のみの12月超減算)です。

短期集中リハ加算と認知症短期集中リハ加算は両方算定できますか?

算定できません。告示の注10に「ただし、注8を算定している場合は、算定しない」と明記されています。注8が短期集中リハビリテーション実施加算です。退院後3か月間はどちらの要件も満たす場面が出てきますが、200単位/日と240単位/日のいずれか一方を選ぶことになります。

認知症短期集中リハ加算の240単位は、週2日を超えて算定できませんか?

できません。告示に「1週に2日を限度として」とあります。週3回訪問していても、加算が付くのは2日分までです。また対象者はMMSEまたはHDS-Rでおおむね5点〜25点に相当する者とされ、過去3か月以内にこの加算を算定していた場合も算定できません。

診療未実施減算は退院直後でも適用されますか?

入院中にリハビリの提供を受けており、その医療機関から利用者に関する情報提供が行われている場合は、退院後1か月以内に提供する訪問リハビリに限り適用されません。老企第36号に明記されています。ただし1か月を過ぎると通常どおり50単位の減算対象になるため、自事業所の医師による診療の段取りが必要です。

要支援の人にリハマネ加算は算定できますか?

算定できません。介護予防訪問リハビリテーション費の告示にリハビリテーションマネジメント加算の条文自体がないためです。同様に、認知症短期集中リハビリテーション実施加算と移行支援加算も要支援には存在しません。一方、短期集中リハ加算・退院時共同指導加算・口腔連携強化加算・サービス提供体制強化加算は要支援でも同額で算定できます。

サービス提供体制強化加算は、職員の平均勤続年数で判定するのですか?

いいえ。訪問リハビリの場合は、利用者に直接サービスを提供するPT・OT・STのうち、(Ⅰ)は勤続7年以上の者が1名以上、(Ⅱ)は勤続3年以上の者が1名以上いれば算定できます。割合や平均ではありません。該当者が1人いれば、その事業所の全利用者に加算できます。

訪問リハビリと通所リハビリの両方で退院時共同指導加算を算定できますか?

各事業所の医師等がそれぞれ退院前カンファレンスに参加して共同指導を行った場合は、両方で算定できます。ただし通所リハと訪問リハが一体的に運営されている場合は併算定できません。この「一体的に運営」の判断は指定権者に確認してください。

業務継続計画未策定減算は訪問リハビリでも始まっていますか?

始まっています。訪問リハビリ・訪問看護・通所リハビリについては令和7年3月31日まで適用しないという経過措置がありましたが、すでに終了しています。感染症・災害それぞれのBCPの策定に加えて、研修・訓練の実施と定期的な見直しが必要です。

介護予防訪問リハビリの12月超減算は、入院するとリセットされますか?

起算日は「利用開始日の属する月」であり、入院による取扱いには細かい整理があります。単純に入院すればリセットされるという運用ではないため、別記事で個別に解説しています。判断に迷う場合は保険者に確認してください。

処遇改善加算の1.5%は、加算を含めた合計に掛けるのですか?

告示の条文は「イからニまでにより算定した単位数の1000分の15」となっています。イが基本報酬、ロが退院時共同指導加算、ハが移行支援加算、ニがサービス提供体制強化加算です。したがってこれらの合計に1.5%を掛けます。なお短期集中リハ加算やリハマネ加算は「イの注」に位置づけられているため、イに含まれます。

まとめ
  • 訪問リハビリの加算は8種類+地域加算3種類、減算は6種類
  • 基本報酬は要介護308単位/回、要支援298単位/回(1回20分)
  • 令和6年度改定で要介護と要支援の基本報酬に差が設けられた
  • リハマネ加算はA・Bが廃止され、(イ)180単位・(ロ)213単位に整理
  • 医師が利用者・家族に説明した場合は月270単位が上乗せされる
  • 認知症短期集中リハ加算240単位は短期集中リハ加算と併算定できない
  • 認知症短期集中リハの対象はMMSE・HDS-Rでおおむね5〜25点
  • 退院時共同指導加算600単位は当該退院につき1回、一体運営なら通所リハと併算定不可
  • サービス提供体制強化加算は勤続7年(Ⅰ)/3年(Ⅱ)の職員が1名いれば算定可
  • 診療未実施減算−50単位は、退院後1か月以内には適用されない
  • 同一建物減算は90%、同一敷地内建物等に50人以上なら85%
  • 虐待防止措置未実施減算・業務継続計画未策定減算は各1%(BCPの経過措置は令和7年3月末で終了)
  • 介護予防にはリハマネ加算・認知症短期集中リハ加算・移行支援加算が存在しない
  • 介護予防の12月超減算は5単位から30単位に拡大、要件を満たせば減算なし
  • 令和8年6月1日から、訪問リハビリでも介護職員等処遇改善加算(1.5%)を算定できる
  • 特別指示書が出た14日間、短期入所・特定施設等の利用中は基本報酬を算定できない
参考にした情報
  • 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)別表 指定居宅サービス介護給付費単位数表「訪問リハビリテーション費」
  • 指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第127号)別表 指定介護予防サービス介護給付費単位数表「介護予防訪問リハビリテーション費」
  • 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日老企第36号)第二の5
  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
  • 令和6年3月15日厚生労働省告示第86号 附則(業務継続計画未策定減算に係る経過措置)
  • 令和8年3月13日厚生労働省告示第87号 附則(令和8年6月1日施行)

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。同一建物の人数の数え方や「一体的に運営されている」の判断などの解釈は、都道府県・市町村によって異なります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。処遇改善加算の施行日に関する記述は告示の附則と複数の公開情報にもとづく整理であり、届出にあたっては指定権者の通知を確認してください。実務上の運用に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

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リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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