「リハビリテーションマネジメント加算のイ・ロ・ハって、結局なにがどう違うの?」「訪問リハと通所リハで単位数や区分がちがうのが分かりにくい…」——制度の名称が改定のたびに変わってきたこともあり、現場でこう感じている方はとても多いはずです。算定区分を取り違えると、本来とれるはずの加算を取り逃したり、逆に要件を満たさないまま算定してしまったりと、事業所の経営にも直結します。

この記事では、令和6年度介護報酬改定に対応したリハビリテーションマネジメント加算イ・ロ・ハを、区分の歴史・算定要件・単位数・リハビリテーション会議の進め方まで、現場目線でまるごと整理します。読み終えるころには「自事業所はどの区分で算定すべきか」を根拠をもって判断できるようになります。

この記事でわかること
  • リハビリテーションマネジメント加算イ・ロ・ハの意味と区分の変遷
  • イ・ロ・ハそれぞれの算定要件(積み上げ式の考え方)
  • 訪問リハ・通所リハの単位数【令和6年度改定】
  • リハビリテーション会議の構成員・頻度・オンライン開催の可否
  • 現場で算定を継続するための実践ポイントとQ&A

リハビリテーションマネジメント加算とは?

リハビリテーションマネジメント加算とは、医師・PT・OT・STなどの多職種が共同し、心身機能・活動・参加にバランスよくアプローチするリハビリが、継続的に管理されているかを評価する加算です。土台になっているのは、調査(Survey)・計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Action)の頭文字をとった「SPDCAサイクル」を回す考え方です。

つまり「漫然と運動を提供している」のではなく、利用者の生活課題を把握し、目標と計画を立て、実行・評価・見直しを繰り返している事業所を評価する仕組み、ということになります。

ちびウルフちびウルフ

イ・ロ・ハって、前は別の名前じゃなかった?なんだか分かりにくいです…。

リハウルフリハウルフ

そうなんだ。区分の名前が何度も変わってきたから混乱しやすいんだよ。まずは歴史を整理するとスッキリするよ。

区分の変遷(Ⅰ〜Ⅳ → A・B → イ・ロ・ハ)

もともとは(Ⅰ)〜(Ⅳ)の4区分でした。令和3年度改定で、要介護のリハマネ加算(Ⅰ)と要支援のリハマネ加算が基本報酬に包括化され、残りが「A(イ・ロ)」「B(イ・ロ)」へ整理されました。そして令和6年度改定で現在の「イ・ロ・ハ」へ再編されています。

時期区分
令和3年改定まで(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)(Ⅳ)
令和3年度改定A(イ・ロ)/B(イ・ロ) ※(Ⅰ)と要支援分は基本報酬に包括化
令和6年度改定通所リハ=イ・ロ・ハ/訪問リハ=イ・ロ
ポイント「ハ」は通所リハビリテーションのみに設けられた区分です。訪問リハビリには「イ」と「ロ」しかありません。ここを取り違えないようにしましょう。

リハビリテーションマネジメント加算イ・ロ・ハの算定要件

結論から言うと、イ・ロ・ハは「積み上げ式」で要件が増えていきます。イ=会議の開催、ロ=イ+LIFE提出、ハ=ロ+栄養・口腔の一体的取組、という関係です。下の段階を満たさずに上の区分は算定できません。

リハマネ加算「イ」の要件

リハビリテーション会議を開催し、PT・OT・STが利用者・家族へリハビリ計画を説明して同意を得て、その内容を医師へ報告することが基本要件です。多職種で計画を共有する「土台」の段階にあたります。

リハマネ加算「ロ」の要件

イの要件に加えて、LIFE(科学的介護情報システム)へリハビリ計画等を提出し、フィードバックを活用することが求められます。データに基づくPDCA(SPDCA)を回す段階です。

リハマネ加算「ハ」の要件(通所リハのみ)

ロの要件を満たしたうえで、栄養・口腔の一体的な取組が必要です。具体的には次のような要件があります。

  • 管理栄養士を1名以上配置する(外部との連携を含む)
  • 多職種共同で栄養アセスメント・口腔の健康状態を評価する
  • ST・歯科衛生士・看護職員等が口腔の課題を把握する
  • 計画内容・栄養・口腔の情報を関係職種で共有する
  • 共有した情報をふまえ計画を見直し、関係職種へ情報提供する

リハマネ加算イ・ロ・ハの単位数【令和6年度】

気になる単位数を、訪問リハ・通所リハに分けて整理します。いずれも令和6年度介護報酬改定の数値です。

訪問リハビリの単位数

区分単位数
180単位/月
213単位/月

通所リハビリの単位数

区分同意月から6月以内6月超
560単位/月240単位/月
593単位/月273単位/月
793単位/月473単位/月
注意通所リハで医師が利用者・家族へ計画を説明した場合は、上記に加えて270単位/月が算定できます。算定漏れが起きやすいポイントなので、説明の記録を必ず残しておきましょう。
ちびウルフちびウルフ

6月を超えると単位が下がるんですね。なぜですか?

リハウルフリハウルフ

状態が不安定になりやすい開始初期に、集中的な管理を評価する仕組みだからだよ。6月以内は手厚く、その後は通常の管理へ移行する考え方なんだ。

リハビリテーション会議とは?頻度と進め方

リハマネ加算の土台になるのがリハビリテーション会議です。構成員は利用者・家族を基本に、医師・PT・OT・ST・ケアマネ・看護職員・介護職員などとされ、必要に応じて歯科医師・管理栄養士・歯科衛生士も参加します。

進め方の基本の流れはこうです。

  1. 情報収集(調査)……居宅訪問などで生活状況や課題を把握する。
  2. 会議で計画を共有……多職種で支援方針・目標・方法を共有する。
  3. 説明・同意……利用者・家族へ計画を説明し、同意を得る。
  4. 実行・評価・見直し……計画を実施し、評価して必要に応じ見直す。

会議はテレビ電話装置等(オンライン)でも開催可能です。ただし利用者・家族が参加する場合は本人の同意が必要で、医師と構成員が常時動画を共有していることなどが求められます。音声のみは原則認められません。

LIFEへの提出(ロ・ハ)で押さえること

ロ・ハではLIFEへの計画等の提出とフィードバック活用が要件です。提出する情報や頻度は厚生労働省の関連通知に沿って行い、フィードバックをSPDCAサイクルに活かすことが求められます。提出が滞ると要件を満たさなくなるため、提出スケジュールの管理は事業所全体で仕組み化しておくと安心です。

リハ職・看護師視点の実践ポイント

制度を理解するだけでなく、現場でどう回すかが算定継続のカギです。リハウルフ視点で、つまずきやすい点を整理します。

  • 会議の開催頻度(6月以内は原則月1回など)をカレンダーで管理し、欠席者には速やかに情報共有する
  • 計画書・報告書は標準様式どおりでなくても、同様の項目があればOK。自事業所の様式を整えておく
  • ロ・ハはLIFE提出の担当者を決め、提出漏れを防ぐ
  • 通所リハの「医師の説明+270単位」は記録とセットで運用する
  • 利用者ごとにイ・ロを使い分けることも可能。状態に応じて選択する
リハウルフリハウルフ

「要件を満たせる計画を作ったら、その区分を継続する」のが基本姿勢だよ。月ごとにコロコロ変えるより、続けられる体制づくりが大事なんだ。

リハマネ加算を算定するメリットと注意点

リハマネ加算は、単に報酬が増えるだけの仕組みではありません。多職種が共同してSPDCAサイクルを回すこと自体が、利用者の生活機能の改善やサービスの質の向上につながります。算定を通じて事業所のリハビリ提供体制が整理され、職員間の連携が強化されるという副次的な効果も期待できます。

一方で、注意したいのが「要件を満たし続けられるか」という点です。会議の定期開催やLIFE提出が滞れば、加算の要件を満たさなくなります。次のような点に気をつけましょう。

場面注意点
会議の運用頻度を守り、欠席者への情報共有と記録を徹底する
LIFE提出(ロ・ハ)提出スケジュールを仕組み化し、漏れを防ぐ
通所リハの医師説明+270単位の算定漏れを防ぐため記録とセットで運用
区分の選択無理な上位区分より「続けられる区分」を選ぶ

背伸びして上位区分を狙うより、自事業所の体制で確実に継続できる区分を選ぶことが、結果的に安定した算定につながります。

リハマネ加算イ・ロ・ハのよくある質問(Q&A)

イとロは同時に算定できますか?
同一利用者に対してイとロを同時に算定することはできません。ロはイの要件を含む上位区分のため、いずれか一方を算定します。
利用開始の途中から算定を始められますか?
要件(会議の開催・計画の説明と同意など)を満たした月から算定を開始できます。あらかじめ会議や説明の段取りを整えておきましょう。
同一事業所で利用者ごとに異なる区分を算定できますか?
可能です。利用者の状態やLIFE提出体制に応じて、利用者ごとにイ・ロ(通所はハまで)を使い分けられます。
会議の構成員が一部欠席したら算定できませんか?
必須の構成員や情報共有の要件を満たすことが前提です。欠席者がいる場合は、後から速やかに情報共有し記録を残すなどの対応を整えておきましょう。
計画の説明は電話でもよいですか?
会議はテレビ電話装置等のオンラインでも可能ですが、音声のみは原則認められません。要件の詳細は最新の通知を確認してください。
まとめ
  • リハマネ加算は「積み上げ式」。イ=リハ会議/ロ=イ+LIFE提出/ハ=ロ+栄養・口腔(通所のみ)
  • 訪問リハはイ180単位・ロ213単位/月(令和6年度)
  • 通所リハは6月以内と6月超で単位が異なり、医師説明で+270単位
  • 会議はオンライン可(音声のみは不可)、LIFE提出は仕組み化して漏れを防ぐ
  • 自事業所の体制で「続けられる区分」を選び、根拠をもって算定する

出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」/同 リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔関連加算等の関連通知・Q&A。単位数・要件は最新の告示・通知をご確認ください。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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