訪問リハビリの業務継続計画未策定減算は、所定単位数の100分の1、つまり1%の減算です。令和7年3月31日で経過措置が終わりました。そして施設系サービスの3%とは違い、訪問リハビリは1%。同じ名前の減算でも率が違います。

この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)と老企第36号の原文を確認して、減算率・要件・経過措置の終了・減算が始まるタイミングを整理しました。

この記事でわかること

  • 訪問リハビリの業務継続計画未策定減算は1%だということ
  • 施設系の3%とは率が違うこと
  • 令和7年3月31日で経過措置が終わったこと
  • 感染症と災害の2つのBCPが必要だということ
  • 策定するだけでなく、周知・研修・訓練・見直しが求められること
  • 月の初日に事実が生じた場合の扱い
  • 改善計画の提出が求められていないこと
  • 訪問リハビリならではのBCPの考え方

訪問リハビリの業務継続計画未策定減算とは?

業務継続計画未策定減算は、業務継続計画(BCP)を策定していない場合などに、基本報酬を1%減額する仕組みです。BCPは感染症や災害が起きてもサービスを継続できるようにするための計画で、令和3年度改定で策定が義務化されました。

義務化から3年間の経過措置があり、その間は策定していなくても減算されませんでした。その猶予が令和7年3月31日で終わり、現在は策定していなければ減算されます。

ちびウルフちびウルフ

訪問リハでBCPというと、何を書けばよいのでしょう。

リハウルフリハウルフ

職員が半分動けなくなったときに、誰の訪問を優先するかです。訪問リハは中止しても命に直結しないと思われがちですが、その判断を平時に決めておかないと、現場が個々に迷います。優先順位を決める作業がBCPの本体です。

業務継続計画未策定減算の減算率

告示第19号の訪問リハビリテーション費の注3に定められています。

3 別に厚生労働大臣が定める基準を満たさない場合は、業務継続計画未策定減算として、所定単位数の100分の1に相当する単位数を所定単位数から減算する。

減算減算率対象
業務継続計画未策定減算所定単位数の1%利用者全員

サービス種別で率が違う

サービス業務継続計画未策定減算
訪問リハビリ・訪問看護・訪問入浴など居宅サービス1%
特養・老健・介護医療院など施設系3%

施設系の記事の数字を持ち込まない

同じ「業務継続計画未策定減算」でも、居宅サービスは1%、施設系は3%です。高齢者虐待防止措置未実施減算が両方とも1%であるのとは対照的で、こちらは差がついています。

業務継続計画未策定減算の要件

老企第36号 (11)は、根拠を次のように示しています。

業務継続計画未策定減算については、指定居宅サービス等基準第30条の2第1項(指定居宅サービス等基準第39条の3において準用する場合を含む。)に規定する基準を満たさない事実が生じた場合に、その翌月(基準を満たさない事実が生じた日が月の初日である場合は当該月)から基準を満たない状況が解消されるに至った月まで、当該事業所の利用者全員について、所定単位数から減算することとする。

求められるのは2種類のBCPです。

種類内容
感染症に係る業務継続計画感染症が発生し、まん延した場合でもサービス提供を継続するための計画
災害に係る業務継続計画非常災害の発生時にサービス提供を継続するための計画

策定するだけでは足りない

  • 感染症・災害それぞれの業務継続計画を策定すること
  • 計画に従い必要な措置を講じること
  • 従業者に対して周知すること
  • 必要な研修を実施すること
  • 必要な訓練(シミュレーション)を実施すること
  • 定期的に計画を見直し、必要に応じて変更すること

「計画はあるが訓練をしていない」も減算の対象

BCPを策定した時点で安心してしまい、その後の研修と訓練が止まっている事業所は少なくありません。基準は策定・周知・研修・訓練・見直しまでを求めています。ファイルの中に計画があるだけでは、基準を満たしているとは言えません。

経過措置は令和7年3月31日で終了した

令和6年度改定の経過措置により、令和7年3月31日までの間は、感染症の予防およびまん延の防止のための指針と非常災害に関する具体的計画を策定している場合には減算が適用されないとされていました。

時期取扱い
令和7年3月31日まで感染症の指針と非常災害の具体的計画があれば減算しない
令和7年4月1日以降業務継続計画そのものが必要。経過措置なし

指針・具体的計画とBCPは別物

感染症の予防およびまん延の防止のための指針、非常災害に関する具体的計画は、従来から運営基準で求められてきたものです。BCPはこれらとは別に、サービスを継続するための計画として策定します。指針の中に数行の記載を足しただけでは、BCPを策定したことにはなりません。

業務継続計画未策定減算のタイミング

事実が生じた日減算の開始
月の途中翌月から
月の初日その月から

高齢者虐待防止措置未実施減算では「事実が生じた月の翌月から」とだけ書かれていますが、業務継続計画未策定減算には「基準を満たさない事実が生じた日が月の初日である場合は当該月」という括弧書きが入っています。

また、改善計画の提出や3か月後の報告といった手続きは書かれていません。「基準を満たない状況が解消されるに至った月まで」減算が続きます。

比較の観点業務継続計画未策定減算高齢者虐待防止措置未実施減算
減算率1%1%
開始翌月から(初日なら当月から)翌月から
改善計画の提出通知に記載なし速やかに提出
3か月後の報告通知に記載なし必要
終了状況が解消された月まで改善が認められた月まで

訪問リハビリのBCPで考えること

優先順位を決めるのが本体

訪問リハビリは、感染症の流行時に真っ先に訪問を止められるサービスです。実際、新型コロナウイルス感染症の流行期には多くの事業所が訪問を制限しました。

ただ、止めた結果として何が起きたか。数か月で歩けなくなった人、拘縮が進んだ人、転倒して骨折した人を、私も現場で見ています。全員を止めるか全員に行くかの二択ではなく、誰の訪問を優先するのかを平時に決めておくのがBCPの本体です。

ちびウルフちびウルフ

優先順位は、どう決めればいいんですか。

リハウルフリハウルフ

中止した場合に短期間で状態が落ちる人、家族の介護負担が限界に近い人、他に入っているサービスがない人。この3つを軸にすると、現場の感覚と大きくずれません。名簿の形にしておくと、いざというときに迷いません。

併設元の計画と切り分ける

訪問リハビリ事業所は、病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院に併設される形でしか開設できません。母体のBCPがあっても、訪問リハ事業所としてのBCPが別に必要かは、指定権者に確認しておいてください。訪問というサービス形態は、母体の入院・入所部門とは業務の中身が大きく違います。

訓練の記録を残す

実地指導で確認されやすいのは、計画そのものよりも訓練と研修の記録です。いつ、誰が参加して、どういう想定で行ったのか。訪問リハは職員が事業所に集まる機会が少ないため、訓練の実施そのものが後回しになりやすい点に注意してください。

定期的な見直しを記録に残す

見直した結果として変更がなかった場合でも、見直しを行った事実を記録に残してください。変更履歴が空欄のままだと、見直しの有無を示せません。

業務継続計画未策定減算のQ&A

経過措置はまだありますか?

ありません。令和7年3月31日で終了しました。現在は業務継続計画を策定していなければ減算の対象です。

施設系と同じ3%ですか?

違います。訪問リハビリを含む居宅サービスは1%です。

感染症の指針があれば足りますか?

足りません。感染症の予防およびまん延の防止のための指針と、業務継続計画は別のものです。

感染症と災害のどちらか一方でよいですか?

両方必要です。片方だけでは基準を満たしません。

計画を作れば減算されませんか?

策定に加えて、周知・研修・訓練・定期的な見直しが求められます。

減算はいつから始まりますか?

基準を満たさない事実が生じた月の翌月からです。ただし事実が生じた日が月の初日である場合は、その月から減算されます。

改善計画の提出は必要ですか?

老企第36号のこの減算の記載には、改善計画の提出や3か月後の報告に関する定めがありません。取扱いは指定権者に確認してください。

減算はいつまで続きますか?

基準を満たない状況が解消されるに至った月までです。

併設元の病院のBCPで足りますか?

訪問リハビリ事業所としてのBCPが必要かどうかは、指定権者に確認してください。訪問というサービス形態は母体の業務とは中身が異なります。

まとめ

  • 訪問リハビリの業務継続計画未策定減算は所定単位数の1%
  • 施設系サービスの3%とは率が違う
  • 令和7年3月31日で経過措置が終了した
  • 感染症の指針と非常災害の具体的計画では代替できない
  • 感染症に係るBCPと災害に係るBCPの両方が必要
  • 根拠は指定居宅サービス等基準 第30条の2第1項(第39条の3で準用)
  • 策定に加えて、周知・研修・訓練・定期的な見直しが求められる
  • 計画があっても訓練をしていなければ基準を満たさない
  • 減算が始まるのは事実が生じた月の翌月から
  • 事実が生じた日が月の初日である場合は、その月から減算される
  • 改善計画の提出や3か月後の報告に関する定めは通知にない
  • 高齢者虐待防止措置未実施減算とは、この点が異なる
  • 減算は基準を満たない状況が解消された月まで続く
  • 訪問リハのBCPは「誰の訪問を優先するか」を決めるのが本体
  • 減算の対象は利用者全員

参考にした情報

※本記事の減算率・要件は、厚生労働省の告示および通知にもとづいて整理したものです。実際の取扱いにあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。取扱いは都道府県・市町村(指定権者)によって異なる場合があります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。運用に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
PR

リハビリ職の転職・求人なら
レバウェルリハビリ

リハノメ 無料で求人を見る ▶
PR

PT・OT・STのオンラインセミナー
リハノメ

リハノメ セミナーを詳しく見る ▶