「介護報酬の加算や減算って種類が多すぎて、どれが自分のサービスに関係するのか分からない」——介護現場でよく聞く悩みです。加算は事業所の収入と職員の処遇を支える大切な仕組みですが、要件を満たさなければ算定できず、逆に基準を守れなければ「減算」で報酬が引かれてしまいます。

この記事では、2026年(令和8年)最新版として、全サービスに共通する加算・減算と、サービス別の主な加算・減算を単位数つきで整理しました。訪問リハ・訪問看護に限らず、介護保険に関わるすべての専門職と、制度を知っておきたいご家族に向けて、全体像をつかめる「地図」としてご活用ください。

この記事でわかること
  • 介護報酬の「加算」「減算」「単位数」の基本的な仕組み
  • 全サービス共通の減算(虐待防止・BCP・身体拘束など)と加算(処遇改善・体制強化など)
  • 訪問・通所・短期入所・施設・居宅介護支援それぞれの主な加算と単位数
  • 令和8年6月から拡充された処遇改善加算の位置づけ
  • 加算を取りこぼさず、減算を防ぐためのチェックポイント
最初に大切なお願い介護報酬の単位数・要件はサービス種別・事業所規模・地域区分・算定年度によって細かく異なり、改定や疑義解釈で随時更新されます。本記事は全体像をつかむための一覧です。実際の請求・算定にあたっては、必ず厚生労働省の「介護給付費単位数の算定構造」「単位数表」および最新の通知・Q&Aで確認してください。
ちびウルフちびウルフ

そもそも「加算」と「単位」って何ですか?

リハウルフリハウルフ

介護報酬は「単位」で決まっていて、1単位=おおむね10円(地域区分で変動)なんだ。基本のサービス費に、条件を満たすと上乗せされるのが「加算」、基準を守れず引かれるのが「減算」だよ。

介護報酬の「加算・減算・単位数」の基本

介護報酬は、サービスごとに「基本報酬(基本のサービス費)」が単位数で定められています。1単位はおおむね10円で、地域区分(1級地〜その他)と人件費割合に応じて10円〜11.40円程度に換算されます。

この基本報酬に対して、一定の体制やケアの質を満たすと上乗せされるのが加算、人員基準や運営基準などを満たさないと差し引かれるのが減算です。加算には「○単位/回」「○単位/日」「○単位/月」のように算定単位が決まっているものと、「所定単位数の○%」で計算するものがあります。

用語意味
単位数サービスの価格を表す基準。1単位=約10円(地域区分で変動)
基本報酬サービスごとに定められた基本のサービス費
加算体制やケアの質などの要件を満たすと上乗せされる報酬
減算人員・運営基準などを満たさない場合に差し引かれる報酬

【全サービス共通】注意すべき主な減算

令和6年度改定で、ほぼ全サービスに共通する減算が整備されました。これらは「やっていないと自動的に引かれる」ものが多く、特に注意が必要です。

減算の名称減算率主な内容
高齢者虐待防止措置未実施減算所定単位数の1%減算虐待防止委員会の開催・指針整備・研修・担当者の設置などが未実施の場合
業務継続計画(BCP)未策定減算施設・居住系3%/その他1%感染症・災害のBCP未策定、または必要な研修・訓練が未実施の場合
身体的拘束廃止未実施減算施設・居住系10%/短期入所・多機能系1%身体拘束の記録、適正化の委員会・指針・研修が未実施の場合(拘束していなくても措置未実施なら対象)
情報公表未報告減算所定単位数の10%減算介護サービス情報の報告を求められたのに報告しない等の場合
注意身体的拘束廃止未実施減算は、「実際に拘束をしていなくても」委員会・指針・研修などの措置を怠れば対象になります。「うちは拘束していないから関係ない」という思い込みが、最も危険なパターンです。
ちびウルフちびウルフ

BCPって、施設とそれ以外で減算率が違うんですね。

リハウルフリハウルフ

そうなんだ。施設・居住系は影響が大きいから3%、訪問や通所などは1%。どちらにしても「未策定はゼロ円リスク」だから、計画と訓練はセットで備えておこうね。

【全サービス共通】算定したい主な加算

サービスを横断して算定できる、代表的な加算をまとめます。事業所の体制づくりで「取りこぼし」が起きやすいところです。

加算の名称単位数・加算率の目安ポイント
介護職員等処遇改善加算所定単位数の○%(サービス・区分で異なる)令和8年6月から拡充。訪問看護・訪問リハ・ケアマネも新たに対象に
サービス提供体制強化加算サービスにより異なる(例:訪問介護(I)6・(II)6・(III)3単位/回 通所介護(I)22・(II)18・(III)6単位/回)勤続年数の長い職員や有資格者の割合などで評価
特別地域加算所定単位数の15%加算離島・へき地など特別地域の利用者へのサービス提供を評価
中山間地域等小規模事業所加算所定単位数の10%加算中山間地域等の小規模事業所を評価
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算所定単位数の5%加算中山間地域等に住む利用者への提供を評価
認知症専門ケア加算(I)3単位/(II)4単位(1日あたり等、サービスで異なる)認知症介護の専門研修修了者の配置などを評価
科学的介護推進体制加算(LIFE)40単位/(II)60単位(1月あたり・施設等)LIFEへのデータ提出とフィードバック活用を評価
ポイント処遇改善加算は、令和8年6月の拡充でこれまで対象外だった訪問看護(1.8%)・訪問リハ(1.5%)・居宅介護支援等(2.1%)も対象になりました。新規対象の事業所は、要件整備と申請を早めに進めましょう。詳しくは関連記事の「令和8年度改定まとめ」をご覧ください。

訪問系サービスの主な加算・減算

訪問介護

加算・減算単位数の目安
初回加算200単位/月
緊急時訪問介護加算100単位/回
特定事業所加算(I)20%/(II)10%/(III)10%/(IV)5%/(V)3%
生活機能向上連携加算(I)100単位/月/(II)200単位/月
口腔連携強化加算50単位/回(令和6年度新設)
同一建物等居住者へのサービス提供減算10%/15%/(大規模・一定割合超で)12% など

訪問看護

加算・減算単位数の目安
緊急時訪問看護加算(I)600単位/月/(II)574単位/月
特別管理加算(I)500単位/月/(II)250単位/月
ターミナルケア加算2,500単位(死亡月)
初回加算(I)350単位/月/(II)300単位/月
サービス提供体制強化加算(I)6単位/回/(II)3単位/回
専門管理加算250単位/月
遠隔死亡診断補助加算150単位

訪問リハビリテーション

加算・減算単位数の目安
リハビリテーションマネジメント加算(イ)180単位/月/(ロ)213単位/月 等(区分で異なる)
短期集中リハビリテーション実施加算200単位/日(退院・退所後3か月以内等)
認知症短期集中リハビリテーション実施加算240単位/日
退院時共同指導加算600単位/回
サービス提供体制強化加算6単位/回 等
事業所と同一建物等の利用者への提供減算所定単位数の10%減算
12か月超のリハビリ提供減算(事業所評価未該当等)所定単位数の減算(要件あり)

訪問入浴介護/居宅療養管理指導

加算・減算単位数の目安
訪問入浴:初回加算200単位/月
訪問入浴:看取り連携体制加算64単位/回
訪問入浴:清拭・部分浴の場合所定単位数の90%(10%減算)
居宅療養管理指導:医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士等が算定(単一建物居住者数で単位が変動)職種・人数区分ごとに設定
注意上の単位数は令和6年度改定後の代表値の目安です。同一建物減算やリハビリ関連の逓減・要件は特に細かく、事業所規模や提供期間で扱いが変わります。必ず最新の単位数表で確認してください。

通所系サービスの主な加算・減算

通所介護・地域密着型通所介護

加算・減算単位数の目安
入浴介助加算(I)40単位/日/(II)55単位/日
個別機能訓練加算(I)イ56・ロ85単位/日/(II)20単位/月
ADL維持等加算(I)30単位/月/(II)60単位/月
中重度者ケア体制加算45単位/日
認知症加算60単位/日
口腔機能向上加算(I)150単位/回/(II)160単位/回
栄養改善加算200単位/回
科学的介護推進体制加算40単位/月
送迎を行わない場合の減算片道47単位の減算 等
定員超過・人員基準欠如減算所定単位数の70%(30%減算)

通所リハビリテーション

加算・減算単位数の目安
リハビリテーションマネジメント加算(イ)(ロ)など区分で設定(月単位)
短期集中個別リハビリテーション実施加算110単位/日
認知症短期集中リハビリテーション実施加算(I)240単位/日/(II)1,920単位/月
生活行為向上リハビリテーション実施加算1,250単位/月(6か月以内)
入浴介助加算(I)40単位/日/(II)60単位/日
重度療養管理加算100単位/日

認知症対応型通所介護

加算・減算単位数の目安
入浴介助加算(I)40単位/日/(II)55単位/日
個別機能訓練加算(I)27単位/日/(II)20単位/月
サービス提供体制強化加算(I)22単位/回 等
若年性認知症利用者受入加算60単位/日

短期入所系サービスの主な加算・減算

加算・減算単位数の目安
短期入所生活介護:機能訓練体制加算12単位/日
短期入所生活介護:個別機能訓練加算56単位/日
送迎加算片道184単位
緊急短期入所受入加算90単位/日
長期利用者に対する減算(連続30日超等)所定単位数の減算(要件あり)
療養食加算8単位/回(1日3回まで)

施設系サービスの主な加算・減算

介護老人福祉施設(特養)・介護老人保健施設(老健)・介護医療院・特定施設・グループホームなどでは、医療連携や看取り、栄養・口腔、自立支援に関する加算が中心です。代表例を挙げます。

加算・減算単位数の目安
初期加算30単位/日(入所30日以内 等)
看取り介護加算死亡日・死亡日前の段階に応じて設定(数百〜千数百単位)
栄養マネジメント強化加算11単位/日
口腔衛生管理加算(I)90単位/月/(II)110単位/月
科学的介護推進体制加算(I)40単位/月/(II)60単位/月
自立支援促進加算280単位/月
老健:在宅復帰・在宅療養支援等指標による区分(超強化型〜その他)基本報酬・加算で評価
協力医療機関連携加算連携体制に応じて設定(令和6年度新設)
夜勤職員配置加算サービス・区分で設定
人員基準欠如・定員超過減算所定単位数の70%(30%減算)
ポイント施設系は「身体的拘束廃止未実施減算10%」のインパクトが特に大きいサービスです。委員会・指針・研修・記録の4点セットは、加算以前の「土台」として必ず整備しておきましょう。

居宅介護支援(ケアマネジメント)の主な加算・減算

加算・減算単位数の目安
初回加算300単位/月
特定事業所加算(I)519/(II)421/(III)323/(A)114単位/月
入院時情報連携加算(I)250単位/(II)200単位
退院・退所加算連携回数・カンファレンスの有無で設定
通院時情報連携加算50単位/月
ターミナルケアマネジメント加算400単位
運営基準減算所定単位数の50%減算(2か月目以降は算定不可 等)
処遇改善加算(令和8年6月〜)2.1%(新たに対象に)

加算を取りこぼさず、減算を防ぐためのポイント

  1. 自事業所のサービス種別で「算定できる加算」を一覧化し、未算定のものがないか棚卸しする
  2. 加算ごとの要件(人員配置・研修・記録・委員会など)をチェックリスト化する
  3. 共通減算(虐待防止・BCP・身体拘束)の措置を「実施+記録」までセットで整える
  4. 地域区分・同一建物・定員超過など、減算につながりやすい条件を毎月確認する
  5. 改定・疑義解釈が出たら、厚労省・自治体の最新通知で単位数と要件を更新する
注意加算は「届出をしていなければ、要件を満たしていても算定できない」ものが大半です。体制が整ったら、速やかに体制届を提出しましょう。
1単位はいくらですか?
おおむね10円ですが、地域区分(1級地〜その他)と人件費割合に応じて約10円〜11.40円に換算されます。都市部ほど単価が高くなります。
加算と減算はどちらが優先されますか?
仕組みが異なるため「優先」という関係ではありません。算定要件を満たせば加算が付き、基準を満たさなければ減算が適用されます。両方が同時に発生することもあります。
処遇改善加算は令和8年で何が変わりましたか?
令和8年6月から拡充され、対象が介護従事者全体に広がり、訪問看護(1.8%)・訪問リハ(1.5%)・居宅介護支援等(2.1%)も新たに対象になりました。加算率も引き上げられています。
身体拘束をしていなくても減算されることはありますか?
あります。実際に拘束をしていなくても、委員会の開催・指針の整備・研修の実施といった適正化の措置を怠ると、身体的拘束廃止未実施減算の対象になります。
正確な単位数はどこで確認できますか?
厚生労働省の「介護給付費単位数の算定構造」「単位数表」、各都道府県・市町村の介護保険担当ページ、WAM NETなどの公的資料で確認できます。改定年度と最新の疑義解釈もあわせてチェックしましょう。
まとめ
  • 介護報酬は「単位数(1単位≒10円)」が基本で、要件を満たすと加算、基準を満たさないと減算となる。
  • 全サービス共通の減算は、虐待防止未実施1%・BCP未策定(施設3%/その他1%)・身体拘束未実施(施設10%/その他1%)・情報公表未報告10%。
  • 共通の加算は、処遇改善・サービス提供体制強化・特別地域/中山間・認知症専門ケア・科学的介護推進(LIFE)などが代表的。
  • サービス別では、訪問・通所・短期入所・施設・ケアマネそれぞれに固有の加算がある。
  • 加算は「届出が必要」「要件+記録がセット」。減算は「やっていないと自動で引かれる」ことに注意。
  • 単位数・要件は改定や疑義解釈で更新されるため、請求時は必ず厚労省の最新の単位数表で確認を。

出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定」関連資料(介護給付費単位数の算定構造/留意事項通知)、「令和8年度介護報酬改定について」、社会保障審議会 介護給付費分科会資料、WAM NET 介護保険最新情報。単位数は代表値の目安であり、正確な値は公式の単位数表をご確認ください。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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