【まとめ】訪問入浴介護の加算・減算一覧|令和6年度改定対応【2026年最新】

訪問入浴介護は、加算・減算の数が居宅サービスのなかでもっとも少ないサービスです。加算は5種類、減算も5種類。1回1,266単位という高い基本報酬に、ほぼすべてが集約されている設計になっています。
だからこそ、1つの減算が効いたときの影響が大きいのがこのサービスの特徴です。清拭・部分浴に切り替えれば90%、看護職員を出せなければ95%——どちらも「よくある場面」なのに、条文を読むと算定できる条件がかなり限定されています。
この記事では、指定居宅サービス介護給付費単位数表(平成12年厚生省告示第19号)の「訪問入浴介護費」の条文を軸に、加算・減算を漏れなく一覧化しました。あわせて、要介護は3人体制・要支援は2人体制という根本的な違い、そして令和6年度に新設された看取り連携体制加算まで扱います。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 訪問入浴介護の加算・減算の全体像(告示の条文順の一覧表)
- 要介護1,266単位・要支援856単位という基本報酬
- 要介護は看護1+介護2の3人体制、要支援は看護1+介護1の2人体制
- 介護職員のみで行う95%算定には主治医の意見確認が必要なこと
- 清拭・部分浴の90%は「利用者の希望により」が要件であること
- 看取り連携体制加算64単位は要支援にはないこと
- サービス提供体制強化加算が44単位と訪問系で突出して高いこと
- 初回加算200単位は事前の居宅訪問が要件であること
- 同一建物減算の90%・85%
- 処遇改善加算が最大13.3%であること
ちびウルフ看護師が来られない日は、介護職員3人で行って95%で算定すればいいんですよね?
リハウルフそこが落とし穴です。条文は「入浴により身体の状況等に支障を生ずるおそれがないと認められる場合に、その主治の医師の意見を確認した上で」と書いています。事業所都合で看護師が出せない日に使える規定ではありません。利用者側の状態が前提です。
訪問入浴介護の加算・減算一覧【早見表】
指定居宅サービス介護給付費単位数表「訪問入浴介護費」の条文順に並べました。
| 項目 | 単位数/率 | 頻度 | 要支援 |
|---|---|---|---|
| 基本報酬 | 1,266単位 | 1回 | 856単位 |
| 特別地域訪問入浴介護加算 | 所定単位数×15/100 | 1回 | ○ |
| 中山間地域等における小規模事業所加算 | 所定単位数×10/100 | 1回 | ○ |
| 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算 | 所定単位数×5/100 | 1回 | ○ |
| 初回加算 | 200単位 | 1月 | ○ |
| 認知症専門ケア加算(Ⅰ)/(Ⅱ) | 3単位/4単位 | 1日 | ○ |
| 看取り連携体制加算 | 64単位 | 1回 | × |
| サービス提供体制強化加算(Ⅰ) | 44単位 | 1回 | ○ |
| サービス提供体制強化加算(Ⅱ)/(Ⅲ) | 36単位/12単位 | 1回 | ○ |
| 介護職員等処遇改善加算 | 所定単位数×85〜133/1000 | — | ○ |
| 介護職員のみで実施した場合 | 所定単位数×95/100 | 1回 | ○ |
| 清拭・部分浴を実施した場合 | 所定単位数×90/100 | 1回 | ○ |
| 同一建物減算(同一敷地内等・20人以上) | 所定単位数×90/100 | 1回 | ○ |
| 同一建物減算(同一敷地内等に50人以上) | 所定単位数×85/100 | 1回 | ○ |
| 高齢者虐待防止措置未実施減算 | 所定単位数×1/100 | — | ○ |
| 業務継続計画未策定減算 | 所定単位数×1/100 | — | ○ |
出典:指定居宅サービス介護給付費単位数表 訪問入浴介護費、指定介護予防サービス介護給付費単位数表 介護予防訪問入浴介護費
訪問入浴介護の基本報酬|体制の違いが単位数に直結する
訪問入浴介護の単位数は、何人で行くかで決まります。要介護と要支援では、そもそも定められた体制が違います。
| 区分 | 基本報酬 | 体制 |
|---|---|---|
| 訪問入浴介護(要介護) | 1,266単位 | 看護職員1人+介護職員2人=3人 |
| 介護予防訪問入浴介護(要支援) | 856単位 | 看護職員1人+介護職員1人=2人 |
1人分の差が410単位。要支援は最初から2人体制が前提なので、要介護のつもりで3人で訪問しても856単位のままです。人員基準の詳細は訪問入浴介護の人員基準|看護1+介護2=3人体制と予防の違いを解説、設備基準を含む全体像は訪問入浴介護の人員基準と設備基準を厚労省基準でわかりやすく解説で扱っています。
2つの「95%」「90%」|どちらも利用者側の事情が前提
介護職員のみで実施した場合(95%)
看護職員を欠いた体制で行った場合の減算です。条文はこうなっています。
(指定居宅サービス介護給付費単位数表 訪問入浴介護費 注4より引用)
ポイントは2つです。
- 利用者側の条件:入浴により身体の状況等に支障を生ずるおそれがないと認められること。状態が不安定な方には、そもそもこの形で提供できません。
- 手続き:あらかじめ主治の医師の意見を確認していること。
要支援の場合は「介護職員2人が行った場合」となります(3人体制の要介護に対し、2人体制の要支援では介護職員2人)。人数の絶対値ではなく「看護職員を介護職員に置き換えた場合」という構造です。
清拭・部分浴を実施した場合(90%)
(同 注5より引用)
こちらも2つの条件が重なっています。
- 訪問時の状況:心身の状況等から全身入浴が困難であること
- 意思:利用者の希望により清拭・部分浴を実施したこと
「部分浴」の範囲は条文に例示があり、洗髪・陰部・足部等の洗浄です。全身入浴が可能なのに事業所判断で清拭に切り替えた場合は、この規定の想定外になります。訪問入浴の現場負担については訪問入浴介護がきつい5つの理由と対策|向いている人も解説でも扱っています。
看取り連携体制加算(64単位)|令和6年度の新設
訪問入浴介護に看取り期の評価が入ったのは令和6年度改定からです。
- 単位数:64単位/回
- 算定できる期間:死亡日および死亡日以前30日以下
- 要件:厚生労働大臣が定める施設基準に適合し、届出を行った事業所が、基準に適合する利用者について看取り期におけるサービス提供を行った場合
- 介護予防訪問入浴介護には条文がありません
「1回につき」なので、看取り期の30日間に4回訪問すれば256単位です。金額としては大きくありませんが、最期まで入浴の機会を確保する取り組みを制度が評価したという点に意味があります。看取り対応全般の考え方は介護施設の看取り・ターミナルケア対応|対応可能な施設の見分け方もご覧ください。
サービス提供体制強化加算が訪問系で突出して高い
訪問入浴介護のサービス提供体制強化加算は、他の訪問系サービスと桁が違います。
| サービス | (Ⅰ) | (Ⅱ) | (Ⅲ) |
|---|---|---|---|
| 訪問入浴介護 | 44単位 | 36単位 | 12単位 |
| 訪問看護 | 6単位 | 3単位 | — |
| 訪問リハビリテーション | 6単位 | 3単位 | — |
| 通所介護・通所リハビリテーション | 22単位 | 18単位 | 6単位 |
理由はシンプルで、訪問入浴は1回1,266単位と単価が大きいためです。他サービスと同じ6単位では体制評価としてほとんど機能しません。率で考えると44÷1,266=約3.5%で、通所介護(22÷700前後=約3%)と同水準に揃えられていることがわかります。
なお訪問入浴介護のサービス提供体制強化加算は、介護福祉士の割合や勤続年数で区分が決まります。要件は大臣基準告示に定められており、(Ⅰ)は介護福祉士60%以上または勤続10年以上の介護福祉士25%以上などとされています。
初回加算(200単位)は事前訪問が要件
訪問入浴介護の初回加算は、訪問介護のものと要件が違います。
| サービス | 初回加算の要件 |
|---|---|
| 訪問入浴介護 | 新規利用者の居宅を訪問し、利用に関する調整を行った上で、初回のサービスを行った場合 |
| 訪問介護 | サービス提供責任者が自ら訪問、またはサ責が同行した場合 |
| 訪問看護 | (Ⅰ)退院当日に看護師が訪問/(Ⅱ)それ以外 |
訪問入浴はサービス提供前に居宅を訪問して調整することが要件です。浴槽を搬入できるか、給湯・排水はどうするか、動線は確保できるか——実際、事前訪問なしで初回を迎えるのは現実的ではありません。その実務をそのまま加算要件にした形です。いずれも1月につき200単位で、要支援も同額です。
訪問入浴介護の減算|同一建物と体制関連
同一建物減算(90%・85%)
構造は訪問看護・訪問リハと同じ2段階です。訪問介護のような88%の区分はありません。
| 状況 | 算定率 |
|---|---|
| 同一敷地内建物等に居住、または同一建物に20人以上居住 | 90/100 |
| 同一敷地内建物等に1月あたりの利用者が50人以上居住 | 85/100 |
詳細は同一建物減算とは?わかりやすく解説【令和6年度・12%減算対応】で扱っています。
虐待防止・BCPの各減算(1%)
いずれも所定単位数の1%です。訪問入浴介護の業務継続計画未策定減算は、令和7年3月31日までは適用しないという経過措置がありましたが、すでに終了しています。
短期入所等を利用している間は算定できない
短期入所生活介護・短期入所療養介護・特定施設入居者生活介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、複合型サービスを受けている間は算定できません(注10)。訪問介護のような「通院等乗降介助だけは例外」といった但し書きはありません。
要支援との違いをまとめて確認
| 項目 | 訪問入浴介護(要介護) | 介護予防訪問入浴介護(要支援) |
|---|---|---|
| 基本報酬 | 1,266単位 | 856単位 |
| 体制 | 看護1+介護2=3人 | 看護1+介護1=2人 |
| 介護職員のみで実施 | 介護職員3人で95% | 介護職員2人で95% |
| 清拭・部分浴 | 90% | 90% |
| 初回加算 | 200単位 | 200単位 |
| 認知症専門ケア加算 | 3単位/4単位 | 3単位/4単位 |
| 看取り連携体制加算 | 64単位 | なし |
| サービス提供体制強化加算 | 44/36/12単位 | 44/36/12単位 |
| 処遇改善加算 | 最大13.3% | 最大13.3% |
要支援と要介護で違うのは、基本報酬・体制・看取り連携体制加算の3点だけです。加算の顔ぶれがほぼ同じという点で、訪問看護(要支援にターミナルケア加算等がない)や通所リハ(要支援は加算体系が別物)とは対照的です。
ちびウルフ加算が少ないぶん、シンプルでいいですね。
リハウルフ請求はシンプルです。ただ収益の振れ幅は大きい。同一建物減算10%と清拭90%が重なれば、1,266単位が1,000単位近くまで下がります。加算を積んで伸ばすというより、減算を招かない体制と記録を保つことが経営の要になるサービスです。
令和8年6月の処遇改善加算|最大13.3%
令和8年3月13日厚生労働省告示第87号(令和8年6月1日施行)により(Ⅰ)ロ・(Ⅱ)ロが新設されました。訪問入浴介護の加算率です。
| 区分 | 加算率 |
|---|---|
| 介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)イ | 12.2%(1000分の122) |
| 介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)ロ | 13.3%(1000分の133) |
| 介護職員等処遇改善加算(Ⅱ)イ | 11.6%(1000分の116) |
| 介護職員等処遇改善加算(Ⅱ)ロ | 12.7%(1000分の127) |
| 介護職員等処遇改善加算(Ⅲ) | 10.1%(1000分の101) |
| 介護職員等処遇改善加算(Ⅳ) | 8.5%(1000分の85) |
訪問介護28.7%には及びませんが、通所介護12.0%を上回ります。看護職員が1人入る分、訪問介護より低く設定されていると読めます。要支援も同率です。
看護職員が来られない日に介護職員3人で行けば95%で算定できますか?
事業所の都合では算定できません。告示は「入浴により当該利用者の身体の状況等に支障を生ずるおそれがないと認められる場合に、その主治の医師の意見を確認した上で」としています。利用者の状態が前提で、かつ事前に主治医の意見を確認していることが必要です。
清拭・部分浴の90%はどんな場合に適用されますか?
訪問時の利用者の心身の状況等から全身入浴が困難であり、かつ利用者の希望により清拭または部分浴を実施した場合です。部分浴の範囲は洗髪・陰部・足部等の洗浄と条文に例示されています。事業所判断で清拭に切り替えた場合は想定外です。
介護職員のみで清拭を行った場合、95%と90%は両方適用されますか?
告示は注4と注5を別々の規定として置いており、重複適用の可否は明記されていません。判断が分かれ得る箇所のため、該当するケースが出た場合は請求前に保険者へ確認してください。
要支援の訪問入浴は何人体制ですか?
看護職員1人と介護職員1人の2人体制です。要介護は看護職員1人+介護職員2人の3人体制なので、1人少なくなります。基本報酬も1,266単位に対して856単位です。
要支援の場合、介護職員のみは何人ですか?
介護職員2人です。要介護の3人体制で看護職員を介護職員に置き換えると3人、要支援の2人体制で置き換えると2人という構造です。いずれも95%で算定します。
看取り連携体制加算は要支援でも算定できますか?
できません。介護予防訪問入浴介護費の告示に看取り連携体制加算の条文が存在しません。要介護の場合、死亡日および死亡日以前30日以下について1回64単位を算定できます。
サービス提供体制強化加算が44単位と高いのはなぜですか?
訪問入浴介護は1回1,266単位と基本報酬が大きいためです。訪問看護・訪問リハの6単位と同じでは体制評価として機能しません。率で見ると44÷1,266で約3.5%となり、通所介護などと同水準に揃えられています。
初回加算200単位の要件は何ですか?
新規利用者の居宅を訪問し、利用に関する調整を行ったうえで、初回の訪問入浴介護を行った場合です。事前の居宅訪問が要件になっている点が、サービス提供責任者の訪問・同行を要件とする訪問介護の初回加算とは異なります。
ショートステイを利用している期間に訪問入浴は使えますか?
使えません。短期入所生活介護・短期入所療養介護・特定施設入居者生活介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護などを受けている間は訪問入浴介護費を算定できません。訪問介護のような例外規定もありません。
訪問入浴介護に同一建物減算の88%はありますか?
ありません。90%と85%の2段階です。88%の区分があるのは訪問介護のみで、令和6年度改定で新設されたものです。
- 基本報酬は要介護1,266単位、要支援856単位(いずれも1回につき)
- 要介護は看護1+介護2の3人体制、要支援は看護1+介護1の2人体制
- 介護職員のみで実施した場合は95%だが、利用者の状態と主治医の意見確認が前提
- 事業所の人繰りの都合では95%算定の要件を満たさない
- 清拭・部分浴は90%で、「利用者の希望により」が要件
- 部分浴の範囲は洗髪・陰部・足部等の洗浄と条文に例示されている
- 95%と90%の重複適用の可否は告示に明記がなく、保険者確認が必要
- 看取り連携体制加算64単位は令和6年度の新設で、死亡日以前30日以下が対象
- 看取り連携体制加算は要支援には存在しない
- サービス提供体制強化加算は44/36/12単位で訪問系では突出して高い
- 初回加算200単位は事前の居宅訪問と調整が要件
- 同一建物減算は90%・85%の2段階(訪問介護のような88%はない)
- 短期入所・特定施設等を利用している間は算定できず、例外規定もない
- 要支援と要介護の違いは基本報酬・体制・看取り連携体制加算の3点のみ
- 処遇改善加算は最大13.3%で、訪問介護より低く通所介護より高い
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)別表 指定居宅サービス介護給付費単位数表「訪問入浴介護費」
- 指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第127号)別表 指定介護予防サービス介護給付費単位数表「介護予防訪問入浴介護費」
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第五号(訪問入浴介護費におけるサービス提供体制強化加算の基準)、第六号(同 介護職員等処遇改善加算の基準)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日老企第36号)第二の3
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
- 令和6年3月15日厚生労働省告示第86号 附則第2条(業務継続計画未策定減算に係る経過措置)
- 令和8年3月13日厚生労働省告示第87号 附則(令和8年6月1日施行)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。介護職員のみで実施した場合の95%と清拭・部分浴の90%を重複して適用できるかについては告示に明記がなく、保険者によって取扱いが異なる可能性があります。同一建物の人数の数え方などの解釈も市町村・都道府県によって異なります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。処遇改善加算の施行日および「ロ」の区分の要件に関する記述は、告示の附則と公開情報にもとづく整理であり、届出にあたっては指定権者の通知を確認してください。実務上の運用に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

