訪問入浴介護のサービス提供体制強化加算とは?

訪問入浴介護のサービス提供体制強化加算は、(Ⅰ)44単位/回、(Ⅱ)36単位/回、(Ⅲ)12単位/回です。
注目すべきは「1回につき」という点。訪問系サービスのなかでも金額が大きく、週2回・月8回の利用者に(Ⅰ)を算定すれば月352単位。基本報酬1,266単位に対して3.5%の上乗せになります。
要件は2階建てです。1階部分は(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)に共通する3つ(研修計画・会議・健康診断)、2階部分が介護福祉士等の割合。割合だけ見て「うちは無理」と判断する前に、共通要件のほうを確認してください。会議と健康診断が抜けていれば、割合を満たしていても算定できません。
この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)訪問入浴介護費のホ、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第5号の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- サービス提供体制強化加算(Ⅰ)44単位・(Ⅱ)36単位・(Ⅲ)12単位という単位数
- 「1回につき」の加算であること
- 3区分に共通する3つの要件(研修計画・会議・健康診断)
- (Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の割合要件の違い
- (Ⅲ)には勤続7年以上30%というルートもあること
- 母集団が「介護職員」か「訪問入浴介護従業者」かで異なること
- 3区分は同時に算定できないこと
- 介護予防訪問入浴介護でも算定できること
ちびウルフ介護福祉士60%は厳しくないですか?
リハウルフ(Ⅰ)はそうですね。ただ(Ⅲ)には「勤続年数7年以上の者が30%以上」というルートがあります。しかもこのルートの母集団は介護職員ではなく訪問入浴介護従業者の総数。看護職員も含めて数えることになります。長く勤めている職員が多い事業所は、まずここを計算してみてください。
単位数は(Ⅰ)44単位・(Ⅱ)36単位・(Ⅲ)12単位(1回につき)
| 区分 | 1回 | 月8回の場合 | 基本報酬1,266単位に対する割合 |
|---|---|---|---|
| (Ⅰ) | 44単位 | 352単位 | 約3.5% |
| (Ⅱ) | 36単位 | 288単位 | 約2.8% |
| (Ⅲ) | 12単位 | 96単位 | 約0.9% |
※概算です。注のただし書きにより、3区分のうち算定できるのは1つだけです。
まず共通要件——研修計画・会議・健康診断
告示95号第5号のイ(1)〜(3)は、(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)すべてに共通します。
(1) 全ての訪問入浴介護従業者に対し、訪問入浴介護従業者ごとに研修計画を作成し、当該計画に従い、研修(外部における研修を含む。)を実施又は実施を予定していること。
(2) 利用者に関する情報若しくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達又は訪問入浴介護従業者の技術指導を目的とした会議を定期的に開催すること。
(3) 全ての訪問入浴介護従業者に対し、健康診断等を定期的に実施すること。
研修計画と健康診断は「全ての訪問入浴介護従業者」が対象です。非常勤やパートの職員を除外していると要件を満たしません。訪問入浴は3人1組で動くため、人の入れ替わりも起きやすい業態です。入職時に研修計画を作成し、健康診断の対象に加える手順を決めておいてください。
(Ⅰ)の割合要件
- 介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が60%以上、又は
- 介護職員の総数のうち、勤続年数10年以上の介護福祉士の占める割合が25%以上
(Ⅱ)の割合要件
- 介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が40%以上、又は
- 介護職員の総数のうち、介護福祉士・実務者研修修了者・介護職員基礎研修課程修了者の占める割合が60%以上
(Ⅲ)の割合要件は2ルート
| ルート | 要件 | 母集団 |
|---|---|---|
| ① | 介護福祉士30%以上、又は介護福祉士・実務者研修修了者・介護職員基礎研修課程修了者50%以上 | 介護職員の総数 |
| ② | 勤続年数7年以上の者が30%以上 | 訪問入浴介護従業者の総数 |
②だけ母集団が「訪問入浴介護従業者の総数」です。訪問入浴介護従業者には看護職員も含まれるため、介護福祉士の割合が低くても、勤続の長い看護職員がいれば要件を満たせる可能性があります。3区分・4通りの割合をすべて計算して、最も有利な区分を選んでください。
全区分の要件を一覧で
| 区分 | 共通要件 | 割合要件 |
|---|---|---|
| (Ⅰ)44単位 | 研修計画・会議・健康診断 | 介護福祉士60%以上、又は勤続10年以上の介護福祉士25%以上 |
| (Ⅱ)36単位 | 同上 | 介護福祉士40%以上、又は介護福祉士等60%以上 |
| (Ⅲ)12単位 | 同上 | 介護福祉士30%以上/介護福祉士等50%以上/勤続7年以上30%以上のいずれか |
届出後の維持が要点
- 職員名簿から、介護職員数・介護福祉士数・勤続年数・従業者総数を毎月集計する
- 3区分・複数ルートの割合を計算し、該当区分を確認する
- 研修計画の作成状況、会議の開催記録、健康診断の実施状況を並行して確認する
- 要件を満たさなくなる場合は速やかに都道府県知事へ届け出る
訪問入浴は職員数が多くない事業所も多く、1人の退職で割合が大きく動きます。算定できない月に算定してしまうと返還対象です。
介護予防訪問入浴介護でも算定できる
告示95号第101号が介護予防訪問入浴介護費におけるサービス提供体制強化加算の基準を定めており、要支援1・2の利用者でも算定できます。
よくある質問
3区分は同時に算定できますか?
できません。いずれかを算定している場合、その他の区分は算定できません。要件を満たす最も高い区分を選びます。
割合を満たしていれば算定できますか?
できません。全ての訪問入浴介護従業者への研修計画の作成、定期的な会議の開催、定期的な健康診断の実施が共通要件です。
非常勤職員も研修計画・健康診断の対象ですか?
条文は「全ての訪問入浴介護従業者」としています。常勤・非常勤の区別はありません。
(Ⅲ)の勤続7年ルートの母集団は何ですか?
訪問入浴介護従業者の総数です。介護職員に限定した他のルートとは母集団が異なります。
勤続年数はどう数えますか?
条文には年数の要件のみが定められています。算定方法(同一法人内の異動の扱い等)は保険者の解釈によることがあるため確認してください。
会議の頻度は決まっていますか?
「定期的に開催」としか定められていません。運用を決め、開催記録を残してください。
健康診断は年1回でよいですか?
「定期的に実施」と定められています。労働安全衛生法上の健康診断の実施状況とあわせて整理してください。
要支援の人にも算定できますか?
できます。介護予防訪問入浴介護費にもサービス提供体制強化加算が設けられています。
- 訪問入浴介護のサービス提供体制強化加算は(Ⅰ)44単位・(Ⅱ)36単位・(Ⅲ)12単位(1回につき)
- 3区分は同時に算定できない
- 共通要件は、全従業者への研修計画の作成、定期的な会議、定期的な健康診断
- (Ⅰ)は介護福祉士60%以上、又は勤続10年以上の介護福祉士25%以上
- (Ⅱ)は介護福祉士40%以上、又は介護福祉士等60%以上
- (Ⅲ)は介護福祉士30%以上/介護福祉士等50%以上/勤続7年以上30%以上のいずれか
- (Ⅲ)の勤続7年ルートだけ母集団が訪問入浴介護従業者の総数
- 職員の増減で割合が動くため、月次の確認が必要
- 介護予防訪問入浴介護でも算定できる
- 届出先は都道府県知事
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)別表 訪問入浴介護費のホ(サービス提供体制強化加算)(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第5号(訪問入浴介護費におけるサービス提供体制強化加算の基準)、第101号(介護予防訪問入浴介護費における同加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
- 指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第127号)別表 介護予防訪問入浴介護費(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および保険者・指定権者の解釈をご確認ください。割合の算定方法、勤続年数の数え方、会議・健康診断の頻度については確認をおすすめします。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。本文中の月額の試算は単位数を単純に乗じた概算であり、地域区分や端数処理により実際の請求額とは異なります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。



