訪問入浴介護の介護職員等処遇改善加算は、(Ⅰ)イ12.2%、(Ⅰ)ロ13.3%、(Ⅱ)イ11.6%、(Ⅱ)ロ12.7%、(Ⅲ)10.1%、(Ⅳ)8.5%。所定単位数に率を乗じて算定します。

訪問入浴の率は、訪問介護(最大28.7%)やグループホーム(最大22.8%)と比べると低めの水準です。理由は職員構成にあります。訪問入浴は看護職員1人+介護職員2人が基本の体制で、介護職員だけで回すサービスではないためです。

「イ」と「ロ」の差はこの加算特有の論点です。ロは、ケアプランデータ連携システムの利用、又は社会福祉連携推進法人への所属のいずれかが加わるだけ。それだけで(Ⅰ)は12.2%→13.3%になります。

この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)訪問入浴介護費のヘ、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第6号(第4号を準用)の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 訪問入浴介護の処遇改善加算の率(12.2%〜8.5%)
  • 率を乗じる対象が「イからホまでにより算定した単位数」であること
  • 「イ」と「ロ」の差がケアプランデータ連携システム又は連携推進法人への所属であること
  • サービス提供体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)に関する読み替え規定
  • 訪問介護・GHと比べて率が低い理由
  • 複数区分の同時算定はできないこと
  • 介護予防訪問入浴介護でも算定できること
ちびウルフちびウルフ

訪問介護は28.7%なのに、訪問入浴は12.2%。同じ訪問系なのに差がありすぎませんか?

リハウルフリハウルフ

率は「その報酬のうち介護職員の人件費が占める割合」を反映して決まります。訪問介護はほぼ全員が介護職員、訪問入浴は3人のうち1人が看護職員。加えて浴槽や車両などの設備コストも報酬に含まれています。だから率が下がる。低いから損、という話ではありません。

率は12.2%〜8.5%

区分
(Ⅰ)イ12.2%
(Ⅰ)ロ13.3%
(Ⅱ)イ11.6%
(Ⅱ)ロ12.7%
(Ⅲ)10.1%
(Ⅳ)8.5%

注のただし書きにより、複数区分の同時算定はできません。

率を乗じる対象は「イからホまで」

条文は「イからホまでにより算定した単位数」に率を乗じると定めています。

  • イ 訪問入浴介護費(1,266単位/回)
  • ロ 初回加算(200単位)
  • ハ 認知症専門ケア加算(3単位・4単位)
  • ニ 看取り連携体制加算(64単位)
  • ホ サービス提供体制強化加算(44・36・12単位)
加算を取るほど処遇改善加算も増える

たとえば1回の訪問で、基本報酬1,266単位+サービス提供体制強化加算(Ⅰ)44単位+看取り連携体制加算64単位=1,374単位。(Ⅰ)イ12.2%なら約168単位が上乗せされます。基本報酬のみの1,266単位なら約154単位。

他の加算を積むことが、そのまま処遇改善加算の額も押し上げます。(試算は単位数を単純に乗じた概算です)

なお、特別地域訪問入浴介護加算(15%)や中山間地域等の加算(10%・5%)、同一建物減算(90%・85%)などは「イの注」で所定単位数に対して増減するものです。処遇改善加算の計算基礎との関係は、請求ソフトの計算順序とあわせて保険者に確認してください。

「イ」と「ロ」の差は1項目だけ

基準(告示95号第6号が準用する第4号)では、(Ⅰ)ロは(Ⅰ)イの基準すべてに適合したうえで、次のいずれかに適合することとされています。

(一) ケアプランデータ連携システム(公益社団法人国民健康保険中央会が運用及び管理を行う、居宅サービス計画の情報の共有等のための情報処理システム)を利用していること。
(二) 社会福祉法第128条第1号イに規定する社会福祉連携推進法人に所属していること。

(Ⅱ)イと(Ⅱ)ロの差も同じ項目です。訪問入浴介護は居宅サービスなので、ケアプランデータ連携システムの利用は訪問介護等と同様に検討の余地があります。導入済みなら、上位区分への切り替えを検討してください。

訪問入浴特有の読み替え規定

告示95号第6号は、訪問介護の基準(第4号)を準用したうえで、次の読み替えを定めています。

同号イ(10)中「訪問介護費における特定事業所加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)のいずれか」とあるのは、「訪問入浴介護費におけるサービス提供体制強化加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)のいずれか」と読み替えるものとする。

訪問入浴には特定事業所加算がないため、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)が代わりに位置づけられています。上位区分(Ⅰ)イ・ロを狙うなら、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)の算定が関係してきます。2つを並べて検討してください。

(Ⅲ)(Ⅳ)は求められる基準が絞られる

区分基準の範囲(第4号の準用)
(Ⅰ)イ(1)から(10)までのすべて
(Ⅰ)ロ(Ⅰ)イの基準+データ連携システム又は連携推進法人
(Ⅱ)イ(1)から(9)まで
(Ⅱ)ロ(Ⅱ)イの基準+データ連携システム又は連携推進法人
(Ⅲ)(1)(一)及び(2)から(8)まで
(Ⅳ)(1)(一)、(2)から(6)まで、(7)(一)〜(四)及び(8)

介護予防訪問入浴介護でも算定できる

告示95号第102号が介護予防訪問入浴介護費における同加算の基準を定めており、同様に第4号を準用しています。読み替えも「介護予防訪問入浴介護費におけるサービス提供体制強化加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)」となります。

よくある質問

率は何に対して掛けるのですか?

「イからホまでにより算定した単位数」です。基本報酬に加え、初回加算・認知症専門ケア加算・看取り連携体制加算・サービス提供体制強化加算を含めた合計が対象になります。

「イ」と「ロ」は何が違うのですか?

ロは、ケアプランデータ連携システムの利用、又は社会福祉連携推進法人への所属のいずれかに適合することが加わります。その他の基準は同じです。

複数の区分を同時に算定できますか?

できません。いずれかを算定している場合、その他の区分は算定できません。

なぜ訪問介護より率が低いのですか?

率はサービスごとの人件費構成を反映して設定されています。訪問入浴は看護職員1人・介護職員2人の体制が基本で、介護職員のみで提供するサービスではないためと理解できます。

サービス提供体制強化加算と関係がありますか?

あります。基準の読み替えにより、訪問入浴介護費のサービス提供体制強化加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)が、上位区分の職場環境等要件の判断に関係します。

同一建物減算がある場合、処遇改善加算はどう計算しますか?

減算後の単位数を基礎とするかなど、計算順序は請求上の取扱いによります。保険者および請求ソフトの仕様を確認してください。

届出先はどこですか?

都道府県知事(指定都市・中核市はその市長)です。

要支援の人にも算定できますか?

できます。介護予防訪問入浴介護費にも同様の加算が設けられています。

まとめ
  • 訪問入浴介護の処遇改善加算は(Ⅰ)イ12.2%〜(Ⅳ)8.5%
  • 訪問介護やグループホームより率が低い。看護職員を含む体制と設備コストが理由と理解できる
  • 率を乗じる対象は「イからホまで」で算定した単位数の合計
  • 他の加算を算定するほど処遇改善加算の額も増える
  • 「イ」と「ロ」の差は、ケアプランデータ連携システムの利用又は社会福祉連携推進法人への所属
  • 読み替えにより、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)が上位区分の判断に関係する
  • (Ⅲ)(Ⅳ)は満たすべき基準の項目が絞られている
  • 複数区分の同時算定はできない
  • 介護予防訪問入浴介護でも算定できる
  • 届出先は都道府県知事
参考にした情報
  • 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)別表 訪問入浴介護費のヘ(介護職員等処遇改善加算)(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第6号(訪問入浴介護費における介護職員等処遇改善加算の基準)、第4号(訪問介護費における同加算の基準)、第102号(介護予防訪問入浴介護費における同加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
  • 社会福祉法(昭和26年法律第45号)第128条第1号イ(社会福祉連携推進法人)

※本記事の率・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文、厚生労働省が示す事務処理手順および保険者・指定権者の解釈をご確認ください。地域加算や同一建物減算がある場合の計算順序、ケアプランデータ連携システムの利用可否については別途確認が必要です。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。本文中の試算は単位数を単純に乗じた概算であり、地域区分や端数処理により実際の請求額とは異なります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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