通所介護(デイサービス)の加算は種類が多く、令和6年度改定での見直しに加えて令和8年(2026年)6月の期中改定で処遇改善加算の加算率まで変わったため、「いま正しい単位数はいくつなのか」を把握しづらくなっています。算定漏れは収益の機会損失に直結し、逆に要件を満たさない算定は返還リスクになります。

この記事では、デイサービスの基本報酬から各種加算・減算までを一覧表で整理し、生活相談員・機能訓練指導員・管理者が現場で使えるよう、要点とよくある疑問をまとめました。数値はすべて最新の改定内容に基づいています。

この記事でわかること
  • 通所介護の基本報酬(時間区分・規模別)の最新単位数
  • 入浴介助・個別機能訓練・ADL維持等など主要加算の一覧と単位数
  • LIFE関連加算・サービス提供体制強化加算の整理
  • 2026年6月以降の処遇改善加算の加算率(Ⅰロ・Ⅱロの新設)
  • 高齢者虐待防止・BCP未策定など見落としやすい減算

通所介護の基本報酬(令和6年度改定後)

まずは土台となる基本報酬です。通所介護費は「提供時間区分」×「事業所規模」×「要介護度」で決まります。令和6年度改定では全体的に微増となりました。代表的な区分を抜粋します(1日あたり・単位)。

7時間以上8時間未満の場合

要介護度通常規模大規模(Ⅰ)大規模(Ⅱ)
要介護1658629607
要介護2777744716
要介護3900861830
要介護41,023980946
要介護51,1481,0971,059

5時間以上6時間未満の場合

要介護度通常規模大規模(Ⅰ)大規模(Ⅱ)
要介護1570544525
要介護2673643620
要介護3777743715
要介護4880840812
要介護5984940907
ポイント 2時間以上3時間未満は「4時間以上5時間未満の70%」で算定します。8時間以上9時間未満の前後にさらに延長する場合は延長加算(9〜10時間+50単位、10〜11時間+100単位…と段階的に最大+250単位)が算定できます。
ちびウルフちびウルフ

大規模型って単位が低いけど、なんで?

リハウルフリハウルフ

規模が大きいほどスケールメリットが出るという考え方で、1人あたり単価は少し低めに設定されているんだ。ただし大規模型でも一定の要件を満たせば通常規模と同等の単位で算定できる特例があるから、自事業所の区分はしっかり確認しておこう。

主要加算の一覧(1日・1月あたり)

デイサービスで算定機会の多い加算を一覧にまとめます。要件の詳細は割愛し、単位数を中心に整理します。

加算名単位数算定単位
生活相談員配置等加算+131日
入浴介助加算(Ⅰ)+401日
入浴介助加算(Ⅱ)+551日
中重度者ケア体制加算+451日
認知症加算+601日
若年性認知症利用者受入加算+601日
個別機能訓練加算(Ⅰ)イ+561日
個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ+761日
個別機能訓練加算(Ⅱ)※LIFE+201月
ADL維持等加算(Ⅰ)+301月
ADL維持等加算(Ⅱ)+601月
ADL維持等加算(Ⅲ)+31月
生活機能向上連携加算(Ⅰ)+100(3月に1回限度)1月
生活機能向上連携加算(Ⅱ)+200(個別機能訓練加算算定時は+100)1月
栄養アセスメント加算+501月
栄養改善加算+200(月2回限度)1回
口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)+20(6月に1回限度)1回
口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ)+5(6月に1回限度)1回
口腔機能向上加算(Ⅰ)+150(月2回限度)1回
口腔機能向上加算(Ⅱ)※LIFE+160(月2回限度)1回
科学的介護推進体制加算※LIFE+401月
注意(令和6年度の見直し) 個別機能訓練加算(Ⅰ)ロは、令和6年度改定で85単位から76単位へ引き下げられました。一方で(Ⅰ)イ(+56単位)と(Ⅱ)(+20単位/LIFE)は据え置きです。古い資料の85単位のまま算定すると過誤請求になるため注意してください。

サービス提供体制強化加算

区分単位数
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)+22(1日)
サービス提供体制強化加算(Ⅱ)+18(1日)
サービス提供体制強化加算(Ⅲ)+6(1日)
ちびウルフちびウルフ

LIFEって書いてある加算は、データを出さないと取れないの?

リハウルフリハウルフ

そうだよ。科学的介護推進体制加算や個別機能訓練加算(Ⅱ)などは、LIFE(科学的介護情報システム)へのデータ提出とフィードバック活用が算定要件なんだ。提出が滞ると算定できなくなるから、運用体制をきちんと整えておく必要があるよ。

2026年6月以降の処遇改善加算(最新の加算率)

処遇改善関連は、令和6年6月に「介護職員等処遇改善加算」へ一本化されたあと、令和8年(2026年)6月の期中改定でさらに加算率が引き上げられ、加算ⅠとⅡに上乗せ区分「ロ」が新設されました。通所介護の加算率は次のとおりです(所定単位数に対する割合)。

区分加算率備考
処遇改善加算Ⅰイ11.1%旧加算Ⅰ相当
処遇改善加算Ⅰロ12.0%2026年6月新設(生産性向上等の要件あり)
処遇改善加算Ⅱイ10.9%旧加算Ⅱ相当
処遇改善加算Ⅱロ11.8%2026年6月新設(生産性向上等の要件あり)
処遇改善加算Ⅲ9.9%
処遇改善加算Ⅳ8.3%
ポイント 処遇改善加算の加算率はサービス種別ごとに異なります。上記は通所介護の率です。所定単位数(基本報酬+サービス提供体制強化加算などを含む)に加算率を掛けて算定し、得られた額はすべて職員の賃金改善に充てる必要があります。

見落としやすい減算

加算ばかりに目が向きがちですが、令和6年度改定で義務化された体制を満たさないと減算になる項目が増えました。算定の前提として必ず確認しましょう。

減算項目内容
定員超過利用基本報酬×70/100
人員基準欠如(看護・介護職員不足)基本報酬×70/100
送迎を行わない場合片道につき▲47単位
同一建物減算1日につき▲94単位
高齢者虐待防止措置未実施減算所定単位数の▲1%
業務継続計画(BCP)未策定減算所定単位数の▲1%
注意 高齢者虐待防止措置未実施減算とBCP未策定減算は、委員会・指針・研修・訓練などの体制が未整備だと、加算がいくらあっても所定単位数から1%ずつ差し引かれます。算定の土台が崩れないよう、まずは減算を回避する体制づくりが先決です。

機能訓練指導員・管理者のための算定戦略

限られた人員のなかで「どの加算を優先的に取りに行くか」は、事業所の方針と人員配置で変わります。考え方を整理します。

  1. まず減算(虐待防止・BCP・人員基準)をゼロにする体制を固める
  2. 毎日算定できる加算(入浴介助・個別機能訓練・サービス提供体制強化)で土台の単価を底上げする
  3. LIFE関連加算は提出運用が回るかを見極めてから着手する
  4. 口腔・栄養系加算は多職種連携で取りやすいものから段階的に拡大する
  5. 処遇改善加算は上位区分(Ⅰロ・Ⅱロ)の要件を確認し、計画的に取得を目指す
ちびウルフちびウルフ

加算をたくさん取れば取るほど良いってこと?

リハウルフリハウルフ

数だけが目的になると危険だよ。要件を満たす実態と記録が伴ってこその算定。実地指導で説明できない加算は、後から返還になることもある。利用者の自立支援につながる加算から、無理なく積み上げるのが王道だね。

重度者・認知症の受け入れで単価を上げる

要介護度の高い利用者や認知症の利用者を受け入れる体制を整えると、毎日算定できる加算で安定的に単価を底上げできます。代表的なのが中重度者ケア体制加算(+45単位/日)と認知症加算(+60単位/日)です。

ポイント 中重度者ケア体制加算は、看護職員の配置や要介護3以上の利用者割合などの要件を満たし、中重度の利用者でも在宅生活を継続できる体制を評価するものです。認知症加算は、認知症高齢者への専門的なケア体制と職員配置が要件で、両加算は要件を満たせば併算定も可能です。

これらは「特定の利用者だけ」ではなく、体制を満たした事業所の該当利用者全員に毎日算定できるため、積み重なると経営インパクトが大きくなります。受け入れ方針と人員配置をセットで検討しましょう。

ちびウルフちびウルフ

うちは軽度の利用者が多いんだけど、それでも取れる加算はある?

リハウルフリハウルフ

もちろん。個別機能訓練加算やADL維持等加算、口腔・栄養系は要介護度に関わらず取り組めるよ。利用者像に合わせて「自事業所で無理なく続けられる加算」を選ぶのが大事なんだ。

よくある質問(FAQ)

入浴介助加算(Ⅰ)と(Ⅱ)はどう違いますか?
(Ⅰ)は入浴介助を適切に行う体制(+40単位)、(Ⅱ)は医師等が利用者宅を訪問して環境を評価し、自宅での入浴自立を目指す個別計画に基づく場合(+55単位)です。(Ⅱ)は(Ⅰ)より要件が厳しい分、単位も高く設定されています。
個別機能訓練加算(Ⅰ)ロの単位はいくつですか?
令和6年度改定後は+76単位(1日)です。改定前の85単位から引き下げられているため、最新の単位で算定してください。
処遇改善加算の率は全サービス共通ですか?
いいえ、サービス種別ごとに異なります。通所介護は2026年6月以降、Ⅰイ11.1%・Ⅰロ12.0%などです。特養や訪問系とは率が違うので、自事業所の種別で確認しましょう。
LIFEへのデータ提出が遅れたらどうなりますか?
原則として算定要件を満たさなくなり、該当加算が算定できなくなります。猶予期間が認められる場合もあるため、提出スケジュールを管理し、運営主体の移行作業などの最新通知も確認してください。
送迎をしないと必ず減算ですか?
利用者側の希望や事情で送迎を行わなかった場合、片道につき▲47単位の減算対象です。利用者が自力・家族送迎で通う場合も該当するため、運用ルールを明確にしておきましょう。
まとめ
  • 通所介護の基本報酬は令和6年度改定で全体的に微増(時間区分×規模×要介護度で決定)
  • 主要加算は入浴介助・個別機能訓練・ADL維持等・口腔栄養系・LIFE関連が中心
  • 個別機能訓練加算(Ⅰ)ロは76単位へ引き下げ済み。古い単位に注意
  • 処遇改善加算は2026年6月改定でⅠイ11.1%〜と引き上げ、Ⅰロ・Ⅱロが新設
  • 虐待防止・BCP未策定は所定単位数▲1%の減算。まず減算回避の体制づくりを優先

出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定」「令和8年度介護報酬改定について」(老発0313第6号 令和8年3月13日)等。単位数・要件は告示・留意事項通知が正本です。地域区分により1単位あたりの単価は異なります。

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リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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