通所介護の個別機能訓練加算とは|単位数・算定要件を解説【令和6年度】
通所介護(デイサービス)で個別機能訓練加算の算定を検討しているものの、「(Ⅰ)イ・ロ・(Ⅱ)の違いがわかりにくい」「機能訓練指導員を何人配置すればいいの?」「令和6年度の改定で何が変わった?」と迷っていませんか。算定要件を正しく押さえないと、せっかく体制を整えても返戻や指導の対象になりかねません。
この記事では、令和6年度(2024年度)介護報酬改定に対応した通所介護の個別機能訓練加算について、単位数・算定要件・人員配置・算定の流れを、現場の専門職にも管理者にもわかるように整理しました。厚生労働省の通知・Q&Aをふまえた正確な内容で解説しますので、これから算定を始めたい事業所も、すでに算定していて要件を再確認したい事業所も、ぜひ参考にしてください。
- 通所介護の個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロ・(Ⅱ)の最新単位数
- (Ⅰ)イ・ロの機能訓練指導員の配置の違いと令和6年度の改定点
- 居宅訪問から計画作成・評価までの算定の流れ
- 算定でつまずきやすいポイントとよくある質問
通所介護の個別機能訓練加算とは
個別機能訓練加算とは、機能訓練指導員が利用者一人ひとりの目標に沿って個別に機能訓練を実施した場合に算定できる加算です。単に身体機能を高めるだけでなく、「自宅のトイレに一人で行ける」「買い物に行ける」といった生活行為(活動・参加)の達成を目的とする点が大きな特徴です。
ちびウルフ個別機能訓練って、ただ筋トレをすればいいわけじゃないの?
リハウルフそう、筋力アップそのものが目的じゃないんだ。「その人が生活の中で何をできるようになりたいか」を起点に、居宅訪問でニーズをつかんで計画を立てるのがポイントだよ。
個別機能訓練加算の単位数【令和6年度・通所介護】
通所介護における個別機能訓練加算の単位数は次のとおりです。
| 区分 | 単位数 | 算定単位 |
|---|---|---|
| 個別機能訓練加算(Ⅰ)イ | 56単位 | 1日につき |
| 個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ | 76単位 | 1日につき |
| 個別機能訓練加算(Ⅱ) | 20単位 | 1月につき |
(Ⅰ)イと(Ⅰ)ロは併算定できません。どちらか一方を算定します。(Ⅱ)は(Ⅰ)イまたはロを算定していることが前提で、(Ⅰ)に上乗せして算定する加算です。
(Ⅰ)イ・ロの違いは「機能訓練指導員の配置」
(Ⅰ)イと(Ⅰ)ロの最大の違いは、機能訓練指導員の配置人数です。
| (Ⅰ)イ | (Ⅰ)ロ | |
|---|---|---|
| 単位数 | 56単位/日 | 76単位/日 |
| 機能訓練指導員の配置 | 専従1名以上(配置時間の定めなし) | 専従2名以上(配置時間の定めなし) |
| 算定できる時間帯 | 配置している日 | 2名以上を配置している時間帯のみ |
(Ⅰ)ロは、(Ⅰ)イの要件である専従1名にさらに専従1名を加えて、合計2名以上を配置する必要があります。厚生労働省のQ&Aでも、ロは「同時に2名以上の理学療法士等を配置する」ことが必要と明記されています。
令和6年度改定での変更点
令和6年度介護報酬改定では、(Ⅰ)ロの機能訓練指導員について「サービス提供時間帯を通じて配置」という時間要件が撤廃され、「配置時間の定めなし」に緩和されました。あわせて個別機能訓練計画書の様式も一部見直され、合併症欄がチェック形式になり、前回の短期目標に対する達成度(達成・一部・未達)を記載する形に変更されています。
機能訓練指導員になれる職種
機能訓練指導員として認められるのは、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、看護師、准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師(一定の実務経験が必要)です。なお、これらの職員は自事業所に配置する必要があり、外部機関との連携による確保は認められません。
個別機能訓練加算(Ⅱ)はLIFEの活用が要件
個別機能訓練加算(Ⅱ)は、科学的介護を推進するための加算です。(Ⅰ)を算定したうえで、個別機能訓練計画書の内容などの情報をLIFE(科学的介護情報システム)へ提出し、フィードバックを訓練の改善に活用することが求められます。データを提出するだけでなく、PDCAサイクルを回して機能訓練の質向上につなげることが算定の趣旨です。
ちびウルフ(Ⅱ)だけを単独で算定することはできるの?
リハウルフできないよ。(Ⅱ)は必ず(Ⅰ)イかロとセットで算定する加算なんだ。LIFEへの提出が滞ると算定要件を満たさなくなるから、提出スケジュールの管理も大事だね。
個別機能訓練加算の算定の流れ
算定開始から実施・評価までの基本的な流れは次のとおりです。
- 居宅訪問でニーズ把握:利用者の自宅を訪問し、生活機能チェックシート(必須)でADL・IADLや住環境を確認します。興味・関心チェックシートで意欲や希望も把握します。
- 多職種共同でアセスメント・計画作成:居宅サービス計画・通所介護計画と整合させ、長期目標・短期目標を段階的に設定した個別機能訓練計画書を作成します。
- 説明・同意・交付:利用者・家族へ計画を説明して同意を得て、担当ケアマネジャーへ報告します。
- 機能訓練の実施:類似の目標を持つ5人程度以下の小集団(個別対応含む)に対し、機能訓練指導員が直接実施し、記録を残します。
- 3か月ごとの評価・見直し:3か月に1回以上、居宅を訪問して生活状況(起居動作・ADL・IADL等)と効果を評価し、必要に応じて目標や計画を見直します。
専門職が押さえたい計画書作成のコツ
PT・OT・STなど計画を立てる立場では、目標を「機能」だけで終わらせないことが重要です。たとえば長期目標が「スーパーへ買い物に行く」なら、〈機能〉下肢筋力・耐久性の向上、〈活動〉店まで歩いて行ける、〈参加〉家族と外出を楽しめる、というように機能・活動・参加の3つの視点で短期目標に落とし込むと、計画に一貫性が生まれます。
ケアマネジャーや生活相談員の立場では、居宅サービス計画と個別機能訓練計画の整合性、利用者・家族への説明同意の記録、3か月ごとの報告が運営指導でも確認されるポイントになります。看護師・介護職員も、訓練中の体調変化や実施記録の共有で多職種連携を支えます。
よくある質問(FAQ)
機能訓練の実施時間に決まりはありますか?
機能訓練指導員が休みの日は算定できますか?
外出して行う機能訓練は認められますか?
(Ⅰ)ロを算定中、1名しか配置できない日が出たらどうなりますか?
算定で注意したい減算・運営指導のポイント
個別機能訓練加算を算定するうえで見落としやすいのが、他の減算との関係です。人員欠如減算や定員超過減算を算定している場合は、個別機能訓練加算を算定できません。基準を満たせていない月の請求には特に注意しましょう。
また、運営指導(実地指導)では、次の書類が確認の対象になりやすいポイントです。算定根拠を説明できるよう、日頃から記録を整えておくことが大切です。
- 居宅訪問の記録と生活機能チェックシート(初回・3か月ごと)
- 個別機能訓練計画書、利用者・家族の同意とケアマネジャーへの交付記録
- 機能訓練の実施記録(実施者・内容・時間)
- 3か月ごとの評価と計画見直しの記録
- 通所介護の個別機能訓練加算は(Ⅰ)イ56単位/日、(Ⅰ)ロ76単位/日、(Ⅱ)20単位/月。
- (Ⅰ)イは専従1名以上、(Ⅰ)ロは専従2名以上。令和6年度改定で「配置時間の定めなし」に緩和された。
- (Ⅰ)ロは2名配置の時間帯のみ算定でき、1名の日は(Ⅰ)イで算定する。
- (Ⅱ)は(Ⅰ)を前提にLIFEへの提出とフィードバック活用が必須。
- 居宅訪問・生活機能チェックシート・3か月ごとの評価が算定の柱となる。
出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)」、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定」関係告示・通知。数値・要件は算定前に必ず最新の一次情報および所管自治体の運用をご確認ください。
