介護医療院の若年性認知症患者受入加算とは?

介護医療院の若年性認知症患者受入加算は、1日につき120単位です。要件は受け入れた患者ごとに個別の担当者を定めていることだけで、研修も人員配置基準の上乗せもありません。
注意点は2つ。認知症行動・心理症状緊急対応加算(ラ)を算定している場合は算定できないこと、そして対象が介護保険法施行令第2条第6号に規定する「初老期における認知症」によって要介護者となった入院患者であることです。
この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)介護医療院サービスの注11、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第64号の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 若年性認知症患者受入加算の単位数(120単位/日)
- 要件が「個別の担当者を定めていること」だけであること
- 条文が「入院患者」という言葉を使っていること
- 認知症行動・心理症状緊急対応加算とは併算定できないこと
- 1日120単位=月3,600単位というインパクト
- 他サービスの同名加算との違い
ちびウルフ条文に「入院患者」と書いてあるんですね。入所者ではなく?
リハウルフ条文の文言は「初老期における認知症によって要介護者となった入院患者」です。介護医療院が療養病床から転換した施設であることの名残だと考えられます。実務上は介護医療院の入所者を指しますが、条文を読むときは戸惑う部分です。
介護医療院の若年性認知症患者受入加算とは?
介護医療院の若年性認知症患者受入加算は、65歳未満で認知症を発症した人を受け入れ、その人専任の担当者を決めて個別に支援していることを評価する加算です。
若年性認知症の人は、体力があり、就労や子育ての途中で発症するケースも少なくありません。高齢の入所者と同じ生活リズムやプログラムでは合わず、本人も居場所を感じにくい。だからこそ、担当者を決めて個別に組み立てることが要件になっています。
介護医療院は医療的な管理が必要な人を受け入れる施設です。若年性認知症で身体合併症を持つ人が、医療も含めて生活できる場としての受け皿になり得ます。
若年性認知症患者受入加算の単位数
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位数 | 1日につき120単位 |
| 1月の目安(30日) | 3,600単位 |
| 届出 | 必要(都道府県知事) |
| 併算定不可 | 認知症行動・心理症状緊急対応加算(ラ) |
要件が軽い一方で単位数は大きく、算定漏れの影響が出やすい加算です。
若年性認知症患者受入加算の算定要件
別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして(略)都道府県知事に対し届出を行った介護医療院において、若年性認知症患者(介護保険法施行令第2条第6号に規定する初老期における認知症によって要介護者となった入院患者をいう。)に対して介護医療院サービスを行った場合は、若年性認知症患者受入加算として、1日につき120単位を所定単位数に加算する。ただし、ラを算定している場合は、算定しない。
施設側の要件
受け入れた若年性認知症入所者ごとに個別の担当者を定めていること。(厚生労働大臣が定める基準 第64号)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 要件 | 患者ごとに個別の担当者を定めていること |
| 担当者の資格 | 条文上の定めなし |
| 研修要件 | なし |
| 人員配置の上乗せ | なし |
担当者に資格や研修修了の要件はありません。ただし「定めている」ことを示せる必要があるため、担当者名を記載した記録(ケア計画、担当表など)を整備してください。
対象者は「初老期における認知症」による要介護者
介護保険法施行令第2条第6号は、第2号被保険者の特定疾病のひとつとして「初老期における認知症」を挙げています。40歳以上65歳未満で認知症により要介護となった人が典型例です。
若年性認知症患者受入加算の注意点
注11のただし書きに「ラを算定している場合は、算定しない」とあります。ラは認知症行動・心理症状緊急対応加算(1日200単位、入所日から7日限度)です。
| 期間 | 算定できる加算 |
|---|---|
| 緊急受入れから7日以内 | 認知症行動・心理症状緊急対応加算 200単位/日(若年性認知症患者受入加算は算定不可) |
| 8日目以降 | 要件を満たせば若年性認知症患者受入加算 120単位/日 |
単位数は200単位>120単位なので、重なる期間は緊急対応加算のほうが有利です。8日目以降の切り替えを忘れないでください。
65歳到達後の扱い
条文は「初老期における認知症によって要介護者となった入院患者」と定めており、年齢の上限を明示していません。65歳になった後も算定を継続できるかどうかは、都道府県の解釈が分かれる論点です。
該当者を受け入れる時点で確認し、回答を記録に残しておくことをおすすめします。
他サービスの同名加算との比較
| サービス | 加算名 | 単位数 |
|---|---|---|
| 介護医療院 | 若年性認知症患者受入加算 | 120単位/日 |
| 特養・老健 | 若年性認知症入所者受入加算 | 120単位/日 |
| グループホーム | 若年性認知症利用者受入加算 | 120単位/日 |
| 通所リハビリ | 若年性認知症利用者受入加算 | 60単位/日 |
介護医療院だけ「患者」という語が使われています。要件(個別の担当者を定めること)は共通です。
特別介護医療院サービス費との関係
注16が列挙する「算定しない加算」は、加算の記号(チ、ヌ、ワ〜ヨ、レ、ソ、ウ〜オ)で指定されています。若年性認知症患者受入加算は「注11」に置かれた加算のため、この列挙には含まれていません。請求上の取扱いは都道府県に確認してください。
若年性認知症患者受入加算のQ&A
担当者に資格は必要ですか?
条文上の資格要件はありません。患者ごとに個別の担当者を定めていることが要件です。
認知症行動・心理症状緊急対応加算と両方算定できますか?
できません。注11のただし書きにより、ラ(緊急対応加算)を算定している場合は算定できません。
65歳になったら算定できなくなりますか?
条文に年齢上限の明示はありませんが、取扱いは都道府県の判断が分かれる論点です。確認して記録を残してください。
「入院患者」とはどういう意味ですか?
条文の文言です。介護医療院が療養病床から転換した施設であることの名残と考えられます。実務上は介護医療院の入所者を指します。
認知症専門ケア加算と併算定できますか?
条文に併算定を禁じる規定はありません。それぞれの要件を満たせば算定できると読めますが、確認をおすすめします。
届出は必要ですか?
必要です。都道府県知事に対して届出を行います。
担当者は1人で複数の患者を担当できますか?
条文は「患者ごとに個別の担当者を定めている」ことを求めています。運用上の可否は都道府県に確認してください。
他の施設と単位数は同じですか?
特養・老健・グループホームは同じ120単位/日です。通所リハビリは60単位/日など、サービスにより異なります。
- 若年性認知症患者受入加算は1日120単位
- 要件は「受け入れた患者ごとに個別の担当者を定めていること」のみ
- 担当者の資格要件や研修要件は条文にない
- 対象は介護保険法施行令第2条第6号の「初老期における認知症」により要介護者となった人
- 条文は「入院患者」という語を使っている
- 認知症行動・心理症状緊急対応加算(ラ)を算定している場合は算定できない
- 重なる期間は200単位の緊急対応加算が有利、8日目以降に切り替える
- 65歳到達後の取扱いは都道府県への確認が必要
- 1日120単位=月3,600単位。算定漏れの影響が大きい
- 届出先は都道府県知事
- 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)別表 介護医療院サービスの注11、ラ(認知症行動・心理症状緊急対応加算)、注16(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第64号(若年性認知症入所者受入加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
- 介護保険法施行令(平成10年政令第412号)第2条第6号(初老期における認知症)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および政令にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および都道府県・保険者の解釈をご確認ください。とくに65歳到達後の取扱い、担当者の兼務の可否、特別介護医療院サービス費を算定している場合の取扱いについては指定権者に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




