介護医療院の初期加算は、入所した日から起算して30日以内の期間について、1日30単位を算定します。要件は「入所したこと」だけで、体制の届出も研修も条文上は求められていません。

ただし介護医療院には、他の施設にはない制限があります。特別介護医療院サービス費(ハ)またはユニット型特別介護医療院サービス費(ヘ)を算定している場合、初期加算は算定できません。注16に列挙された「算定しない加算」に含まれているためです。

この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)介護医療院サービスのト、注16の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 初期加算の単位数(30単位/日)と算定期間
  • 体制の届出が条文上求められていないこと
  • 特別介護医療院サービス費では算定できないこと
  • 老健の初期加算(Ⅰ)(Ⅱ)との違い
  • 外泊・他科受診で日数がどう扱われるか
  • 再入所した場合の考え方
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老健と同じ初期加算ですよね?

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違います。老健は令和6年度改定で(Ⅰ)60単位・(Ⅱ)30単位の2区分になりましたが、介護医療院は30単位の1区分のままです。在宅復帰を担う老健と、長期療養の場である介護医療院とで、役割が違うためと理解できます。

介護医療院の初期加算とは?

介護医療院の初期加算は、入所してまもない時期に必要になる手間を評価する加算です。新しい環境への適応を支え、生活歴や医療的な情報を把握し、ケアと医療の方針を組み立てる期間を対象にしています。

介護医療院に入所する人は、医療的なケアが継続的に必要な状態にあります。入所直後は、前医からの情報を整理し、投薬や処置の内容を確認し、本人の反応を見ながら日々の手順を固めていく時期です。加算はその立ち上げにかかる負担を見ています。

他の加算と違い、届出も体制要件も条文にありません。入所した事実があれば算定できるため、算定漏れがそのまま損失になります。

初期加算の単位数

入所した日から起算して30日以内の期間については、初期加算として、1日につき所定単位数を加算する。

項目内容
単位数1日につき30単位
期間入所した日から起算して30日以内
最大30日分=900単位
届出条文上の定めなし

初期加算の算定要件

条文が求めているのは入所した日から30日以内であることだけです。体制要件や職種の関与、計画の作成といった要件はありません。

  • 起算点は入所した日(契約日ではない)
  • 30日を超えた日からは算定できない
  • 月をまたぐ場合は、それぞれの月の請求に日数分を計上する
記録として残すのは入退所日

算定根拠になるのは入退所台帳です。入所日と、そこから30日目にあたる日付を最初に確定させておけば、月をまたぐ場合の請求漏れを防げます。介護医療院は在所期間が長いぶん、入退所そのものの頻度は高くありません。だからこそ手順が定着しづらく、久しぶりの入所で落とすことがあります。(運用に関する記述は筆者の実務経験にもとづく整理です)

初期加算の注意点|特別介護医療院サービス費では算定できない

介護医療院サービスの注16は、次のように定めています。

ハ(1)若しくは(2)又はヘ(1)若しくは(2)を算定している介護医療院については、チからヌまで、ワからヨまで、レ、ソ及びウからオまでは算定しない。

ハは特別介護医療院サービス費、ヘはユニット型特別介護医療院サービス費です。これらを算定している場合、初期加算(ト)を含む多くの加算が算定できません。

基本報酬初期加算
Ⅰ型・Ⅱ型介護医療院サービス費算定できる
ユニット型Ⅰ型・Ⅱ型介護医療院サービス費算定できる
特別介護医療院サービス費(ハ)算定できない
ユニット型特別介護医療院サービス費(ヘ)算定できない

特別介護医療院サービス費は、人員基準を満たさない場合などに算定する区分です。基本報酬が低く設定されているうえ、加算も広く制限されるという構造になっています。

老健の初期加算との違い

施設区分単位数
介護医療院区分なし30単位/日
老健初期加算(Ⅰ)60単位/日(急性期病院の一般病棟を30日以内に退院して入所+空床情報の共有体制)
老健初期加算(Ⅱ)30単位/日(従来の初期加算)

老健の(Ⅰ)は、急性期からの受け入れを促す趣旨で令和6年度改定に新設されたものです。介護医療院にはこの区分がなく、30単位の1本です。他施設の資料を流用すると、存在しない区分を探すことになります。

外泊・他科受診の日はどう扱うか

介護医療院には、外泊時費用(1月6日を限度に1日362単位)、試行的退所時の費用(同800単位)、他科受診時の費用(1月4日を限度に1日362単位)という規定があります。いずれも「所定単位数に代えて」算定するものです。

これらを算定した日に初期加算を算定できるかは、条文に明示がありません。入所30日以内に外泊が発生するケースは多くありませんが、該当した場合は都道府県・保険者に確認してください。

初期加算のQ&A

届出は必要ですか?

条文上、体制の届出は求められていません。入所した日から30日以内の期間について算定します。

起算日は契約日ですか、入所日ですか?

「入所した日」から起算します。

特別介護医療院サービス費でも算定できますか?

できません。注16により、特別介護医療院サービス費・ユニット型特別介護医療院サービス費を算定している場合は初期加算を算定できません。

老健と同じ60単位は算定できますか?

できません。介護医療院の初期加算は30単位の1区分のみです。(Ⅰ)60単位は老健に設けられた区分です。

月をまたぐ場合はどう請求しますか?

入所日から30日以内の日数分を、それぞれの月の請求に計上します。

入院して戻った場合はどうなりますか?

介護医療院サービスの初期加算の注には、老健のような再入所に関する明示的な規定がありません。取扱いは都道府県・保険者に確認してください。

外泊した日も算定できますか?

外泊時費用は「所定単位数に代えて」算定するものです。初期加算との関係は条文に明示がないため、保険者に確認してください。

短期入所療養介護の利用者にも算定できますか?

この加算は介護医療院サービス(入所)に係る加算です。短期入所療養介護には別の報酬体系が適用されます。

まとめ
  • 介護医療院の初期加算は1日30単位、入所日から30日以内が対象
  • 30日フルで算定すると900単位
  • 条文上、体制要件や届出の定めはない
  • 起算点は契約日ではなく「入所した日」
  • 特別介護医療院サービス費・ユニット型特別介護医療院サービス費では算定できない
  • 老健と違い(Ⅰ)60単位の区分はなく、30単位の1本
  • 入退所台帳が算定の根拠資料になる
  • 外泊・他科受診の日の扱いは条文に明示がなく、保険者への確認が必要
参考にした情報
  • 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)別表 指定施設サービス等介護給付費単位数表「介護医療院サービス」のト(初期加算)、注12〜注16(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
  • 同 別表 介護保健施設サービスのニ(初期加算)(比較のため)(全国老人保健施設協会 法令等データベース)

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および都道府県・保険者の解釈をご確認ください。再入所した場合の取扱い、外泊・他科受診の日における算定の可否については条文に明示がないため、指定権者に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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