介護医療院の科学的介護推進体制加算は、(Ⅰ)40単位/月、(Ⅱ)60単位/月です。入所者の状態をLIFEへ提出し、フィードバックを活用してケアを見直すことを評価します。

(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは提出する情報の範囲です。(Ⅱ)では、ADL・栄養・口腔・認知症の状況に加えて「疾病、服薬の状況等」の情報を提出します。

介護医療院は医師が常勤し、投薬管理も施設内で行っています。疾病と服薬の情報を出せる体制が、他の施設より整っている施設類型だといえます。

この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)介護医療院サービスのノ、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第92号の3の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 科学的介護推進体制加算(Ⅰ)40単位・(Ⅱ)60単位という単位数
  • (Ⅱ)で追加される「疾病、服薬の状況等」の提出
  • 提出するだけでは要件を満たさないこと
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できないこと
  • GHには(Ⅱ)の区分がないこと
  • 他のLIFE関連加算との関係
ちびウルフちびウルフ

(Ⅱ)のほうが20単位高いだけなら、(Ⅰ)でいいのでは?

リハウルフリハウルフ

100床なら月2,000単位の差です。介護医療院は疾病名も処方も施設内のカルテにあるので、追加で集めにいく情報がほとんどありません。在宅系や他施設と違い、(Ⅱ)のハードルが構造的に低い。取れる位置にいるなら(Ⅱ)を目指す価値があります。

介護医療院の科学的介護推進体制加算とは?

介護医療院の科学的介護推進体制加算は、入所者の心身の状況等をデータとして厚生労働省(LIFE)へ提出し、返ってくるフィードバックをケアの見直しに使うことを評価する加算です。

介護の判断は、長らく職員の経験と勘に頼ってきました。同じ状態の人に、施設が違えば違うケアが提供される。その差が良いのか悪いのかを検証する手段がなかったのです。

LIFEは、その検証を可能にするための仕組みです。全国のデータと突き合わせることで、自施設のケアの位置を知る。この加算は、そのサイクルを回している施設を評価しています。

科学的介護推進体制加算の単位数

区分単位数提出する情報
科学的介護推進体制加算(Ⅰ)40単位/月ADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況その他の心身の状況等
科学的介護推進体制加算(Ⅱ)60単位/月(Ⅰ)に加えて疾病、服薬の状況等

注のただし書きにより、(Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できません。

サービス区分
介護医療院(Ⅰ)40単位・(Ⅱ)60単位
老健(Ⅰ)40単位・(Ⅱ)60単位
特養(Ⅰ)40単位・(Ⅱ)50単位
グループホーム40単位のみ(区分なし)

科学的介護推進体制加算の算定要件

(Ⅰ)の2要件

(1) 入所者ごとのADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況その他の入所者の心身の状況等に係る基本的な情報を、厚生労働省に提出していること。
(2) 必要に応じて施設サービス計画を見直すなど、サービスの提供に当たって、(1)に規定する情報その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること。

(Ⅱ)の追加要件

(1) イ(1)に加えて、入所者ごとの疾病、服薬の状況等の情報を、厚生労働省に提出していること。
(2) 必要に応じて施設サービス計画を見直すなど、サービスの提供に当たって、イ(1)に規定する情報、(1)に規定する情報その他必要な情報を活用していること。

科学的介護推進体制加算の注意点

提出するだけでは算定対象にならない

要件は2つで構成されており、(2)の「活用」が独立した要件です。

データを送信して終わり、フィードバック票を開いていない、という運用では要件を満たしていると説明できません。

示し方としては、フィードバックを確認した記録、カンファレンスで検討した記録、その結果を施設サービス計画に反映した記録(変更なしと判断した場合はその理由)を残す形が現実的です。(記録の考え方は筆者の実務経験にもとづく整理です)

介護医療院は(Ⅱ)を取りやすい

(Ⅱ)で追加されるのは疾病と服薬の状況です。介護医療院には医師が常勤し、診療録も処方も施設内で完結しています。他サービスのように外部の医療機関へ情報を照会する必要がありません。

20単位の差は、100床なら月2,000単位。入力の手間と比べて検討する価値があります。

他のLIFE関連加算との重なり

加算LIFEへ提出する内容
科学的介護推進体制加算ADL・栄養・口腔・認知症の状況等((Ⅱ)は疾病・服薬も)
栄養マネジメント強化加算入所者ごとの栄養状態等
口腔衛生管理加算(Ⅱ)口腔衛生等の管理に係る情報
排せつ支援加算要介護状態の軽減の見込みの評価結果等
自立支援促進加算自立支援に係る医学的評価の結果等

介護医療院ではLIFE提出を求める加算が複数あります。入力担当者に負担が集中しやすいため、評価の機会をまとめる設計にしておくと実務が回りやすくなります。

特別介護医療院サービス費では算定できない

注16により、特別介護医療院サービス費・ユニット型特別介護医療院サービス費を算定している場合は算定できません(ノはその範囲に含まれます)。

科学的介護推進体制加算のQ&A

(Ⅰ)と(Ⅱ)は両方算定できますか?

できません。いずれか一方のみです。

(Ⅱ)で追加されるのは何ですか?

入所者ごとの疾病、服薬の状況等の情報です。単位数は20単位高くなります。

提出するだけで算定できますか?

できません。必要に応じて施設サービス計画を見直すなど、情報を活用していることが独立した要件です。

提出する頻度は決まっていますか?

告示に頻度の数値はありません。LIFEの仕様と都道府県の案内を確認してください。

計画を見直さなかった月は算定できませんか?

要件は「必要に応じて」見直すことです。見直しが不要と判断した場合も、検討した記録を残すことをおすすめします。

特養と単位数が違うのはなぜですか?

特養は(Ⅱ)が50単位、介護医療院と老健は60単位です。サービスごとに設定が異なります。

他のLIFE関連加算と併算定できますか?

栄養マネジメント強化加算や排せつ支援加算などとの併算定を禁じる規定は、この加算の条文にはありません。各加算の要件を個別に確認してください。

届出は必要ですか?

必要です。都道府県知事に対して届出を行います。

まとめ
  • 科学的介護推進体制加算は(Ⅰ)40単位/月、(Ⅱ)60単位/月
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できない
  • 提出する情報はADL値・栄養状態・口腔機能・認知症の状況その他の心身の状況等
  • (Ⅱ)は疾病、服薬の状況等の情報が追加される
  • 提出だけでなく「活用」が独立した要件
  • 特養は(Ⅱ)50単位、GHは区分なしの40単位
  • 介護医療院は医師が常勤しており、(Ⅱ)の情報を出しやすい
  • 他のLIFE関連加算と評価の機会をまとめると実務が回りやすい
  • 特別介護医療院サービス費では算定できない
参考にした情報
  • 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)別表 介護医療院サービスのノ(科学的介護推進体制加算)、注16(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第92号の3(介護保健施設サービス及び介護医療院サービスにおける科学的介護推進体制加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
  • 同 第71号の5(介護福祉施設サービス等における同加算の基準・単位数比較のため)(厚生労働省法令等データベース)

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および都道府県・保険者の解釈をご確認ください。提出の対象範囲、様式、提出頻度についてはLIFEの最新の仕様および都道府県の案内を確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。本文中の月額の試算は単位数を単純に乗じた概算です。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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