若年性認知症利用者受入加算とは?通所介護の単位数と要件【令和6年度】
「若年性認知症の利用者を受け入れたけれど、加算はいくら算定できる?」「認知症加算とは一緒に取れるの?」「65歳になったら算定はどうなる?」——働き盛りの年代で発症する若年性認知症の方を支える事業所にとって、若年性認知症利用者受入加算は専門性と収益の両面で重要な加算です。一方で、対象者の判断や他加算との関係でつまずく事業所も少なくありません。
この記事では、令和6年度(2024年度)介護報酬改定をふまえた若年性認知症利用者受入加算の単位数・算定要件を、通所介護(デイサービス)を主軸に、サービス種別ごとの単位数一覧や「個別の担当者」の考え方、認知症加算との併算定の可否まで、実務目線でわかりやすく解説します。
- 若年性認知症利用者受入加算の対象者と、通所介護の単位数(60単位/日)
- 通所・短期入所・施設などサービス種別ごとの単位数一覧
- 算定のカギになる「個別の担当者」の要件と、よくある誤解
- 認知症加算・認知症行動・心理症状緊急対応加算と併算定できない理由
- 65歳到達時の取り扱い、現場でよくある質問(FAQ)
若年性認知症利用者受入加算とは?まず結論から
若年性認知症利用者受入加算とは、65歳未満で発症した認知症(若年性認知症)の利用者を受け入れ、その特性やニーズに応じた専門的なサービスを提供する事業所を評価する加算です。通所介護では1日につき60単位を、対象となる利用者がサービスを利用した日に算定します。
若年性認知症の方は、高齢で発症する認知症の方とは異なる特徴があります。体力があり活動的なことが多く、仕事や家庭での役割を担っていた方も少なくありません。そのため、一般的な高齢者向けプログラムでは合わないことも多く、同世代との交流や役割の維持、家族支援など個別性の高いケアが求められます。この加算は、そうした専門的な取り組みを行う事業所を後押しする仕組みです。
ちびウルフ「若年性認知症」って、何歳くらいの人が対象なんですか?
リハウルフ介護保険の制度上は、65歳未満で発症した認知症のことを指すんだ。40歳以上65歳未満で要介護認定を受けている方が、この加算の対象になるよ。
対象者の要件|40歳以上65歳未満で発症した認知症
若年性認知症利用者受入加算の対象者は、次の要件を満たす方です。
- 65歳未満で発症した認知症(初老期における認知症を含む若年性認知症)であること
- 医師による若年性認知症の診断があること
- 要介護認定を受けていること(介護保険の対象であること)
40歳以上65歳未満の方は、介護保険の第2号被保険者として「初老期における認知症」などの特定疾病により要介護認定を受けることができます。この対象者を受け入れ、専門的なサービスを提供することが算定の前提です。
65歳に到達したらどうなる?
取り扱いで迷いやすいのが、利用者が65歳に到達したときです。日額で算定するサービス(通所介護など)では、65歳の誕生日の前々日までが算定の対象とされています。月額で算定するサービス(介護予防通所リハビリテーションなど)では、65歳の誕生日の前々日が含まれる月まで算定が可能です。
サービス種別ごとの単位数一覧【令和6年度】
若年性認知症利用者受入加算(入所系では「入所者受入加算」、特定施設・グループホームでは「入居者受入加算」)は、幅広いサービスで算定できます。サービス種別ごとの単位数を整理しました。
| 区分 | サービス | 単位数 |
|---|---|---|
| 日額 60単位 | 通所介護、地域密着型通所介護 | 60単位/日 |
| 通所リハビリテーション、認知症対応型通所介護 | 60単位/日 | |
| 日額 120単位 | 短期入所生活介護、短期入所療養介護 | 120単位/日 |
| 特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院 など | 120単位/日 | |
| 月額 | 介護予防通所リハビリテーション | 240単位/月 |
| 月額 | 小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護 | 800単位/月 |
通所介護で算定できる事業所の種別は、通常規模型・大規模型(Ⅰ)(Ⅱ)・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護です。なお、療養通所介護は対象外とされています。これは医療ニーズの高い重度者を対象とするサービスであり、加算の趣旨と異なるためです。
ちびウルフ同じ加算でも、サービスによって単位数が違うんですね!
リハウルフそうなんだ。通所系は60単位/日、入所・短期入所系は120単位/日が基本。小多機・看多機は月800単位というように、サービスごとに設定が分かれているんだよ。
算定のカギ「個別の担当者」とは
若年性認知症利用者受入加算の算定要件で中心になるのが、受け入れた利用者ごとに「個別の担当者」を定め、その担当者を中心に、若年性認知症の特性に応じたサービスを提供することです。
ここでいう担当者とは、若年性認知症の利用者を担当する職員のことです。厚生労働省のQ&Aでは、次のような考え方が示されています。
- 事業所の介護職員などの中から定める
- 人数や資格などの要件は問わない
- 担当者は個別的なサービスの中心的な役割を担うが、対象者の利用当日に担当者が出勤していなくても算定できる
つまり、「専従の専門職を新たに配置しなければならない」「研修修了者でなければならない」といった厳格な人員要件はありません。とはいえ、加算の趣旨は専門的なケアの提供にあります。担当者を中心に個別のケアプログラムを組み、記録として残すことが、適正算定と質の確保の両面で欠かせません。
認知症加算とは併算定できない|他加算との関係
運営上、特に注意したいのが他の認知症関連加算との関係です。若年性認知症利用者受入加算は、認知症加算および認知症行動・心理症状緊急対応加算を算定している場合には算定できません。
一方、個別機能訓練加算・入浴介助加算・栄養関連の加算など、認知症関連以外の加算については、それぞれの要件を満たせば組み合わせて算定することが可能です。利用者の多様なニーズに応じた包括的なサービス提供を、加算面でも組み立てていきましょう。
算定手続きの流れ
若年性認知症利用者受入加算の届出・運用の流れを整理します。
- 利用者が65歳未満で発症した若年性認知症であり、要介護認定を受けているか確認する
- 体制に関する届出を行う(多くの自治体で体制等状況一覧表での届出が必要。様式は各自治体で確認)
- 受け入れた利用者ごとに個別の担当者を定める
- 担当者を中心に、若年性認知症の特性に応じた個別のケアプログラムを提供する
- サービス提供記録・計画書など、算定の根拠となる書類を整備する
- 認知症加算等と重複していないか確認し、利用日ごとに算定する
多職種の視点|若年性認知症の方を支えるために
若年性認知症利用者受入加算は、加算の算定だけが目的ではありません。PT・OT・ST、看護師、介護職、生活相談員、ケアマネジャーが連携し、「その人らしい役割と社会参加」を支えるケアを組み立てることが本質です。職種をまたいで意識したい視点をまとめます。
- 役割・強みに着目する:これまでの職歴や得意分野を活かせる活動を取り入れる。
- 同世代との交流:高齢の利用者中心の場でも、本人が孤立しない関わりや席配置を工夫する。
- 家族支援:働き盛りの家族は経済的・心理的負担が大きい。相談支援や情報提供を継続的に行う。
- 地域連携:若年性認知症支援コーディネーターや地域包括支援センター、医療機関と連携する。
ちびウルフ利用者さんが1人だけでも、専用のプログラムが必要なんですか?
リハウルフ人数に関わらず、その方の特性に応じた個別のケアプランとプログラムが必要なんだ。ほかの利用者と一緒に活動する場合でも、若年性認知症の方に配慮した工夫を記録に残しておこうね。
若年性認知症利用者受入加算でよくある質問(FAQ)
通所介護の単位数はいくらですか?
認知症加算と一緒に算定できますか?
担当者は資格や専従が必要ですか?
65歳になったら算定できなくなりますか?
療養通所介護でも算定できますか?
個別機能訓練加算など他の加算とは併算定できますか?
- 若年性認知症利用者受入加算は、65歳未満で発症した認知症の利用者を受け入れ、専門的なサービスを提供する事業所を評価する加算。通所介護は60単位/日。
- 対象は40歳以上65歳未満で発症した認知症。日額サービスは65歳の誕生日の前々日まで、月額サービスは前々日が含まれる月まで算定できる。
- サービス別の単位数は、通所系60単位/日・入所/短期入所系120単位/日・小多機/看多機800単位/月など。療養通所介護は対象外。
- 受け入れた利用者ごとに個別の担当者を定める。人数・資格は問わず、当日不在でも算定可。
- 認知症加算・認知症行動・心理症状緊急対応加算とは併算定できない。届出様式は自治体に確認を。
