特養の障害者生活支援体制加算は、(Ⅰ)が1日につき26単位、(Ⅱ)が1日につき41単位です。視覚・聴覚・言語機能に重度の障害がある人、重度の知的障害者、精神障害者を一定割合以上受け入れ、専任の障害者生活支援員を配置している特養が対象になります。対象者の数え方は、障害の種類ごとではなく5種類の合計です。ここを分けて数えると要件を満たさないと誤判断します。

この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)と老企第40号の原文を確認して、単位数・対象になる障害の程度・配置人数の計算・実務でつまずく点を整理しました。

この記事でわかること

  • 特養の障害者生活支援体制加算(Ⅰ)26単位・(Ⅱ)41単位という単位数
  • 対象になる5種類の障害と、その程度(手帳の等級)
  • 対象者は5種類の合計で数えること
  • (Ⅰ)は15人以上または30%以上、(Ⅱ)は50%以上という割合要件
  • 障害者生活支援員の必要人数の計算
  • 非常勤や兼務でも要件を満たせる場合があること
  • 知的障害に対応する支援員の資格要件
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できないこと

特養の障害者生活支援体制加算とは?

障害者生活支援体制加算は、視覚障害者・聴覚障害者・言語機能障害者・知的障害者・精神障害者(あわせて「視覚障害者等」と呼ばれます)を受け入れ、その生活支援に専門性を持つ職員を配置している特養を評価する加算です。

加齢に伴って障害のある人が特養に入所する場面は増えています。ただ、高齢者介護の技術と、障害のある人へのコミュニケーション支援は別の専門性です。手話ができる職員がいなければ聴覚障害の人は情報から切り離されますし、視覚障害の人には環境の伝え方そのものが違います。この加算は、その専門性を持つ職員を置くことへの評価です。

ちびウルフちびウルフ

視覚障害の方が10人、知的障害の方が6人います。どちらも15人に届きません。

リハウルフリハウルフ

合計で数えます。10人と6人で16人なので、15人以上を満たします。通知が「合計数が15人以上」とはっきり書いているところです。障害の種類ごとに数えると取り逃がします。

障害者生活支援体制加算の単位数

告示第21号の介護福祉施設サービスの注19に定められています。

区分単位数算定頻度
障害者生活支援体制加算(Ⅰ)26単位1日
障害者生活支援体制加算(Ⅱ)41単位1日

告示は「障害者生活支援体制加算(Ⅰ)を算定している場合にあっては障害者生活支援体制加算(Ⅱ)は算定しない」としており、どちらか一方です。

対象になる「視覚障害者等」の範囲

老企第40号 5の(19)①は、5種類の障害それぞれについて程度を定めています。

障害の種類程度
視覚障害者身体障害者手帳の障害の程度が1級または2級、もしくはこれに準ずる状態で、日常生活におけるコミュニケーションや移動等に支障があると認められる者
聴覚障害者身体障害者手帳の障害の程度が2級またはこれに準ずる状態で、日常生活におけるコミュニケーションに支障があると認められる者
言語機能障害者身体障害者手帳の障害の程度が3級またはこれに準ずる状態で、日常生活におけるコミュニケーションに支障があると認められる者
知的障害者療育手帳の障害の程度がA(重度)の者、または知的障害者更生相談所において重度の障害を有すると判定された者
精神障害者精神障害者保健福祉手帳の障害等級が1級または2級に該当する者であって、65歳に達する日の前日までに同手帳の交付を受けた者

精神障害者だけ交付時期の条件がある

精神障害者については、手帳の等級が1級・2級であることに加えて「65歳に達する日の前日までに同手帳の交付を受けた者」という条件が付きます。65歳を過ぎてから手帳の交付を受けた人は、等級が該当しても対象になりません。他の4種類にはこの条件がないため、精神障害だけ交付日を確認する必要があります。

対象者は5種類の合計で数える

老企第40号 5の(19)②は明確に書いています。「視覚障害者、聴覚障害者、言語機能障害者、知的障害者及び精神障害者の合計数が15人以上又は入所者に占める割合が100分の30以上若しくは100分の50以上であれば満たされるものである」。

障害者生活支援体制加算の算定要件

加算(Ⅰ)の要件

  • 視覚障害者等である入所者の数が15人以上、または入所者に占める割合が30%以上であること
  • 専ら障害者生活支援員としての職務に従事する常勤の職員を1名以上配置していること
  • 視覚障害者等の入所者数が50を超える場合は、専従常勤の支援員を1名以上配置し、かつ支援員を常勤換算方法で「視覚障害者等の入所者数÷50」以上配置していること

加算(Ⅱ)の要件

  • 入所者に占める視覚障害者等の割合が50%以上であること
  • 専ら障害者生活支援員としての職務に従事する常勤の職員を2名以上配置していること
  • 視覚障害者等の入所者数が50を超える場合は、専従常勤の支援員を2名以上配置し、かつ支援員を常勤換算方法で「視覚障害者等の入所者数÷50+1」以上配置していること
要件加算(Ⅰ)加算(Ⅱ)
対象者の数・割合15人以上または30%以上50%以上
専従常勤の支援員1名以上2名以上
対象者50人超の場合の常勤換算対象者数÷50 以上対象者数÷50+1 以上

(Ⅰ)は「人数または割合」、(Ⅱ)は「割合のみ」

(Ⅰ)は15人以上という実数でも、30%以上という割合でも満たせます。小規模な特養なら割合で、大規模な特養なら実数で届くことがあります。一方(Ⅱ)は50%以上という割合だけです。入所者の半数が対象者という水準なので、該当する施設は限られます。

障害者生活支援員の配置の実務

非常勤や兼務でも要件を満たせる場合がある

老企第40号 5の(19)②は、配置についてこう述べています。

この場合の障害者生活支援員の配置については、それぞれの障害に対応できる専門性を有する者が配置されていることが望ましいが、例えば、視覚障害に対応できる常勤専従の障害者生活支援員に加えて、聴覚障害、言語機能障害、知的障害及び精神障害に対応できる非常勤職員の配置又は他の職種が兼務することにより、適切な生活の支援を行うことができれば、当該加算の要件を満たすものとする。

専従常勤の支援員は必要ですが、すべての障害に対応できる人を常勤で揃える必要はありません。常勤1名を軸に、他の障害には非常勤や兼務で対応する形が認められています。5種類すべてに専門家を置かなければ、と考えて断念する必要はありません。

知的障害に対応する支援員の資格

老企第40号 5の(19)③は、知的障害を有する人に対する障害者生活支援員の要件を次のように定めています。

  • 知的障害者福祉法に規定する知的障害者福祉司の資格を有する者
  • 知的障害者援護施設における指導員、看護師等で入所者の処遇実務経験5年以上の者

資格がなくても、実務経験5年以上のルートがあります。施設内に該当者がいないか確認する価値があります。

ちびウルフちびウルフ

専門の資格を持った職員を新しく雇わないと無理だと思っていました。

リハウルフリハウルフ

その思い込みで見送っている施設は多いと思います。通知は非常勤や兼務まで認めていますし、知的障害は実務経験5年でも要件を満たします。まず入所者の手帳の等級を数えるところから始めてください。

障害者生活支援体制加算の注意点

手帳の等級を確認する

対象になるかどうかは手帳の等級で決まります。視覚は1級・2級、聴覚は2級、言語機能は3級、知的はA(重度)、精神は1級・2級。障害があるというだけでは対象になりません。入所時に手帳の写しを確認し、等級を記録しておいてください。

「これに準ずる状態」もある

視覚・聴覚・言語機能については「またはこれに準ずる状態にあり、日常生活におけるコミュニケーションや移動等に支障があると認められる」という受け皿が用意されています。手帳の等級がわずかに届かない場合でも、対象になる余地があります。判断は指定権者に確認してください。

割合は入退所で動く

割合要件(30%・50%)は入退所によって変動します。特に(Ⅱ)の50%は境界線上の施設が多くなるため、毎月の確認が必要です。

届出が必要

告示の注19は「届け出た指定介護老人福祉施設については」としています。要件を満たした時点で自動的に算定できるものではありません。

障害者生活支援体制加算のQ&A

対象者は障害の種類ごとに数えますか?

合計で数えます。視覚・聴覚・言語機能・知的・精神の5種類を合わせた数が15人以上、または割合が30%以上((Ⅱ)は50%以上)であれば要件を満たします。

精神障害者だけ条件が違うのはなぜですか?

通知が「65歳に達する日の前日までに同手帳の交付を受けた者」と定めているためです。65歳到達後に交付を受けた人は対象になりません。

すべての障害に対応できる職員が必要ですか?

不要です。専従常勤の支援員を軸に、他の障害には非常勤職員の配置や他職種の兼務で対応できれば要件を満たすとされています。

知的障害に対応する支援員に資格は必要ですか?

知的障害者福祉司の資格のほか、知的障害者援護施設における指導員・看護師等で入所者の処遇実務経験5年以上の者も該当します。

(Ⅰ)と(Ⅱ)は両方算定できますか?

できません。告示が「(Ⅰ)を算定している場合にあっては(Ⅱ)は算定しない」としています。

対象者が50人を超えたらどうなりますか?

専従常勤の支援員に加えて、常勤換算方法で「対象者数÷50」以上((Ⅱ)は「÷50+1」以上)の配置が必要になります。

手帳の等級が1つ足りない場合は?

視覚・聴覚・言語機能については「これに準ずる状態」で日常生活に支障があると認められる場合の受け皿があります。判断は指定権者に確認してください。

加算は対象者だけに算定しますか?

告示は「届け出た指定介護老人福祉施設については、(中略)1日につき所定単位数を加算する」としており、施設に対する体制加算の構造です。請求上の扱いは指定権者に確認してください。

届出は必要ですか?

必要です。要件を満たしていても、届出をしなければ算定できません。

まとめ

  • 特養の障害者生活支援体制加算は(Ⅰ)26単位・(Ⅱ)41単位(いずれも1日につき)
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できない
  • 対象は視覚障害者・聴覚障害者・言語機能障害者・知的障害者・精神障害者の5種類
  • 対象者は5種類の合計で数える(障害の種類ごとではない)
  • 視覚は手帳1級・2級、聴覚は2級、言語機能は3級が目安
  • 知的は療育手帳A(重度)、または更生相談所で重度と判定された者
  • 精神は手帳1級・2級で、かつ65歳に達する日の前日までに交付を受けた者
  • 精神障害者だけ手帳の交付時期に条件がある
  • (Ⅰ)は対象者15人以上または30%以上、専従常勤の支援員1名以上
  • (Ⅱ)は対象者50%以上、専従常勤の支援員2名以上
  • 対象者が50人を超える場合は常勤換算での追加配置が必要
  • すべての障害に常勤の専門職を置く必要はなく、非常勤・兼務でも可
  • 知的障害の支援員は実務経験5年以上のルートがある
  • 割合要件は入退所で変動するため毎月の確認が必要
  • 届出が必要

参考にした情報

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。取扱いは都道府県・市町村(指定権者)によって異なる場合があります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。運用に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

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リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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