特養の外泊時費用・入院時費用は1日246単位、居宅サービスを提供する場合は1日560単位です。いずれも1月に6日が限度。ここで最も間違えやすいのが日数の数え方で、初日と最終日は含みません。7泊8日なら6日分。この1点を知らずに請求すると返戻になります。

この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)と老企第40号の原文を確認して、単位数・日数の数え方・月をまたぐ場合の上限・ベッドの扱いを整理しました。

この記事でわかること

  • 特養の外泊時費用・入院時費用は1日246単位という単位数
  • 居宅サービスを提供する場合は1日560単位になること
  • 初日と最終日は算定できないこと(7泊8日=6日分)
  • 月をまたぐ場合は最大で連続13泊・12日分まで算定できること
  • 「外泊」に親戚の家への宿泊や家族旅行が含まれること
  • 外泊期間中は居宅介護サービス費が算定されないこと
  • 空いたベッドをショートステイに使うと算定できなくなること
  • 560単位を算定するために必要な手続き

特養の外泊時費用・入院時費用とは?

入所者が入院したり自宅に外泊したりして特養にいない間も、ベッドを空けて待つ必要があります。その間の費用を評価するのが外泊時費用・入院時費用です。所定単位数(基本報酬)に代えて、1日246単位を算定します。

もう一つ、外泊中に特養自身が居宅サービスを提供する場合には、1日560単位という別の区分があります。在宅復帰に向けて自宅での生活を試す場面を想定した仕組みで、老健の「試行的退所時の費用」に近い性格を持っています。

ちびウルフちびウルフ

1週間入院したので、7日分の246単位を請求しました。

リハウルフリハウルフ

それは多いです。初日と最終日は所定単位数のほうを算定するので、外泊時費用としては数えません。3月1日から3月8日までなら、2日から7日の6日分だけです。

外泊時費用・入院時費用の単位数

告示第21号の介護福祉施設サービスの注20・注21に定められています。

20 入所者が病院又は診療所への入院を要した場合及び入所者に対して居宅における外泊を認めた場合は、1月に6日を限度として所定単位数に代えて1日につき246単位を算定する。ただし、入院又は外泊の初日及び最終日は、算定できない。
21 入所者に対して居宅における外泊を認め、指定介護老人福祉施設が居宅サービスを提供する場合は、1月に6日を限度として所定単位数に代えて1日につき560単位を算定する。ただし、外泊の初日及び最終日は算定せず、注20に掲げる単位を算定する場合は算定しない。

区分単位数限度初日・最終日
外泊時費用・入院時費用(注20)246単位1月に6日算定できない
外泊時在宅サービス利用の費用(注21)560単位1月に6日算定できない

「所定単位数に代えて」算定する

加算ではありません。基本報酬の代わりに246単位(または560単位)を算定します。要介護3の多床室が1日約900単位だとすれば、外泊中は246単位になるということです。施設としては収入が大きく下がります。

日数の数え方

老企第40号 5の(20)①が、例を挙げて説明しています。

注20により入院又は外泊時の費用の算定について、入院又は外泊の期間は初日及び最終日は含まないので、連続して7泊の入院又は外泊を行う場合は、6日と計算されること。
(例)入院又は外泊期間:3月1日〜3月8日(8日間)
3月1日 入院又は外泊の開始……所定単位数を算定
3月2日〜3月7日(6日間)……1日につき246単位を算定可
3月8日 入院又は外泊の終了……所定単位数を算定

算定するもの
初日(外泊・入院の開始日)所定単位数(基本報酬)
中間の日246単位(または560単位)
最終日(帰ってきた日)所定単位数(基本報酬)

初日と最終日は施設にいる扱いなので基本報酬、その間が外泊時費用です。「泊数マイナス1」が算定日数と覚えると間違えにくくなります。

月をまたぐ場合は最大12日分

老企第40号 5の(20)④イは、月をまたぐ場合の上限を示しています。

入院又は外泊時の費用の算定にあたって、一回の入院又は外泊で月をまたがる場合は、最大で連続13泊(12日分)まで入院又は外泊時の費用の算定が可能であること。
(例)入院期間:1月25日〜3月8日
1月25日入院……所定単位数を算定
1月26日〜1月31日(6日間)……1日につき246単位を算定可
2月1日〜2月6日(6日間)……1日につき246単位を算定可
2月7日〜3月7日……費用算定不可
3月8日退院……所定単位数を算定

7日目以降は何も算定できない

1月に6日という限度は月ごとにリセットされますが、1回の入院・外泊が長引くと、7日目以降は基本報酬も外泊時費用も算定できません。上の例では2月7日から3月7日までの約1か月間、何も算定できない期間が生まれます。長期入院が見込まれる場合、退所の判断が必要になる場面があるのはこのためです。

外泊時費用・入院時費用の注意点

「外泊」の範囲は広い

老企第40号 5の(20)④ロは「『外泊』には、入所者の親戚の家における宿泊、子供又はその家族と旅行に行く場合の宿泊等も含むものである」としています。自宅への帰宅だけではありません。

外泊期間中は居宅サービスを使えない

老企第40号 5の(20)④ハは「外泊の期間中は、当該入所者については、居宅介護サービス費は算定されないものである」としています。自宅に帰っている間に訪問介護や訪問看護を使う、ということはできません。この制限があるからこそ、注21の560単位(施設が居宅サービスを提供する形)が用意されています。

途中で退所した場合・入院に切り替わった場合

場面取扱い
入院・外泊の期間中にそのまま退所した退所した日の外泊時の費用は算定できる
外泊の期間中にそのまま併設医療機関に入院した入院日以降は外泊時の費用を算定できない

ベッドをショートステイに使うと算定できない

老企第40号 5の(20)③は、次のように定めています。空けておくのが原則だが、入所者の同意があればショートステイに活用することは可能。ただしその場合、入院・外泊時の費用は算定できません。

246単位を取るか、ショートステイの受け入れで稼働を上げるか。どちらかしか選べません。

ちびウルフちびウルフ

空いているなら、ショートで使ったほうが得ですか。

リハウルフリハウルフ

単位数だけならショートのほうが高くなります。ただ、入所者本人の同意が要りますし、急に帰ってきたときに戻る場所がない状況は避けたいところです。長期入院が確実な場合に限る、という運用が現実的だと思います。

外泊時在宅サービス利用の費用(560単位)

注21の560単位は、外泊中に施設が居宅サービスを提供する場合の区分です。老企第40号 5の(21)が要件を定めています。

  • 医師、看護・介護職員、生活相談員、介護支援専門員等が、病状および身体の状況に照らして在宅サービス利用の必要性を検討する
  • 入所者または家族に趣旨を十分説明し、同意を得る
  • 施設の介護支援専門員が、外泊時に利用するサービスの計画を作成する
  • 施設の従業者または指定居宅サービス事業者等との連絡調整を行う
  • 計画に基づく居宅サービスを実際に提供する

居宅サービスを提供しなければ対象にならない

老企第40号 5の(21)⑤は「居宅サービスの提供を行わない場合はこの加算は対象とならない」と明記しています。計画を作っただけ、外泊させただけでは560単位になりません。その場合は246単位の側です。

家族への事前指導が望ましい

老企第40号 5の(21)④は、家族等に対して次の指導を事前に行うことが望ましいとしています。

  • 食事、入浴、健康管理等、在宅療養に関する指導
  • 運動機能および日常生活動作能力の維持・向上を目的として行う体位変換、起座または離床訓練、起立訓練、食事訓練、排泄訓練の指導
  • 家屋の改善の指導
  • 入所者の介助方法の指導

2つ目と4つ目はリハビリ職の担当領域そのものです。「望ましい」とされている項目ですが、実際に自宅で過ごすのは家族ですから、ここを飛ばすと外泊自体が失敗します。

560単位でもベッドの扱いは同じ

老企第40号 5の(21)⑦は、外泊期間中に本人の同意があればベッドをショートステイに活用できるとしたうえで、その場合は560単位を併せて算定できないとしています。246単位の場合と同じ扱いです。

外泊時費用・入院時費用のQ&A

7泊8日の入院は何日分算定できますか?

6日分です。初日と最終日は所定単位数を算定するため、外泊時費用としては数えません。

月をまたぐ場合は何日まで算定できますか?

1回の入院・外泊で月をまたがる場合、最大で連続13泊(12日分)まで算定できます。

親戚の家に泊まった場合も外泊になりますか?

なります。通知は親戚の家における宿泊、子供やその家族と旅行に行く場合の宿泊等も含むとしています。

外泊中に訪問介護を使えますか?

使えません。外泊の期間中は居宅介護サービス費が算定されないとされています。施設が居宅サービスを提供する場合は注21の560単位の対象になります。

空いたベッドをショートステイに使えますか?

入所者の同意があれば可能です。ただしその場合、入院・外泊時の費用は算定できません。

外泊中にそのまま退所した場合は?

退所した日の外泊時の費用は算定できます。

外泊中にそのまま入院した場合は?

併設医療機関に入院した場合、入院日以降については外泊時の費用を算定できません。

246単位と560単位は両方算定できますか?

できません。注21が「注20に掲げる単位を算定する場合は算定しない」としています。

560単位は計画を作れば算定できますか?

できません。計画に基づく居宅サービスを実際に提供することが要件です。提供しない場合は対象になりません。

まとめ

  • 特養の外泊時費用・入院時費用は1日246単位、1月に6日が限度
  • 居宅サービスを提供する場合は1日560単位、同じく1月に6日が限度
  • 加算ではなく「所定単位数に代えて」算定するため、施設の収入は下がる
  • 初日と最終日は算定できない(所定単位数を算定する)
  • 7泊8日なら6日分、「泊数マイナス1」が算定日数
  • 月をまたぐ場合は最大で連続13泊・12日分まで
  • 1回の入院・外泊が長引くと、7日目以降は何も算定できない期間が生まれる
  • 「外泊」には親戚の家への宿泊や家族旅行も含まれる
  • 外泊期間中は居宅介護サービス費が算定されない
  • 入院・外泊中にそのまま退所した場合、退所日の外泊時費用は算定できる
  • 外泊中にそのまま併設医療機関に入院した場合、入院日以降は算定できない
  • ベッドをショートステイに活用すると、入院・外泊時の費用は算定できない
  • 560単位は計画を作るだけでなく、実際に居宅サービスを提供することが要件
  • 560単位では家族への事前指導(在宅療養・訓練・家屋改善・介助方法)が望ましいとされている
  • 246単位と560単位は併せて算定できない

参考にした情報

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。取扱いは都道府県・市町村(指定権者)によって異なる場合があります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。運用に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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