特養の生活機能向上連携加算は、(Ⅰ)が1月につき100単位、(Ⅱ)が1月につき200単位です。外部のリハビリ専門職と連携して個別機能訓練計画を作ることを評価する加算ですが、個別機能訓練加算を算定していると、(Ⅰ)は算定できず、(Ⅱ)は200単位から100単位に下がります。ここを知らずに試算すると、収支の見込みが倍近くずれます。

この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)と老企第40号の原文を確認して、単位数・(Ⅰ)と(Ⅱ)の違い・個別機能訓練加算との関係・連携先の条件を整理しました。

この記事でわかること

  • 特養の生活機能向上連携加算(Ⅰ)100単位・(Ⅱ)200単位という単位数
  • (Ⅰ)は助言ベース、(Ⅱ)は訪問ベースという違い
  • 個別機能訓練加算を算定していると(Ⅰ)が算定できないこと
  • 個別機能訓練加算との併算定で(Ⅱ)が100単位になること
  • (Ⅰ)は3か月に1回が限度だということ
  • 連携先になれる事業所・医療提供施設の条件
  • ICTを活用した動画やテレビ電話でも把握できること
  • リハビリ職が施設にいない特養での使い方

特養の生活機能向上連携加算とは?

生活機能向上連携加算は、訪問リハビリ・通所リハビリの事業所や、リハビリテーションを実施している医療提供施設の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師と連携して、入所者の身体の状況等を評価し、個別機能訓練計画を作ることを評価する加算です。

特養には機能訓練指導員の配置が義務づけられていますが、その職種は幅広く、看護職員が兼務している施設が少なくありません。理学療法士や作業療法士が常駐していない特養で、外部の専門職の目を入れる仕組みとして置かれているのがこの加算です。

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個別機能訓練加算と両方取れば、そのぶん増えますよね。

リハウルフリハウルフ

単純には増えません。個別機能訓練加算を取っていると、生活機能向上連携加算(Ⅰ)は算定できず、(Ⅱ)は200単位ではなく100単位になります。告示の注13の最後に、その一文が書いてあります。

生活機能向上連携加算の単位数

告示第21号の介護福祉施設サービスの注13に定められています。

13 別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、(中略)届出を行った指定介護老人福祉施設において、外部との連携により、入所者の身体の状況等の評価を行い、かつ、個別機能訓練計画を作成した場合には、当該基準に掲げる区分に従い、(1)については、入所者の急性増悪等により当該個別機能訓練計画を見直した場合を除き3月に1回を限度として、1月につき、(2)については1月につき、次に掲げる単位数を所定単位数に加算する。ただし、次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定しない。また、注14を算定している場合は、(1)は算定せず、(2)は1月につき100単位を所定単位数に算定する。
(1) 生活機能向上連携加算(Ⅰ) 100単位
(2) 生活機能向上連携加算(Ⅱ) 200単位

区分単位数算定頻度
生活機能向上連携加算(Ⅰ)100単位1月(3か月に1回が限度)
生活機能向上連携加算(Ⅱ)200単位1月

個別機能訓練加算を算定している場合

注13の最後の一文が効いてきます。「注14」とは個別機能訓練加算のことです。

状況生活機能向上連携加算(Ⅰ)生活機能向上連携加算(Ⅱ)
個別機能訓練加算を算定していない100単位200単位
個別機能訓練加算を算定している算定できない100単位

併算定できないのではなく、単位数が下がる

ここは読み違えやすいところです。個別機能訓練加算と生活機能向上連携加算(Ⅱ)は併算定できます。ただし(Ⅱ)の単位数が200単位から100単位に半減します。一方で(Ⅰ)は算定そのものができません。個別機能訓練加算を取っている特養がこの加算を検討するなら、実質的に「(Ⅱ)を100単位で取る」という選択肢だけになります。

(Ⅰ)は3か月に1回が限度

(Ⅰ)は「3月に1回を限度として」算定します。老企第40号 2の(10)①トは、その意味をこう説明しています。個別機能訓練計画に基づき個別機能訓練を提供した初回の月に限り算定され、助言に基づき計画を見直した場合には再度算定できるが、急性増悪等の場合を除き、初回の月の翌月・翌々月は算定しない、というものです。

生活機能向上連携加算の算定要件

(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは「訪問するかどうか」

区分外部のリハビリ職の関わり方
生活機能向上連携加算(Ⅰ)助言に基づき、施設の機能訓練指導員等が共同でアセスメント・評価・計画作成を行う。リハビリ職の訪問は必須ではない
生活機能向上連携加算(Ⅱ)リハビリ職が施設を訪問し、機能訓練指導員等と共同で評価・計画作成を行う

(Ⅰ)は助言、(Ⅱ)は訪問。これが単位数の差の理由です。

連携先になれるのはどこか

老企第40号 2の(10)①イは、連携先を次のように限定しています。

  • 指定訪問リハビリテーション事業所
  • 指定通所リハビリテーション事業所
  • リハビリテーションを実施している医療提供施設

「リハビリテーションを実施している医療提供施設」の定義

老企第40号は「診療報酬における疾患別リハビリテーション料の届出を行っている病院若しくは診療所、または介護老人保健施設若しくは介護医療院」としています。さらに病院については「許可病床数が200床未満のもの、または当該病院を中心とした半径4キロメートル以内に診療所が存在しないもの」という条件が付きます。大きな病院とは連携できないという制限があるので、連携先を探す段階で確認してください。

助言する専門職

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師です。看護師は含まれません。

ADLとIADLの把握方法

老企第40号 2の(10)①ロは、外部のリハビリ職が入所者のADL(寝返り、起き上がり、移乗、歩行、着衣、入浴、排せつ等)とIADL(調理、掃除、買物、金銭管理、服薬状況等)を把握する方法として、次の2つを認めています。

  • 自分の事業所・医療提供施設の場で把握する
  • 施設の機能訓練指導員等と連携して、ICTを活用した動画やテレビ電話を用いて把握する

ICTを使う場合は、リハビリ職がADL・IADLの状況を適切に把握できるよう、事前に方法等を調整することが求められています。撮影の角度や動作の内容を打ち合わせずに動画だけ送っても、評価になりません。

生活機能向上連携加算の実務

個別機能訓練計画に書くこと

老企第40号 2の(10)①ハは、計画の記載事項を定めています。

  • 入所者ごとの目標、実施時間、実施方法等の内容
  • 目標は本人または家族の意向、担当する介護支援専門員の意見を踏まえて策定する
  • 意欲の向上につながるよう、段階的な目標を設定するなど、可能な限り具体的かつ分かりやすい目標にする

なお、個別機能訓練計画に相当する内容を施設サービス計画に記載する場合は、その記載をもって計画の作成に代えることができるとされています。この代替は特養では認められている取扱いです。

3か月に1回以上の評価と説明

老企第40号 2の(10)①ホは、次の2つを求めています。

  • 機能訓練指導員等は、各月における評価内容や目標の達成度合いについて、本人・家族および理学療法士等に報告・相談し、助言を得たうえで、必要に応じて目標の見直しや訓練内容の変更など適切な対応を行う
  • 理学療法士等は機能訓練指導員等と共同で、3か月ごとに1回以上、個別機能訓練の進捗状況等を評価し、機能訓練指導員等が本人・家族に計画の内容や進捗状況等を説明する

本人・家族への説明はテレビ電話装置等でも可能ですが、その活用について本人等の同意が必要です。

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連携先を探すのが大変そうです。

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同一法人に老健や訪問リハがあるなら、そこが一番早いです。私が担当する側で言うと、施設の機能訓練指導員が何に困っているかを先に聞けると助言の精度が上がります。動画だけ送られてきて「評価してください」だと、実は何も分かりません。

記録の保管

老企第40号 2の(10)①ヘは、機能訓練に関する記録(実施時間、訓練内容、担当者等)を入所者ごとに保管し、常に機能訓練指導員等が閲覧できるようにすることを求めています。

生活機能向上連携加算のQ&A

個別機能訓練加算と併算定できますか?

(Ⅱ)は併算定できますが、単位数が200単位から100単位に下がります。(Ⅰ)は個別機能訓練加算を算定している場合、算定できません。

(Ⅰ)と(Ⅱ)は両方算定できますか?

できません。告示の注13の但し書きが「次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定しない」としています。

連携先に大きな病院を選べますか?

病院については許可病床数200床未満のもの、または半径4キロメートル以内に診療所が存在しないものに限られます。あわせて疾患別リハビリテーション料の届出が必要です。

看護師の助言でも算定できますか?

できません。助言できるのは理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師です。

リハビリ職が訪問しなくても算定できますか?

(Ⅰ)なら可能です。ICTを活用した動画やテレビ電話でADL・IADLを把握する方法が認められています。(Ⅱ)は訪問が要件です。

(Ⅰ)は毎月算定できますか?

できません。3か月に1回が限度で、個別機能訓練を提供した初回の月に算定します。急性増悪等により計画を見直した場合は例外です。

個別機能訓練計画は施設サービス計画で代替できますか?

できます。個別機能訓練計画に相当する内容を施設サービス計画に記載する場合は、その記載をもって作成に代えられるとされています。

介護老人保健施設と連携できますか?

できます。「リハビリテーションを実施している医療提供施設」には介護老人保健施設と介護医療院が含まれます。

評価と説明の頻度は?

理学療法士等と機能訓練指導員等が共同で3か月ごとに1回以上評価し、その内容を本人・家族に説明します。

まとめ

  • 特養の生活機能向上連携加算は(Ⅰ)100単位・(Ⅱ)200単位(いずれも1月につき)
  • 個別機能訓練加算を算定していると(Ⅰ)は算定できない
  • 個別機能訓練加算を算定していると(Ⅱ)は100単位になる
  • (Ⅱ)と個別機能訓練加算は併算定できるが、単位数が半減する
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できない
  • (Ⅰ)は3か月に1回が限度で、個別機能訓練を提供した初回の月に算定する
  • (Ⅰ)は助言ベース、(Ⅱ)はリハビリ職の訪問が要件
  • 連携先は訪問リハ・通所リハの事業所、またはリハビリを実施している医療提供施設
  • 病院は許可病床数200床未満、または半径4キロメートル以内に診療所がないものに限る
  • 疾患別リハビリテーション料の届出を行っていることが必要
  • 助言できるのは理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師(看護師は不可)
  • ADL・IADLの把握はICTを活用した動画やテレビ電話でも可能
  • ICTを使う場合は事前に方法等を調整する
  • 個別機能訓練計画は施設サービス計画への記載で代替できる
  • 3か月ごとに1回以上、共同で評価し本人・家族に説明する

参考にした情報

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。取扱いは都道府県・市町村(指定権者)によって異なる場合があります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。運用に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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