特養の準ユニットケア加算は、1日につき5単位です。多床室を仕切って個室に近い環境を作り、ユニットケアに準じたケアを行っている場合に算定します。ポイントは仕切り方で、カーテンや家具で仕切っただけでは認められません。建具による仕切りは可、天井との隙間は可。この線引きが通知にはっきり書かれています。

この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)と老企第40号の原文を確認して、単位数・「個室的なしつらえ」の要件・面積基準の考え方・一部だけで算定できるかを整理しました。

この記事でわかること

  • 特養の準ユニットケア加算は1日5単位という単位数
  • 「プライバシーの確保に配慮した個室的なしつらえ」の具体的な線引き
  • カーテン・家具による仕切りが認められない理由
  • 建具による仕切りは認められること
  • 天井から隙間が空いていてもよいこと
  • 一人当たり面積基準は多床室全体で見ればよいこと
  • 施設の一部だけで算定できること
  • ユニット型との違い

特養の準ユニットケア加算とは?

準ユニットケア加算は、従来型の多床室を持つ特養が、部屋を仕切って個室に近い環境を整え、少人数単位のケアを行っている場合に算定できる加算です。

特養にはユニット型と従来型があります。ユニット型は全室個室で、共同生活室を中心とした少人数のケアを行う形。従来型は多床室が中心で、基本報酬もユニット型より低く設定されています。建て替えずに、既存の多床室でユニットケアに近い環境を作るという選択肢に対する評価が、この加算です。

ちびウルフちびウルフ

4人部屋にカーテンを付けてプライバシーに配慮しています。これで算定できますか。

リハウルフリハウルフ

できません。通知が「家具やカーテンによる仕切りでは不可」と名指しで否定しています。建具、つまり引き戸やパネルのような建築的な仕切りが必要です。

準ユニットケア加算の単位数

告示第21号の介護福祉施設サービスの注12に定められています。

12 イについて、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして、電子情報処理組織を使用する方法により、都道府県知事に対し、老健局長が定める様式による届出を行った指定介護老人福祉施設については、準ユニットケア加算として、1日につき5単位を所定単位数に加算する。

区分単位数算定頻度100床・年間の目安
準ユニットケア加算5単位1日182,500単位

対象は「イ」=介護福祉施設サービス費

注12の冒頭に「イについて」とあります。介護福祉施設サービス費、つまり従来型が対象で、ユニット型介護福祉施設サービス費(ロ)は含まれません。もともとユニット型の施設が算定するものではない、という当然の整理です。

準ユニットケア加算の算定要件

老企第40号 5の(13)は、施設基準(告示第96号)第52号において準用する第43号の基準に適合していることを前提に、取扱いを具体的に示しています。

「個室的なしつらえ」の線引き

イ 「プライバシーの確保に配慮した個室的なしつらえ」とは、可動でないもので隔てることまでを要するものではないが、視線が遮断されることを前提とする。建具による仕切りは認めるが、家具やカーテンによる仕切りでは不可とする。また、天井から隙間が空いていることは認める。

仕切りの方法可否
建具(引き戸・パネル等)による仕切り
可動式の仕切り(可動でないものまでは要しない)
天井から隙間が空いている仕切り
家具による仕切り不可
カーテンによる仕切り不可

判断の軸は「視線が遮断されること」です。天井まで塞ぐ必要はなく、可動でも構いません。しかし家具やカーテンは、通知が明確に否定しています。

カーテンでの間仕切りは投資として無駄になる

プライバシー配慮としてカーテンレールを増設する施設は多いのですが、この加算の要件としては認められません。加算を狙うなら、最初から建具での間仕切りを検討してください。カーテンを付けてから「加算が取れなかった」と気づくのは、費用の面でも工期の面でも痛手です。

面積基準の考え方

ロ 一人当たりの面積基準については、四人部屋に中廊下を設けて居室を仕切るなど様々な工夫が考えられることから、仕切られた空間についての一人当たり面積基準は設けず、多床室全体として一人当たりの面積基準を満たしていれば足りることとする。

仕切った空間ごとの面積は問われない

ここは実務上とても重要です。4人部屋に中廊下を設けて仕切ると、1人あたりの居住空間は当然狭くなります。もし仕切った空間ごとに面積基準を求められれば、ほとんどの施設で成立しません。通知は「多床室全体として一人当たりの面積基準を満たしていれば足りる」としており、この心配を打ち消しています。

施設の一部だけでも算定できる

老企第40号 5の(13)には、次のなお書きがあります。

なお、施設の一部のみで準ユニットケア加算の要件を満たす場合、当該要件を満たす部分に入所する者についてのみ準ユニットケア加算を算定して差し支えない。

全館を一度に改修する必要はありません。1フロアだけ、あるいは一部の居室だけ整備して、その部分の入所者について算定することが認められています。段階的な改修を進めやすい仕組みです。

ちびウルフちびウルフ

1フロアだけ改修して試してみる、ということもできるんですね。

リハウルフリハウルフ

できます。5単位は小さく見えますが、対象が入所者全員なら100床で年間18万単位です。改修費との比較で判断できる水準だと思います。

準ユニットケア加算の注意点

環境を整えるだけでは足りない

加算の名称は「準ユニットケア加算」です。施設基準は個室的なしつらえだけでなく、少人数を単位としたケアの提供を求める構造になっています。仕切りを入れたが、ケアの提供体制は従来のままという状態では、加算の趣旨から外れます。届出にあたっては施設基準(告示第96号第52号・第43号)の全文を確認してください。

ユニット型とは別物

比較の観点ユニット型準ユニットケア加算
居室全室個室多床室を仕切る
報酬ユニット型介護福祉施設サービス費(基本報酬が別建て)従来型の基本報酬+1日5単位
共同生活室必須施設基準による

準ユニットケア加算は、あくまで従来型の基本報酬への上乗せです。ユニット型に転換すると基本報酬そのものが変わるため、収入への影響は比較にならないほど大きくなります。改修を検討するなら、準ユニット化とユニット型への転換の両方を試算したうえで判断してください。

届出が必要

告示の注12は「届出を行った指定介護老人福祉施設については」としています。改修が終わった時点で自動的に算定できるものではありません。

入所者・家族への説明

仕切りを入れると、部屋の見え方が大きく変わります。プライバシーが守られる一方で、同室者の様子が見えなくなることを不安に感じる入所者・家族もいます。改修の前に、何がどう変わるのかを説明しておくほうが、後の調整が楽になります。

準ユニットケア加算のQ&A

カーテンで仕切っても算定できますか?

できません。通知が「家具やカーテンによる仕切りでは不可とする」と明記しています。

天井まで塞ぐ必要がありますか?

ありません。「天井から隙間が空いていることは認める」とされています。

可動式の仕切りでもよいですか?

認められます。「可動でないもので隔てることまでを要するものではない」とされています。ただし視線が遮断されることが前提です。

仕切った空間ごとに面積基準がありますか?

ありません。多床室全体として一人当たりの面積基準を満たしていれば足りるとされています。

施設の一部だけで算定できますか?

できます。要件を満たす部分に入所する者についてのみ算定して差し支えないとされています。

ユニット型でも算定できますか?

できません。注12は「イについて」=介護福祉施設サービス費(従来型)を対象としています。

仕切りを入れれば要件を満たしますか?

環境の整備だけでなく、施設基準が求めるケアの提供体制も必要です。届出にあたっては施設基準の全文を確認してください。

届出は必要ですか?

必要です。改修しただけでは算定できません。

ユニット型に転換するのとどちらが有利ですか?

ユニット型は基本報酬そのものが変わるため、収入への影響ははるかに大きくなります。ただし改修費用も規模が違います。両方を試算して比較してください。

まとめ

  • 特養の準ユニットケア加算は1日につき5単位
  • 対象は介護福祉施設サービス費(従来型)で、ユニット型は対象外
  • 「個室的なしつらえ」の判断軸は視線が遮断されること
  • 建具による仕切りは認められる
  • 可動式の仕切りでもよい(可動でないものまでは要しない)
  • 天井から隙間が空いていることも認められる
  • 家具やカーテンによる仕切りは認められない
  • 仕切られた空間ごとの一人当たり面積基準は設けられていない
  • 多床室全体として一人当たりの面積基準を満たしていれば足りる
  • 4人部屋に中廊下を設けるような工夫も想定されている
  • 施設の一部のみで要件を満たす場合、その部分の入所者について算定できる
  • 段階的な改修が可能な仕組みになっている
  • 環境の整備だけでなく、施設基準が求めるケアの提供体制も必要
  • 届出が必要

参考にした情報

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および通知にもとづいて整理したものです。施設基準の詳細は告示第96号の原文をご確認ください。実際の届出にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。取扱いは都道府県・市町村(指定権者)によって異なる場合があります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。運用に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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