転倒予防の本は、転倒のメカニズムとリスクを根拠から学ぶ本を1冊読み、そのあと担当する人の病気や生活の場に合った本を足すのがおすすめです。迷ったら、専門職は『イチからわかる!転倒予防Q&A』、家族と一緒に体操をしたい人は『家庭でできる転倒予防トレーニング』から読んでください。

この記事では、転倒予防の本を「転倒予防の基本と根拠を学ぶ本」「病気・道具・環境で深める本」「家庭で続ける体操の本」の3つに分けて7冊紹介します。書名・版・発行年は、出版社の紹介ページと国立国会図書館サーチの書誌で確認しました。

この記事でわかること
  • 転倒予防の本を選ぶときの3つのポイント
  • 転倒のメカニズムとリスクを根拠から学べる本
  • 神経疾患・杖・転倒予防グッズを深める本
  • 利用者さんや家族と家庭で続けられる体操の本
  • 立場別の読む順番
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転倒予防って、筋トレをすればいいんじゃないの?

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筋トレは大事だけど、それだけでは足りないんだ。転ぶ原因は、筋力やバランスのほかに、薬、視力、認知機能、靴、家の段差や明るさなど、たくさんある。原因を見つけて、一つずつ対策をするのが転倒予防なんだよ。

転倒予防の本を選ぶ3つのポイント

転倒予防の本は、学会の専門書から、高齢者が自分で読む体操の本まで幅があります。次の3つの視点で選びましょう。

①転倒の原因を多面的に扱っているか

転倒には、筋力やバランスなど体の要因、薬や病気、視機能、認知機能、住まいの環境、行動のしかたなど、さまざまな要因が重なっています。体の機能だけでなく、薬や環境まで含めて原因を整理している本を選ぶと、対策の幅が広がります。

②根拠(エビデンス)にもとづいているか

転倒予防の運動や対策には、効果が確かめられているものとそうでないものがあります。専門職は、研究の結果をふまえて、どの対策が効果的かを示している本を選びましょう。日本転倒予防学会が監修・編集に関わった本は、学会の知見がまとまっていて信頼しやすいです。

③誰が読む本か(専門職か、本人・家族か)

専門職向けの本と、本人や家族が読む体操の本では、書き方がまったく違います。利用者さんや家族に渡す本は、イラストが多く、無理なく続けられる体操が中心の本を選びましょう。

転倒予防の基本と根拠を学ぶ本2選

1. イチからわかる!転倒予防Q&A

山田実氏による医歯薬出版の本です(2025年10月発行・126ページ)。「なぜ転ぶ?どう防ぐ?」を、根拠をもとにQ&A形式で読み解く本です。

高齢者の転倒の発生率や季節・時間帯・場所ごとの特徴、つまずき・滑り・バランスの崩れのメカニズム、サルコペニアや認知機能障害、視機能の低下、多剤服用、環境要因の影響を整理しています。転倒後の恐怖感が活動を減らす悪循環や、骨折の予後、根拠にもとづく運動介入プログラムと転倒予防アルゴリズムまで扱っていて、専門職が転倒予防の全体像をつかむ最初の1冊に向いています。

2. 転倒予防白書2023

武藤芳照氏・鈴木みずえ氏・萩野浩氏・大高洋平氏が編集した日本医事新報社の本です(2023年3月発行・577ページ)。日本転倒予防学会の公式テキストを大きく改訂したもので、転倒に関わる最新の統計や国内外の研究の動向、転倒予防グッズ・システム開発の動向をまとめています。

薬剤(多剤併用、睡眠薬、抗精神病薬など)と転倒・骨折、転倒・転落アセスメントツール、転倒を予測する身体機能評価、急性期病院の転倒対策、身体拘束、杖・歩行補助具、認知症高齢者の転倒予防、多職種連携まで、転倒予防に関わるテーマを網羅した資料集です。病院や施設で転倒予防の委員会を担当する人に向いています。

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薬でも転びやすくなるの?

リハウルフリハウルフ

なるよ。睡眠薬や安定剤でふらついたり、血圧の薬で立ちくらみが起きたりすることがある。訪問リハで転倒が続いた方で、薬が変わった時期と重なっていたケースもあったんだ。気づいたら主治医や薬剤師に相談するようにしているよ。

病気・道具・環境で転倒予防を深める本3選

3. 神経疾患患者の転倒予防マニュアル

日本転倒予防学会が監修し、饗場郁子氏・鮫島直之氏・武藤芳照氏が編著した新興医学出版社の本です(2021年3月発行・151ページ)。運動・感覚・認知機能が障害されやすい神経疾患の患者さんは、一般の高齢者より転倒・転落の可能性が高いとされています。この本は、神経疾患ごとの転倒の特徴と予防のポイント、転倒予防グッズ、環境整備の方法を具体的に解説しています。

「ナースコールを押さずに動いて転ぶ」「認知症の患者さんがセンサーの電源を切ってしまう」「すくみ足のあるパーキンソン病の患者さんにどんなキューを選ぶか」など、医療現場で困りやすい場面のQ&Aから始まるのが特徴です。

4. 転倒予防のプロが教える正しい杖の使い方

日本転倒予防学会が監修した新興医学出版社の本です(2024年9月発行・135ページ)。副題は「変形性膝関節症、リウマチ、パーキンソン病、脳卒中、フレイルなど」。「杖の正しい使い方」を丸ごと1冊で示した、これまでほとんどなかった本です。

杖の分類と機能・効果、形と構造、杖歩行の生体力学から、杖に抵抗がある人への勧め方、サイズの合わせ方、使い方、疾患ごとの杖の選び方まで扱っています。杖を勧めても使ってもらえない、突いたときに滑るといった相談に、根拠をもって答えたい人に向いています。

5. 転倒予防グッズ・システム医学ガイド

日本転倒予防学会が監修し、武藤芳照氏らが編集した日本医事新報社の本です(2026年2月発行・236ページ)。病院・施設・自宅で使える転倒予防のグッズやシステムを、最新の動向とともに解説しています。学会の公式書籍で、学会の推奨品も多く掲載されています。

リハビリ向けシューズや転倒予防靴、衝撃吸収マット、床材、見守りセンサー、坐位の運動支援器具、転倒予防くつ下、畳など、具体的な製品が取り上げられています。施設の転倒対策で道具や環境を見直したい人に役立つ1冊です。

家庭で続ける転倒予防の体操の本2選

6. 家庭でできる転倒予防トレーニング

障害者施設や訪問リハビリで多くの人を指導してきた隆島研吾氏による法研の本です(2021年1月発行・103ページ)。副題は「イラスト図解」。「一生寝たきりにならない」ことを目標に、生活の中で無理なくできる転倒予防の運動を紹介しています。

立っているとふらつく人のためのごく簡単な生活体操、元気なうちに行う筋力・柔軟性・バランスのトレーニング、ベッドから車いすへの移乗や杖歩行など要介護の人向けの運動の3段階で構成されています。家族と一緒に取り組めるようにイラストで図解しているので、訪問リハで利用者さんや家族に紹介しやすい本です。

7. 転倒予防の名医が教える 長生き足体操

整形外科医で、1997年に日本で初めて「転倒予防教室」を開いた武藤芳照氏による幻冬舎の本です(2022年10月発行・94ページ)。副題は「1日3分」。転倒を防ぐために大切な3つのこととして、転びやすい行動・場所・タイミングを知ること、バランスを意識した歩き方と姿勢、やわらかな筋肉と関節をつくる体操を挙げています。

病院や高齢者施設でも行われている、座ったままできる運動も紹介されています。まだ元気な高齢者や、立って運動するのが不安な人に向いた1冊です。

立場別の転倒予防の本を読む順番

7冊すべてを読む必要はありません。立場ごとに、次の順番で読むと身につきやすくなります。

PT・OT・看護師の場合

  • 『イチからわかる!転倒予防Q&A』で、転倒のメカニズムとリスク、根拠のある対策を整理する
  • 担当する人の病気に合わせて『神経疾患患者の転倒予防マニュアル』や『正しい杖の使い方』を読む
  • 利用者さんの転倒の記録をもとに、体・薬・環境のどこに原因があるかを多職種で話し合う

病院・施設の転倒対策担当者の場合

  • 『転倒予防白書2023』で、統計・アセスメントツール・多職種連携の動向を確認する
  • 『転倒予防グッズ・システム医学ガイド』で、施設で使えるグッズや床材、見守りシステムを調べる
  • 職員研修で転倒の事例を共有し、対策を見直す

利用者さん・家族の場合

  • 担当のリハ職やケアマネジャーに、どの体操なら安全にできるかを相談する
  • 『家庭でできる転倒予防トレーニング』か『長生き足体操』から、無理なくできる体操を選ぶ
  • 家の段差や照明、手すりなど、住まいの環境もあわせて見直す
在宅の転倒は「夜」と「トイレ」に多い

訪問リハで担当した利用者さんの転倒を振り返ると、夜中にトイレへ行くときや、起き上がった直後に転んだケースが目立ちました。暗い廊下、ふらつきの出る薬、急いで立ち上がる動作が重なりやすいためです。体操に加えて、足元灯や手すり、ベッドの高さなど、夜の動線を一緒に確認することが大切です。

よくある質問

転倒予防の本は、専門職なら何から読めばいいですか?

『イチからわかる!転倒予防Q&A』がおすすめです。転倒の疫学やメカニズム、リスク要因、転倒後の恐怖感、根拠にもとづく運動介入まで、全体像をQ&A形式で学べます。

日本転倒予防学会が関わっている本はありますか?

『転倒予防白書2023』は学会の公式テキスト、『転倒予防グッズ・システム医学ガイド』は学会の公式書籍です。『神経疾患患者の転倒予防マニュアル』と『転倒予防のプロが教える正しい杖の使い方』も学会が監修しています。

パーキンソン病の人の転倒予防を学べる本はありますか?

『神経疾患患者の転倒予防マニュアル』に、神経疾患ごとの転倒の特徴と予防のポイントがあり、すくみ足のある人へのキューの選び方もQ&Aで扱っています。杖の選び方は『正しい杖の使い方』も参考になります。

杖の長さの合わせ方を学べる本はありますか?

『転倒予防のプロが教える正しい杖の使い方』に、杖のサイズの合わせ方や使い方、疾患ごとの杖の選び方がまとめられています。杖の選び方の基本は、サイト内の杖の記事も参考にしてください。

高齢の親と一緒にできる体操の本はありますか?

『家庭でできる転倒予防トレーニング』は、体力に応じた3段階の運動をイラストで図解していて、家族と一緒に取り組めるように作られています。座ったままの運動から始めたい人は『長生き足体操』も向いています。

体操の本を見て、自己流で運動しても大丈夫ですか?

持病がある人や、ふらつきが強い人は、運動を始める前に主治医やリハ職に相談しましょう。とくに立って行う運動は、転倒しないように、いすや手すりにつかまれる場所で行うことが大切です。

施設で使える転倒予防グッズを調べるには?

『転倒予防グッズ・システム医学ガイド』に、転倒予防靴や衝撃吸収マット、床材、見守りセンサーなど、病院・施設・自宅で使えるグッズやシステムが学会の推奨品を含めて紹介されています。

まとめ
  • 転倒予防の本は、原因を多面的に扱い、根拠にもとづく本を選ぶ
  • 専門職の最初の1冊は『イチからわかる!転倒予防Q&A』
  • 神経疾患・杖・グッズは日本転倒予防学会が関わる本で深める
  • 利用者さんや家族には『家庭でできる転倒予防トレーニング』
  • 体操とあわせて、薬・夜の動線・住まいの環境も見直す
参考にした情報

※書籍の書名・版・出版社・発行年は、2026年11月3日時点の国立国会図書館サーチの書誌と各出版社の紹介ページで確認したものです。在庫や価格、新しい版の刊行状況は変わる可能性があるため、購入時に販売ページでご確認ください。運動を始める際は、主治医やリハビリ専門職にご相談ください。本の選び方や読み方、現場の事例に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理です。本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味