褥瘡(じょくそう)の本は、全体像をつかむ入門書を1冊読み、そのあと学会の標準書で根拠を確かめる順番がおすすめです。迷ったら、新人看護師や介護職は『新 まるわかり褥瘡ケア』、褥瘡対策チームに入る人は日本褥瘡学会の『褥瘡ガイドブック 第3版』から読んでください。

この記事では、褥瘡の本を「全体像をつかむ入門書」「標準の知識と評価を固める本」「治療・在宅・リハビリで深める本」の3つに分けて8冊紹介します。書名・版・発行年は、出版社の紹介ページと国立国会図書館サーチの書誌で確認しました。

この記事でわかること
  • 褥瘡の本を選ぶときの3つのポイント
  • DESIGN-R2020とガイドライン第5版に対応した本の見分け方
  • 入門書・標準書・評価の練習帳の使い分け
  • 在宅・リハビリ・終末期の褥瘡を扱う本
  • 看護師・介護職・リハ職の読む順番
ちびウルフちびウルフ

褥瘡って、看護師さんが処置するものだよね。介護職やリハ職も本を読む必要があるの?

リハウルフリハウルフ

あるよ。褥瘡は「できてから治す」より「つくらない」ほうがずっと大事なんだ。毎日の体位変換やおむつ交換、車椅子の座り方を見ているのは介護職やリハ職だから、予防の知識はチーム全員に必要なんだよ。

褥瘡の本を選ぶ3つのポイント

褥瘡の本は、看護師向けの入門書から、医師も読む治療の専門書まで幅があります。次の3つの視点で選ぶと、自分に合った1冊が見つかります。

①DESIGN-R2020とガイドライン第5版に対応しているか

褥瘡の状態を評価するスケール「DESIGN-R」は2020年に改訂され、「深部損傷褥瘡(DTI)疑い」と「臨界的定着疑い」の項目が加わりました。日本褥瘡学会の『褥瘡予防・管理ガイドライン』も2022年に第5版が出ています。古い版の本では評価のつけ方が今と違うことがあるので、DESIGN-R2020に対応した版を選びましょう。

②自分の役割に合った深さか

ドレッシング材や外用薬を選ぶのは主に医師と看護師です。一方、介護職は皮膚の観察やスキンケア、体位変換、リハ職は姿勢や座り方、動作の管理が中心になります。自分が日々かかわる場面が詳しく書かれている本を選ぶと、すぐ現場で使えます。

③働く場所(病院・施設・在宅)に合っているか

病院では褥瘡対策チームや専門の看護師がいますが、在宅や施設では、限られた人手と道具で予防とケアを続けなければなりません。訪問看護や訪問リハ、施設で働く人は、在宅の制度や家族への指導まで触れている本を1冊加えると安心です。

全体像をつかむ褥瘡の入門書2選

1. 新 まるわかり褥瘡ケア 第2版

田中マキ子氏による照林社の本です(2022年11月発行・161ページ)。副題は「最新ガイドラインDESIGN-R2020に基づく」。褥瘡ができる仕組みから、アセスメント、体圧管理、ドレッシング材・外用薬、スキンケア、栄養、在宅でのかかわりまでを1冊で見渡せる構成です。

スキン-テア(皮膚裂傷)、MDRPU(医療関連機器圧迫創傷)、IAD(失禁関連皮膚炎)といった、褥瘡と間違えやすい皮膚トラブルも取り上げています。症例写真が多く、「この傷はどう評価するのか」を写真で確かめながら読めるのが入門書として優れた点です。新人看護師が最初に読む1冊に向いています。

2. これならわかる!褥瘡ケア

皮膚・排泄ケア認定看護師の佐々木舞子氏が編著したナツメ社の本です(2023年発行・191ページ)。副題は「ケアの基本から、ケース別の予防、治療まで」。基礎知識・予防・治療と管理・褥瘡と間違われやすい創傷の4部に分かれています。

DESIGN-R2020とガイドライン第5版に対応し、5つの体位変換をQRコードの動画で確認できるのが特徴です。イラストと写真が多く、文章も平易なので、介護職や看護学生にも読みやすい1冊です。体位変換のやり方を職場で統一したいときの資料にも使えます。

ちびウルフちびウルフ

入門書は2冊とも読んだほうがいいの?

リハウルフリハウルフ

どちらか1冊で大丈夫。写真で傷の見え方を覚えたい看護師なら『新 まるわかり褥瘡ケア』、体位変換やケアのやり方を動画で確かめたい介護職なら『これならわかる!褥瘡ケア』がいいよ。

標準の知識と評価を固める褥瘡の本2選

3. 褥瘡ガイドブック 第3版

日本褥瘡学会が編集した照林社の本です(2023年6月発行・254ページ)。『褥瘡予防・管理ガイドライン(第5版)』の内容を、現場で使えるように解説した学会の標準書です。ガイドラインの推奨(クリニカルクエスチョン)を要約したうえで、外用薬、ドレッシング材、外科的治療、栄養、リハビリテーション、発生予測、皮膚観察、スキンケア、体位変換、体圧分散用具を項目ごとに解説しています。

写真やイラストも多く、病院と在宅の両方の褥瘡対策に使えます。「なぜその方法を選ぶのか」をエビデンスで説明する必要がある人、たとえば褥瘡対策委員会のメンバーや、施設で褥瘡予防のマニュアルをつくる人には必携の1冊です。

4. 症例写真でエクササイズ DESIGN-R2020つけ方マスター

田中マキ子氏と柳井幸恵氏が編著した照林社の本です(2023年9月発行・159ページ)。DESIGN-R2020の各項目のつけ方を、症例写真を見て自分で採点し、回答欄で答え合わせをする練習帳の形で学べます。

DESIGN-R2020は経過を追うのに役立つ一方、「つけ方が人によってばらつく」という声も多いスケールです。この本は基本から応用まで症例で練習できるので、病棟や施設の褥瘡勉強会のテキストにも向いています。評価の点数をチームでそろえたいときに使いましょう。

治療・在宅・リハビリで深める褥瘡の本4選

5. 褥瘡・創傷のドレッシング材・外用薬の選び方と使い方 第2版

溝上祐子氏が編著した照林社の本です(2021年10月発行・152ページ)。種類が多くて迷いやすいドレッシング材と外用薬について、製品ごとのメリット・デメリットと、場面ごとの選び方を示しています。

後半は症例編で、滲出液が多い・少ない、創が浅い・深い、感染がある、壊死組織が多いといった状況別に、選択と評価のポイントを解説しています。「誤った使い方」の例も医師と看護師の立場から挙げられているので、処置にかかわる看護師が手元に置く実用書です。

6. 在宅褥瘡テキストブック

日本褥瘡学会が編集した照林社の本です(2020年9月発行・199ページ)。在宅ならではの褥瘡の予防・治療・ケアを、コンパクトにまとめた本です。在宅褥瘡管理の基本から、予防、治療、発生後のケア、在宅褥瘡医療の進め方、制度までを扱っています。

専門職だけでなく、家族を含めた介助者や、チームにかかわるすべての職種が読むことを想定しています。訪問看護師や訪問リハ職、ケアマネジャーが在宅のチームで褥瘡に向き合うときの共通テキストとして使えます。発行は2020年なので、ガイドラインの新しい推奨は3の『褥瘡ガイドブック 第3版』で補いましょう。

7. 褥瘡のリハビリテーション医療

寺師浩人氏が監修し、杉元雅晴氏・日髙正巳氏・吉川義之氏が編著した照林社の本です(2024年9月発行・239ページ)。副題は「予防・治療・ケアの実際」。褥瘡をつくらないための姿勢・動作の管理や運動療法の進め方を、写真とイラストで示しています。

褥瘡の病態と治療の流れ、評価方法、予防の支援、褥瘡に対するリハビリテーション、エビデンスの順に構成されています。理学療法士・作業療法士が褥瘡にどうかかわるかを体系的に学べる、数少ない本です。物理療法やポジショニングにかかわるリハ職に向いています。

8. 終末期の褥瘡

真田弘美氏が監修し、石澤美保子氏・玉井奈緒氏が編集した南山堂の本です(2025年3月発行・178ページ)。適切に予防していても避けられない、終末期に特有の褥瘡があることをふまえ、終末期を「超急性」「がん」「超高齢」の3つに分けて、病態や発生リスク、予防、治癒を目指せない状況で苦痛を減らすケアを解説しています。在宅での対応も扱っています。

看取り期の利用者さんにかかわる訪問看護師や施設の看護師にとって、「できてしまった褥瘡」とどう向き合うかを考える助けになる1冊です。

ちびウルフちびウルフ

看取りの時期でも、褥瘡の予防はしたほうがいいの?

リハウルフリハウルフ

うん。治すことが目標でなくなっても、痛みや不快感を減らすケアには意味があるんだ。ただ、体位変換が本人のつらさにならないかなど、何を優先するかはチームと家族で話し合って決めることになるよ。

立場別の褥瘡の本を読む順番

8冊すべてをそろえる必要はありません。立場ごとに、2〜3冊を次の順番で読むと無理なく身につきます。

新人看護師の場合

  • 『新 まるわかり褥瘡ケア』で、褥瘡の仕組みと評価、ケアの全体像をつかむ
  • 『DESIGN-R2020つけ方マスター』で、評価の点数のつけ方を練習する
  • 『褥瘡ガイドブック 第3版』で、ケアの根拠を確かめる

介護職の場合

  • 『これならわかる!褥瘡ケア』で、体位変換とスキンケアのやり方を動画で確認する
  • 職場の褥瘡予防マニュアルと照らし合わせて、観察のポイントを看護師と共有する
  • 在宅で働く人は『在宅褥瘡テキストブック』で、家族への伝え方を押さえる

理学療法士・作業療法士の場合

  • 『褥瘡のリハビリテーション医療』で、姿勢・動作の管理と運動療法の考え方を学ぶ
  • 『新 まるわかり褥瘡ケア』で、看護師が行う評価と処置の流れを知る
  • 担当の利用者さんの座り方や寝る姿勢を、看護師・介護職と一緒に見直す
現場で多い「座っているときの褥瘡」

訪問リハで担当した利用者さんでも、ベッドの上より車椅子やソファに長く座っている時間に仙骨や坐骨の褥瘡ができていたケースがありました。寝ているときの体位変換だけでなく、座る時間や座り方、クッションの選び方まで見直すことが大切です。座り方の工夫は、ポジショニング・シーティングの本もあわせて参考にしてください。

よくある質問

褥瘡の本は、最初に何を買えばいいですか?

看護師なら『新 まるわかり褥瘡ケア 第2版』、介護職なら『これならわかる!褥瘡ケア』がおすすめです。どちらもDESIGN-R2020とガイドライン第5版に対応した入門書で、写真やイラストが多く読みやすい構成です。

『褥瘡ガイドブック』と『褥瘡予防・管理ガイドライン』は何が違いますか?

『褥瘡予防・管理ガイドライン』は、日本褥瘡学会が推奨とその根拠をまとめた指針です。『褥瘡ガイドブック 第3版』は、そのガイドライン第5版の内容を現場で使えるように写真やイラストを交えて解説した本です。現場のスタッフが読むなら、ガイドブックのほうが使いやすいでしょう。

DESIGN-R2020に対応していない古い本でも使えますか?

褥瘡の仕組みや予防の基本は学べますが、評価のつけ方は2020年の改訂で変わっています。「深部損傷褥瘡(DTI)疑い」や「臨界的定着疑い」の項目が加わったので、評価を学ぶならDESIGN-R2020に対応した本を選びましょう。

理学療法士が褥瘡について学ぶなら、どの本がいいですか?

『褥瘡のリハビリテーション医療』がおすすめです。褥瘡をつくらないための姿勢・動作の管理や運動療法の進め方を、リハビリテーションの立場から解説しています。看護師が行う評価や処置の流れは、入門書で補いましょう。

在宅で働く人に向いている本はありますか?

日本褥瘡学会編集の『在宅褥瘡テキストブック』です。在宅ならではの予防・治療・ケアに加えて、在宅褥瘡医療の進め方や制度まで扱っています。家族を含めた介助者が読むことも想定されています。

ドレッシング材や外用薬は、介護職が選んでもいいですか?

ドレッシング材や外用薬による処置は、医師の指示のもとで看護師などが行うものです。介護職は、皮膚の赤みや傷を見つけたら看護師に報告し、指示されたケアを行う役割になります。勤務先のルールを確認してください。

褥瘡の勉強会で使いやすい本はありますか?

『症例写真でエクササイズ DESIGN-R2020つけ方マスター』が向いています。症例写真を見て自分で採点し、回答で答え合わせができるので、スタッフ同士で評価のばらつきを確かめながら学べます。

看取り期の褥瘡について学べる本はありますか?

『終末期の褥瘡』がおすすめです。終末期を「超急性」「がん」「超高齢」に分けて、褥瘡の発生リスクや予防、治癒を目指せない状況で苦痛を減らすケアを解説しています。

まとめ
  • 褥瘡の本はDESIGN-R2020とガイドライン第5版に対応した版を選ぶ
  • 最初の1冊は『新 まるわかり褥瘡ケア』か『これならわかる!褥瘡ケア』
  • 根拠を確かめるなら日本褥瘡学会の『褥瘡ガイドブック 第3版』
  • リハ職は『褥瘡のリハビリテーション医療』、在宅は『在宅褥瘡テキストブック』
  • 看取り期の褥瘡は『終末期の褥瘡』で考え方を学ぶ
参考にした情報

※書籍の書名・版・出版社・発行年は、2026年11月3日時点の国立国会図書館サーチの書誌と各出版社の紹介ページで確認したものです。在庫や価格、新しい版の刊行状況は変わる可能性があるため、購入時に販売ページでご確認ください。褥瘡の評価・処置は、主治医の指示と勤務先の基準にしたがって行ってください。本の選び方や読み方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理です。本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味