口腔ケアの本は、口腔ケアの基本の手技を学ぶ本を1冊と、誤嚥のリスクが高い人や摂食嚥下障害の人へのケアを学ぶ本を1冊組み合わせるのがおすすめです。迷ったら、介護職は『介護者が知らないと困る口腔ケアの超基本』、看護師は『基礎から学ぶ口腔ケア 改訂第3版』、言語聴覚士は『言語聴覚士が行う口腔ケア』から読んでください。

この記事では、口腔ケアの本を「基本を学ぶ本」「看護・リハ職が深める本」「誤嚥を防ぐ安全な口腔ケアの本」の3つに分けて7冊紹介します。書名・版・発行年は、出版社の紹介ページと国立国会図書館サーチの書誌で確認しました。

この記事でわかること
  • 口腔ケアの本を選ぶときの3つのポイント
  • 介護職が口腔ケアの基本を学べる本
  • 看護師・言語聴覚士が評価と手技を深める本
  • 誤嚥のリスクを下げる水を使わない口腔ケア
  • 職種別の読む順番
ちびウルフちびウルフ

口腔ケアって、歯みがきのことだよね?

リハウルフリハウルフ

歯みがきは口腔ケアの大事な一部だけど、それだけじゃないよ。入れ歯の手入れや舌・粘膜の清掃、口の体操で食べる・話す力を保つことも口腔ケアなんだ。誤嚥性肺炎の予防にもつながるから、介護の現場ではとても大切なケアだよ。

口腔ケアの本を選ぶ3つのポイント

口腔ケアの本は、歯科衛生士向けの専門書から、介護職向けの入門書まで幅があります。次の3つの視点で選びましょう。

①自分の職種の役割に合っているか

介護職は毎日の歯みがきや入れ歯の手入れ、看護師は全身状態をふまえた口腔の観察とケア、言語聴覚士は摂食嚥下や発声発語の評価と結びつけた口腔ケアが中心になります。自分の職種の目線で書かれた本を選ぶと、すぐに現場で使えます。

②患者さんの状態別のケアが載っているか

現場では、入れ歯の人、口を開けにくい人、口の中が乾燥している人、意識障害や認知症の人など、状態によってケアの方法が変わります。状態別の口腔ケアのポイントが載っている本を選ぶと、迷う場面が減ります。

③誤嚥のリスク管理に触れているか

口腔ケアは誤嚥性肺炎のリスクを下げる一方で、ケアのときに使う水を誤嚥してしまう危険もあります。嚥下機能が低下した人へのケアで、誤嚥をどう防ぐかまで扱っている本を選ぶと安心です。

介護職が口腔ケアの基本を学ぶ本2選

1. 介護者が知らないと困る口腔ケアの超基本

日本訪問歯科協会が監修した現代書林の本です(2026年6月発行・67ページ)。副題は「マンガ&オールカラーで学ぶ」。出版社の紹介では、2024年から介護の現場で「口腔衛生の管理」が義務化されたことが、執筆の背景として挙げられています。

ブラッシングのやり方から、入れ歯の清掃方法、口の機能を高める体操、認知症がある高齢者への口腔ケアまでを紹介しています。介護施設を舞台にしたマンガも収録されていて、67ページと短いので、忙しい介護職が最初に読む1冊に向いています。

2. 介護福祉士のための口腔ケアマニュアル

竹内一夫氏が編集し、日本介護福祉士会と日本口腔ケア学会が監修した口腔保健協会の本です(2022年8月発行・154ページ)。介護福祉士の団体と口腔ケアの学会が監修に関わった、介護職のための口腔ケアのマニュアルです。1の入門書で基本をつかんだあと、手技や知識をもう一段深めたい介護福祉士に向いています。

ちびウルフちびウルフ

介護職が口腔ケアをするとき、どこまでやっていいの?

リハウルフリハウルフ

歯みがきや入れ歯の清掃、口の中の汚れを取ることは、日々のケアとして介護職が行うことが多いよ。ただ、歯ぐきの腫れや出血、入れ歯が合わないといった変化に気づいたら、看護師や歯科に相談することが大切なんだ。

看護・リハ職が口腔ケアを深める本3選

3. 基礎から学ぶ口腔ケア 改訂第3版

日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック院長の菊谷武氏が監修した学研メディカル秀潤社の本です(2021年3月発行・231ページ)。副題は「口をまもる生命をまもる」。口腔ケアに必要な知識、基本の技術、患者さんの状態別の口腔ケアに欠かせない知識を、平易な文章と写真・イラストで解説しています。

看護師、介護士、歯科衛生士を読者に想定していて、改訂第3版では新しい情報が盛り込まれました。看護師が口腔ケアを体系的に学ぶ標準的な1冊です。

4. 看護・コメディカルの口腔ケア実践ハンドブック

歯科口腔外科の岩重洋介氏が編著したサイオ出版の本です(2022年7月発行・111ページ)。口腔の解剖、むし歯(う蝕)と歯周病の基礎知識、手技の実際をわかりやすく解説しています。

義歯を使っている人、意識障害のある人、口内炎のある人、口を開けにくい人、誤嚥性肺炎、口の中が乾燥している人、糖尿病、片麻痺、気道管理中の人など、患者さんの状態別の口腔ケアのポイントが整理されています。病院や施設だけでなく在宅でも使える、持ち歩きやすいハンドブックです。

5. 言語聴覚士が行う口腔ケア

日本口腔ケア学会言語聴覚士部会が編集し、牧野日和氏・夏目長門氏が編集代表を務めた新興医学出版社の本です(2025年6月発行・159ページ)。副題は「食べる・話す・生きるを支えるために」。生活ケアとしての口腔ケアを超えた、言語聴覚士だからこそできる口腔ケアをまとめています。

口腔ケアの評価と手技に加えて、摂食嚥下・発声発語・高次脳機能の評価、口腔ケアで使う道具を解説しています。口腔ケアを拒否する人、肺炎をくり返す人、口腔過敏や開口障害のある人、看取り期の家族対応など、現場で出合う悩ましい症例への対応が具体的です。急性期・回復期・老健・在宅のケーススタディもあります。

誤嚥を防ぐ安全な口腔ケアの本2選

6. 今日からできる!摂食嚥下・口腔ケア 改訂版

摂食・嚥下障害看護認定看護師の三鬼達人氏が編著した照林社の本です(2019年8月発行・168ページ)。急性期からリハビリ期まで、患者さんの状態を保ち、良くするために看護師が気をつけたい摂食嚥下ケアと口腔ケアを解説しています。

摂食嚥下ケアの基礎知識、嚥下の評価、口腔ケア、間接訓練、食事介助と直接訓練、患者さんの状態別の対応の6部構成です。オールカラーで、口腔ケアと食べる支援をセットで学びたい看護師に向いています。

7. 安心・安全・簡単!水を使わない口腔ケア

角保徳氏が編著した医歯薬出版の本です(2022年2月発行・164ページ)。口腔ケアは誤嚥性肺炎のリスクを下げる一方で、ケアのときの水で誤嚥や誤嚥性肺炎を起こす危険も指摘されています。この本は、口腔ケアで使う水をできるだけ減らして誤嚥のリスクを下げる「水を使わない口腔ケア」の手技を中心に解説しています。

手技とポイント、必要な器具、Q&A、困った症例、近隣の歯科医院による訪問診療まで扱い、手技がわかる症例動画も付いています。嚥下機能や痰を出す力が低下した要介護高齢者のケアに関わる人にとくにおすすめです。

ちびウルフちびウルフ

口腔ケアで誤嚥することもあるの?

リハウルフリハウルフ

あるんだ。うがいができない人の口の中に水を多く使うと、その水が気管に入ってしまうことがある。だから、嚥下の力が弱い人には、水を少なくする工夫や、頭の向きを調整するポジショニングが大切になるんだよ。

職種別の口腔ケアの本を読む順番

7冊すべてを読む必要はありません。職種ごとに、次の順番で読むと身につきやすくなります。

介護職の場合

  • 『介護者が知らないと困る口腔ケアの超基本』で、歯みがき・入れ歯・口の体操の基本を学ぶ
  • 職場の口腔ケアの手順と、看護師・歯科への報告のルールを確認する
  • 『介護福祉士のための口腔ケアマニュアル』で、手技と知識を深める

看護師の場合

  • 『基礎から学ぶ口腔ケア 改訂第3版』で、口腔ケアの知識と基本の技術を整理する
  • 『看護・コメディカルの口腔ケア実践ハンドブック』で、状態別のポイントを確認する
  • 嚥下障害の人が多い職場では『水を使わない口腔ケア』で誤嚥のリスク管理を学ぶ

言語聴覚士の場合

  • 『言語聴覚士が行う口腔ケア』で、STに求められる口腔ケアと評価を学ぶ
  • 担当する人の摂食嚥下の評価と口腔ケアの方法を、看護師・介護職と共有する
  • 歯科との連携が必要な人は、主治医やケアマネジャーに訪問歯科の利用を相談する
在宅では「誰が、いつやるか」を決める

訪問リハで担当する利用者さんの中には、口の中の汚れや入れ歯のトラブルに家族が気づいていない人が少なくありません。口腔ケアは1日の中で何度も必要になるため、家族・ヘルパー・訪問看護の誰が、いつ行うのかを決めておくことが大切です。気になる変化があれば、ケアマネジャーと相談して訪問歯科につなぎましょう。

よくある質問

口腔ケアの本は、最初に何を読めばいいですか?

介護職なら、マンガとオールカラーで基本を学べる『介護者が知らないと困る口腔ケアの超基本』がおすすめです。看護師は『基礎から学ぶ口腔ケア 改訂第3版』、言語聴覚士は『言語聴覚士が行う口腔ケア』から読みましょう。

入れ歯の手入れの方法を学べる本はありますか?

『介護者が知らないと困る口腔ケアの超基本』に入れ歯の清掃方法が載っています。『看護・コメディカルの口腔ケア実践ハンドブック』にも、義歯を使っている人の口腔ケアのポイントがあります。

口を開けてくれない人の口腔ケアを学べる本はありますか?

『看護・コメディカルの口腔ケア実践ハンドブック』に開口が難しい患者さんの口腔ケアがあり、『言語聴覚士が行う口腔ケア』には口腔過敏や開口障害、口腔ケアに消極的な人への対応がまとめられています。

「水を使わない口腔ケア」とは何ですか?

口腔ケアのときに使う水をできるだけ減らすことで、ケア中の誤嚥のリスクを下げる方法です。『安心・安全・簡単!水を使わない口腔ケア』で、手技や必要な器具、Q&Aを動画付きで学べます。

口腔ケアで誤嚥性肺炎は防げますか?

口腔ケアは、口の中の細菌を減らして誤嚥性肺炎のリスクを下げるとされています。ただし、口腔ケアだけで完全に防げるわけではなく、食事の姿勢や嚥下の評価、体力の維持などとあわせて取り組むことが大切です。

口腔ケアの道具を選ぶときの参考になる本はありますか?

『言語聴覚士が行う口腔ケア』に口腔ケアで使用する道具の章があり、『水を使わない口腔ケア』にも必要な器具がまとめられています。歯ブラシ選びはサイト内の高齢者向け歯ブラシの記事も参考にしてください。

歯科医師や歯科衛生士に相談したいときは、どうすればいいですか?

通院が難しい人は、訪問歯科を利用できる場合があります。担当のケアマネジャーや主治医に相談しましょう。施設に入所している人は、施設の協力歯科医療機関に相談できることがあります。

まとめ
  • 口腔ケアの本は、基本の手技と誤嚥のリスク管理の本を組み合わせる
  • 介護職は『介護者が知らないと困る口腔ケアの超基本』から始める
  • 看護師は『基礎から学ぶ口腔ケア 改訂第3版』で体系的に学ぶ
  • 言語聴覚士は『言語聴覚士が行う口腔ケア』で評価と手技を深める
  • 嚥下機能が低下した人には『水を使わない口腔ケア』で誤嚥を防ぐ
参考にした情報

※書籍の書名・版・出版社・発行年は、2026年11月3日時点の国立国会図書館サーチの書誌と各出版社の紹介ページで確認したものです。『介護福祉士のための口腔ケアマニュアル』は国立国会図書館サーチの書誌で確認しました。在庫や価格、新しい版の刊行状況は変わる可能性があるため、購入時に販売ページでご確認ください。口腔ケアの方法は、利用者さんの状態に合わせて歯科医師・歯科衛生士・主治医の指示のもとで行ってください。本の選び方や読み方、現場の事例に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理です。本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味