介護医療院の自立支援促進加算とは?

介護医療院の自立支援促進加算は、1月につき280単位です。介護医療院の加算のなかでは、月単位の加算として大きい部類に入ります。
要件の起点は医師による医学的評価です。条文は「医師が入所者ごとに、施設入所時に自立支援に係る医学的評価を行い」と定め、さらに「医師が自立支援に係る支援計画の策定等に参加していること」まで求めています。
リハビリを実施していれば算定できる加算ではありません。医師が評価し、医師が計画に加わることが条件です。
この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)介護医療院サービスのヰ、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第71号の4の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 自立支援促進加算の単位数(280単位/月)
- 医師による医学的評価が起点であること
- 3月に1回の評価見直しと計画見直しのサイクル
- 医師が支援計画の策定等に参加することが要件であること
- LIFEへの提出と活用が要件に含まれること
- 老健の同名加算(300単位)との違い
ちびウルフ介護医療院で「自立支援」というのは、少し違和感があります。
リハウルフその感覚は現場では自然だと思います。ただこの加算が求めているのは「元通りに歩けるようにする」ことではありません。寝たきりにしない、おむつを当てっぱなしにしない、離床の機会を作る。医学的にそれが可能かを医師が判断し、可能なら計画に落とす。その積み重ねを評価する加算です。
介護医療院の自立支援促進加算とは?
介護医療院の自立支援促進加算は、医師が入所者ごとに自立支援の可能性を医学的に評価し、その評価に基づいて多職種で支援計画を立て、実行することを評価する加算です。
介護医療院の入所者は、医療的な管理が必要で、状態も重い人が中心です。「この人はもう変わらない」という前提でケアが組まれやすい環境でもあります。
この加算は、その前提を医師の医学的評価という形で毎回問い直す仕組みだといえます。離床できるか、経口摂取を進められるか、排せつの自立を目指せるか。医学的に見て可能性があるなら、計画に落として実行する。それを3か月ごとに繰り返します。
自立支援促進加算の単位数
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位数 | 1月につき280単位 |
| 区分 | なし(1区分のみ) |
| 届出 | 必要(都道府県知事) |
| 施設 | 単位数 |
|---|---|
| 介護医療院 | 280単位/月 |
| 老健 | 300単位/月 |
| 特養・地域密着型特養 | 280単位/月 |
老健だけ20単位高く設定されています。在宅復帰を担う施設として、自立支援がより中心的な役割だという位置づけと読めます。
自立支援促進加算の算定要件
イ 医師が入所者ごとに、施設入所時に自立支援に係る医学的評価を行い、その後少なくとも3月に1回医学的評価の見直しを行うとともに、その医学的評価の結果等の情報を厚生労働省に提出し、自立支援の促進に当たって、当該情報その他必要な情報を活用していること。
ロ イの医学的評価の結果、自立支援の促進が必要であるとされた入所者ごとに、医師、看護職員、介護職員、介護支援専門員その他の職種の者が共同して、自立支援に係る支援計画を策定し、支援計画に従ったケアを実施していること。
ハ イの医学的評価に基づき、少なくとも3月に1回、入所者ごとに支援計画を見直していること。
ニ 医師が自立支援に係る支援計画の策定等に参加していること。
- 医師による入所時の医学的評価
- 少なくとも3月に1回の医学的評価の見直し
- LIFEへの提出と活用
- 多職種による支援計画の策定と、計画に従ったケアの実施
- 少なくとも3月に1回の支援計画の見直し
- 医師が支援計画の策定等に参加していること
自立支援促進加算の注意点
イで医師が医学的評価を行い、さらにニで「医師が自立支援に係る支援計画の策定等に参加していること」が別立ての要件として置かれています。
評価だけして計画作成はカンファレンス任せ、という運用では要件を満たしません。介護医療院には医師が常勤しているぶん満たしやすい要件ですが、カンファレンスの記録に医師の参加が残っているかを確認してください。
3月に1回のサイクル
- 入所時:医師が自立支援に係る医学的評価を行う
- 評価結果をLIFEへ提出する
- 促進が必要とされた人について、多職種で支援計画を策定(医師も参加)
- 計画に従ったケアを実施する
- 3月に1回:医学的評価を見直し、支援計画も見直す
「画一的な計画」では要件を満たさない
条文は「入所者ごとに」評価し、「入所者ごとに」計画を見直すことを求めています。全員に同じ内容の支援計画を配ったような運用は、実地指導で確認された際に説明できません。医学的評価の結果と支援計画の内容が個別に対応していることが必要です。
特別介護医療院サービス費では算定できない
注16により、特別介護医療院サービス費・ユニット型特別介護医療院サービス費を算定している場合は算定できません(ヰはその範囲に含まれます)。
排せつ支援加算との関係
排せつ支援加算(10〜20単位/月)も、医師または医師と連携した看護師の評価を起点とする加算です。条文上、両者の併算定を禁じる規定はありません。ただし評価と計画の内容が重なるため、記録をどう分けるかは整理が必要です。
自立支援促進加算のQ&A
リハビリを実施していれば算定できますか?
できません。医師による医学的評価と、多職種による支援計画の策定・実施・見直しが要件です。
医師はどこまで関与する必要がありますか?
入所時と3月に1回の医学的評価に加えて、支援計画の策定等に参加していることが独立した要件になっています。
評価と見直しの頻度は?
入所時に評価し、その後少なくとも3月に1回、医学的評価と支援計画の両方を見直します。
LIFEへの提出は必須ですか?
必須です。医学的評価の結果等の情報を提出し、自立支援の促進に活用することが要件です。
老健と単位数が違うのはなぜですか?
老健は300単位、介護医療院と特養は280単位です。施設の役割の違いを反映した設定と理解できます。
全員に同じ支援計画でもよいですか?
条文は入所者ごとの評価と計画を求めています。医学的評価の結果と対応した個別の内容が必要です。
排せつ支援加算と併算定できますか?
条文に明示的な禁止規定はありません。記録の整理方法を含め、取扱いは都道府県に確認してください。
届出は必要ですか?
必要です。都道府県知事に対して届出を行います。
- 自立支援促進加算は1月につき280単位(区分なし)
- 老健は300単位、特養は280単位
- 起点は医師による入所時の自立支援に係る医学的評価
- 少なくとも3月に1回、医学的評価を見直す
- 評価結果をLIFEへ提出し、活用すること
- 多職種が共同して支援計画を策定し、計画に従ったケアを実施すること
- 少なくとも3月に1回、支援計画を見直すこと
- 医師が支援計画の策定等に参加していることが独立した要件
- 画一的な計画では要件を満たさない
- 特別介護医療院サービス費では算定できない
- 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)別表 介護医療院サービスのヰ(自立支援促進加算)、ウ(排せつ支援加算)、注16(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第71号の4(自立支援促進加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
- 同 別表 介護保健施設サービスの自立支援促進加算(単位数の比較のため)(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および都道府県・保険者の解釈をご確認ください。医師の参加をどう記録するか、LIFEへの提出時期、排せつ支援加算との記録の整理については指定権者に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




