介護医療院の緊急時施設診療費とは?

介護医療院の緊急時施設診療費は、入所者の病状が著しく変化したときの医療行為を評価する費用です。2つで構成されています。
| 区分 | 算定額 | 限度 |
|---|---|---|
| 緊急時治療管理 | 518単位/日 | 1月に1回、連続する3日 |
| 特定治療 | 医科診療報酬点数表の点数 × 10円 | — |
緊急時治療管理の対象は「病状が重篤となり救命救急医療が必要となる場合」です。発熱や軽度の状態変化では算定できません。
この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)介護医療院サービスのツの条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 緊急時治療管理518単位と特定治療の2本立てであること
- 緊急時治療管理は1月1回・連続する3日が限度であること
- 「病状が重篤となり救命救急医療が必要となる場合」という対象
- 特定治療が医科診療報酬点数表を参照する仕組みであること
- 特定治療の対象から除かれるものがあること
- 特別診療費との違い
ちびウルフ介護医療院で救命救急というと、どういう場面ですか?
リハウルフ誤嚥性肺炎の急激な悪化、消化管出血、心不全の増悪などです。本来なら救急搬送する場面で、施設内で治療管理を続けるケースが想定されています。介護医療院には医師と看護職員がいるので、投薬・検査・注射・処置をその場で行えます。ただし3日が限度。それを超えるなら入院を検討する、という設計です。
介護医療院の緊急時施設診療費とは?
介護医療院の緊急時施設診療費は、入所者の病状が著しく変化したときに、緊急その他やむを得ない事情で行われる医療行為を評価する費用です。
介護医療院の基本報酬には、日常的な医学管理が含まれています。しかし急変時の治療は、その範囲を超えます。投薬、検査、注射、処置を集中的に行う場面や、手術・麻酔・放射線治療が必要になる場面です。
この費用は、そうした場面を包括報酬の外に出して評価する仕組みです。特養や老健にはない、介護医療院(および療養病床系)に固有の枠組みになっています。
緊急時施設診療費の単位数
(1) 緊急時治療管理(1日につき)518単位
1 入所者の病状が重篤となり救命救急医療が必要となる場合において、緊急的な治療管理としての投薬、検査、注射、処置等を行ったときに算定する。
2 同一の入所者について1月に1回、連続する3日を限度として算定する。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位数 | 518単位/日 |
| 限度 | 同一の入所者について1月に1回、連続する3日 |
| 最大 | 1,554単位 |
| 対象となる行為 | 緊急的な治療管理としての投薬、検査、注射、処置等 |
(2) 特定治療
医科診療報酬点数表第1章及び第2章において、高齢者の医療の確保に関する法律第57条第3項に規定する保険医療機関等が行った場合に点数が算定されるリハビリテーション、処置、手術、麻酔又は放射線治療(別に厚生労働大臣が定めるものを除く。)を行った場合に、当該診療に係る医科診療報酬点数表第1章及び第2章に定める点数に10円を乗じて得た額を算定する。
- 対象はリハビリテーション、処置、手術、麻酔、放射線治療
- 医科診療報酬点数表の点数を用いる
- 金額は点数 × 10円(特別診療費と同じく地域区分の影響を受けない)
- 別に厚生労働大臣が定めるものは除かれる
緊急時施設診療費の算定要件
緊急時治療管理の3つのポイント
- 病状が著しく変化した場合であること(条文の柱書き)
- 緊急その他やむを得ない事情により行われること
- 病状が重篤となり救命救急医療が必要となる場合であること
条文の文言は「病状が重篤となり救命救急医療が必要となる場合」です。日常的な発熱対応や、点滴を1本追加した程度では該当しません。
算定するなら、その日の病状、行った治療管理の内容、なぜ緊急だったのかを診療録に残す必要があります。限度が「1月に1回、連続する3日」と厳格なのも、この水準に見合う場面を想定しているからです。
特定治療は「除かれるもの」の確認が要る
特定治療の対象は、医科診療報酬点数表のリハビリテーション・処置・手術・麻酔・放射線治療ですが、「別に厚生労働大臣が定めるものを除く」とされています。
すべてが対象になるわけではありません。算定にあたっては、除外される項目を定めた告示を確認してください。
緊急時施設診療費の注意点
緊急時治療管理は連続する3日が限度です。飛び飛びの3日ではありません。
3日を超えて救命救急医療が必要な状態が続くなら、制度としては入院での対応を想定していると読めます。介護医療院は医師と看護職員が配置されていますが、集中治療を担う施設ではないためです。
協力医療機関との入院調整をどう進めるかは、平時に決めておく必要があります。(この整理は筆者の実務経験にもとづくものです)
特別診療費との違い
| 費用 | 対象 | 算定方法 |
|---|---|---|
| 特別診療費 | 日常的に必要な医療行為(指導管理、リハビリテーション等) | 定める単位数 × 10円 |
| 緊急時施設診療費 | 病状が著しく変化した場合の緊急の医療行為 | 緊急時治療管理518単位/日、特定治療は点数 × 10円 |
どちらも「10円を乗じる」方式が使われており、地域区分による単価の上乗せは効きません。
特別介護医療院サービス費との関係
注16が列挙する「算定しない加算」には「ソ」(特別診療費)が含まれていますが、「ツ」(緊急時施設診療費)は含まれていません。
条文の読み方としては、特別介護医療院サービス費を算定していても緊急時施設診療費は算定できることになります。ただし請求上の取扱いは都道府県に確認してください。
緊急時施設診療費のQ&A
発熱への対応でも算定できますか?
条文は「病状が重篤となり救命救急医療が必要となる場合」と定めています。通常の発熱対応は想定されていません。
緊急時治療管理は何日まで算定できますか?
同一の入所者について1月に1回、連続する3日が限度です。
飛び飛びの3日でも算定できますか?
「連続する3日」とされています。取扱いの詳細は都道府県に確認してください。
特定治療はどんな行為が対象ですか?
医科診療報酬点数表のリハビリテーション、処置、手術、麻酔、放射線治療です。ただし別に厚生労働大臣が定めるものは除かれます。
特定治療の金額はどう計算しますか?
医科診療報酬点数表に定める点数に10円を乗じて得た額です。
地域区分の上乗せはありますか?
ありません。「10円を乗じて得た額」と条文が定めています。
特別介護医療院サービス費でも算定できますか?
注16の列挙に「ツ」は含まれていません。ただし請求上の取扱いは都道府県に確認してください。
特養や老健にもありますか?
ありません。介護医療院(および療養病床系)に固有の仕組みです。
- 緊急時施設診療費は、緊急時治療管理と特定治療の2本立て
- 緊急時治療管理は1日518単位、1月に1回・連続する3日が限度
- 対象は「病状が重篤となり救命救急医療が必要となる場合」の投薬・検査・注射・処置等
- 特定治療は医科診療報酬点数表の点数×10円
- 特定治療の対象はリハビリテーション・処置・手術・麻酔・放射線治療
- ただし別に厚生労働大臣が定めるものは除かれる
- いずれも地域区分による単価の上乗せは効かない
- 3日を超えるなら入院での対応が想定されている
- 注16の列挙に「ツ」は含まれていない
- 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)別表 介護医療院サービスのツ(緊急時施設診療費)、ソ(特別診療費)、注16(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
- 高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)第57条第3項
※本記事は、厚生労働省の告示の条文にもとづいて整理したものです。特定治療の対象から除かれる項目は別の告示で定められており、本記事では確認できていないため具体名を挙げていません。算定にあたっては、必ず原文および都道府県・保険者の解釈をご確認ください。「連続する3日」の数え方、特別介護医療院サービス費を算定している場合の取扱い、医科診療報酬点数表の参照方法についても指定権者に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




