介護医療院の栄養管理の基準未達とは?

介護医療院で栄養管理の基準を満たさない場合は、1日につき14単位が所定単位数から減算されます。
この減算は、令和3年度改定で栄養管理が基本報酬に組み込まれたことに伴うものです。それまで加算だった栄養マネジメントが「やって当たり前」の業務になり、満たさなければ減算という形に変わりました。
基準は2つ。栄養士または管理栄養士の員数を置いていることと、介護医療院基準第20条の2(栄養管理)に適合していることです。
この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)介護医療院サービスの注7、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第100号の3、介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成30年厚生労働省令第5号)第4条・第20条の2の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 栄養管理の基準未達が1日14単位の減算であること
- 基準が「員数」と「栄養管理の内容」の2本立てであること
- この減算を受けていると算定できなくなる加算があること
- 栄養マネジメント強化加算との関係
- 率ではなく単位数で固定されていること
- 他の減算との比較
ちびウルフ14単位なら、そこまで大きくないのでは?
リハウルフ減算額そのものより、波及する範囲が問題です。この減算を受けていると、栄養マネジメント強化加算も、経口移行加算も、経口維持加算も、退所時栄養情報連携加算も、再入所時栄養連携加算も算定できません。
栄養関連の加算がまとめて止まります。14単位の減算より、算定できなくなる加算の合計のほうがはるかに大きい。
介護医療院の栄養管理の基準未達(14単位減算)とは?
介護医療院の栄養管理に係る減算は、入所者ごとの栄養管理を計画的に行う体制がない場合に、基本報酬が減額される仕組みです。
介護医療院の入所者は、経管栄養、嚥下調整食、療養食が必要な人が中心です。食べられる量が少しずつ減っていることに気づけるか、体重の変化を追えているか、食形態が今の嚥下機能に合っているか。これらは日々の観察と記録がなければ分かりません。
令和3年度改定で、この栄養管理は加算で評価する対象から、基本報酬に含まれる「当然行うべき業務」へと位置づけが変わりました。その結果として設けられたのが、この減算です。
栄養管理の基準未達の減算率(単位数)
栄養管理について、別に厚生労働大臣が定める基準を満たさない場合は、1日につき14単位を所定単位数から減算する。
| 規模 | 1日 | 1月(30日) | 1年 |
|---|---|---|---|
| 50床 | 700単位 | 21,000単位 | 約255,000単位 |
| 100床 | 1,400単位 | 42,000単位 | 約511,000単位 |
※入所者数×14単位で計算した概算です。安全管理体制未実施減算(5単位)と同じく、率ではなく単位数で固定されています。
栄養管理の基準未達の算定要件(基準)
告示95号第100号の3は、次の2つを求めています。
- 介護医療院基準第4条に定める栄養士又は管理栄養士の員数を置いていること
- 介護医療院基準第20条の2(第54条において準用する場合を含む)に規定する基準のいずれにも適合していること
| 基準 | 内容 |
|---|---|
| 第4条 | 人員に関する基準(栄養士・管理栄養士の員数) |
| 第20条の2 | 栄養管理(入所者ごとの栄養状態の把握と計画的な栄養管理) |
人を置いているだけでは足りず、栄養管理の中身も基準に適合している必要があります。逆に、栄養管理を丁寧に行っていても、員数を欠けば減算の対象になります。
栄養管理の基準未達の注意点
介護医療院の栄養関連加算には、条文に「イからヘまでの注7を算定している場合は、算定しない」というただし書きが置かれているものがあります。注7がこの14単位の減算です。
| 加算 | 単位数 | 注7を算定している場合 |
|---|---|---|
| 栄養マネジメント強化加算 | 11単位/日 | 算定できない |
| 経口移行加算 | 28単位/日 | 算定できない |
| 経口維持加算(Ⅰ) | 400単位/月 | 算定できない |
| 退所時栄養情報連携加算 | 70単位/回 | 算定できない |
| 再入所時栄養連携加算 | 200単位/回 | 算定できない |
14単位の減算を受けている状態は、栄養関連の加算をすべて失っている状態でもあります。影響は減算額だけでは測れません。
栄養マネジメント強化加算との順序
- まず栄養士・管理栄養士の員数を確保し、第20条の2の栄養管理に適合させる(=14単位の減算を受けない状態)
- そのうえで、管理栄養士を50対1(条件により70対1)で配置し、食事の観察やLIFE提出まで行う
- 栄養マネジメント強化加算(11単位/日)を算定する
減算を受けている段階では、強化加算の届出以前の問題です。
単位数で固定されている減算
| 減算 | 減算額 | 計算方法 |
|---|---|---|
| 身体拘束廃止未実施減算 | 所定単位数の10% | 率 |
| 業務継続計画未策定減算 | 所定単位数の3% | 率 |
| 高齢者虐待防止措置未実施減算 | 所定単位数の1% | 率 |
| 安全管理体制未実施減算 | 1日5単位 | 単位数(固定) |
| 栄養管理の基準未達 | 1日14単位 | 単位数(固定) |
介護医療院の減算は、率で計算するものと単位数で固定されているものが混在しています。請求システムの設定確認が必要です。
ユニット型も対象
第20条の2は第54条により準用されるため、ユニット型介護医療院も同じ基準が適用されます。
栄養管理の基準未達(14単位減算)のQ&A
減算額はいくらですか?
1日につき14単位です。率ではなく単位数で固定されています。
基準は何ですか?
介護医療院基準第4条の栄養士又は管理栄養士の員数を置いていること、および第20条の2の栄養管理に関する基準に適合していることの2つです。
栄養士を置いていれば減算されませんか?
員数を満たすだけでは足りません。第20条の2に規定する栄養管理の基準にも適合している必要があります。
この減算を受けると他の加算に影響しますか?
します。栄養マネジメント強化加算、経口移行加算、経口維持加算、退所時栄養情報連携加算、再入所時栄養連携加算が算定できなくなります。
栄養マネジメント強化加算との違いは?
減算は「栄養管理を行っていない場合」の引き下げ、強化加算は「基準を超えて手厚く行う場合」の上乗せです。減算を受けている状態では強化加算は算定できません。
ユニット型も対象ですか?
対象です。第54条により第20条の2が準用されます。
管理栄養士でなく栄養士でもよいですか?
基準は「栄養士又は管理栄養士の員数」としています。ただし栄養マネジメント強化加算は管理栄養士の配置が要件です。
減算はいつからいつまで続きますか?
基準を満たさない場合に減算されます。適用の開始・終了の取扱いは都道府県に確認してください。
- 栄養管理の基準を満たさない場合、1日14単位が減算される
- 率ではなく単位数で固定されている
- 基準は、栄養士・管理栄養士の員数(第4条)と栄養管理の内容(第20条の2)の2本立て
- 人を置いているだけでも、内容だけでも足りない
- この減算を受けていると、栄養関連の加算がまとめて算定できなくなる
- 栄養マネジメント強化加算、経口移行加算、経口維持加算、退所時栄養情報連携加算、再入所時栄養連携加算が対象
- 減算額より、算定できなくなる加算の合計のほうが影響が大きい
- ユニット型も第54条の準用により対象
- 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)別表 介護医療院サービスの注7、ヲ(栄養マネジメント強化加算)、ワ(経口移行加算)、カ(経口維持加算)、チ(退所時栄養情報連携加算)、リ(再入所時栄養連携加算)(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第100号の3(注7の厚生労働大臣が定める基準)(厚生労働省法令等データベース)
- 介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成30年厚生労働省令第5号)第4条(従業者の員数)、第20条の2(栄養管理)、第54条(準用)
※本記事の減算額・基準は、厚生労働省の告示・省令にもとづいて整理したものです。実際の取扱いにあたっては原文および都道府県・保険者の解釈をご確認ください。員数の算定方法、栄養管理の基準への適合性の判断、減算の適用期間については指定権者に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。本文中の減算額の試算は単位数を単純に計算した概算です。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




