介護医療院の経口移行加算は、1日につき28単位です。経管栄養から口で食べる生活へ戻していく取り組みを評価します。

算定できる期間は経口移行計画を作成した日から180日以内。ただしここには重要な例外があります。180日を超えても、経口摂取が一部可能で、医師の指示に基づき継続が必要とされる場合は、引き続き算定できます。「180日で打ち切り」ではありません。

この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)介護医療院サービスのワ、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第66号の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 経口移行加算の単位数(28単位/日)と算定期間
  • 180日を超えても算定を継続できる条件
  • 多職種で経口移行計画を作成することが要件であること
  • 栄養管理と支援を行う職種が指定されていること
  • 栄養管理の基準未達(14単位減算)では算定できないこと
  • 経口維持加算とは併算定できないこと
ちびウルフちびウルフ

180日を過ぎたら、もう算定できないんですよね?

リハウルフリハウルフ

そこが誤解されやすいところです。注2に「180日を超えた期間に行われた場合であっても、引き続き当該加算を算定できる」と明記されています。条件は、経口摂取が一部可能であることと、医師の指示に基づき継続が必要とされていること。嚥下の回復には時間がかかります。制度もそれを織り込んでいます。

介護医療院の経口移行加算とは?

介護医療院の経口移行加算は、経管栄養で過ごしている入所者について、口から食べる生活へ戻すための計画を多職種で作り、栄養管理と嚥下の支援を継続することを評価する加算です。

胃ろうや経鼻胃管が入ると、そのまま固定化されやすいのが実情です。誤嚥のリスクを考えれば、経管栄養を続けるほうが「安全」に見えるからです。しかし嚥下機能が残っている人にとって、口から食べられないことは生活の質を大きく損ないます。

この加算が評価しているのは、その固定化に対して、多職種で計画を立てて挑戦することです。医師の指示のもと、管理栄養士・言語聴覚士・看護職員が役割を分けて関わる構造になっています。

経口移行加算の単位数

項目内容
単位数1日につき28単位
算定期間経口移行計画を作成した日から起算して180日以内
180日超条件を満たせば引き続き算定できる
180日算定した場合5,040単位

経口移行加算の算定要件

別に厚生労働大臣が定める基準に適合する介護医療院において、医師の指示に基づき、医師、歯科医師、管理栄養士、看護師、介護支援専門員その他の職種の者が共同して、現に経管により食事を摂取している入所者ごとに経口による食事の摂取を進めるための経口移行計画を作成している場合であって、当該計画に従い、医師の指示を受けた管理栄養士又は栄養士による栄養管理及び言語聴覚士又は看護職員による支援が行われた場合は、当該計画が作成された日から起算して180日以内の期間に限り、1日につき所定単位数を加算する。ただし、イからヘまでの注7を算定している場合は、算定しない。

対象は「現に経管により食事を摂取している入所者」

胃ろう、経鼻胃管、腸ろうなど、経管栄養を行っている入所者が対象です。すでに経口摂取が中心の人は対象になりません(その場合は経口維持加算の領域です)。

関わる職種が条文で指定されている

役割担う職種
指示医師
計画の共同作成医師・歯科医師・管理栄養士・看護師・介護支援専門員その他の職種
栄養管理医師の指示を受けた管理栄養士または栄養士
支援言語聴覚士または看護職員

「言語聴覚士または看護職員」と限定されている点に注意してください。介護職員が食事介助を担っていても、この部分の要件は満たしません。

施設側の基準

告示95号第66号は、定員超過利用・人員基準欠如等の減算に該当していないことを定めています。

経口移行加算の注意点

180日を超えても算定できる条件

注2は次のように定めています。

「180日を超えた期間に行われた場合であっても、経口による食事の摂取が一部可能な者であって、医師の指示に基づき継続して経口による食事の摂取を進めるための栄養管理及び支援が必要とされるものに対しては、引き続き当該加算を算定できる」

条件は2つ。①経口摂取が一部可能であること、②医師の指示に基づき継続が必要とされていること。この2つを満たす限り、180日という期限で自動的に打ち切られるわけではありません。医師の指示の記録と、経口摂取の状況の記録を残してください。

算定できない場合

状況算定
栄養管理の基準を満たさず14単位の減算を受けている(注7)算定できない
経口維持加算(Ⅰ)を算定している経口維持加算の側で、経口移行加算を算定している場合は算定しないと定められている
特別介護医療院サービス費・ユニット型特別介護医療院サービス費(注16)算定できない

経口維持加算との関係

加算対象単位数
経口移行加算現に経管栄養の人を、経口へ移行させる28単位/日
経口維持加算(Ⅰ)現に経口摂取していて、摂食機能障害があり誤嚥が認められる人400単位/月

経管栄養から出発するのが経口移行加算、経口摂取を続けるための支援が経口維持加算という切り分けです。両方を同時に算定することはできません。

経口移行加算のQ&A

180日を過ぎたら算定できなくなりますか?

なりません。経口摂取が一部可能で、医師の指示に基づき継続が必要とされる場合は、引き続き算定できると注2に明記されています。

支援は介護職員が行ってもよいですか?

条文は「言語聴覚士又は看護職員による支援」と定めています。この部分は介護職員では要件を満たしません。

栄養管理は栄養士でもよいですか?

「医師の指示を受けた管理栄養士又は栄養士」とされているため、栄養士でも要件を満たします。

経口維持加算と両方算定できますか?

できません。経口維持加算(Ⅰ)の注に、経口移行加算を算定している場合は算定しないと定められています。

起算日はいつですか?

経口移行計画が作成された日です。経管栄養が始まった日ではありません。

計画は誰が作りますか?

医師の指示に基づき、医師・歯科医師・管理栄養士・看護師・介護支援専門員その他の職種が共同して作成します。

栄養管理の減算を受けていても算定できますか?

できません。注7(1日14単位の減算)を算定している場合は算定できません。

特別介護医療院サービス費でも算定できますか?

できません。注16により算定できない加算に含まれています。

まとめ
  • 経口移行加算は1日28単位
  • 対象は現に経管により食事を摂取している入所者
  • 算定期間は経口移行計画を作成した日から180日以内
  • 180日を超えても、経口摂取が一部可能で医師の指示があれば継続して算定できる
  • 計画は医師の指示に基づき多職種が共同して作成する
  • 栄養管理は管理栄養士または栄養士、支援は言語聴覚士または看護職員が行う
  • 栄養管理の基準未達(1日14単位減算)では算定できない
  • 経口維持加算とは併算定できない
  • 特別介護医療院サービス費では算定できない
参考にした情報
  • 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)別表 介護医療院サービスのワ(経口移行加算)、カ(経口維持加算)、注7、注16(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第66号(経口移行加算の基準)、第67号(経口維持加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および都道府県・保険者の解釈をご確認ください。180日を超えて算定する場合の記録の残し方、計画作成に加わる職種の範囲については指定権者に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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