介護医療院の排せつ支援加算とは?

介護医療院の排せつ支援加算は、(Ⅰ)10単位、(Ⅱ)15単位、(Ⅲ)20単位(いずれも1月につき)です。3区分あり、同時に算定することはできません。
この加算の特徴は、(Ⅱ)と(Ⅲ)に「成果」が要件として入っていることです。排尿・排便の状態が改善した、おむつを使わなくなった、尿道カテーテルが抜去された。取り組んだかどうかではなく、結果が出たかどうかで区分が上がります。
この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)介護医療院サービスのウ、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第71号の3の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 排せつ支援加算(Ⅰ)10単位・(Ⅱ)15単位・(Ⅲ)20単位という単位数
- 3区分は同時に算定できないこと
- (Ⅰ)の基本要件(評価・LIFE提出・支援計画・3月ごとの見直し)
- (Ⅱ)(Ⅲ)で求められる成果要件の中身
- 評価を行うのが「医師又は医師と連携した看護師」であること
- 介護医療院で成果を出す難しさ
ちびウルフ介護医療院で、おむつを外せる人なんているんですか?
リハウルフ多くはありません。ただ「入院中に膀胱留置カテーテルが入ったまま、抜けるかを誰も検討していない」という人は実際にいます。入院を経て介護医療院に来た人ほど、その可能性があります。要件の「尿道カテーテルが抜去された」は、そこを見にいけという趣旨だと読めます。
介護医療院の排せつ支援加算とは?
介護医療院の排せつ支援加算は、排せつに介護を要する入所者について、原因を分析して支援計画を立て、状態の改善に継続的に取り組むことを評価する加算です。
排せつの自立は、本人の尊厳に最も直結する部分です。おむつを使うかトイレに行けるかで、日中の過ごし方も、皮膚トラブルの起こりやすさも変わります。
一方で、施設に入ると「安全のため」「人手がないため」おむつ対応で固定されやすいのも事実です。この加算は、その固定化に対して、医師や看護師の医学的な評価から入り直すことを求めています。
排せつ支援加算の単位数
| 区分 | 単位数 | 性格 |
|---|---|---|
| 排せつ支援加算(Ⅰ) | 10単位/月 | 評価・計画・見直しのプロセス |
| 排せつ支援加算(Ⅱ) | 15単位/月 | (Ⅰ)+成果(3つのうちいずれか) |
| 排せつ支援加算(Ⅲ) | 20単位/月 | (Ⅰ)+成果(2つを満たす) |
注のただし書きにより、3区分のうち算定できるのは1つだけです。
排せつ支援加算の算定要件
(Ⅰ)の3要件
- 入所者ごとに、要介護状態の軽減の見込みについて、医師又は医師と連携した看護師が入所時に評価し、その後少なくとも3月に1回評価するとともに、その結果等の情報を厚生労働省に提出し、排せつ支援の実施に当たって活用していること
- 評価の結果、排せつに介護を要する入所者であって、適切な対応により要介護状態の軽減が見込まれる者について、医師・看護師・介護支援専門員その他の職種が共同して、排せつに介護を要する原因を分析し、それに基づいた支援計画を作成し、計画に基づく支援を継続して実施していること
- 評価に基づき、少なくとも3月に1回、支援計画を見直していること
(Ⅱ)の成果要件
(Ⅰ)の要件に加えて、次のいずれかに適合することが必要です。
| 成果の内容 | |
|---|---|
| (一) | 要介護状態の軽減が見込まれる者について、入所時と比較して排尿又は排便の状態の少なくとも一方が改善し、いずれにも悪化がないこと |
| (二) | 入所時におむつを使用していた者であって軽減が見込まれるものについて、おむつを使用しなくなったこと |
| (三) | 入所時に尿道カテーテルが留置されていた者であって軽減が見込まれるものについて、尿道カテーテルが抜去されたこと |
(Ⅲ)の成果要件
(Ⅰ)の3要件に加えて、(Ⅱ)の(一)と(二)の両方に適合することが必要です。排尿・排便の状態が改善し、かつ、おむつを使用しなくなったという2つの成果が求められます。
排せつ支援加算の注意点
評価を行う職種が条文で限定されています。介護職員や介護支援専門員だけで評価しても要件を満たしません。
介護医療院には医師が常勤しているため、この点は他の施設より満たしやすい環境です。逆に言えば、医師の関与を記録に残せるかが問われます。「要介護状態の軽減が見込まれるか」という判断を、誰がいつ行ったかを明確にしてください。
3月に1回のサイクルを回す
- 入所時に、医師または医師と連携した看護師が評価する
- 評価結果をLIFEへ提出する
- 軽減が見込まれる人について、原因を分析し支援計画を作成する
- 計画に基づく支援を継続して実施する
- 3月に1回、評価し直して計画を見直す
成果が出なくても(Ⅰ)は算定できる
(Ⅱ)(Ⅲ)は成果要件ですが、(Ⅰ)はプロセスのみの要件です。改善に至らなくても、評価・計画・見直しを継続していれば(Ⅰ)10単位は算定できます。
特別介護医療院サービス費では算定できない
注16により、特別介護医療院サービス費・ユニット型特別介護医療院サービス費を算定している場合は算定できません(ウはその範囲に含まれます)。
自立支援促進加算との関係
介護医療院には、自立支援促進加算(280単位/月)もあります。こちらは医師による医学的評価を起点に、離床・栄養・排せつ・褥瘡などを含む自立支援全体の計画を求める加算です。
排せつ支援加算とは別の加算で、条文上の併算定禁止規定はありません。ただし評価や計画の内容が重なるため、記録の整理方法を都道府県に確認しておくと安全です。
排せつ支援加算のQ&A
3区分は同時に算定できますか?
できません。いずれか1つのみです。
成果が出なければ算定できませんか?
(Ⅰ)10単位は成果を要件としていません。評価・計画・見直しを継続していれば算定できます。
誰が評価するのですか?
医師又は医師と連携した看護師です。介護職員のみでは要件を満たしません。
評価の頻度は?
入所時と、その後少なくとも3月に1回です。支援計画の見直しも少なくとも3月に1回行います。
(Ⅲ)はどんな場合に算定できますか?
(Ⅰ)の要件に加えて、排尿・排便の状態の改善(悪化なし)と、おむつを使用しなくなったことの両方を満たす場合です。
尿道カテーテルの抜去だけでは(Ⅲ)になりますか?
なりません。カテーテル抜去は(Ⅱ)の要件の一つです。(Ⅲ)は(一)と(二)の両方が必要です。
LIFEへの提出は必須ですか?
必須です。評価結果等の情報を厚生労働省へ提出し、支援の実施に活用することが要件です。
自立支援促進加算と併算定できますか?
条文に明示的な禁止規定はありません。記録の整理方法を含め、取扱いは都道府県に確認してください。
- 排せつ支援加算は(Ⅰ)10単位・(Ⅱ)15単位・(Ⅲ)20単位(1月につき)
- 3区分のうち算定できるのは1つだけ
- (Ⅰ)は評価・LIFE提出・支援計画・3月ごとの見直しというプロセス要件
- 評価は医師又は医師と連携した看護師が行う
- (Ⅱ)は成果要件が加わる(排尿排便の改善/おむつ不使用/カテーテル抜去のいずれか)
- (Ⅲ)は排尿排便の改善とおむつ不使用の両方が必要
- 成果が出なくても(Ⅰ)は算定できる
- 特別介護医療院サービス費では算定できない
- 届出先は都道府県知事
- 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)別表 介護医療院サービスのウ(排せつ支援加算)、ヰ(自立支援促進加算)、注16(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第71号の3(排せつ支援加算の基準)、第71号の4(自立支援促進加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および都道府県・保険者の解釈をご確認ください。改善の判定方法、LIFEへの提出時期、自立支援促進加算との記録の整理については指定権者に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




