先に結論をお伝えします。生活援助従事者研修は、掃除・洗濯・調理などの生活援助が中心の訪問介護に従事するための研修で、合計59時間です。初任者研修(130時間)より短く取れる一方、修了者が従事できるのは生活援助中心型の訪問介護だけで、身体介護はできません。

この記事では、生活援助従事者研修のカリキュラム・できること・初任者研修との違いを、厚生労働省の告示と解釈通知の原文を確認して整理しました。

この記事でわかること
  • 生活援助従事者研修とはどんな研修か
  • 59時間のカリキュラムの内訳
  • 修了するとできること・できないこと
  • 初任者研修との違い
  • どちらの研修を選ぶべきか

生活援助従事者研修とは?

生活援助従事者研修は、平成30年度に新設された介護員養成研修の課程です(介護保険法施行規則第22条の23)。告示では、その目的を「生活援助が中心である指定訪問介護に従事する職員が行う業務に関する知識及び技術を習得すること」としています(平成24年厚生労働省告示第71号)。

修了者は、介護保険法施行令第3条の「養成研修修了者」として、訪問介護員になれます。ただし、解釈通知(老企第25号)では「生活援助中心型のみに従事することができる」とされています。

生活援助従事者研修のカリキュラム(59時間)

科目生活援助従事者研修初任者研修
職務の理解2時間6時間
介護における尊厳の保持・自立支援6時間9時間
介護の基本4時間6時間
介護・福祉サービスの理解と医療との連携3時間9時間
介護におけるコミュニケーション技術6時間6時間
老化と認知症の理解9時間12時間(老化の理解6・認知症の理解6)
障害の理解3時間3時間
こころとからだのしくみと生活支援技術24時間75時間
振り返り2時間4時間
合計59時間130時間
修了評価筆記試験(30分程度)筆記試験(1時間程度)

生活援助従事者研修では、「こころとからだのしくみと生活支援技術」の中で移動・移乗に関連した実習を2時間実施することとされています。差が大きいのはこの科目で、初任者研修は75時間かけて身体介護の技術まで学びます。

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59時間なら、初任者研修より生活援助の研修のほうがお得じゃない?

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時間は半分以下ですが、できる仕事も限られます。生活援助だけの利用者さんに入ることになるので、事業所によっては担当できる件数が少ないこともあります。長く介護の仕事を続けるつもりなら、最初から初任者研修を取るほうが選択肢は広がりますよ。

修了するとできること・できないこと

  • できること:生活援助中心型の訪問介護(掃除・洗濯・調理・買い物など)
  • できないこと:排せつ・入浴・食事の介助などの身体介護
  • 最初の訪問:訪問介護に従事したことがない人は、初回訪問時にサービス提供責任者が同行するなどのOJTで支援を受ける(老企第25号)

解釈通知では、生活援助従事者研修修了者が所属する事業所のサービス提供責任者は、その訪問介護員が生活援助中心型しか提供できないことをふまえ、「生活援助中心型のみ利用している利用者に対する指定訪問介護に従事させること」などの業務管理を行うこととされています。

また、訪問介護の特定事業所加算で介護福祉士等の割合を計算する際、生活援助従事者研修修了者は0.5を乗じて算出するとされています(老企第36号)。加算の要件は訪問介護の特定事業所加算とは?で解説しています。

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初任者研修との違い

項目生活援助従事者研修介護職員初任者研修
時間数59時間130時間
従事できる訪問介護生活援助中心型のみ身体介護・生活援助
施設・デイサービスで介護の基礎を学んだ人として働ける介護の基礎を学んだ人として働ける
認知症介護基礎研修受講義務の対象外受講義務の対象外
実務者研修の受講時間修了している研修による免除はスクールに確認320時間に短縮

認知症介護基礎研修の対象外になる点は、どちらも同じです(老企第25号)。生活援助として行えることの範囲は、訪問介護でできないこと一覧と同居家族がいると生活援助は使えない?もあわせて確認してください。

どちらの研修を選ぶべきか

  • 生活援助従事者研修が向いている人:家事の経験を活かして、短時間だけ訪問介護で働きたい人。身体介護を行う予定がない人
  • 初任者研修が向いている人:介護の仕事を長く続けたい人、施設や訪問で身体介護もしたい人、将来介護福祉士を目指す人

迷ったら、働きたい事業所に「生活援助従事者研修修了者を受け入れているか、担当できる件数はどのくらいか」を先に聞いておくと判断しやすくなります。介護の資格の全体像は介護・福祉の資格おすすめ10選で比べられます。

よくある質問

生活援助従事者研修は何時間ですか?

合計59時間です。これとは別に、筆記試験による修了評価(30分程度)があります。

生活援助従事者研修で身体介護はできますか?

できません。解釈通知では、生活援助従事者研修修了者は生活援助中心型のみに従事することができるとされています。

生活援助従事者研修と初任者研修はどちらがいいですか?

身体介護もしたい人や、介護の仕事を長く続けたい人は初任者研修が向いています。家事の経験を活かして生活援助だけを担当したい人は、生活援助従事者研修も選択肢になります。

施設で働くときに役立ちますか?

施設の介護職は無資格でも働ける場合がありますが、生活援助従事者研修の修了者は、認知症介護基礎研修の受講義務の対象外になります。身体介護の技術は初任者研修ほど学ばない点に注意してください。

修了後すぐに一人で訪問できますか?

訪問介護に従事したことがない人については、初回訪問時にサービス提供責任者が同行するなどのOJTで支援を行うこととされています。

まとめ
  • 生活援助従事者研修は、生活援助中心の訪問介護に従事するための59時間の研修
  • 修了者が従事できるのは生活援助中心型のみ。身体介護はできない
  • 初任者研修(130時間)との差は、主に生活支援技術の時間数
  • 初回訪問はサ責の同行などで支援。特定事業所加算では0.5人で計算
  • 長く介護の仕事を続けるなら、初任者研修のほうが選択肢が広がる
参考にした情報

※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。カリキュラムと時間数は告示第71号、従事できる範囲と事業所の対応は老企第25号、特定事業所加算での計算は老企第36号にもとづいて整理しています(2026年10月確認)。研修の受講料や開講状況はスクール・都道府県によって異なります。研修の選び方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理です。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味