結論から書きます。介護・福祉の資格は数が多く見えますが、実際に効く順番はほぼ1本道です。無資格で入職 →「介護職員初任者研修」(130時間) → 実務経験3年+「実務者研修」(450時間) →「介護福祉士」→ 5年で「ケアマネジャー」。ここに、職場や利用者に合わせて喀痰吸引等研修や福祉用具専門相談員などを足していく形になります。第28回のケアマネ試験合格者12,961人のうち64.1%が介護福祉士だったという厚生労働省の集計が、この道筋を裏づけています。

この記事では、介護保険法施行令・施行規則、社会福祉士及び介護福祉士法とその指定規則、厚生労働省の試験結果発表の原文を確認して整理しました。「未経験から取りやすい順」と「取ったあと何ができるようになるか」をセットで並べます。研修時間数や受験資格は民間サイトごとに数字がぶれやすい部分なので、根拠となる法令名まで書いています。

この記事でわかること

  • 未経験から取りやすい介護・福祉の資格10選と、その順番
  • 初任者研修130時間・実務者研修450時間・生活援助従事者研修59時間の法令上の根拠
  • 初任者研修を先に取ると、実務者研修が320時間に減る仕組み
  • 介護福祉士の受験資格3ルートと、第38回国家試験の合格率
  • ケアマネジャーの受験資格「通算5年以上」の正確な中身
  • 無資格で働く場合に義務づけられる認知症介護基礎研修
  • 喀痰吸引等研修の第1号・第2号・第3号の違い
  • 資格手当や配置要件につながりやすい資格の見分け方
ちびウルフちびウルフ

資格がありすぎて、どれから取ればいいのか分からないよ。

リハウルフリハウルフ

迷ったら介護福祉士に一直線でいいです。配置要件にも加算にも資格手当にも効くのは、結局この国家資格。他の研修は「その職場で必要になったら足す」で間に合います。

介護・福祉の資格おすすめ10選の全体像

まず地図を出します。下の表が、この記事で扱う10の資格・研修です。区分は「国家資格」「都道府県が指定する研修」「事業所に義務づけられた研修」に分かれます。

資格・研修区分目安未経験
①介護に関する入門的研修研修21時間
②認知症介護基礎研修義務研修eラーニング中心
③生活援助従事者研修都道府県指定59時間
④介護職員初任者研修都道府県指定130時間
⑤介護福祉士実務者研修都道府県指定450時間
⑥介護福祉士国家資格実務3年+実務者研修
⑦喀痰吸引等研修都道府県登録第1〜3号
⑧福祉用具専門相談員指定講習指定講習修了
⑨同行援護従業者養成研修都道府県指定一般課程・応用課程
⑩社会福祉士国家資格養成課程+国家試験

ケアマネジャー(介護支援専門員)は⑥や⑩を取った先にあるため、後半の見出しで別に扱います。

未経験から取りやすい介護の資格【①〜④】

①介護に関する入門的研修(21時間)

介護分野への入り口として設けられた21時間の研修です。1日3時間の分割受講や1週間での修了ができます。ただしこれを修了しても訪問介護員としては従事できません。施設系で働き始めるきっかけ、あるいは家族介護のための知識づけと考えるのが実態に近いです。

②認知症介護基礎研修(無資格者には義務)

令和6年4月1日から、介護に直接携わる職員のうち医療・福祉関係の資格を持たない人には、この研修の受講が義務づけられています。新規採用・中途採用を問わず、採用後1年の猶予期間内に受講させることになっています。無資格で働き始める場合、これは「取るか取らないか」ではなく必ず通る道です。多くの都道府県でeラーニングでの受講が可能です。

③生活援助従事者研修(59時間)

掃除・洗濯・調理といった生活援助中心型の訪問介護に従事するための研修です。介護保険法施行令第3条にもとづく介護員養成研修の一つで、59時間のうち一定範囲は通信で学べます。身体介護中心型の訪問介護には従事できないため、訪問介護をやるなら初任者研修まで進むのが基本です。

④介護職員初任者研修(130時間)

いわゆる旧ヘルパー2級に相当する、介護職の基礎資格です。介護保険法施行規則第22条の23で研修課程が定められ、内容は「施行規則第22条の23第2項に規定する厚生労働大臣が定める基準」(平成18年厚生労働省告示第219号)以上とされています。130時間で、修了すれば身体介護を含む訪問介護に従事できます。

初任者研修を先に取ると、実務者研修は320時間で済む

実務者研修は450時間ですが、初任者研修修了者は130時間分が免除され、残り320時間の受講になります。トータルの学習時間は変わらないので、「介護を続ける確信がある人は実務者研修から直接」「まず働けるようになりたい人は初任者研修から」という選び方になります。介護未経験でも実務者研修は受講できます。

介護福祉士とその手前の資格【⑤⑥】

⑤介護福祉士実務者研修(450時間)

介護福祉士国家試験を実務経験ルートで受けるための必須研修です。時間数は社会福祉士介護福祉士養成施設等指定規則の別表第四の二に定められており、20科目・合計450時間。内訳の一例は、生活支援技術Ⅰ・Ⅱで50時間、介護過程Ⅰ〜Ⅲで90時間、こころとからだのしくみⅠ・Ⅱで80時間、医療的ケア50時間です。介護過程Ⅲと医療的ケアの演習は面接授業(スクーリング)で行うことが省令上の要件で、ここは通信では完結しません。

⑥介護福祉士(国家資格)

介護分野で唯一の業務に関する国家資格です。社会福祉士及び介護福祉士法第2条2項は、介護福祉士を「専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引その他…医師の指示の下に行われるものを含む)を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者」と定義しています。

受験資格は法第40条2項に列挙されており、実務上は次の3ルートです。

ルート要件根拠
実務経験ルート3年以上の実務経験+実務者研修の修了法第40条2項5号
養成施設ルート指定養成施設で2年以上(1,850時間)の課程を修了法第40条2項1号・指定規則別表第四
福祉系高校ルート指定を受けた高校等で3年以上(53単位)の課程を修了法第40条2項4号・指定規則別表第五

第38回介護福祉士国家試験(令和8年1月25日実施)は、受験者78,469人・合格者54,987人・合格率70.1%でした(厚生労働省 令和8年3月16日発表)。7割が受かる試験です。落ちる試験ではなく、受験資格を満たすまでが本番だと考えてください。

ちびウルフちびウルフ

「実務経験3年」って、パートでも数えていいの?

リハウルフリハウルフ

雇用形態は問いません。ただし社会福祉振興・試験センターの受験要件では、従業期間3年(1,095日)以上と従事日数540日以上の両方を満たす必要があります。週2日勤務だと3年では届かないので、勤務日数の記録は最初から自分で残しておいてください。事業所が変わると証明書集めが一気に面倒になります。

職場に合わせて足す資格【⑦〜⑨】

⑦喀痰吸引等研修

介護職員が医師の指示の下に行える医行為を学ぶ研修です。対象となる行為は社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第1条に5つ列挙されています。

  • 口腔内の喀痰吸引
  • 鼻腔内の喀痰吸引
  • 気管カニューレ内部の喀痰吸引
  • 胃ろう又は腸ろうによる経管栄養
  • 経鼻経管栄養

研修は3区分あります。第1号研修は不特定多数の利用者に対して5行為すべて、第2号研修は不特定多数に対して実地研修を修了した行為のみ、第3号研修は特定の利用者に対して実地研修を修了した行為のみが対象です(同規則附則第4条)。特定の重度利用者を担当するために第3号から入るケースは現場でよくあります。

⑧福祉用具専門相談員

福祉用具貸与・販売の事業所に配置が必要な職種です。介護保険法施行令第4条1項は、保健師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士・義肢装具士のいずれか、または都道府県知事が指定する福祉用具専門相談員指定講習の修了者と定めています。介護福祉士を持っていれば講習なしで名乗れる点は意外と知られていません。

⑨同行援護従業者養成研修

視覚障害により移動に著しい困難がある人に同行し、移動に必要な情報提供・移動の援護・排せつや食事の介護などを行うための研修です(障害者(児)ホームヘルパー養成研修事業実施要綱)。一般課程と応用課程があり、同行援護に従事するには一般課程の修了が必要です。介護保険ではなく障害福祉サービスの分野なので、介護保険一本でキャリアを組む人には縁が薄い一方、求人の幅を広げたい人には効きます

相談援助・管理職につながる資格【⑩とケアマネ】

⑩社会福祉士

相談援助を業とする国家資格です(社会福祉士及び介護福祉士法第2条1項)。生活相談員や支援相談員の任用要件として挙げられることが多く、地域包括支援センターの3職種の一つでもあります。介護現場から相談職・管理職へ進みたい人の到達点になります。

介護支援専門員(ケアマネジャー)

受験資格は介護保険法施行規則第113条の2に定められています。ポイントは「通算して5年以上」という書き方です。

  • 医師・看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士など21の法定資格に基づき、その資格に係る業務に従事した期間
  • 老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院などの相談援助業務に従事した期間

この2つを通算して5年以上です。なお各都道府県の受験要項では、これに加えて従事日数900日以上を求めるのが一般的です(法令ではなく実施要項による運用。確度中)。

第28回試験(令和7年10月12日実施)の結果は、受験者50,601人・合格者12,961人・合格率25.6%。合格者の職種別内訳は介護福祉士が8,310人で64.1%、看護師・准看護師16.2%、社会福祉士6.6%、理学療法士4.8%でした。第27回の合格率32.1%から下がっています。

「取れば給料が上がる資格」の見分け方

資格手当が付きやすいのは、法令上の配置要件や加算要件に名前が出てくる資格です。介護福祉士は介護職員等処遇改善加算の要件やサービス提供体制強化加算の算定要件に直接効きます。福祉用具専門相談員は事業所の配置義務そのものです。逆に、名称に「◯◯士」「◯◯マイスター」とあっても法令に登場しない民間資格は、手当につながりにくい。受講前に「その資格が省令・告示のどこに出てくるか」を検索してみてください。出てこなければ、趣味と割り切る判断も必要です。

資格取得の順番|3年で介護福祉士に届く進め方

  • 無資格で入職する場合は、採用後1年以内に認知症介護基礎研修を受ける(事業所の義務)
  • 働きながら介護職員初任者研修(130時間)を修了し、身体介護に入れるようにする
  • 勤務日数を自分で記録し始める(実務経験証明書のために必須)
  • 実務2年目に入ったら実務者研修(初任者研修修了者は320時間)を開始する
  • 実務経験3年・従事日数540日を満たした年度に介護福祉士国家試験を受験する
  • 介護福祉士取得後、必要に応じて喀痰吸引等研修や認知症介護実践者研修を足す
  • 介護福祉士としての実務が5年に達したらケアマネジャー試験を受ける

現場で見ていて多い失敗は、実務経験証明書の段階でつまずくパターンです。事業所が倒産・統合していると証明書が取りにくく、受験申込に間に合わないことがあります。在籍中に「何年何月から何日勤務したか」を自分の手元に残すだけで、この事故は防げます。

よくある質問

無資格・未経験でも介護の仕事に就けますか?

就けます。ただし訪問介護員としては従事できず、施設系の介護職員としての勤務になります。また令和6年4月1日以降、医療・福祉関係の資格を持たない人は、採用後1年以内に認知症介護基礎研修を受講することが事業所に義務づけられています。

初任者研修と実務者研修、どちらから受けるべきですか?

介護を続ける前提があるなら実務者研修から直接受けるほうが早いです。初任者研修を先に取ると実務者研修は320時間に短縮されますが、合計の学習時間は変わりません。一方、初任者研修のほうが期間・費用の負担が軽く、修了後すぐ訪問介護に入れるため、まず働きたい人には向いています。

実務者研修は通信だけで修了できますか?

できません。省令(社会福祉士介護福祉士養成施設等指定規則 別表第四の二の備考)で、介護過程Ⅲは面接授業により行うこと、医療的ケアの演習は面接授業とすることが定められています。通信課程でもスクーリングは必須です。

介護福祉士の「実務経験3年」は何をもって数えますか?

指定試験機関である社会福祉振興・試験センターが示す要件では、従業期間3年(1,095日)以上と従事日数540日以上の両方を満たす必要があります。雇用形態は問いません。複数の事業所での経験を合算できますが、それぞれの事業所から実務経験証明書の交付を受ける必要があります。

介護福祉士国家試験の難易度はどれくらいですか?

第38回(令和8年1月実施)は受験者78,469人・合格者54,987人・合格率70.1%でした。合格率は近年おおむね7割台で推移しています。受験資格を満たすまでの実務3年と実務者研修450時間のほうが、実質的なハードルです。

ケアマネの受験資格にある「5年」は介護福祉士を取ってからの5年ですか?

その資格に基づいて業務に従事した期間です。介護福祉士の場合、登録後に介護業務に従事した期間が対象になります。無資格時代の勤務は法定資格に基づく期間には算入されません(相談援助業務として別枠で算入できる場合があります)。詳しくは受験する都道府県の実施要項を確認してください。

喀痰吸引等研修は介護福祉士でも必要ですか?

必要です。介護福祉士の養成課程や実務者研修で医療的ケア(講義・演習)を修了していても、実地研修を修了していない行為は実施できません。実地研修の修了状況は介護福祉士の登録事項にも記載されます。

資格を取ると給料はどれくらい変わりますか?

厚生労働省の令和6年度介護従事者処遇状況等調査では、保有資格別の平均給与額は介護福祉士350,050円、実務者研修327,260円、初任者研修324,830円、資格なし290,620円でした。介護福祉士と資格なしの差は月約6万円です。

民間資格は取る意味がありますか?

職場での役割づくりには役立ちますが、資格手当や配置要件には結びつきにくいのが実情です。判断基準は「その資格名が省令・告示・通知に出てくるか」。出てこない資格は、必要になってからで間に合います。

福祉用具専門相談員の講習は誰でも受けられますか?

受講要件は特にありません。都道府県知事が指定する事業者の講習を修了すれば従事できます。ただし保健師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士・義肢装具士のいずれかを持っている人は、講習を受けなくても福祉用具専門相談員として配置できます(介護保険法施行令第4条1項)。

まとめ

  • 介護の資格は「初任者研修→実務者研修→介護福祉士→ケアマネ」がほぼ1本道
  • 介護に関する入門的研修は21時間だが、訪問介護員としては従事できない
  • 無資格で介護に従事する人は、採用後1年以内に認知症介護基礎研修が義務(令和6年4月〜)
  • 生活援助従事者研修は59時間。訪問介護は生活援助中心型のみ従事可能
  • 介護職員初任者研修は130時間。根拠は介護保険法施行規則第22条の23と平成18年告示第219号
  • 実務者研修は450時間(指定規則 別表第四の二)。うち医療的ケアが50時間
  • 初任者研修修了者は130時間免除され、実務者研修は320時間になる
  • 介護過程Ⅲと医療的ケアの演習は面接授業。通信だけでは修了できない
  • 介護福祉士の受験は実務経験・養成施設・福祉系高校の3ルート(法第40条2項)
  • 第38回介護福祉士国家試験は受験78,469人・合格54,987人・合格率70.1%
  • 喀痰吸引等研修の対象は5行為。第1号・第2号・第3号で対象者と行為の範囲が違う
  • 福祉用具専門相談員は8つの資格保有者、または指定講習修了者(施行令第4条1項)
  • ケアマネの受験資格は法定資格の業務期間と相談援助業務期間の通算5年以上
  • 第28回ケアマネ試験は合格率25.6%。合格者の64.1%が介護福祉士
  • 資格手当につながるかは「省令・告示に名前が出てくるか」で見分ける

参考にした情報

※本記事の研修時間数・受験資格に関する記述は、社会福祉士及び介護福祉士法および同施行規則、社会福祉士介護福祉士養成施設等指定規則、介護保険法施行令・施行規則の原文にもとづいて整理したものです。研修の実施要領・受講要件・費用は都道府県および研修事業者によって異なるため、受講前に必ず各都道府県の実施要綱をご確認ください。ケアマネジャー試験の「従事日数900日以上」は法令ではなく各都道府県の実施要項による運用のため、確度中として記載しています。制度に関する記述は2026年9月時点の内容として整理していますが、その後の改正により取扱いが変わる可能性があります。資格取得の順番や現場での実情に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
PR

リハビリ職の転職・求人なら
レバウェルリハビリ

リハノメ 無料で求人を見る ▶
PR

PT・OT・STのオンラインセミナー
リハノメ

リハノメ セミナーを詳しく見る ▶