訪問介護の特定事業所加算は、(Ⅰ)20%・(Ⅱ)10%・(Ⅲ)10%・(Ⅳ)3%・(Ⅴ)3%です。単位数ではなく所定単位数に対する率で加算されます。

ここでまず押さえたいのが、(Ⅴ)だけは(Ⅰ)〜(Ⅳ)と同時に算定できることです。告示の但し書きは「特定事業所加算(Ⅴ)とその他の加算を同時に算定する場合を除き」と書いています。(Ⅰ)20%+(Ⅴ)3%=23%が上限です。

そしてもう1つ。(Ⅱ)と(Ⅲ)はどちらも10%ですが、要件の方向がまったく違います。(Ⅱ)は人材の質、(Ⅲ)は重度者への対応。自事業所がどちらに寄っているかで、狙う区分が変わります。

典拠は指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)の訪問介護費 注10、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第3号、老企第36号第二の2(14)です。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 5区分の加算率と、(Ⅴ)だけ併算定できる仕組み
  • (Ⅱ)と(Ⅲ)が同じ10%でも要件の方向が違うこと
  • すべての区分に共通する体制要件4つ
  • 会議は「おおむね1月に1回以上」で登録ヘルパーも参加すること
  • 健康診断は事業主負担で、パートも含めて全員に必要なこと
  • 生活援助従事者研修修了者は0.5でカウントすること
  • サービス提供責任者の実務経験は資格取得前の期間も含むこと
  • 重度要件は「利用実人員」か「訪問回数」を選べること

5区分の加算率

告示19号の訪問介護費 注10は、次のとおりです。すべて1回につき、所定単位数に対する率で加算します。

区分加算率
特定事業所加算(Ⅰ)所定単位数の20%
特定事業所加算(Ⅱ)所定単位数の10%
特定事業所加算(Ⅲ)所定単位数の10%
特定事業所加算(Ⅳ)所定単位数の3%
特定事業所加算(Ⅴ)所定単位数の3%
(Ⅴ)だけ併算定できる

注10の但し書きを正確に読みます。

「特定事業所加算(Ⅴ)とその他の加算を同時に算定する場合を除き、次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定しない。」

(Ⅰ)〜(Ⅳ)は相互に排他ですが、(Ⅴ)はそのうち1つと組み合わせられます。上限は(Ⅰ)20%+(Ⅴ)3%=23%です。

(Ⅴ)と排他になる3つの地域加算

ただし(Ⅴ)には別の排他関係があります。注10の前段は「注13から注15までのいずれかを算定している場合は、特定事業所加算(Ⅴ)は算定しない」としています。

加算加算率(Ⅴ)との関係
特別地域訪問介護加算(注13)15%排他
中山間地域等における小規模事業所加算(注14)10%排他
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算(注15)5%排他
特定事業所加算(Ⅴ)3%
(Ⅴ)3%より地域加算のほうが率が高い

いずれも中山間地域等を対象にした加算で、(Ⅴ)と重ねられません。率だけを見れば、3つの地域加算はどれも(Ⅴ)の3%を上回ります。

特別地域訪問介護加算なら15%、中山間地域等における小規模事業所加算なら10%、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算でも5%。これらを算定できる事業所が、あえて(Ⅴ)を選ぶ理由は率の面ではありません。

ただし対象範囲は同じではありません。3つの地域加算は所在地や利用者の居住地の要件が異なります。自事業所がどれに該当するかを整理したうえで、もっとも有利な組み合わせを選ぶことです。

すべての区分に共通する体制要件4つ

大臣基準第3号イ(1)〜(4)は、(Ⅰ)〜(Ⅴ)のすべてに共通します。ここを満たせないと、3%の(Ⅳ)(Ⅴ)すら算定できません。

① 計画的な研修の実施

訪問介護員等ごと及びサービス提供責任者ごとに研修計画を作成し、計画に従って研修(外部研修を含む)を実施または実施予定であること。

老企第36号①イは、計画に含めるべき内容を示しています。

  • サービス従事者の資質向上のための研修内容の全体像
  • 研修実施のための勤務体制の確保
  • 訪問介護員等およびサービス提供責任者について、個別具体的な目標・内容・研修期間・実施時期

「ごと」なので、職員一人ひとりについて目標と内容を定める必要があります。全体研修計画だけでは足りません。

② 会議の定期開催と、文書等による指示・報告

2つに分かれています。まず会議です。

項目内容
目的利用者に関する情報・サービス提供上の留意事項の伝達、または訪問介護員等の技術指導
主宰サービス提供責任者
参加者登録ヘルパーも含めて、サービス提供に当たる訪問介護員等のすべて
開催形態全員が一堂に会する必要はなく、サービス提供責任者ごとにグループ別で可
頻度おおむね1月に1回以上
方法テレビ電話装置等を活用して行うことができる
記録開催状況について概要を記録しなければならない

登録ヘルパー全員が対象という点が実務上いちばん重い部分です。グループ別開催とテレビ電話が認められているのは、この負担への手当てでしょう。

文書等による指示は5項目

サービス提供責任者が、担当する訪問介護員等に対して文書等の確実な方法で伝達すべき内容です。

記載事項
1利用者のADLや意欲
2利用者の主な訴えやサービス提供時の特段の要望
3家族を含む環境
4前回のサービス提供時の状況
5その他サービス提供に当たって必要な事項

いずれも「その変化の動向を含め」記載します。ただし通知は3つの緩和を認めています。

  • 4以外は変更があった場合の記載で足りる
    毎回すべてを書き直す必要はありません。
  • 同一日に同一の訪問介護員等が複数回訪問する場合、特段の事情がなければ指示と報告を省略できる
    利用者の体調の急変等がある場合を除きます。
  • サービス提供責任者が不在時は、事前の一括指示+適宜の事後報告でよい
    ただし訪問介護員等の間での引き継ぎと、サービス提供責任者との連絡体制の確保が前提です。

「文書等の確実な方法」については、直接面接して手交するほか、FAX、メール等も可能とされています。

報告のほうは、サービス提供責任者が文書(電磁的記録を含む)で記録を保存しなければなりません。

③ 定期健康診断の実施

健康診断等については、労働安全衛生法により定期に実施することが義務付けられた「常時使用する労働者」に該当しない訪問介護員等も含めて、少なくとも1年以内ごとに1回、事業主の費用負担により実施しなければならない。

2点が重要です。

  • 労働安全衛生法の義務対象外の職員も含む——短時間の登録ヘルパーも対象
  • 事業主の費用負担——本人負担では要件を満たさない

新たに加算を算定しようとする場合は、少なくとも1年以内に健康診断が実施されることが計画されていることをもって足ります。届出時点で全員の受診が済んでいる必要はありません。

④ 緊急時等における対応方法の明示

次の内容を記載した文書を利用者に交付し、説明します。

  • 当該事業所における緊急時等の対応方針
  • 緊急時の連絡先
  • 対応可能時間 等

通知は「重要事項説明書等に当該内容を明記することをもって足りる」としています。別の書類を用意する必要はありません。

(Ⅱ)と(Ⅲ)は同じ10%でも方向が違う

体制要件4つのうえに、区分ごとの上乗せがあります。整理すると次のとおりです。

区分体制
(1)〜(4)
人材
(5)(6)
重度
(7)
サ責増配置・勤続
ハ(2)
中山間
ホ(2)(3)
(Ⅰ)20%両方
(Ⅱ)10%いずれか
(Ⅲ)10%いずれか
(Ⅳ)3%いずれか
(Ⅴ)3%
同じ10%でも、目指す方向が逆

(Ⅱ)は人材の質を評価します。介護福祉士の割合か、サービス提供責任者の経験年数。重度者を受け入れていなくても取れます。

(Ⅲ)は重度者への対応を評価します。要介護4・5や認知症、喀痰吸引等が必要な利用者が20%以上。加えてサービス提供責任者の増配置か勤続年数のいずれか。

介護福祉士が集まらない事業所でも、重度者を多く受け入れていれば(Ⅲ)で10%に届きます。逆に人材は充実しているが利用者が軽度中心なら(Ⅱ)です。

(Ⅳ)3%は、(Ⅲ)から重度要件を外したもの。まず(Ⅳ)で体制を作り、重度者の割合が上がれば(Ⅲ)へ、という段階的な設計になっています。

人材要件(Ⅱ)の2つのルート

イ(5) 訪問介護員等の資格割合

ルート基準
A訪問介護員等の総数のうち介護福祉士が30%以上
B介護福祉士+実務者研修修了者+介護職員基礎研修課程修了者+一級課程修了者が50%以上

計算方法について、老企第36号②イが定めています。

  • 前年度(3月を除く)または届出日の属する月の前3月の1月当たりの実績の平均
  • 常勤換算方法により算出した数を用いる
  • 生活援助従事者研修修了者については、0.5を乗じて算出する
  • 資格の判定は各月の前月の末日時点
  • 看護師等の資格を有する者は一級課程修了者に含めて差し支えない
ちびウルフちびウルフ

生活援助従事者研修修了者が0.5というのは、分母だけですか?

リハウルフリハウルフ

通知は「ただし、生活援助従事者研修修了者については、0.5を乗じて算出するものとする」とだけ書いています。この規定は訪問介護員等の総数(分母)の算出に係るものと読むのが自然です。

生活援助従事者研修修了者は生活援助しか行えないため、1人分として分母に数えると割合が不利になる。それを半分にして調整する趣旨だと理解できます。

ただし条文が「分母に限る」と明示しているわけではありません。生活援助従事者研修修了者を多く抱えている事業所は、算定前に都道府県へ確認しておくのが確実です。

イ(6) サービス提供責任者の経験

全てのサービス提供責任者が、次のいずれかに該当することが必要です。

  • 3年以上の実務経験を有する介護福祉士
  • 5年以上の実務経験を有する実務者研修修了者・介護職員基礎研修課程修了者・一級課程修了者

この「実務経験」の定義が重要です。

同号イ(6)の「実務経験」は、サービス提供責任者としての従事期間ではなく、在宅や施設を問わず介護に関する業務に従事した期間をいうものであり、資格取得又は研修修了前の従事期間も含めるものとする。

サービス提供責任者としての年数ではありません。施設での介護職員としての期間も、資格を取る前の期間も通算できます。自事業所での在職年数だけで判断すると、実際より短く見積もることになります。

サービス提供責任者が複数の事業所の例外

イ(6)には但し書きがあります。1人を超えるサービス提供責任者を配置することとされている事業所では、常勤のサービス提供責任者を2名以上配置していることが必要です。

通知は、この意味を明確にしています。基準上は「常勤1人+非常勤を常勤換算で必要数」でも足りるところ、この加算の要件を満たすには常勤2人以上でなければならないということです。

(Ⅲ)(Ⅳ)のサ責増配置・勤続年数要件

ハ(2)は、次のいずれかです。

要件
(一)配置すべき常勤のサービス提供責任者が2人以下の事業所であって、基準により配置することとされているサービス提供責任者を常勤で配置し、かつ基準を上回る数の常勤のサービス提供責任者を1人以上配置していること
(二)訪問介護員等の総数のうち、勤続年数7年以上の者が30%以上であること

勤続年数は他事業所を通算できる

  • 勤続年数は各月の前月の末日時点で判定する
  • 当該事業所における勤務年数に加え、同一法人等の経営する他の介護サービス事業所、病院、社会福祉施設等においてサービスを利用者に直接提供する職員として勤務した年数を含めることができる
  • 割合は前年度(3月を除く)または前3月の平均を、常勤換算方法で算出

居宅介護支援の特定事業所加算と同じ考え方です。法人内で異動した職員の年数を拾えます。

重度要介護者等対応要件((Ⅰ)(Ⅲ))

イ(7)は2つのルートがあり、いずれかを満たせば足ります。

(一) 重度者等の割合が20%以上

次の3つに該当する利用者の合計が20%以上であることです。

対象通知の定義
要介護4・要介護5
日常生活に支障を来すおそれのある症状・行動が認められることから介護を必要とする認知症日常生活自立度のランクⅢ・Ⅳ・M
喀痰吸引等を必要とする者口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内の喀痰吸引、胃ろう・腸ろうによる経管栄養、経鼻経管栄養
計算の分母は「利用実人員」でも「訪問回数」でもよい

老企第36号③は「利用実人員又は訪問回数を用いて算定するものとする」としています。

どちらか有利なほうを選べるということです。重度の利用者は訪問回数が多くなる傾向があるため、訪問回数で計算したほうが割合が高く出る事業所が多いはずです。両方で計算してみる価値があります。

ただし喀痰吸引等については条件があります。「たんの吸引等の行為を必要とする者を算入できる事業所は、社会福祉士及び介護福祉士法の規定に基づく、自らの事業又はその一環としてたんの吸引等の業務を行うための登録を受けているものに限られる」。登録喀痰吸引等事業者でなければ、この区分の利用者を分子に入れられません。

(二) 看取り期の利用者への対応体制

令和6年度改定で加わったルートです。次の5つすべてが必要です。

  • 病院・診療所・訪問看護ステーションの看護師との連携により、24時間連絡できる体制を確保し、必要に応じて指定訪問介護を行うことができる体制を整備していること
  • 看取り期における対応方針を定め、利用開始の際に利用者または家族等に説明し、同意を得ていること
  • 医師・看護職員・訪問介護員等・介護支援専門員その他の職種による協議の上、看取りの実績等を踏まえ適宜対応方針の見直しを行うこと
  • 看取りに関する職員研修を行っていること
  • 前年度(3月を除く)または前3月間において、看取り期の利用者が1人以上いること

5つ目の「看取り期の利用者」とは、医師が回復の見込みがないと診断し、かつ対応方針に基づく説明を受けて同意したうえでサービスを受けている方です。

通知は対応方針に盛り込む項目も例示しています。

  • 当該事業所における看取り期における対応方針に関する考え方
  • 訪問看護ステーション等との連携体制(緊急時の対応を含む)
  • 利用者等との話し合いにおける同意、意思確認及び情報提供の方法
  • 利用者等への情報提供に供する資料及び同意書等の様式
  • その他職員の具体的対応等

あわせて、入院後も家族や入院先の医療機関等との継続的な関わりを持つこと、そのために入院の際に本人・家族から文書で同意を得ておくことが求められています。

(Ⅴ)の中山間地域等要件

ホ(2)(3)の2つです。

要件
(2)通常の事業の実施地域の範囲内であって、中山間地域等に居住している利用者に対して継続的に訪問介護を提供していること(居宅と最寄りの事業所との距離が片道7キロメートルを超える場合に限る
(3)利用者の心身の状況や家族等を取り巻く環境の変化に応じ、随時、訪問介護員等・サービス提供責任者その他の関係者が共同し、訪問介護計画の見直しを行っていること

「継続的に」の意味は、通知が数値で示しています。中山間地域等に居住する利用者へのサービス提供実績が、前年度(3月を除く)または前3月の1月当たりの平均で1人以上であることです。

「7キロメートル」は実際の移動に要する距離で片道7キロメートル超。直線距離ではありません。

割合の計算と維持

人材要件・勤続年数要件・重度要件の割合について、老企第36号④が共通のルールを定めています。

状況取扱い
前年度の実績が6月に満たない事業所
(新設・再開を含む)
前年度の実績による届出はできない
前3月の実績により届出を行った事業所届出後も直近3月間の割合を毎月継続的に維持し、毎月記録する。下回った場合は直ちに届出を提出する

居宅介護支援の特定事業所加算との違い

同じ名称ですが、別のサービスの別の加算です。混同しないよう並べます。

訪問介護居宅介護支援
単位所定単位数に対する率(20〜3%)単位数(519〜114単位/月)
区分(Ⅰ)〜(Ⅴ)の5区分(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)(A)の4区分
併算定(Ⅴ)のみ他区分と併算定可いずれか1つのみ
会議の頻度おおむね1月に1回以上おおむね週1回以上
重度者要件要介護4・5等が20%以上((Ⅰ)(Ⅲ))要介護3以上が40%以上((Ⅰ)のみ)
届出先都道府県知事市町村長

会議の頻度が「月1回」と「週1回」で4倍違うのが目を引きます。届出先も異なります。

介護予防訪問介護は総合事業へ移行済み

要支援の方への訪問型サービスは、介護予防・日常生活支援総合事業に移行しています。本記事は介護給付(要介護)の指定訪問介護を対象としています。総合事業の報酬は市町村が定めるため、この加算の内容がそのまま当てはまるとは限りません。

よくある質問
(Ⅰ)と(Ⅴ)を両方算定できますか?

できます。告示は「特定事業所加算(Ⅴ)とその他の加算を同時に算定する場合を除き」としており、(Ⅴ)だけは(Ⅰ)〜(Ⅳ)のいずれか1つと併算定できます。上限は20%+3%=23%です。

(Ⅴ)と特別地域訪問介護加算は両方取れますか?

取れません。注13〜注15(特別地域訪問介護加算15%、中山間地域等における小規模事業所加算10%、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算5%)のいずれかを算定している場合、(Ⅴ)は算定できません。率だけを見れば3つとも(Ⅴ)の3%を上回ります。

(Ⅱ)と(Ⅲ)はどちらが取りやすいですか?

事業所の性格によります。(Ⅱ)は介護福祉士の割合かサービス提供責任者の経験という人材要件、(Ⅲ)は重度者20%以上という利用者要件が中心です。人材が充実していれば(Ⅱ)、重度者を多く受け入れていれば(Ⅲ)が近道です。

会議に登録ヘルパーも参加させる必要がありますか?

あります。通知は「登録ヘルパーも含めて、当該事業所においてサービス提供に当たる訪問介護員等のすべてが参加するものでなければならない」としています。ただし全員が一堂に会する必要はなく、サービス提供責任者ごとのグループ別開催やテレビ電話の活用が認められています。

健康診断は本人負担でもよいですか?

いけません。「事業主の費用負担により実施しなければならない」とされています。また労働安全衛生法の義務対象外である短時間の登録ヘルパーも含めて、1年以内ごとに1回必要です。

サービス提供責任者の「3年以上の実務経験」はサ責としての年数ですか?

違います。「サービス提供責任者としての従事期間ではなく、在宅や施設を問わず介護に関する業務に従事した期間」であり、資格取得または研修修了前の期間も含まれます。

重度者20%は利用者数で計算しますか?

「利用実人員又は訪問回数を用いて算定する」とされており、どちらでも構いません。重度の方は訪問回数が多くなる傾向があるため、両方で計算して有利なほうを用いることができます。

喀痰吸引等が必要な利用者は必ず分子に入れられますか?

入れられません。社会福祉士及び介護福祉士法に基づく、たんの吸引等の業務を行うための登録を受けている事業所に限られます。

生活援助従事者研修修了者はどう数えますか?

通知は「0.5を乗じて算出するものとする」としています。訪問介護員等の総数の算出に係る規定と読むのが自然ですが、条文上そう明示されているわけではないため、該当者が多い場合は都道府県への確認をおすすめします。

居宅介護支援の特定事業所加算と同じ要件ですか?

違います。訪問介護は率(20〜3%)で5区分、届出先は都道府県知事。居宅介護支援は単位数(519〜114単位)で4区分、届出先は市町村長です。会議の頻度も月1回と週1回で異なります。

まとめ
  • 訪問介護の特定事業所加算は(Ⅰ)20%・(Ⅱ)10%・(Ⅲ)10%・(Ⅳ)3%・(Ⅴ)3%
  • 単位数ではなく所定単位数に対する率で加算する
  • (Ⅴ)だけは(Ⅰ)〜(Ⅳ)のいずれか1つと併算定できる(最大23%)
  • (Ⅴ)は特別地域訪問介護加算等3つの地域加算とは排他
  • 率だけを見れば3つの地域加算はいずれも(Ⅴ)の3%を上回る
  • 体制要件4つ(研修計画・会議と文書指示・健康診断・緊急時対応の明示)は全区分共通
  • 研修計画は職員ごとに目標・内容・期間・時期を定める
  • 会議はサービス提供責任者が主宰し、登録ヘルパーを含む全員が参加
  • 会議はおおむね1月に1回以上。グループ別開催とテレビ電話が可能
  • 文書等の指示は5項目。FAX・メールでもよい
  • 同一日の複数回訪問や、サ責不在時には省略・一括指示が認められる
  • 健康診断は事業主負担で、労安法の対象外の登録ヘルパーも含む
  • 緊急時対応の明示は重要事項説明書への記載で足りる
  • (Ⅱ)は人材の質、(Ⅲ)は重度者対応と、同じ10%でも方向が違う
  • (Ⅳ)は(Ⅲ)から重度要件を外した段階的な位置づけ
  • 人材要件は介護福祉士30%または有資格者50%
  • 生活援助従事者研修修了者は0.5を乗じて算出する
  • サービス提供責任者の実務経験は資格取得前・施設勤務も通算できる
  • 勤続年数は同一法人の他事業所・病院・社会福祉施設等を通算できる
  • 重度要件の割合は「利用実人員」または「訪問回数」を選べる
  • 喀痰吸引等の利用者を算入できるのは登録を受けた事業所のみ
  • 看取り期対応体制(令和6年度)は5要件すべてが必要
  • (Ⅴ)は中山間地域等で片道7キロメートル超、月平均1人以上の実績
  • 前年度実績6月未満の事業所は前年度実績での届出ができない
  • 前3月で届け出た場合は毎月の維持確認と記録が必要
参考にした情報
  • 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)別表 指定居宅サービス介護給付費単位数表「訪問介護費」注10、注13、注14、注15
  • 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第3号(訪問介護費における特定事業所加算の基準)
  • 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日老企第36号)第二の2(14)特定事業所加算について
  • 厚生労働大臣が定める中山間地域等の地域(平成21年厚生労働省告示第83号)第2号
  • 社会福祉士及び介護福祉士法施行規則(昭和62年厚生省令第49号)第1条
  • 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」

※本記事の加算率・算定要件は、厚生労働省の告示および留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。生活援助従事者研修修了者に0.5を乗じる規定について、本記事では訪問介護員等の総数の算出に係るものと読んでいますが、条文上その旨が明示されているわけではありません。該当者が多い事業所は都道府県にご確認ください。常勤換算の計算方法、勤続年数の通算範囲、重度要件の分母の選び方についても、指定権者によって取扱いが異なる場合があります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。区分選択の判断に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

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リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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