共生型訪問介護とは?100%・93%・70%の違いと新規利用者の制限を解説

共生型訪問介護は「障害福祉の事業所が要介護高齢者にも訪問介護を提供できる仕組み」ですが、単位数は一律ではありません。サービスを提供する職員がどの研修を修了しているかで、100%・93%・70%に分かれます。
そして、単位数より重要な制限があります。障害者居宅介護従業者基礎研修課程修了者や重度訪問介護従業者養成研修課程修了者は、新規の要介護高齢者にサービスを提供できません。通知が「新規の要介護高齢者へのサービス提供はできないこと」と明記しています。
提供できるのは、65歳に達した日の前日にその事業所で指定居宅介護・指定重度訪問介護を利用していた高齢障害者だけ。いわゆる「65歳問題」で介護保険へ移行した、それまでの利用者に限られます。
この記事では、指定居宅サービス介護給付費単位数表(厚生省告示第19号)訪問介護費 注11、老企第36号を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 共生型訪問介護の単位数が100%・93%・70%に分かれること
- 単位数を決めるのは「誰が提供したか」であること
- 減算されない資格の一覧
- 70%になる資格と、そのうち通院・外出介助に限られる区分
- 93%になる2つのパターン
- 重度訪問介護従業者養成研修修了者の提供には市町村の判断が要ること
- 新規の要介護高齢者にサービスを提供できない人がいること
- 「65歳に達した日の前日」という基準の意味
- 指定重度訪問介護事業所が提供する場合の扱い
- 届出が必要であること
共生型訪問介護の単位数は3段階
| 提供する事業所・職員 | 算定する単位数 |
|---|---|
| 指定居宅介護事業所の介護福祉士・初任者研修修了者等 | 所定単位数(100%) |
| 指定居宅介護事業所の重度訪問介護従業者養成研修課程修了者 | 100分の93 |
| 指定重度訪問介護事業所が提供する場合 | 100分の93 |
| 指定居宅介護事業所の障害者居宅介護従業者基礎研修課程修了者等 | 100分の70 |
共生型サービスというと「減算されるもの」という印象があります。実際、共生型通所介護は事業者の種別に応じて90〜95%に減額されます。
しかし共生型訪問介護は違います。介護福祉士や介護職員初任者研修修了者が提供すれば、減算はありません。所定単位数をそのまま算定できます。
減算されるのは、介護保険の訪問介護員等の資格要件を満たさない研修修了者が提供する場合です。
告示の原文で構造を確認する
共生型居宅サービスの事業を行い、かつ、(中略)届出を行った指定居宅介護事業者が当該事業を行う事業所(共生型居宅サービスを行う指定居宅介護事業所)において、居宅介護従業者基準第1条第4号、第9号、第14号又は第19号から第22号までに規定する者が共生型訪問介護を行った場合は、1回につき所定単位数の100分の70に相当する単位数を算定し、共生型居宅サービスを行う指定居宅介護事業所において、居宅介護従業者基準第1条第5号、第10号又は第15号に規定する者が共生型訪問介護を行った場合は、1回につき所定単位数の100分の93に相当する単位数を算定し、共生型居宅サービスの事業を行う重度訪問介護に係る指定障害福祉サービスの事業を行う者が当該事業を行う事業所において共生型訪問介護を行った場合は、1回につき所定単位数の100分の93に相当する単位数を算定する。
条文は号番号で書かれていて読み解けません。老企第36号が、資格名で言い換えています。
減算されない資格——所定単位数をそのまま算定
イ 介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者、生活援助従事者研修修了者、旧介護職員基礎研修修了者、旧訪問介護員一級課程又は旧二級課程修了者及び居宅介護職員初任者研修課程修了者(相当する研修課程修了者を含む。)が訪問介護を提供する場合は、所定単位数を算定すること。
- 介護福祉士
- 実務者研修修了者
- 介護職員初任者研修修了者
- 生活援助従事者研修修了者
- 旧介護職員基礎研修修了者
- 旧訪問介護員1級課程・2級課程修了者
- 居宅介護職員初任者研修課程修了者
最後の「居宅介護職員初任者研修課程修了者」は障害福祉側の資格ですが、この区分でも減算されません。介護保険の訪問介護員等として認められる資格の範囲と重なる、と理解すると整理しやすくなります。
70%になる資格——さらに一部は通院・外出介助限定
ロ 障害者居宅介護従業者基礎研修課程修了者(中略)、実務経験を有する者(平成18年3月31日において身体障害者居宅介護等事業、知的障害者居宅介護等事業又は児童居宅介護等事業に従事した経験を有する者であって、都道府県知事から必要な知識及び技術を有すると認める旨の証明書の交付を受けたものをいう。)及び廃止前の視覚障害者外出介護従業者養成研修、全身性障害者外出介護従業者養成研修又は知的障害者外出介護従業者養成研修課程修了者(以下「旧外出介護研修修了者」という。)が訪問介護(旧外出介護研修修了者については、通院・外出介助(通院等乗降介助を含む。)に限る。)を提供する場合は、所定単位数の100分の70に相当する単位数を算定すること。
| 資格 | 単位数 | 提供できる内容 |
|---|---|---|
| 障害者居宅介護従業者基礎研修課程修了者 | 70% | 訪問介護全般 |
| 実務経験を有する者(都道府県知事の証明書) | 70% | 訪問介護全般 |
| 旧外出介護研修修了者 | 70% | 通院・外出介助(通院等乗降介助を含む)に限る |
視覚障害者・全身性障害者・知的障害者の外出介護従業者養成研修は、外出支援に特化した研修です。そのため共生型訪問介護でも、提供できるのは通院・外出介助(通院等乗降介助を含む)に限られます。
身体介護中心型や生活援助中心型を提供することはできません。シフトを組むときに注意が必要です。
93%になる2つのパターン
①重度訪問介護従業者養成研修課程修了者が提供する場合
ハ 重度訪問介護従業者養成研修課程修了者(相当する研修課程修了者を含む。)が訪問介護を提供する場合(早朝・深夜帯や年末年始などにおいて、一時的に人材確保の観点から市町村がやむを得ないと認める場合に限る。)は、所定単位数の100分の93に相当する単位数を算定すること。
このパターンには、他の区分にない条件が付いています。「早朝・深夜帯や年末年始などにおいて、一時的に人材確保の観点から市町村がやむを得ないと認める場合に限る」。
つまり常態的に重度訪問介護従業者養成研修修了者だけでシフトを回すことは想定されていません。人手が確保できない時間帯の、例外的な対応という位置づけです。
市町村がどのような場合に「やむを得ない」と認めるかは、地域によって運用が異なります。事前に保険者へ確認してください。
②指定重度訪問介護事業所が提供する場合
障害福祉制度の指定重度訪問介護事業所が、要介護高齢者に対し訪問介護を提供する場合は、所定単位数の100分の93に相当する単位数を算定すること。
こちらは事業所の種別による判定です。指定重度訪問介護事業所が共生型訪問介護を行う場合は、職員の資格を問わず93%になります。
最大の制限——新規の要介護高齢者には提供できない
ここが実務上いちばん重要です。
③ 障害者居宅介護従業者基礎研修課程修了者及び重度訪問介護従業者養成研修課程修了者等による共生型訪問介護の取扱い
①イ以外の者については、65歳に達した日の前日において、これらの研修課程修了者が勤務する指定居宅介護事業所又は指定重度訪問介護事業所において、指定居宅介護又は指定重度訪問介護を利用していた高齢障害者に対してのみ、サービスを提供できることとする。すなわち、新規の要介護高齢者へのサービス提供はできないこと。
| 提供者 | 提供できる相手 |
|---|---|
| 介護福祉士・初任者研修修了者等(①イ) | 制限なし(新規の要介護高齢者にも提供できる) |
| ①イ以外の者(70%・93%の区分) | 65歳到達日の前日にその事業所で指定居宅介護・指定重度訪問介護を利用していた高齢障害者のみ |
ちびウルフなぜ「65歳に達した日の前日」なんですか?
リハウルフ介護保険では、誕生日の前日に65歳に達したものとして扱う。だから「65歳に達した日」=誕生日の前日、その「前日」=誕生日の前々日という関係になる。
要するに介護保険の被保険者になる直前に、その事業所で障害福祉サービスを使っていたかを見ているんだ。
この規定の意味はこう理解している。共生型訪問介護は「馴染みの事業所を変えずに済むようにする」ための仕組みであって、障害福祉の研修修了者が介護保険の担い手として一般に参入するための制度ではない、ということ。
だからこれまで使っていた人は続けられる。でも新しい要介護高齢者を受けることはできない。ここを取り違えると、算定できないサービスを提供することになる。
条文をよく読むと、「これらの研修課程修了者が勤務する指定居宅介護事業所又は指定重度訪問介護事業所において」利用していたとあります。
他の障害福祉事業所を使っていた人が新たに来た場合は該当しません。あくまで自事業所の継続利用者に限られます。
共生型サービス全体のなかでの位置づけ
| 共生型サービス | 単位数の扱い |
|---|---|
| 共生型訪問介護 | 職員の資格により100%・93%・70% |
| 共生型通所介護 | 事業者の種別により93%・95%・90% |
| 共生型短期入所生活介護 | 事業者の種別により減額 |
訪問介護だけが「事業者の種別」ではなく「提供する職員の資格」で判定する点が特徴です。同じ事業所でも、誰が訪問したかで単位数が変わります。
なお共生型通所介護には生活相談員配置等加算(13単位/日)という、共生型限定の加算があります。共生型訪問介護には、これに相当する加算は設けられていません。
実務での確認ステップ
- 共生型訪問介護の指定(届出)を受けているかを確認する
- 職員ごとに、修了している研修課程を一覧化する
- ①イの資格(介護福祉士・初任者研修修了者等)を持つ職員を明確にする
- ①イ以外の職員については、担当できる利用者を「65歳到達日の前日に自事業所で障害福祉サービスを利用していた人」に限定する
- 旧外出介護研修修了者は、通院・外出介助のみを担当するようシフトを組む
- 重度訪問介護従業者養成研修修了者に提供させる場合は、市町村に「やむを得ない」と認められる場面かを事前に確認する
- 訪問ごとに、誰が提供したかを記録し、算定する単位数の区分と一致させる
- 新規の要介護高齢者の受け入れ時は、①イの資格を持つ職員で対応できるかを確認する
7つ目が請求の要です。同じ利用者への同じサービスでも、訪問した職員が違えば単位数が変わります。職員の資格情報と訪問実績を突き合わせる仕組みがないと、正しく請求できません。
よくある質問
共生型訪問介護は必ず減算されますか?
されません。介護福祉士や介護職員初任者研修修了者等が提供する場合は、所定単位数をそのまま算定できます。
減算されない資格は何ですか?
介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者、生活援助従事者研修修了者、旧介護職員基礎研修修了者、旧訪問介護員1級・2級課程修了者、居宅介護職員初任者研修課程修了者です。
70%になるのはどんな場合ですか?
障害者居宅介護従業者基礎研修課程修了者、実務経験を有する者、旧外出介護研修修了者が提供する場合です。
旧外出介護研修修了者は身体介護も提供できますか?
できません。通知は「旧外出介護研修修了者については、通院・外出介助(通院等乗降介助を含む。)に限る」としています。
93%になるのはどんな場合ですか?
重度訪問介護従業者養成研修課程修了者が提供する場合と、指定重度訪問介護事業所が提供する場合です。
重度訪問介護従業者養成研修修了者はいつでも提供できますか?
できません。早朝・深夜帯や年末年始などにおいて、一時的に人材確保の観点から市町村がやむを得ないと認める場合に限られます。
新規の要介護高齢者にサービスを提供できますか?
提供する職員によります。介護福祉士等(①イの資格)であれば提供できますが、それ以外の研修課程修了者は「新規の要介護高齢者へのサービス提供はできない」とされています。
提供できる相手はどう判断しますか?
65歳に達した日の前日において、その研修課程修了者が勤務する指定居宅介護事業所または指定重度訪問介護事業所で、指定居宅介護または指定重度訪問介護を利用していた高齢障害者に限られます。
他の障害福祉事業所を利用していた人でもよいですか?
該当しません。通知は「これらの研修課程修了者が勤務する」事業所において利用していた者としており、自事業所の継続利用者に限られます。
共生型通所介護と単位数の決まり方は同じですか?
違います。共生型通所介護は事業者の種別(生活介護・自立訓練・児童発達支援等)により93%・95%・90%となります。共生型訪問介護は提供する職員の資格で決まります。
共生型訪問介護に専用の加算はありますか?
共生型通所介護や共生型短期入所生活介護にある生活相談員配置等加算に相当する加算は、共生型訪問介護には設けられていません。
届出は必要ですか?
必要です。告示は都道府県知事に対し届出を行った事業者が算定するものとしています。
- 共生型訪問介護の単位数は100%・93%・70%の3段階
- 単位数を決めるのは提供する職員の資格
- 介護福祉士・初任者研修修了者等が提供すれば減算はない
- 居宅介護職員初任者研修課程修了者も減算されない
- 障害者居宅介護従業者基礎研修課程修了者等は70%
- 実務経験を有する者(都道府県知事の証明書)も70%
- 旧外出介護研修修了者は70%で、通院・外出介助に限られる
- 旧外出介護研修修了者は身体介護・生活援助を提供できない
- 重度訪問介護従業者養成研修課程修了者が提供する場合は93%
- ただし早朝・深夜帯や年末年始等で市町村がやむを得ないと認める場合に限る
- 指定重度訪問介護事業所が提供する場合も93%
- ①イ以外の者は新規の要介護高齢者にサービスを提供できない
- 提供できるのは65歳到達日の前日に自事業所で障害福祉サービスを利用していた高齢障害者のみ
- 他の障害福祉事業所の利用者だった人は該当しない
- 共生型訪問介護は「馴染みの事業所を変えずに済む」ための仕組み
- 共生型通所介護は事業者の種別で90〜95%と、判定の仕方が違う
- 共生型訪問介護には生活相談員配置等加算に相当する加算はない
- 届出が必要
- 訪問ごとに誰が提供したかを記録し、単位数の区分と一致させる
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号) 訪問介護費 注11(全国老人保健施設協会 法令Q&A検索システム)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス等に係る部分)等の制定に伴う実施上の留意事項について(老企第36号) 訪問介護費(15)共生型訪問介護の所定単位数等の取扱い
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号) 第2条第7号(共生型居宅サービス)、第39条の2(共生型訪問介護)
※本記事の単位数・要件は、厚生労働省の告示および老企第36号の留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・市町村)の解釈をご確認ください。重度訪問介護従業者養成研修課程修了者による提供について「市町村がやむを得ないと認める場合」の判断基準は市町村(保険者)により運用が異なります。必ず事前にご確認ください。「相当する研修課程修了者」の範囲、共生型サービスの指定手続きについても指定権者によって取扱いが異なる場合があります。単位数は1単位あたりの単価(地域区分)により実際の報酬額が変わります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。シフトの組み方や記録に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




