先に結論をお伝えします。老健(介護老人保健施設)の介護職の仕事内容は、入浴・排せつ・食事の介助などの生活の介護に加えて、リハビリ職や看護職員と連携して在宅復帰を支えることです。特養と同じく夜勤のあるシフト制が一般的ですが、医師・看護職員・リハビリ職が多く配置されているため、医療に近い介護を学べる職場です。基準上、介護職員になるための資格は定められていません。

この記事では、老健の介護職の仕事内容を、介護保険法・介護老人保健施設の基準・夜勤の告示・厚生労働省の調査の原文を確認して整理しました。

この記事でわかること
  • 老健の介護職の具体的な仕事内容
  • 特養の介護職との違い
  • 人員基準と夜勤の人数
  • 老健の介護職の給料と必要な資格
  • 向いている人と、求人を見るときの確認点

老健の介護職の仕事内容

介護保険法では、老健を、心身の機能の維持回復を図り、居宅で生活できるようにするための支援が必要な要介護者に対して、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練などを行う施設と定めています(第8条第28項)。介護職の仕事も、この「在宅に戻るための支援」が軸になります。

介護老人保健施設の基準(平成11年厚生省令第40号)では、介護について次のように定めています(第18条)。

  • 入浴:1週間に2回以上、入浴させるか清しきする
  • 排せつ:病状や心身の状況に応じて排せつの自立を援助し、おむつが必要な人のおむつを適切に交換する
  • 褥瘡の予防:褥瘡が発生しないよう適切な介護を行い、予防の体制を整える
  • 日常生活の世話:離床、着替え、整容などを適切に行う
  • 食事:できるだけ離床して食堂で食事ができるよう努める(第19条)

これに加えて、リハビリで練習した動作を、日常の介護の中で続けてもらうことが老健の介護職の大事な役割です。たとえば、リハビリで歩行器で歩けるようになった人は、トイレまでの移動も歩行器で付き添う、といった形です。

特養の介護職との違い

項目老健特養
施設の目的在宅復帰に向けた支援生活の場として長く暮らす
入所期間比較的短く、入れ替わりがある長期が多い
一緒に働く職種医師・看護職員・リハビリ職が多い介護職員が中心
介護職の役割リハビリの成果を生活に生かす、退所前の準備毎日の生活を安定して支える

老健では入所と退所が続くため、新しい入所者の情報を早くつかみ、退所に向けて家族と動作を確認する場面が多くなります。特養との違いは老健と特養の違いとは?、老健の役割は老健とは?でも解説しています。

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リハビリはリハ職がやるんじゃないの?

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個別のリハビリはリハ職が担当します。ただ、リハビリの時間は1日のうちほんの一部です。残りの時間に介護職がどう関わるかで、できるようになった動作が定着するかどうかが変わります。介助しすぎない介護を覚えられるのは、老健で働く大きなメリットですよ。

老健の人員基準と夜勤の人数

看護・介護職員の人数

介護老人保健施設の基準 第2条第1項第3号

看護・介護職員 常勤換算方法で、入所者の数が三又はその端数を増すごとに一以上(看護職員の員数は看護・介護職員の総数の七分の二程度を、介護職員の員数は看護・介護職員の総数の七分の五程度をそれぞれ標準とする。)

特養と同じ「3対1」ですが、老健では看護職員の割合の目安(7分の2程度)が示されています。入所者70人なら、看護・介護職員は常勤換算で24人以上、そのうち看護職員7人程度・介護職員17人程度が標準という計算です。

このほか、医師(常勤換算で入所者100人に1人以上)、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(常勤換算で入所者を100で割った数以上)、支援相談員、介護支援専門員なども配置されます。施設のリハビリ職の働き方は介護施設のリハビリ職の1日の仕事内容で解説しています。

夜勤の人数

夜勤を行う看護職員・介護職員の数は、告示(平成12年厚生省告示第29号)で次のように決まっています。

  • 原則:2人以上
  • 小規模の施設:入所者と併設ショートステイの利用者の合計が40人以下で、常時、緊急時の連絡体制を整えている場合は1人以上
  • 見守り機器などを活用する場合:見守り機器を利用者の数以上設置するなどの要件をすべて満たすと、1.6人以上

夜勤の配置を手厚くした施設が算定する加算は老健の夜勤職員配置加算とは?で解説しています。

老健の介護職の給料

厚生労働省の令和6年度介護従事者処遇状況等調査では、介護職員等処遇改善加算を取得している事業所で、月給・常勤の介護職員の平均給与額は次のとおりです。

サービス平均給与額(月)平均年齢平均勤続年数
介護老人保健施設(老健)352,900円43.6歳11.6年
介護老人福祉施設(特養)361,860円42.2歳10.2年
介護職員全体338,200円45.7歳9.5年

平均給与額は、基本給に手当と一時金(4〜9月支給額の6分の1)を足した額で、手取り額ではありません。夜勤のある入所施設は、介護職員全体の平均より高い傾向です。給料の全体像は介護士の平均年収はいくら?で比べられます。

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夜勤の人数やリハ職との連携は、
求人票だけではわかりにくい

老健は、夜勤の人数、看護職員の配置、在宅復帰にどこまで力を入れているかで、働き方が変わります。転職支援サービスを使うと、求人票に書かれていない職場の様子を確認したうえで応募先を選べます。

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老健の介護職に必要な資格

介護老人保健施設の基準には、介護職員の資格要件は書かれていません。無資格・未経験でも介護職員として働けます。

ただし、施設には、無資格の従業者に認知症介護基礎研修を受講させるための措置が義務づけられています(第26条第3項)。入職後に施設の案内で受講します。医療的な観察やリハビリとの連携が多い職場なので、働きながら初任者研修・実務者研修・介護福祉士と段階的に取っていくと、仕事の理解が深まります。資格の全体像は介護・福祉の資格おすすめ10選で比べられます。

向いている人・大変なこと

  • 向いている人:医療やリハビリの知識も身につけたい人、利用者ができることが増える過程に関わりたい人、多職種で相談しながら進めるのが好きな人
  • 大変なこと:入退所が多く、覚えることや申し送りが多い。看護職員やリハビリ職との情報共有に手間がかかる
  • 気をつけたいこと:「早く終わらせたいから介助する」と、リハビリで練習した動作が生活の中で続かなくなる
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老健で働いた経験は、ほかの職場でも役に立つ?

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役に立ちます。体の状態を見て介助の量を調整する力や、看護職員やリハ職への報告の仕方は、特養でも訪問でも使えます。在宅に戻る人を見送る経験は、家族への説明の練習にもなりますよ。

求人を見るときの確認点

  • 夜勤の人数と形:1フロアを何人で見るか、2交代か3交代か、月の夜勤回数
  • 看護職員の夜間の配置:夜勤に看護職員が入るか、オンコールか
  • 在宅復帰への取り組み:入退所の頻度、退所前の自宅訪問に介護職が同行するか
  • リハビリ職との連携:カンファレンスの頻度、介護職が生活リハビリにどこまで関わるか
  • 従来型かユニット型か:ユニット型は少人数のユニットで生活を支える

入所する人の条件は老健の入所条件でまとめています。

よくある質問

老健の介護職は無資格でも働けますか?

働けます。介護老人保健施設の基準では、介護職員に資格要件は定められていません。無資格の場合は、施設の案内で認知症介護基礎研修を受講します。

老健と特養の介護職はどちらがきついですか?

きつさの種類が違います。特養は介護の必要度が高い人の生活を長く支える体力面、老健は入退所が多く多職種との連携や申し送りが多い面で大変さがあります。施設ごとの人員配置でも大きく変わります。

老健の夜勤は何人ですか?

告示では、夜勤を行う看護職員・介護職員は原則2人以上です。入所者と併設ショートステイの利用者の合計が40人以下で、緊急時の連絡体制を常に整えている施設は1人以上とされています。

老健の介護職の給料はいくらですか?

令和6年度介護従事者処遇状況等調査では、処遇改善加算を取得している事業所の月給・常勤の介護職員で、介護老人保健施設の平均給与額は352,900円です。手当と一時金を含む額で、手取りではありません。

老健の介護職もリハビリをしますか?

個別のリハビリは理学療法士などのリハビリ職が担当します。介護職は、リハビリで練習した動作を日常の介助の中で続けてもらう役割を担います。

まとめ
  • 老健の介護職は、生活の介護に加えて、在宅復帰に向けてリハビリの成果を生活に生かす役割を担う
  • 看護・介護職員は常勤換算で入所者3人に1人以上。看護7分の2・介護7分の5程度が標準
  • 夜勤は原則2人以上。小規模で連絡体制がある施設は1人以上
  • 月給・常勤の平均給与額は352,900円で、介護職員全体より高い
  • 資格要件はなく、医療やリハビリに近い介護を学べる
参考にした情報

※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。老健の定義は介護保険法、人員基準と介護の内容は介護老人保健施設の基準、夜勤の人数は告示第29号、給与額は令和6年度介護従事者処遇状況等調査にもとづいて整理しています(2026年10月確認)。給与額は調査対象の平均で、地域・法人・資格・夜勤回数によって異なります。特養との違い・向いている人・リハビリとの連携に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、施設によって異なります。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味