地域包括支援センターとは?相談できることと使い方

介護のことで相談する場所を1つだけ覚えるなら、ここです。要介護認定を受けていなくても、本人が行かなくても、無料で相談できます。
それでも使われないのは、何を頼めるのか分かりにくいからです。この記事では、厚生労働省の設置運営通知の原文を確認して、そこに書かれている業務の範囲と、家族からの相談がなぜ対象に含まれるのかを整理しました。
この記事でわかること
- 地域包括支援センターの法律上の位置づけ
- 配置されている3つの専門職
- 担当エリアが決まっている理由
- 4つの業務で何を頼めるのか
- 家族の相談が業務に含まれる根拠
- たらい回しにされない仕組み
- 相談するときに用意しておくとよいこと
- ケアマネジャーとの役割の違い
地域包括支援センターとは?
厚生労働省の設置運営通知は、地域包括支援センターを次のように定義しています。
通知の原文(設置の目的)
「地域包括支援センターは、地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、地域住民の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的として、包括的支援事業等を地域において一体的に実施する役割を担う中核的機関として設置されるものである(法第115条の46第1項)」
設置者は市町村です。市町村が直接運営する直営型と、社会福祉法人や医療法人などに委託する委託型があります。委託型でも市町村の事業であることに変わりはなく、相談は無料です。
名称が「◯◯高齢者支援センター」「◯◯あんしんセンター」などになっている自治体もあります。呼び方が違っても同じ機関です。
3つの専門職が配置されている
通知は、職員の員数を次のように定めています。
通知の原文(職員の員数)
「センターに置くべき、専ら包括的支援事業等に従事する常勤の職員の員数は、センターが担当する区域における第1号被保険者の数がおおむね3000人以上6000人未満ごとに、保健師等1人、社会福祉士等1人及び主任介護支援専門員等1人とされている」
| 職種 | 主に担当する領域 |
|---|---|
| 保健師等 | 健康面、医療との連携、介護予防 |
| 社会福祉士等 | 権利擁護、虐待対応、成年後見、経済的な問題 |
| 主任介護支援専門員等 | ケアマネジャーへの支援、サービス調整 |
相談内容によって担当が変わるので、電話で用件を伝えてから訪ねると話が早く進みます。
この配置基準から分かるのが、担当エリアが決まっていることです。高齢者の人数で区域が区切られているため、どこのセンターでもよいわけではありません。原則として、本人が住んでいる住所を担当するセンターに相談します。
ただし、まず最寄りに電話してしまっても問題ありません。担当のセンターにつないでもらえます。
地域包括支援センターに相談できること
業務は、介護保険法で4つに整理されています。順に見ていきます。
総合相談支援事業
入口になる業務です。通知はこう書いています。
通知の原文(総合相談支援事業)
「地域の高齢者が住み慣れた地域で安心してその人らしい生活を継続していくことができるよう、どのような支援が必要かを把握し、地域における適切な保健・医療・福祉サービス、機関又は制度の利用につなげる等の支援を行うもの」
ポイントは「制度の利用につなげる」です。何の制度を使えばよいか分からない段階で相談してよいということです。介護保険に限りません。
権利擁護事業
通知は業務の内容を具体的に挙げています。
- 成年後見制度の活用促進
- 老人福祉施設等への措置の支援
- 高齢者虐待への対応
- 困難事例への対応
- 消費者被害の防止
対象は「地域の住民や民生委員、介護支援専門員などの支援だけでは十分に問題が解決できない、適切なサービス等につながる方法が見つからない等の困難な状況にある高齢者」とされています。
訪問していて、高額な商品の契約書が置いてあるとか、お金の管理ができなくなっているという場面に出会います。これは介護の問題ではないから、と遠慮する必要はありません。通知に書かれている業務です。
包括的・継続的ケアマネジメント支援事業
ケアマネジャーを支える業務です。担当ケアマネジャーが困っているとき、センターが後方支援をします。
家族にとって関係が深いのは、退院時の記述です。通知は次のように書いています。
通知の原文(退院時の連携)
「居宅介護支援の利用がなかった入院中の高齢者が退院後の介護サービスを必要としている場合、医療機関からの連絡を受け、適切に居宅介護支援事業所に結びつけることができるよう、あらかじめ地域の職能団体や医療機関等との間で協議をしておくこと」
つまり、介護保険を使っていなかった人が入院して、退院後に介護が必要になった場合の受け皿が想定されています。入院中に相談を始めてよい、ということです。
介護予防ケアマネジメント
要支援1・2の方や、基本チェックリストに該当した事業対象者のケアプランを作る業務です。要支援のケアプランは、居宅介護支援事業所ではなく地域包括支援センターが担当します。
要介護になると担当が居宅介護支援事業所のケアマネジャーに移ります。ここで「担当者が変わった」と戸惑う家庭が多いのですが、制度上の役割分担です。
家族の相談も業務に含まれる
ここが最も知られていない点です。通知は、家族介護者への支援を明記しています。
通知の原文(家族介護者への支援)
「地域における高齢者の在宅生活を支えるためには、高齢者本人のみならず、本事業の実施を通じて介護を行う家族等に対する支援を行うことも重要であり、ヤングケアラーを含めた家族介護者への具体的な支援に当たっては(中略)参考にされたい」
本人が拒否していて相談に行けない、介護する側が限界に近い、といった相談も対象です。本人の同意がないと何もできない、ということはありません。
介護する家族が学生や若い世代である場合(ヤングケアラー)についても、通知で名指しされています。相談先が分からないまま抱え込むケースが多い領域です。
ちびウルフ本人が「まだ大丈夫」って言ってるのに、家族だけで相談していいの?
リハウルフいいです。むしろその段階での相談が一番多いです。すぐ動かず様子を見る、という判断も含めて一緒に考えてくれます。
たらい回しにされない仕組みがある
「相談しても別の窓口に回されるだけでは」と心配する方がいます。ここにも根拠があります。
通知の原文(他機関への接続)
「複合化・複雑化した課題を抱える個人や世帯に対する適切な支援・対応を行うため、センターを含む相談支援を担う事業者は、相談等を通じて自らが解決に資する支援を行うことが困難な地域生活課題を把握した場合には、必要に応じて適切な支援関係機関につなぐことが努力義務とされている(社会福祉法第106条の2)」
センターで解決できない課題でも、つなぐところまでが役割とされています。介護と同時に、障害、生活困窮、住まい、医療の問題が重なっている家庭ほど、最初にここへ相談する価値があります。
ケアマネジャーとの違い
混同されやすいので整理します。
| 地域包括支援センター | ケアマネジャー(居宅介護支援事業所) | |
|---|---|---|
| 設置・運営 | 市町村(委託を含む) | 民間の事業所が中心 |
| 対象 | 地域の高齢者全般と家族。認定がなくてもよい | 原則として要介護1〜5の認定を受けた方 |
| 主な役割 | 相談の入口、権利擁護、ケアマネジャーの支援 | ケアプラン作成とサービス調整 |
| 要支援の方 | 介護予防ケアプランを担当 | センターから委託を受けて担当することがある |
| 費用 | 無料 | 自己負担なし(全額が保険給付) |
まだ認定を受けていない段階では、相談先は地域包括支援センターです。認定を受けて要介護になったら、担当ケアマネジャーが日常の窓口になります。ケアマネジャーの選び方はケアマネージャーは誰が決めるのか?選び方と変更の手順をご覧ください。
相談前に用意しておくとよいこと
手ぶらで行っても構いませんが、次のことを整理しておくと初回で話が進みます。
- 本人の年齢、住所、加入している医療保険
- 困っている場面の具体例(いつ、どこで、何ができなくなったか)
- かかりつけ医の名前と、最近の受診状況
- 服用している薬(お薬手帳があれば持参)
- 同居の有無と、日中の過ごし方
- 家族が手伝える時間帯と、できないこと
最後の項目を言葉にしておくのが重要です。「家族が何をできないか」が分からないと、現実的な計画になりません。遠慮して「なんとかやれます」と答えると、その前提で組み立てられてしまいます。
薬については、ふらつきや物忘れの原因になっていることがあります。相談時に伝えておくと、医療側への確認につながります。詳しくは高齢者の薬が多いとどうなる?ポリファーマシーの基準をご覧ください。
相談から介護保険の利用まで
初回の相談から、実際にサービスが始まるまでの流れです。
- 地域包括支援センターに電話し、状況を伝えて相談日を決める
- 相談(来所または訪問)。必要に応じて要介護認定の申請を勧められる
- 要介護認定を申請する(センターが申請を代行できます)
- 認定調査と主治医意見書をもとに審査・判定が行われる
- 認定結果が出たら、要支援はセンター、要介護は居宅介護支援事業所が計画を作る
- サービス担当者会議を経て、サービスが始まる
申請の代行を頼めるのは知られていません。本人や家族が窓口に行けない場合は相談してください。申請から結果が出るまでの流れは要介護認定の申請方法は?流れ・必要書類・かかる期間にまとめています。
よくある質問
相談は無料ですか?
無料です。市町村の事業として実施されており、委託型のセンターでも同じです。
要介護認定を受けていなくても相談できますか?
できます。総合相談支援事業は、どのような支援が必要かを把握し、適切なサービスや制度の利用につなげる業務です。認定の有無は問いません。
家族だけで相談してもいいですか?
問題ありません。通知は、高齢者本人のみならず介護を行う家族等への支援も重要であると明記しています。ヤングケアラーを含む家族介護者への支援も業務に含まれます。
どこのセンターに相談すればいいですか?
本人が住んでいる住所を担当するセンターです。高齢者の人数で担当区域が決まっています。分からなければ最寄りに電話すれば、担当のセンターを教えてもらえます。
どんな職員がいますか?
保健師等、社会福祉士等、主任介護支援専門員等の3職種です。担当区域の第1号被保険者おおむね3,000人以上6,000人未満ごとに各1人を置くこととされています。
虐待やお金の問題も相談できますか?
できます。権利擁護事業として、成年後見制度の活用促進、高齢者虐待への対応、消費者被害の防止などが業務に挙げられています。
入院中でも相談できますか?
できます。通知は、居宅介護支援の利用がなかった入院中の高齢者が退院後に介護サービスを必要とする場合について、医療機関からの連絡を受けて事業所に結びつける体制を整えるよう求めています。
要支援と要介護でケアプランを作る人は違いますか?
違います。要支援は地域包括支援センターの介護予防ケアマネジメント、要介護は居宅介護支援事業所のケアマネジャーが担当します。
介護保険以外のことも相談できますか?
できます。センターで解決できない課題でも、適切な支援関係機関につなぐことが社会福祉法で努力義務とされています。
要介護認定の申請を代わりにしてもらえますか?
申請の代行を依頼できます。本人や家族が窓口へ行けない事情がある場合は相談してください。
まとめ
- 地域包括支援センターは介護保険法に定められた中核的機関
- 設置者は市町村で、直営型と委託型がある
- 相談は無料で、要介護認定を受けていなくても利用できる
- 保健師等・社会福祉士等・主任介護支援専門員等の3職種が配置される
- 配置基準は第1号被保険者おおむね3,000人以上6,000人未満ごとに各1人
- 高齢者の人数で担当区域が決まっており、住所で相談先が決まる
- 業務は総合相談支援・権利擁護・包括的継続的ケアマネジメント支援・介護予防ケアマネジメント
- 権利擁護には虐待対応、成年後見、消費者被害の防止が含まれる
- 介護を行う家族等への支援も業務に含まれる
- ヤングケアラーを含む家族介護者支援が通知に明記されている
- 解決できない課題は適切な支援関係機関につなぐ努力義務がある
- 入院中で介護保険を使っていない段階から相談できる
- 要支援のケアプランはセンターが担当する
- 要介護認定の申請は代行を依頼できる
- 相談前に「家族ができないこと」を言葉にしておく
参考にした情報
※本記事の設置目的・職員配置・業務内容は、厚生労働省「地域包括支援センターの設置運営について」にもとづいて整理したものです。同通知は地方自治法第245条の4第1項の技術的助言に該当するもので、実際の運営は市町村の方針により異なる場合があります。センターの名称、開所時間、相談方法、要介護認定の申請代行の取扱いも市町村によって異なります。制度に関する記述は2026年9月時点の内容として整理していますが、その後の改正により取扱いが変わる可能性があります。お住まいの市町村の窓口でご確認ください。





