「ケアマネさんに区分変更をすすめられたけれど、介護度を上げると負担も増えるの?」「サービスをもっと使いたいから介護度を上げたいが、デメリットはない?」——介護度(要介護度)を上げることには、メリットだけでなく見落としがちなデメリットもあります。よく理解しないまま進めると、「思っていたより自己負担が増えた」と後悔することもあります。

この記事では、介護度を上げる(要介護度が上がる)ことのメリットとデメリットを、利用料や使えるサービスの違いを交えて、利用者・ご家族の目線でわかりやすく整理します。区分変更を検討している方が、納得して判断できるようサポートします。

この記事でわかること
  • 介護度が上がると何が変わるのか(支給限度額・使えるサービス)
  • 介護度を上げる5つのメリット
  • 見落としがちな4つのデメリット(利用料アップなど)
  • メリットとデメリットを比較した早見表
  • 区分変更を判断するときの考え方とFAQ

介護度が上がると何が変わる?まず仕組みを理解

介護度が上がると最も大きく変わるのが、1か月に介護保険で使えるサービスの上限額(区分支給限度基準額)です。要支援1から要介護5まで、段階的に上限が増えていきます。

要介護度区分支給限度基準額(1か月)
要支援15,032単位
要支援210,531単位
要介護116,765単位
要介護219,705単位
要介護327,048単位
要介護430,938単位
要介護536,217単位
ポイント1単位はおおむね10円(地域・サービスにより10〜10.7円程度)です。たとえば要介護2から要介護3に上がると、上限が約7,000単位(およそ7万円分)増え、その分だけ多くのサービスを使えるようになります
ちびウルフちびウルフ

上限が増えるなら、介護度は高いほどお得ってこと?

リハウルフリハウルフ

そう単純じゃないんだ。確かに使える量は増えるけど、サービスによっては1回あたりの料金も上がる。だから「上げれば得」とは限らない。メリットとデメリットの両方を見て決めることが大事なんだよ。

介護度を上げる5つのメリット

メリット1 使えるサービスの量が増える

支給限度額が上がるため、訪問介護やデイサービス、訪問看護などをこれまでより多く利用できます。「限度額がいっぱいで必要な回数を組めない」という状態が解消されやすくなります。

メリット2 福祉用具の貸与対象が広がる

車いす・特殊寝台(介護ベッド)などは、原則として要介護2以上でないと介護保険で借りられません(軽度者は原則対象外)。介護度が上がることで、これらの福祉用具が借りやすくなります。

メリット3 施設サービスの選択肢が広がる

特別養護老人ホーム(特養)は、原則要介護3以上が入所対象です。介護度が上がることで、こうした施設の利用条件を満たせる場合があります。

メリット4 介護の負担を分散できる

使えるサービスが増えれば、その分家族が抱える介護負担を軽くできます。ショートステイやデイサービスを組み合わせ、介護する家族の休息(レスパイト)を確保しやすくなります。

メリット5 状態に合ったケアプランを組みやすい

本人の状態が実際に重くなっているなら、介護度を上げることで実態に合った十分なケアプランを組めます。必要なサービスを我慢せずに利用できるのは、本人にとっても安心です。

見落としがちな4つのデメリット

一方で、介護度を上げることには注意すべき点もあります。「介護度が上がる=必ず得」ではないことを理解しておきましょう。

デメリット1 1回あたりの利用料が上がるサービスがある

デイサービス(通所介護)やショートステイ(短期入所)、施設サービスなどは、介護度が高いほど1回・1日あたりの料金が高く設定されています。同じ施設に同じ回数通っても、介護度が上がると自己負担額が増えることがあります。

注意在宅で介護を受けている場合、介護度が上がると支給限度額(使える上限)は増えますが、1回あたりの利用料も上がるサービスがある点に注意が必要です。利用するサービスの種類によって影響が変わります。

デメリット2 今の事業所・施設が使えなくなることがある

サービスの種類によっては、介護度が変わることで対象条件から外れ、これまで利用していた事業所やサービスが使えなくなる場合があります。たとえば、要支援向けの介護予防サービスは、要介護になると利用できなくなります。

デメリット3 ケアプランの作り直しが必要

介護度が変わると、ケアマネジャーがケアプランを作り直す必要があります。サービスの組み替えや事業所との再調整など、一定の手間と時間がかかります。

デメリット4 「過剰な介護」で本人の自立を妨げることも

必要以上にサービスを増やすと、本人が自分でできることまで手伝われ、身体機能の低下や認知症の進行を招くおそれがあります。介護度は「高ければよい」ものではなく、状態に合っていることが大切です。

ちびウルフちびウルフ

使える量が増えるのに、料金が上がることもあるなんてややこしいね…

リハウルフリハウルフ

だからこそ、今どんなサービスを使っていて、介護度が上がると何が変わるのかを、ケアマネジャーと一緒に試算してみるのが一番だよ。実際の負担額で比べると判断しやすいんだ。

メリット・デメリット早見表

観点メリットデメリット
使えるサービス量支給限度額が増え、多く使える
福祉用具要介護2以上で車いす・介護ベッド等が借りやすい
施設利用要介護3以上で特養の対象になる
利用料デイ・ショート・施設は1回あたりが高くなる
サービス継続条件変更で使えなくなるサービスがある
手続きケアプランの作り直しが必要
本人の状態実態に合ったケアを受けられる過剰だと自立を妨げる恐れ

要介護度別の状態とサービス利用の目安

介護度ごとに、心身の状態とサービス利用の目安はおおよそ次のように考えられます(あくまで一般的な目安で、実際の判定は個別に行われます)。自分や家族がどの段階かをイメージする参考にしてください。

区分状態の目安サービスの傾向
要支援1・2日常生活はほぼ自立だが、一部に支援が必要。介護予防が目的介護予防サービス中心。福祉用具は原則制限あり
要介護1立ち上がりや歩行が不安定。部分的な介助が必要訪問・通所を組み合わせた在宅サービス
要介護2移動や排せつ、入浴などに介助が必要な場面が増える車いす・介護ベッドの貸与対象になる
要介護3日常生活全般に介助が必要。認知症の症状が見られることも特別養護老人ホームの入所対象(原則)
要介護4・5ほぼ全面的な介助が必要。寝たきりや重い認知症の状態手厚い在宅サービスや施設サービスが中心
ちびウルフちびウルフ

要介護2と3の境目が大事って聞いたけど、どうして?

リハウルフリハウルフ

要介護3から特別養護老人ホームの入所対象になるからだよ。在宅での介護が限界に近いご家庭では、この「2と3の境目」が施設利用の分かれ目になることが多いんだ。だから区分変更を考えるご家族も多いんだよ。

注意この表はあくまで一般的な傾向です。同じ介護度でも、本人の状態や認知症の有無によって必要なサービスは大きく異なります。実際のプランは担当ケアマネジャーと相談して決めましょう。

区分変更で介護度を上げるか迷ったときの考え方

介護度を上げるかどうかは、「本人の状態が実際に変化しているか」を起点に考えるのが基本です。次の手順で整理してみましょう。

  1. 本人の状態が以前より重くなっているか、現状の介護度が実態に合っているかを確認する
  2. 現在の支給限度額が足りているか(サービスを我慢していないか)を見直す
  3. 介護度が上がった場合に、利用料がどう変わるかをケアマネジャーに試算してもらう
  4. メリット(使える量・福祉用具・施設)とデメリット(利用料・手続き)を比較する
  5. 納得できたら区分変更申請を行う(再度、認定調査が行われる)
ポイント判断に迷ったら、まず担当のケアマネジャーに相談しましょう。今のサービス内容をもとに、介護度が変わったときの負担額や使えるサービスを具体的に教えてもらえます。

よくある質問(FAQ)

介護度を上げると、必ず自己負担は増えますか?
必ずではありません。利用するサービスの種類によります。デイサービスやショートステイ、施設サービスは1回あたりが上がりますが、訪問系サービスのように回数で負担が決まるものは、使う量を変えなければ大きく変わらないこともあります。
区分変更申請はどこにすればよいですか?
お住まいの市区町村の介護保険窓口に申請します。担当のケアマネジャーや地域包括支援センターが手続きを支援してくれます。申請後、改めて認定調査が行われます。
介護度が下がってしまうこともありますか?
区分変更を申請すると再度認定調査が行われるため、状態によっては現状維持や、まれに下がる結果になることもあります。状態が実際に変化したと感じたときに申請するのが基本です。
要介護2と要介護3で、特に大きく変わるのは何ですか?
支給限度額が大きく増えること(約7,000単位アップ)と、特別養護老人ホームの入所対象(原則要介護3以上)になることが大きな違いです。
負担を抑えながら必要なサービスを増やす方法はありますか?
高額介護サービス費(自己負担の上限を超えた分が払い戻される制度)などの軽減制度があります。ケアマネジャーや市区町村に相談し、利用できる制度を確認しましょう。
まとめ
  • 介護度が上がると、支給限度額が増えて使えるサービスが多くなる
  • メリットは「サービス量増・福祉用具・施設選択肢・負担分散・実態に合うケア」
  • デメリットは「1回あたりの利用料アップ・使えなくなるサービス・プラン作り直し・過剰介護のリスク」
  • 「介護度が高い=得」ではない。利用するサービスによって損得が変わる
  • 迷ったらケアマネジャーに相談し、負担額を試算してから区分変更を判断するのが安心
ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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