「ケアマネさんに小規模多機能型居宅介護をすすめられたけれど、デメリットはないのかな」「メリットばかり説明されて、なんだか決めきれない」——ご家族の介護サービスを選ぶとき、こうした迷いはとても自然なものです。良い面だけでなく注意点まで知ったうえで選びたいですよね。

この記事では、小規模多機能型居宅介護(小多機)のデメリットとメリットを両方、利用者・ご家族の目線でわかりやすく整理します。読み終えるころには、ご本人やご家族に合うサービスかどうかを、納得して判断できるようになります。

この記事でわかること
  • 小規模多機能型居宅介護の5つのデメリットと、その背景
  • 小規模多機能型居宅介護の3つのメリット
  • 併用できる介護サービスと、定員などの基本ルール
  • 後悔しないサービス選びのチェックポイント

小規模多機能型居宅介護とは?まず仕組みを確認

小規模多機能型居宅介護とは、「通い」を中心に、必要に応じて「訪問」や「泊まり」を組み合わせて利用できる地域密着型の介護サービスです。1つの事業所が3つの機能をまとめて担い、月額定額で利用できるのが大きな特徴です。

1つの事業所で完結するからこそ得られる安心がある一方で、その仕組みゆえの注意点も存在します。まずはデメリットから具体的に見ていきましょう。

ちびウルフちびウルフ

通い・訪問・泊まりが全部できるなんて便利そう!デメリットなんてあるの?

リハウルフリハウルフ

便利なのは間違いないよ。でも「1つの事業所にまとまる」仕組みだからこそ、注意したい点もあるんだ。順番に見ていこうね。

小規模多機能型居宅介護の5つのデメリット

小多機の主なデメリットは次の5つです。どれも仕組みの裏返しなので、理由とあわせて理解しておくと選びやすくなります。

デメリットひとことで言うと
併用できるサービスに制限がある他の通所・訪問介護とは原則併用できない
ケアマネジャーが変更になる事業所所属のケアマネに切り替わる
定員が決まっている満員だとすぐ利用できないことがある
利用が少ないと割高になる定額制なので使わないと損になりやすい
事業所が1つで選択肢がない合わなくても他へ移りにくい

併用できる介護サービスに制限がある

小多機は「通い・訪問・泊まり」を一括で提供するため、他事業所のデイサービスや訪問介護とは原則併用できません。一方で、目的の異なる次のサービスは併用が可能です。

小多機と併用できる主なサービス訪問看護/訪問リハビリテーション/居宅療養管理指導/福祉用具貸与/住宅改修。これら以外の介護サービスは原則利用できないため、現在使っているサービスがある場合は事前に確認しましょう。

ケアマネジャーが変更になる

小多機を利用すると、ケアプランを作る担当ケアマネジャーが、その事業所所属のケアマネに変わります。これまでの担当者との関係が良かった場合、変更は残念に感じるかもしれません。ケアマネは在宅生活の要となる存在なので、事業所選びの段階でケアマネの対応も見ておくと安心です。

定員が決まっていてすぐ使えないことがある

小多機は地域密着型サービスのため、定員が細かく定められています。

区分定員の目安
登録定員(本体事業所)29人以下
登録定員(サテライト型事業所)18人以下
「通い」1日あたり登録定員に応じ最大18人(基本15人)
「泊まり」1日あたり9人以下

事業所数自体が多くなく、人気の事業所は登録が埋まっていてすぐに利用できないこともあります。利用を考えたら早めに空き状況を確認しておきましょう。

利用が少ないと割高になりやすい

小多機は月額定額制です。サービスを多く使っても少なく使っても、原則として月の料金は変わりません。そのため、月に数回しか利用しない場合は、回数に応じて払う一般的なサービスより割高になることがあります。「どのくらい利用するか」を見積もってから検討するのがおすすめです。

事業所が1つで選択肢が限られる

小多機は原則1つの事業所で完結します。これは大きなメリットでもありますが、裏を返せば合わないと感じても他のサービスに切り替えにくいということ。事前の見学や体験利用で、事業所の雰囲気やスタッフとの相性を確認しておくことが後悔を防ぐ鍵です。

小規模多機能型居宅介護の3つのメリット

注意点を踏まえたうえで、小多機ならではの魅力を見ていきましょう。主なメリットは次の3つです。

柔軟に使える(実質「使い放題」に近い)

定額制のため、利用回数を気にせず状態に合わせて柔軟にサービスを調整できるのが最大の魅力です。「今週は体調が不安定だから通いを増やしたい」「家族が出張で泊まりを使いたい」といった変化に、スピーディーに対応してもらえます。厳密には使い放題ではなく、アセスメントにもとづいて適切な内容・頻度を決めますが、回数制限に縛られにくい安心感があります。

1つの事業所で密な連携が期待できる

通常は通い・訪問・泊まりを別々の事業所が担うため、情報共有に時間がかかることがあります。小多機ならすべて同じ事業所が担当するので、利用者の状態変化が事業所内ですぐに共有され、切れ目のないケアにつながります。

どのサービスも顔なじみのスタッフが対応

「通い」でも「訪問」でも「泊まり」でも、同じスタッフが関わるため、利用者にとっては「いつもの人が来てくれる」安心感があります。認知症のある方にとっては、顔なじみの存在が大きな心の支えになります。

ちびウルフちびウルフ

結局、どんな人に向いているの?

リハウルフリハウルフ

状態が変わりやすくて柔軟に対応してほしい人、顔なじみのスタッフに安心して任せたい人には向いているね。逆に利用回数が少ない人や、特定のデイにこだわりたい人は慎重に考えた方がいいよ。

小規模多機能型居宅介護が向いている人・向いていない人

デメリットとメリットを踏まえると、小多機が合う人と慎重に検討したい人が見えてきます。ご本人やご家族の状況に当てはめて考えてみましょう。

向いている人慎重に検討したい人
状態が変わりやすく柔軟な対応がほしい利用回数が少なく定額だと割高になる
顔なじみのスタッフに安心して任せたい今のケアマネや特定のデイを続けたい
通い・訪問・泊まりをまとめて使いたい事業所を比較して選びたい
家族の介護負担を分散したい医療的ケアの比重が高い(看多機も検討)

特に、在宅介護を続けながら家族の負担も軽くしたいというご家庭には、柔軟に「泊まり」を使える小多機は心強い選択肢です。一方で、利用が月数回にとどまる場合や、すでに信頼できるサービス体制が整っている場合は、現状を維持した方がよいこともあります。

ポイント医療的ケアの必要性が高い場合は、訪問看護を組み込んだ看護小規模多機能型居宅介護(看多機)も選択肢になります。「通い・訪問・泊まり+看護」を一体的に受けられるため、退院直後や看取り期にも対応しやすいのが特徴です。

後悔しないために確認したいチェックポイント

専門職の視点から、契約前に確認しておきたいポイントを手順で整理します。

  1. 今利用しているサービスが併用可能か(訪問看護・福祉用具など以外は原則使えない)を確認する
  2. 月にどのくらい利用する見込みかを試算し、定額制でも割高にならないか検討する
  3. 担当が変わるケアマネジャーの対応・相性を見学時にチェックする
  4. 登録定員の空き状況と、希望時にすぐ使えるかを確認する
  5. 可能なら体験利用をして、スタッフや雰囲気との相性を確かめる
注意小多機は「合うかどうか」が満足度を大きく左右します。パンフレットの説明だけで決めず、必ず見学・体験で実際の様子を確認することをおすすめします。よく似たサービスに、訪問看護も組み込んだ「看護小規模多機能型居宅介護(看多機)」もあるので、医療ニーズが高い場合は併せて検討すると選択肢が広がります。

よくある質問(FAQ)

小規模多機能型居宅介護と訪問看護は一緒に使えますか?
訪問看護は併用可能なサービスのひとつです。そのほか訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、福祉用具貸与、住宅改修も併用できます。一方で他事業所のデイサービスや訪問介護は原則併用できません。
料金はどのくらいかかりますか?
小多機は要介護度ごとの月額定額制です。利用回数に関わらず月額が決まるため、たくさん使う方ほど割安に、利用が少ない方は割高になりやすい仕組みです。具体的な金額は要介護度や加算、自治体により異なるため、事業所やケアマネに確認しましょう。
今のケアマネジャーを続けることはできますか?
原則として、小多機を利用すると担当ケアマネは事業所所属のケアマネに変更になります。これまでの担当者を継続することはできないため、新しいケアマネとの相性も事業所選びの大切なポイントです。
すぐに利用を始められますか?
登録定員(本体29人以下・サテライト18人以下)があり、満員の場合はすぐに利用できないことがあります。事業所数も限られるため、検討を始めたら早めに空き状況を確認しておくと安心です。
住んでいる市区町村以外の事業所も利用できますか?
小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスのため、原則としてその市区町村に住む人が対象です。住所地以外の事業所は基本的に利用できないため、お住まいの自治体内の事業所から探すことになります。
途中で他のサービスに変更することはできますか?
変更は可能です。ただし担当ケアマネが再び変わるなど手続きが必要になります。合わないと感じたら早めにケアマネや地域包括支援センターに相談し、納得のいく形で見直しましょう。
まとめ
  • 小多機は「通い・訪問・泊まり」を1事業所・月額定額で柔軟に使えるサービス
  • デメリットは「併用制限・ケアマネ変更・定員・利用が少ないと割高・選択肢が1つ」
  • メリットは「柔軟な対応・密な連携・顔なじみのスタッフ」
  • 併用できるのは訪問看護・訪問リハ・居宅療養管理指導・福祉用具貸与・住宅改修
  • 見学や体験利用で相性を確かめ、利用回数を試算してから判断するのが後悔しないコツ

出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」、地域密着型サービスの運営基準等

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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