特養の栄養マネジメント強化加算は11単位/日です。入所者全員に算定できるので、定員100人なら月33,000単位(30日)。1日単位では小さく見えますが、積み上がると大きい加算です。

要件の核は管理栄養士の配置数で、常勤換算で入所者50:1以上。ただし常勤の栄養士を1名以上配置して給食管理を行わせている場合は70:1に緩和されます。

ここで注意が必要なのが2点あります。調理業務を委託している場合、委託先に配置されている栄養士・管理栄養士は員数に含められません。そして常勤換算値は小数点第2位以下を切り捨て、入所者数の平均は小数点第2位以下を切り上げ——丸めの方向が両方とも施設に不利です。ぎりぎりの人員で組むと、計算上わずかに足りなくなります。

この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)の「チ 栄養マネジメント強化加算」、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第86号の4(第65号の3を準用)、老企第40号第二の5(28)を突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 11単位/日で入所者全員に算定できること
  • 管理栄養士50:1、常勤栄養士がいれば70:1に緩和されること
  • 「給食管理」に含まれる6つの業務
  • 調理業務の委託先の栄養士は員数に含められないこと
  • 常勤換算は切り捨て、入所者数は切り上げという丸めの方向
  • 中・高リスク者への食事の観察は週3回以上であること
  • 食事の観察は管理栄養士が基本、代行時は報告が必要なこと
  • 退所時・転院時に求められる相談支援と情報提供

単位数は11単位/日。栄養管理減算とは排他

告示21号の「チ 栄養マネジメント強化加算」は、次のとおりです。

チ 栄養マネジメント強化加算 11単位
注 別に厚生労働大臣が定める基準に適合するものとして(中略)届出を行った指定介護老人福祉施設において、入所者ごとの継続的な栄養管理を強化して実施した場合、栄養マネジメント強化加算として、1日につき所定単位数を加算する。ただし、イ及びロの注8を算定している場合は、算定しない。

ただし書きの「注8」は栄養管理の基準を満たさない場合の減算(1日14単位減算)です。

減算を受けている月は加算を取れない

当然といえば当然ですが、条文として明記されています。栄養管理の基準を満たさず14単位減算されている状態で、11単位の加算を取ることはできません。

この減算は、栄養士・管理栄養士の員数、または省令39号第17条の2に規定する栄養管理の基準を満たさない事実が生じた場合に、その翌々月から、解決するに至った月まで入所者全員に適用されます(翌月末までに満たすに至った場合を除く)。

定員100人で30日の月なら、加算は11×100×30=33,000単位(1単位10円換算で約33万円・地域区分単価は考慮せず)。減算に落ちると、加算33,000単位を失うだけでなく42,000単位が引かれます。差引で月75,000単位、約75万円の振れ幅です。

管理栄養士の配置は50:1。常勤栄養士がいれば70:1

大臣基準(第86号の4が第65号の3を準用)のイは、次のとおりです。

条件必要な管理栄養士(常勤換算)
原則入所者の数を50で除して得た数以上
常勤の栄養士を1名以上配置し、
その栄養士が給食管理を行っている場合
入所者の数を70で除して得た数以上

入所者100人で計算すると、原則は2.0以上、緩和後は1.43以上(100÷70=1.428…)。常勤栄養士1名を加えることで、管理栄養士を0.57人分減らせる計算です。

「給食管理」に含まれる6業務

緩和を使うには、常勤の栄養士が「給食管理」を行っている必要があります。老企第40号②が具体的に列挙しています。

  • 調理管理
  • 材料管理
  • 施設等管理
  • 業務管理
  • 衛生管理
  • 労働衛生管理

通知は「給食の運営を管理として行う」これらの業務を指すとしています。なお、この場合でも「特別な配慮を必要とする場合など、管理栄養士が給食管理を行うことを妨げるものではない」とされており、管理栄養士が給食管理に一切関わってはいけないという趣旨ではありません。

委託先の栄養士はカウントできない

実務でもっとも大きな制約がこれです。

なお、当該算出にあたり、調理業務の委託先において配置される栄養士及び管理栄養士の数は含むことはできないこと。

給食を業者に委託している特養は多数あります。委託先には栄養士・管理栄養士が配置されていることが通常ですが、その人数はまったく計算に入りません。

つまり、施設が直接雇用する管理栄養士だけで50:1(または70:1)を満たす必要があります。委託しているから栄養部門は充足している、という感覚でいると届出できません。

丸めの方向が両方とも不利。ぎりぎりの人員は危ない

老企第40号②イ・ロは、計算方法を細かく定めています。ここが実務の落とし穴です。

対象計算方法端数処理
管理栄養士の常勤換算値暦月ごとの職員の勤務延時間数 ÷ 常勤職員が勤務すべき時間小数点第2位以下を切り捨て
入所者数前年度の全入所者の延数 ÷ 前年度の日数小数点第2位以下を切り上げ
分子は切り捨て、分母は切り上げ

配置人数(=満たすべき側)は切り捨てられ、入所者数(=必要数を決める側)は切り上げられます。両方とも施設に不利な方向です。

具体例で見ます。前年度の平均入所者数が99.05人だったとします。

入所者数:99.05 → 切り上げて99.1
必要な管理栄養士:99.1 ÷ 50 = 1.982以上
実際の管理栄養士の常勤換算:1.983 → 切り捨てて1.9

1.9 < 1.982 となり、実態としては足りているのに、計算上は不足という結果になります。

50:1ちょうどを狙った人員設計は避けるべきです。余裕を持たせるか、常勤栄養士を置いて70:1に落とすかを検討してください。

一時的に人員が減った場合の救済

通知②イには、次の規定もあります。

なお、やむを得ない事情により、配置されていた職員数が一時的に減少した場合は、1月を超えない期間内に職員が補充されれば、職員数が減少しなかったものとみなすこととする。

退職などで一時的に欠けても、1か月以内に補充できれば減少しなかったものとして扱われます。管理栄養士の採用は時間がかかるので、この1か月という期限は現実にはかなり厳しいのですが、規定として押さえておく価値はあります。

中・高リスク者には食事の観察を週3回以上

大臣基準のロ・ハは、低栄養状態のリスクに応じた対応を求めています。老企第40号④⑤が具体化しています。

リスク求められる対応
中リスク・高リスク栄養ケア計画に低栄養状態の改善等を行うための栄養管理方法や、食事の観察の際に特に確認すべき点等を示す
食事の観察を週3回以上行う
栄養状態・食事摂取量・摂食嚥下の状況・食欲・食事の満足感・嗜好を踏まえた食事の調整、姿勢・食具・食事の介助方法等の食事環境の整備等を実施
低リスク食事の観察の際にあわせて食事の状況を把握し、問題点がみられた場合は速やかに関連職種と情報共有し、必要に応じて栄養ケア計画を見直す

リスク評価は、別途通知「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」第4に基づいて行います。

ただし例外があります。中リスク者のうち、経口による食事の摂取を行っておらず、栄養補給法以外のリスク分類に該当しない場合は、低リスク者に準じた対応でよいとされています。経管栄養のみを理由に中リスクとなっている方は、週3回の観察対象から外れるということです。

食事の観察は管理栄養士が基本。代行したら報告する

食事の観察については、管理栄養士が行うことを基本とし、必要に応じ、関連する職種と連携して行うこと。やむを得ない事情により、管理栄養士が実施できない場合は、介護職員等の他の職種の者が実施することも差し支えないが、観察した結果については、管理栄養士に報告すること。

「介護職員でもよい」とだけ覚えていると危険です。①管理栄養士が行うのが基本、②代行はやむを得ない事情がある場合、③代行した場合は管理栄養士への報告が必要——この3段構えです。報告の記録が残っていないと、要件を満たしていないと判断されます。

ちびウルフちびウルフ

週3回の観察って、管理栄養士1人で全員分は無理じゃないですか?

リハウルフリハウルフ

週3回が必要なのは中リスク・高リスクの方だけです。低リスクの方は「食事の観察の際にあわせて状況を把握」でよい。まずリスク分類を正確に行って、対象者を絞ることが出発点です。

それと、通知にこんな一文があります。「経口維持加算を算定している場合は、当該加算算定に係る食事の観察を兼ねても差し支えない」。経口維持加算では多職種による食事の観察と会議が要件になっているので、同じ観察を二重にやる必要はありません。この2つを別々に回している施設は、記録も業務も無駄が出ています。

退所時・転院時の対応まで要件に含まれる

意外と見落とされているのが、老企第40号④ニです。入所中だけでなく、出ていくときの対応まで求められています。

行き先求められる対応
居宅に移行する場合入所者またはその家族に対し、管理栄養士が退所後の食事に関する相談支援を行う
他の介護保険施設や医療機関に入所(入院)する場合入所中の栄養管理に関する情報を入所先(入院先)に提供する

提供すべき情報も具体的に列挙されています。

  • 必要栄養量
  • 食事摂取量
  • 嚥下調整食の必要性(嚥下食コード)
  • 食事上の留意事項等

嚥下食コードまで名指しされています。日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食分類のコードを、施設として日常的に使っている状態が前提になっているということです。

また、居宅移行時の相談支援は「管理栄養士が」行うと明記されています。生活相談員や介護支援専門員が代わりに説明する、では要件を満たしません。

LIFEへの提出とPDCA

大臣基準ニは、LIFEへの情報提出と活用を求めています。提出頻度は個別機能訓練加算(Ⅱ)と同様で、①新規に計画を作成した日の属する月、②計画の変更を行った日の属する月、③①②のほか少なくとも3月に1回、いずれも翌月10日までです。

提出遅れのペナルティが重い

LIFE通知は、栄養マネジメント強化加算について科学的介護推進体制加算と同じ扱いを定めています。

「情報を提出すべき月について情報の提出を行えない事実が生じた場合、直ちに届出を提出しなければならず、事実が生じた月のサービス提供分から情報の提出が行われた月の前月までの間について、利用者全員について本加算を算定できない」。

1人分の提出漏れで、入所者全員の加算が飛びます。定員100人なら月33,000単位。提出管理の重要度は、単位数以上に高い加算です。

PDCAサイクルとしては、LIFEへの提出情報とフィードバック情報を活用し、栄養ケア計画の作成(Plan)→計画に基づく支援の提供(Do)→支援内容の評価(Check)→評価結果を踏まえた計画の見直し・改善(Action)を回すことが求められます。

他の加算との関係

加算関係
栄養管理の基準を満たさない場合の減算(注8)算定不可(告示に明記)
退所時栄養情報連携加算栄養マネジメント強化加算を算定している場合は算定できない
経口維持加算併算定可。食事の観察を兼ねてよい
経口移行加算併算定可
個別機能訓練加算(Ⅲ)栄養マネジメント強化加算の算定が要件
科学的介護推進体制加算併算定可

とくに個別機能訓練加算(Ⅲ)との関係は重要です。(Ⅲ)は口腔衛生管理加算(Ⅱ)と栄養マネジメント強化加算の両方を算定していることが要件なので、栄養マネジメント強化加算を取ることで、個別機能訓練加算(Ⅲ)20単位への道が開きます。

介護予防(要支援)には存在しない

特養は原則として要介護3以上の方が入所する施設のため、介護予防版の栄養マネジメント強化加算は存在しません。

この加算は地域密着型特養・特養・老健・介護医療院の施設系4種に設定されています。要件は大臣基準第65号の3に一本化されており、読み替えを除けば共通です。

よくある質問
管理栄養士は何人必要ですか?

常勤換算で入所者の数を50で除して得た数以上です。ただし常勤の栄養士を1名以上配置し、その栄養士が給食管理を行っている場合は、70で除して得た数以上に緩和されます。入所者100人なら原則2.0以上、緩和後は1.43以上です。

給食を委託しています。委託先の管理栄養士は数に入りますか?

入りません。通知は「調理業務の委託先において配置される栄養士及び管理栄養士の数は含むことはできない」と明記しています。施設が直接雇用する管理栄養士だけで要件を満たす必要があります。

「給食管理」とは具体的に何ですか?

調理管理・材料管理・施設等管理・業務管理・衛生管理・労働衛生管理の6業務です。給食の運営を管理として行うこれらの業務を指します。

常勤換算と入所者数の端数はどう処理しますか?

管理栄養士の常勤換算値は小数点第2位以下を切り捨て、入所者数(前年度平均)は小数点第2位以下を切り上げます。両方とも施設に不利な方向に丸められるため、ぎりぎりの人員設計は避けてください。

管理栄養士が退職しました。すぐに算定できなくなりますか?

やむを得ない事情により一時的に減少した場合、1月を超えない期間内に補充されれば、職員数が減少しなかったものとみなされます。ただし1か月以内の補充が条件です。

食事の観察は全員に週3回必要ですか?

週3回以上が必要なのは、低栄養状態のリスクが中リスク・高リスクに該当する方です。低リスクの方は、食事の観察の際にあわせて状況を把握すればよいとされています。

食事の観察は介護職員が行ってもよいですか?

管理栄養士が行うことが基本です。やむを得ない事情により管理栄養士が実施できない場合は他の職種でも差し支えありませんが、観察結果を管理栄養士に報告する必要があります。報告の記録を残してください。

経口維持加算の食事観察と別に行う必要がありますか?

ありません。通知は「経口維持加算を算定している場合は、当該加算算定に係る食事の観察を兼ねても差し支えない」としています。

退所するときに何をする必要がありますか?

居宅に移行する場合は、管理栄養士が入所者または家族に対して退所後の食事に関する相談支援を行います。他の施設や医療機関に移る場合は、必要栄養量・食事摂取量・嚥下調整食の必要性(嚥下食コード)・食事上の留意事項等を提供します。

栄養管理の減算を受けている月でも算定できますか?

できません。告示に「イ及びロの注8を算定している場合は、算定しない」と明記されています。注8は栄養管理の基準を満たさない場合の1日14単位の減算です。

まとめ
  • 栄養マネジメント強化加算は11単位/日。入所者全員に算定できる
  • 栄養管理の基準を満たさない場合の減算(注8)を受けている月は算定できない
  • 管理栄養士は常勤換算で入所者50:1以上
  • 常勤の栄養士1名以上が給食管理を行っている場合は70:1に緩和される
  • 「給食管理」は調理管理・材料管理・施設等管理・業務管理・衛生管理・労働衛生管理の6業務
  • 調理業務の委託先に配置された栄養士・管理栄養士は員数に含められない
  • 常勤換算値は小数点第2位以下切り捨て、入所者数は小数点第2位以下切り上げ
  • 丸めの方向が両方とも不利なため、50:1ちょうどの人員設計は危険
  • 一時的な減少は1月を超えない期間内に補充すれば減少しなかったものとみなされる
  • 中リスク・高リスク者には食事の観察を週3回以上行う
  • 経管栄養のみを理由に中リスクとなっている方は低リスクに準じた対応でよい
  • 食事の観察は管理栄養士が基本。代行した場合は管理栄養士への報告が必要
  • 経口維持加算の食事の観察と兼ねてよい
  • 居宅移行時は管理栄養士が退所後の食事に関する相談支援を行う
  • 他施設・医療機関への移行時は嚥下食コードを含む栄養情報を提供する
  • LIFEの提出は計画作成月・変更月・3月に1回。翌月10日まで
  • 提出漏れがあると入所者全員が算定できなくなる
  • 個別機能訓練加算(Ⅲ)はこの加算の算定が要件になっている
  • 介護予防(要支援)版は存在しない
参考にした情報
  • 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)別表 指定施設サービス等介護給付費単位数表「介護福祉施設サービス」チ(栄養マネジメント強化加算)、イ及びロの注8(栄養管理に係る減算)、ニ(退所時栄養情報連携加算)
  • 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第86号の4(介護福祉施設サービスにおける栄養マネジメント強化加算の基準)、第65号の3(準用元)、第86号の3の2(個別機能訓練加算の基準)
  • 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月8日老企第40号)第二の5(28)栄養マネジメント強化加算について、同(9)栄養管理に係る減算について
  • 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第2条第3項、第17条の2
  • 科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和6年3月15日老老発0315第4号)第2の8
  • 厚生労働省「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示、省令および通知にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。常勤換算の計算方法や「やむを得ない事情」の判断は、都道府県・指定都市によって取扱いが異なる場合があります。低栄養状態のリスク分類の判定方法は別途通知に定められており、改定により変更される場合があるため最新版をご確認ください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。試算に用いた金額は1単位10円で換算した概算であり、地域区分単価は考慮していません。本文中の計算例は端数処理の考え方を示すための例示です。人員設計に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
PR

リハビリ職の転職・求人なら
レバウェルリハビリ

リハノメ 無料で求人を見る ▶
PR

PT・OT・STのオンラインセミナー
リハノメ

リハノメ セミナーを詳しく見る ▶