定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービス提供体制強化加算は、算定している基本報酬の類型によって単位数がまったく違います。(Ⅰ)または(Ⅱ)を算定している場合は月単位で最大750単位、(Ⅲ)を算定している場合は回数単位で最大22単位です。この違いを取り違えると請求を誤ります。

この記事では、この加算の単位数と算定要件を、厚生労働大臣が定める基準の原文を確認して整理しました。

この記事でわかること
  • 基本報酬の類型で単位数が変わること
  • (Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)それぞれの単位数
  • すべての区分に共通する3つの基礎要件
  • 区分を分ける介護福祉士等の割合
  • (Ⅲ)だけ常勤割合・勤続年数でも満たせること
  • 処遇改善加算(Ⅰ)との関係
  • 割合を算出するときの注意
  • 体制が崩れたときの対応

定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービス提供体制強化加算とは?

職員の研修体制、会議の開催、健康診断の実施といった基礎的な体制に加えて、介護福祉士の割合や勤続年数を評価する加算です。人材の定着と質の確保を報酬で評価する仕組みで、他の多くのサービスにも同名の加算があります。

サービス提供体制強化加算の単位数

区分イ又はロ(月額包括)を算定している場合ハ(Ⅲ)を算定している場合
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)750単位22単位
サービス提供体制強化加算(Ⅱ)640単位18単位
サービス提供体制強化加算(Ⅲ)350単位6単位
類型を取り違えないこと 基本報酬のイ(定期巡回・随時対応型訪問介護看護費(Ⅰ))またはロ(同(Ⅱ))を算定している場合は、左列の単位数です。
ハ(同(Ⅲ))を算定している場合は右列です。(Ⅲ)は基本部分が月額、訪問部分が回数単位という構造のため、加算も回数に対応した小さい単位数になっています。
自事業所がどの類型で請求しているかを、まず確認してください。

サービス提供体制強化加算の算定要件

すべての区分に共通する3つの基礎要件

厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第47号 イ(1)〜(3)
  • (1) 全ての定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者に対し、従業者ごとに研修計画を作成し、研修(外部における研修を含む。)を実施又は実施を予定していること。
  • (2) 利用者に関する情報若しくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達又は従業者の技術指導を目的とした会議を定期的に開催すること。
  • (3) 全ての従業者に対し、健康診断等を定期的に実施すること。

(Ⅱ)(Ⅲ)もこの3つを満たす必要があります。区分が下がっても基礎要件は変わりません。ここが抜けていると、割合の要件を満たしていても算定できません。

区分を分ける要件

区分追加で必要な要件(いずれかに適合)
(Ⅰ)・訪問介護員等の総数のうち介護福祉士が60%以上
・または勤続10年以上の介護福祉士が25%以上
(Ⅱ)・介護福祉士が40%以上
・または介護福祉士、実務者研修修了者および介護職員基礎研修課程修了者が60%以上
(Ⅲ)・介護福祉士が30%以上、または介護福祉士等が50%以上
・または従業者の総数のうち常勤職員が60%以上
・または勤続7年以上の者が30%以上

注目すべきは(Ⅲ)です。資格の割合を満たせなくても、常勤割合または勤続年数で満たせる道があります。資格者の採用が難しい事業所でも、定着が進んでいれば算定できる設計になっています。

ちびウルフちびウルフ

うちは介護福祉士が少ないから、どれも無理かな…。

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(Ⅲ)を見てください。常勤職員が60%以上でも、勤続7年以上の者が30%以上でも満たせます。資格だけの勝負ではありません。長く働いている職員が多い事業所なら、計算してみる価値があります。まず(Ⅲ)を取って、そこから(Ⅱ)を目指す順序が現実的です。

サービス提供体制強化加算の注意点

  • 基礎要件の記録を残す:研修計画、会議の議事録、健康診断の実施記録の3点セットが必要です
  • 「研修計画を従業者ごとに作成」:全体の年間計画だけでは足りず、個々の職員ごとの計画が求められています
  • 割合の算出方法を確認する:常勤換算の考え方や、算定する月の前の期間の扱いは通知で定められています
  • 区分は併算定できない:(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)のいずれか一つです
  • 処遇改善加算(Ⅰ)との関係:介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)イ・ロを算定するには、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)または(Ⅱ)を届け出ていることが要件に含まれています
  • 体制が崩れたら速やかに届け出る:職員の退職で割合を下回った場合、その時点から算定できません
処遇改善加算(Ⅰ)を狙うならセットで考える 基準第48号は、介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)イの要件の一つとして「サービス提供体制強化加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)のいずれかを届け出ていること」を挙げています。
つまり、処遇改善加算の最上位区分を取るには、サービス提供体制強化加算の(Ⅲ)では足りません。職員の賃金に直結するため、加算の設計は両方を見て決めてください。

サービス提供体制強化加算のQ&A

よくある質問

単位数が2種類あるのはなぜですか?

基本報酬の類型によって分かれているためです。イ・ロ(月額包括)を算定している場合と、ハ(Ⅲ)を算定している場合で単位数が異なります。

(Ⅱ)や(Ⅲ)でも研修や会議は必要ですか?

必要です。研修計画の作成と実施、会議の定期開催、健康診断の定期実施の3つは、すべての区分に共通する要件です。

研修計画は全体の年間計画でよいですか?

条文は「従業者ごとに研修計画を作成し」と定めています。個々の職員ごとの計画が求められます。

介護福祉士が少なくても算定できますか?

(Ⅲ)であれば、常勤職員が60%以上、または勤続7年以上の者が30%以上でも満たせます。

区分は複数算定できますか?

できません。(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)のいずれか一つです。

処遇改善加算との関係はありますか?

あります。介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)イの要件に、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)または(Ⅱ)を届け出ていることが含まれています。

割合はどの時点で判定しますか?

算出の方法と対象期間は留意事項通知で定められています。保険者にも確認してください。

職員が退職して割合を下回ったら?

要件を満たさなくなった時点で算定できません。速やかに市町村長へ届け出てください。

会議はどのくらいの頻度で開きますか?

条文は「定期的に開催」と定めています。開催記録(日時・出席者・内容)を残してください。

まとめ
  • 単位数は、算定している基本報酬の類型によって2系統に分かれる
  • イ・ロ(月額包括)では(Ⅰ)750単位、(Ⅱ)640単位、(Ⅲ)350単位
  • ハ(Ⅲ)では(Ⅰ)22単位、(Ⅱ)18単位、(Ⅲ)6単位
  • すべての区分に共通する基礎要件が3つある
  • 研修計画は「従業者ごとに」作成する必要がある
  • 情報伝達または技術指導を目的とした会議を定期的に開催する
  • 全従業者に健康診断等を定期的に実施する
  • (Ⅰ)は介護福祉士60%以上、または勤続10年以上の介護福祉士25%以上
  • (Ⅱ)は介護福祉士40%以上、または介護福祉士等60%以上
  • (Ⅲ)は介護福祉士30%以上または介護福祉士等50%以上
  • (Ⅲ)は常勤職員60%以上、勤続7年以上30%以上でも満たせる
  • 資格者が少なくても、定着が進んでいれば(Ⅲ)を算定できる
  • 区分は併算定できず、いずれか一つ
  • 処遇改善加算(Ⅰ)イの要件に、本加算(Ⅰ)または(Ⅱ)の届出が含まれる
  • 要件を満たさなくなった時点で算定できず、届出が必要
参考にした情報

※本記事の単位数および算定要件に関する記述は、厚生労働大臣が定める基準および指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準にもとづいて整理したものです。単位数は令和6年度介護報酬改定時点のもので、地域区分による1単位あたりの単価は含みません。介護福祉士等の割合の算出方法、判定の対象期間、常勤換算の考え方は留意事項通知で定められています。届出の様式や手続きは保険者である市町村によって異なる場合があります。個別の算定の可否は、必ず保険者にご確認ください。2026年9月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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