定期巡回の介護職員等処遇改善加算とは?加算率と要件

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の介護職員等処遇改善加算は、所定単位数に一定の率を掛けて算定します。最上位の区分を取るには、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)または(Ⅱ)を届け出ていることが要件に含まれている点が、実務上いちばん重要です。
この記事では、この加算の加算率と算定要件を、厚生労働大臣が定める基準の原文を確認して整理しました。加算全体の考え方は介護職員等処遇改善加算とは?にまとめています。
- 区分ごとの加算率
- (Ⅰ)ロが(Ⅰ)イより高い理由
- 加算額の2分の1以上を月額賃金に充てる要件
- 年額440万円以上の職員を1人置く要件
- サービス提供体制強化加算との関係
- 労働関係法令の遵守が要件に含まれること
- 計画書と実績報告の流れ
- 算定できなくなりやすい場面
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の介護職員等処遇改善加算とは?
職員の賃金改善に充てることを条件に、事業所の収入を上乗せする加算です。令和6年度の介護報酬改定で、それまで複数あった処遇改善の加算が一本化されました。加算として事業所に入り、事業所が職員に配分するという仕組みです。
介護職員等処遇改善加算の加算率
| 区分 | 加算率 |
|---|---|
| 介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)イ | 1000分の267 |
| 介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)ロ | 1000分の278 |
| 介護職員等処遇改善加算(Ⅱ)イ | 1000分の246 |
| 介護職員等処遇改善加算(Ⅱ)ロ | 1000分の257 |
| 介護職員等処遇改善加算(Ⅲ) | 1000分の204 |
| 介護職員等処遇改善加算(Ⅳ) | 1000分の167 |
これは、ロが「イの要件すべて」に加えて、ケアプランデータ連携システムの利用または連携推進法人への所属のいずれかを満たすことを求めているためです。(Ⅱ)でも同じ構造(イ246・ロ257)になっています。
介護職員等処遇改善加算の算定要件
賃金改善に関する要件
- (一) 仮に介護職員等処遇改善加算(Ⅳ)を算定した場合に算定することが見込まれる額の二分の一以上を基本給又は決まって毎月支払われる手当に充てるものであること。
- (二) 経験・技能のある介護職員のうち一人は、賃金改善後の賃金の見込額が年額四百四十万円以上であること。ただし、介護職員等処遇改善加算の算定見込額が少額であることその他の理由により、当該賃金改善が困難である場合はこの限りでないこと。
(一)は、一時金だけで配るのではなく、月々の賃金に反映させることを求める規定です。(二)は、経験・技能のある職員の待遇を引き上げることを求めています。ただし、ただし書きにより、加算額が少ない場合などは例外が認められています。
計画書の作成・周知・届出
- 賃金改善に関する計画を策定し、それに基づき措置を講じること
- 介護職員等処遇改善計画書を作成し、全ての職員に周知し、市町村長に届け出ること
- 加算の算定額に相当する賃金改善を実施すること
- 事業年度ごとに処遇改善の実績を市町村長に報告すること
「全ての職員に周知」が要件です。介護職員だけでなく、全職員が対象です。
労働関係法令の遵守
- (5) 算定日が属する月の前十二月間において、労働基準法、労働者災害補償保険法、最低賃金法、労働安全衛生法、雇用保険法その他の労働に関する法令に違反し、罰金以上の刑に処せられていないこと。
- (6) 労働保険料の納付が適正に行われていること。
キャリアパスに関する要件
イ(7)は、次の6つをすべて満たすことを求めています。
- 介護職員の任用の際における職責または職務内容等の要件を定めていること
- その要件を書面で作成し、全ての介護職員に周知していること
- 介護職員の資質向上の支援に関する計画を策定し、研修の実施または機会を確保していること
- その計画について全ての介護職員に周知していること
- 経験・資格等に応じて昇給する仕組み、または一定の基準で定期に昇給を判定する仕組みを設けていること
- その仕組みを書面で作成し、全ての介護職員に周知していること
いずれも「書面で作成」「全ての介護職員に周知」がセットになっています。作っただけでは要件を満たしません。
サービス提供体制強化加算の届出が必要
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護費におけるサービス提供体制強化加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)のいずれかを届け出ていること。
サービス提供体制強化加算(Ⅱ)は「介護福祉士40%以上」または「介護福祉士等60%以上」が要件です。処遇改善加算の最上位を狙うなら、まずここを満たす必要があります。職員の賃金に直結するため、加算設計はこの2つをセットで考えてください。
ちびウルフ(Ⅳ)から始めて、だんだん上げていけばいいのかな?
リハウルフその進め方で問題ありません。ただ(Ⅳ)と(Ⅰ)イでは1000分の100の差があります。月額包括報酬なので、この差は大きいです。
順番としては、まずサービス提供体制強化加算の(Ⅱ)を満たせるか計算してみてください。そこが通れば処遇改善加算の最上位が見えてきます。資格者の割合は、職員の資格取得支援で動かせる数字です。
介護職員等処遇改善加算の注意点
- 計画書の周知は全職員:介護職員だけではありません
- 実績報告が必要:事業年度ごとに市町村長へ報告します
- 書面と周知がセット:キャリアパスの要件はすべて「書面で作成」「周知」が求められます
- 労働関係法令の違反に注意:罰金以上の刑に処せられていると算定できません
- 労働保険料の納付:適正に行われていることが要件です
- 公表が必要:処遇改善の内容等をインターネット等で公表することが求められます
介護職員等処遇改善加算のQ&A
よくある質問
加算率はどのくらいですか?
(Ⅰ)イが1000分の267、(Ⅰ)ロが278、(Ⅱ)イが246、(Ⅱ)ロが257、(Ⅲ)が204、(Ⅳ)が167です。
なぜロのほうが率が高いのですか?
ロは、イの要件すべてに加えて、ケアプランデータ連携システムの利用または連携推進法人への所属のいずれかを満たすことが求められるためです。
一時金だけで配ってもよいですか?
いけません。加算(Ⅳ)相当額の2分の1以上を、基本給または決まって毎月支払われる手当に充てることが求められます。
年額440万円の職員は必ず必要ですか?
ただし書きにより、加算の算定見込額が少額であることその他の理由で困難な場合は、この限りでないとされています。
計画書は介護職員に周知すればよいですか?
「全ての職員に周知」が要件です。介護職員以外も含まれます。
サービス提供体制強化加算(Ⅲ)では足りませんか?
足りません。(Ⅰ)イ・ロの要件は、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)または(Ⅱ)の届出です。
労働基準法違反があると算定できませんか?
算定日が属する月の前12月間に、労働関係法令に違反し罰金以上の刑に処せられていないことが要件です。
実績報告はいつ行いますか?
事業年度ごとに、処遇改善に関する実績を市町村長に報告します。
公表は必要ですか?
処遇改善の内容等について、インターネットの利用その他の適切な方法により公表することが求められます。
- 所定単位数に率を掛けて算定する加算
- (Ⅰ)イ267、(Ⅰ)ロ278、(Ⅱ)イ246、(Ⅱ)ロ257、(Ⅲ)204、(Ⅳ)167(いずれも1000分の)
- ロのほうが率が高いのは、要件が1つ多いため
- ロはケアプランデータ連携システムの利用または連携推進法人への所属が必要
- 加算(Ⅳ)相当額の2分の1以上を、基本給または毎月の手当に充てる
- 一時金だけで配分することはできない
- 経験・技能のある介護職員のうち1人は年額440万円以上(ただし書きあり)
- 計画書を作成し、全ての職員に周知し、市町村長に届け出る
- 事業年度ごとに実績を市町村長へ報告する
- キャリアパスの要件は、すべて書面での作成と周知がセット
- 労働関係法令に違反し罰金以上の刑に処せられていないこと
- 労働保険料の納付が適正に行われていること
- 処遇改善の内容等をインターネット等で公表すること
- (Ⅰ)を算定するにはサービス提供体制強化加算(Ⅰ)または(Ⅱ)の届出が必要
- サービス提供体制強化加算(Ⅲ)では要件を満たさない
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)(第48号)
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)
- 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)e-Gov法令検索
※本記事の加算率および算定要件に関する記述は、厚生労働大臣が定める基準および指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準にもとづいて整理したものです。加算率は令和6年度介護報酬改定時点のものです。計画書および実績報告の様式、届出の期限、経過措置の取扱いについては、厚生労働省の通知および保険者の案内をご確認ください。賃金改善の具体的な配分方法は事業所が決定するものであり、本記事は要件の整理にとどまります。地域密着型サービスは市町村が指定・指導監督を行うため、取扱いが市町村によって異なる場合があります。個別の算定の可否は、必ず保険者にご確認ください。2026年9月時点の内容として整理しています。





