定期巡回の高齢者虐待防止措置未実施減算と業務継続計画未策定減算、准看護師減算とは?

定期巡回・随時対応型訪問介護看護には、算定できていないと所定単位数から差し引かれる減算が2つあります。高齢者虐待防止措置未実施減算と業務継続計画未策定減算で、いずれも所定単位数の1%です。加えて、准看護師が訪問看護サービスを行った場合は98%という取扱いもあります。
この記事では、この3つを、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準の原文を確認して整理しました。
- 2つの減算がいずれも所定単位数の1%であること
- 月額包括報酬では1%でも金額が大きくなること
- 虐待防止措置に必要な4つの取り組み
- 業務継続計画に必要な取り組み
- 准看護師の場合の98%という取扱い
- 減算と98%が重なるとどうなるか
- 記録がないと実施していない扱いになること
- 減算を避けるために揃えるべき書類
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の減算とは?
介護保険のサービスには、加算だけでなく、求められる取り組みを行っていない場合に報酬が下がる仕組みがあります。定期巡回・随時対応型訪問介護看護では、虐待防止と業務継続計画の2つが対象です。どちらも令和3年度の介護報酬改定で義務化され、経過措置を経て減算が適用されています。
減算の単位数
| 減算 | 減算幅 | 根拠 |
|---|---|---|
| 高齢者虐待防止措置未実施減算 | 所定単位数の100分の1 | 注5 |
| 業務継続計画未策定減算 | 所定単位数の100分の1 | 注6 |
しかも2つが同時に適用されることもあります。体制が整っていない事業所ほど、両方に該当しやすくなります。
高齢者虐待防止措置未実施減算
指定地域密着型サービス基準は、虐待の発生またはその再発を防止するため、次の措置を講じることを求めています。
| 必要な措置 | 確認されるもの |
|---|---|
| 虐待の防止のための対策を検討する委員会を定期的に開催し、結果を従業者に周知徹底する | 議事録、周知の記録 |
| 虐待の防止のための指針を整備する | 指針の文書 |
| 従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施する | 研修の記録、資料、出席者 |
| これらの措置を適切に実施するための担当者を置く | 担当者を定めた記録 |
4つすべてが必要です。委員会は開いているが指針がない、指針はあるが研修をしていない、という状態では減算の対象になります。
- 委員会はテレビ電話装置等を活用して行うことができます
- 委員会の結果を従業者に周知した記録まで必要です
- 担当者は「置くこと」が要件なので、誰が担当かを明確にしてください
- 研修は入職時と定期的な実施が求められます
業務継続計画未策定減算
感染症や非常災害が発生しても、サービスの提供を継続できるようにするための計画(BCP)に関する減算です。
- 感染症の発生・まん延時、および非常災害時の業務継続計画を策定していること
- 計画に従い必要な措置を講じていること
- 従業者に対し計画を周知していること
- 必要な研修および訓練を定期的に実施していること
- 定期的に計画の見直しを行い、必要に応じて変更していること
訓練は机上のシミュレーションでも構いませんが、実施した記録(日時、参加者、想定した状況、気づいた課題)が必要です。記録がなければ、実施していないものとして扱われます。
准看護師が訪問した場合の98%
これは減算ではなく、単位数の算定方法の定めです。
- 准看護師による訪問看護サービスの場合は、所定単位数の100分の98を算定する。
2%の減額です。要介護5・訪問看護ありの28,298単位なら、約566単位の差になります。誰が訪問看護サービスを行ったかの記録が、そのまま請求額に影響します。
ちびウルフ減算と98%が同じ月に重なったら、どうなるの?
リハウルフ計算の順序で結果が変わるので、ここは必ず保険者に確認してください。率を掛ける順番と、端数処理のルールが留意事項通知で定められています。自己流で計算すると、わずかな差でも積み上がって返還につながります。国保連の請求ソフトを使っている場合も、設定が正しいか一度確認しておくと安心です。
減算を避けるために揃える書類
- 虐待防止委員会の議事録(開催日、出席者、検討内容、周知の方法)
- 虐待の防止のための指針
- 虐待防止研修の記録(日時、参加者、資料)
- 虐待防止の担当者を定めた記録
- 業務継続計画(感染症・非常災害の両方)
- 計画の周知の記録
- 研修および訓練の記録(日時、参加者、内容、課題)
- 計画の見直しの記録
これらは運営指導で必ず確認されます。1つのファイルにまとめておくと、確認がすぐ終わります。
減算のQ&A
よくある質問
減算幅はどのくらいですか?
いずれも所定単位数の100分の1です。月額包括報酬のため、要介護度が高い利用者ほど金額は大きくなります。
2つ同時に適用されますか?
それぞれ独立した減算のため、両方の要件を満たしていなければ両方が適用されます。
委員会は開いていますが指針がありません。
減算の対象になります。委員会、指針、研修、担当者の4つすべてが必要です。
委員会はオンラインでもよいですか?
テレビ電話装置等を活用して行うことができます。開催記録は必要です。
業務継続計画は作りましたが訓練をしていません。
減算の対象になります。策定・周知・研修・訓練・見直しがセットで求められています。
訓練は実地でないとだめですか?
机上のシミュレーションでも差し支えありませんが、実施した記録が必要です。
准看護師の98%は減算ですか?
減算ではなく、単位数の算定方法の定めです。准看護師による訪問看護サービスの場合、所定単位数の100分の98を算定します。
減算と98%が重なる場合の計算は?
率を掛ける順序と端数処理は留意事項通知で定められています。保険者に確認し、請求ソフトの設定も確認してください。
いつから減算になりますか?
要件を満たさなくなった時点からの取扱いになります。具体的な起算については保険者にご確認ください。
- 減算は高齢者虐待防止措置未実施減算と業務継続計画未策定減算の2つ
- いずれも所定単位数の100分の1
- 月額包括報酬のため、1%でも金額は小さくない
- 要介護5・訪問看護ありでは約283単位の減収になる
- 2つが同時に適用されることもある
- 虐待防止は、委員会・指針・研修・担当者の4つすべてが必要
- 委員会はテレビ電話装置等を活用できるが、記録は必要
- 委員会の結果を従業者に周知した記録まで求められる
- 業務継続計画は、策定・周知・研修・訓練・見直しがセット
- 「計画は作ったが訓練をしていない」が最も多い不備
- 訓練は机上でもよいが、実施記録が必要
- 准看護師による訪問看護サービスは所定単位数の100分の98
- 98%は減算ではなく算定方法の定め
- 減算と98%が重なる場合の計算順序は保険者に確認する
- 必要書類を1つのファイルにまとめておくと運営指導が早く終わる
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)(定期巡回・随時対応型訪問介護看護費 注2、注5、注6)
- 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)e-Gov法令検索
- 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号)e-Gov法令検索
※本記事の減算幅および算定方法に関する記述は、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準にもとづいて整理したものです。虐待防止および業務継続計画に関する具体的な措置の内容は、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準に定められています。委員会や研修の開催頻度、減算の起算時点、複数の率が重なる場合の計算順序および端数処理については、留意事項通知および保険者の解釈をご確認ください。地域密着型サービスは市町村が指定・指導監督を行うため、取扱いが市町村によって異なる場合があります。個別の取扱いは、必ず保険者にご確認ください。2026年9月時点の内容として整理しています。





