定期巡回の総合マネジメント体制強化加算とは?

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の総合マネジメント体制強化加算は、(Ⅰ)1,200単位、(Ⅱ)800単位と、月額としてかなり大きな加算です。その分、(Ⅰ)の要件は地域との関わりまで求めており、事業所の中だけで完結する取り組みでは満たせません。
この記事では、この加算の単位数と算定要件を、厚生労働大臣が定める基準の原文を確認して整理しました。
- (Ⅰ)と(Ⅱ)の単位数の差
- (Ⅱ)は2つの要件だけで算定できること
- (Ⅰ)に必要な5つの要件
- 5つ目の要件は4つのうち1つを選べばよいこと
- 地域との関わりが要件に含まれる理由
- 計画の見直しを「随時」行う意味
- 記録として残すべきもの
- 算定できなくなりやすい場面
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の総合マネジメント体制強化加算とは?
利用者の状態の変化に応じて計画を柔軟に見直し、地域の資源と結びつけながら支援する体制を評価する加算です。定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、状態が変わりやすい在宅の利用者を24時間体制で支えるサービスであるため、計画を固定せずに動かし続けられるかが質を左右します。
令和6年度の介護報酬改定で(Ⅰ)と(Ⅱ)の2区分になり、地域との関わりを含む取り組みを行う事業所が(Ⅰ)を算定できる形になりました。
総合マネジメント体制強化加算の単位数
| 区分 | 単位数 | 算定頻度 |
|---|---|---|
| 総合マネジメント体制強化加算(Ⅰ) | 1,200単位 | 1月につき |
| 総合マネジメント体制強化加算(Ⅱ) | 800単位 | 1月につき |
差は400単位です。利用者20人の事業所であれば、月8,000単位の差になります。(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できません。どちらか一方を届け出て算定します。
総合マネジメント体制強化加算の算定要件
(Ⅱ)の要件は2つだけ
先に(Ⅱ)から整理します。基準は「イ(1)及び(2)に掲げる基準に適合すること」としています。つまり(Ⅰ)の最初の2項目だけを満たせば算定できます。
- (1) 利用者の心身の状況又はその家族等を取り巻く環境の変化に応じ、随時、計画作成責任者、看護師、准看護師、介護職員その他の関係者が共同し、定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画の見直しを行っていること。
- (2) 地域の病院、診療所、介護老人保健施設その他の関係施設に対し、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所が提供することのできる指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の具体的な内容に関する情報提供を行っていること。
(Ⅰ)はさらに3つが加わる
- (3) 日常的に利用者と関わりのある地域住民等の相談に対応する体制を確保していること。
- (4) 地域住民等との連携により、地域資源を効果的に活用し、利用者の状態に応じた支援を行っていること。
- (5) 次に掲げる基準のいずれかに適合すること。
(一)障害福祉サービス事業所、児童福祉施設等と協働し、地域において世代間の交流を行っていること。
(二)地域住民等、他の指定居宅サービス事業者が当該事業を行う事業所、他の指定地域密着型サービス事業者が当該事業を行う事業所等と共同で事例検討会、研修会等を実施していること。
(三)市町村が実施する法第百十五条の四十五第一項第二号に掲げる事業や同条第二項第四号に掲げる事業等に参加していること。
(四)地域住民及び利用者の住まいに関する相談に応じ、必要な支援を行っていること。
現実的に取り組みやすいのは(二)の事例検討会・研修会の共同実施です。近隣の居宅介護支援事業所や訪問看護ステーションと合同で行えば要件を満たせます。ただし、実施した記録(日時・参加者・内容)が必要です。
「随時」の見直しが要件の中心
(1)の要件は「随時」と書かれています。定期的な見直しではなく、状態や環境が変わったときにその都度見直すことを求めています。
- 見直しのきっかけとなった出来事が記録されているか(入院、転倒、家族の状況変化など)
- 計画作成責任者、看護師、介護職員などが共同して検討した記録があるか
- 検討の結果として、計画がどう変わったかが追えるか
- 月1回の定例だけになっていないか
総合マネジメント体制強化加算の注意点
- (Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できない:いずれか一方を届け出ます
- 届出が必要:市町村長への届出を行ったうえで算定します
- 体制が崩れたら速やかに届け出る:要件を満たさなくなった時点で算定できません
- 情報提供の記録を残す:(2)の要件は、誰に・いつ・何を提供したかの記録で示します
- 地域住民等の相談対応は体制の確保が要件:実績がゼロでも、体制があることを示せる必要があります
- 運営指導で重点的に確認される:単位数が大きいため、要件の裏づけ記録が求められます
・参加した会議の名称、日付、参加者名
・共同で行った研修会の資料と出席者
・関係施設へ情報提供した際の資料と提供日
これらをファイルにまとめておくだけで、確認がすぐ終わります。
ちびウルフ(Ⅰ)は大変そうだから、(Ⅱ)でいいんじゃない?
リハウルフ月400単位の差なので、利用者数が多いほど効いてきます。追加で必要なのは(3)(4)(5)ですが、(5)は4つのうち1つでよいので、思ったほど遠くありません。近隣事業所との合同勉強会を年数回やって記録に残す、というところから始める事業所が多いです。まず(Ⅱ)で届け出て、体制を整えてから(Ⅰ)に切り替える進め方が現実的です。
総合マネジメント体制強化加算のQ&A
よくある質問
(Ⅰ)と(Ⅱ)は両方算定できますか?
できません。いずれか一方を届け出て算定します。
(Ⅱ)の要件は何ですか?
(Ⅰ)のイ(1)(2)、つまり「随時の計画見直し」と「関係施設への情報提供」の2つです。
(5)は4つすべて必要ですか?
不要です。条文は「いずれかに適合すること」と定めており、1つを満たせば要件を満たします。
計画の見直しは月1回でよいですか?
条文は「随時」と定めています。定例の見直しだけでは要件を満たしにくくなります。状態や環境の変化に応じて見直した記録が必要です。
地域住民の相談実績がない場合は?
(3)は「体制を確保していること」が要件です。実績がなくても、体制があることを示せる必要があります。
情報提供はどこまで必要ですか?
地域の病院、診療所、介護老人保健施設その他の関係施設に対し、提供できるサービスの具体的な内容を提供することが求められています。提供先と日付の記録を残してください。
要件を満たさなくなったらどうしますか?
その時点で算定できません。速やかに市町村長へ届け出てください。遡って返還になる場合があります。
運営指導では何を見られますか?
各要件を裏づける記録です。会議・研修の記録、情報提供の記録、計画見直しの経緯などが確認されます。
(Ⅱ)から(Ⅰ)へ変更できますか?
できます。要件を満たしたうえで、改めて届出を行ってください。
- 総合マネジメント体制強化加算は(Ⅰ)1,200単位、(Ⅱ)800単位(いずれも1月につき)
- (Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できず、いずれか一方を届け出る
- (Ⅱ)の要件は、随時の計画見直しと関係施設への情報提供の2つ
- (Ⅰ)はこれに、地域住民等の相談対応体制、地域資源の活用、選択要件が加わる
- 選択要件(5)は4つのうち1つを満たせばよい
- 取り組みやすいのは、他事業所との共同の事例検討会・研修会
- 計画の見直しは「随時」であり、月1回の定例だけでは足りない
- 見直しのきっかけとなった出来事の記録が必要
- 計画作成責任者・看護師・介護職員等が共同して検討した記録が必要
- 情報提供は、提供先と日付、内容を記録で示す
- 地域住民等の相談は、実績ではなく体制の確保が要件
- 単位数が大きいため、運営指導で重点的に確認される
- 「やっているが記録がない」が最も多い不備
- 要件を満たさなくなった時点で算定できず、届出が必要
- まず(Ⅱ)で届け出て、体制を整えてから(Ⅰ)に切り替える進め方が現実的
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)(第46号)
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)
- 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)e-Gov法令検索
※本記事の単位数および算定要件に関する記述は、厚生労働大臣が定める基準および指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準にもとづいて整理したものです。単位数は令和6年度介護報酬改定時点のもので、地域区分による1単位あたりの単価は含みません。届出の様式や手続き、要件を満たさなくなった場合の取扱いは、保険者である市町村によって異なる場合があります。個別の算定の可否は、必ず保険者にご確認ください。2026年9月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。





