老健のリハビリテーションマネジメント計画書情報加算とは?

老健のリハビリテーションマネジメント計画書情報加算は、令和6年度改定で(Ⅰ)53単位・(Ⅱ)33単位の2区分になりました。改定前は33単位の1本です。
差を生むのはリハビリ・口腔・栄養の一体的取組。(Ⅰ)を算定するには、口腔衛生管理加算(Ⅱ)と栄養マネジメント強化加算の両方を算定していることが前提になります。
通所リハビリでリハビリテーションマネジメント加算(ハ)が新設されたのと同じ考え方が、老健にも入ってきた形です。令和6年度改定を貫くテーマが「リハ・口腔・栄養の一体化」であることが、この加算からもよくわかります。
この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(厚生省告示第21号)、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第92号の2、老企第40号、令和6年度介護報酬改定における改定事項についてを突き合わせて整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- (Ⅰ)53単位・(Ⅱ)33単位という単位数と改定前からの変化
- (Ⅰ)に必要な5つの要件
- 口腔衛生管理加算(Ⅱ)と栄養マネジメント強化加算が前提であること
- 情報を共有する8職種
- 共有した情報を踏まえた見直しと、その内容の再共有が必要なこと
- 評価はおおむね2週間以内、以降3月ごとであること
- 関係職種が常に閲覧できる状態にしておくこと
- (Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できないこと
- 通所リハビリのリハマネ加算(ハ)との共通点
- 介護医療院・特養の対応する加算との違い
単位数は53単位と33単位
| 区分 | 改定前 | 改定後(令和6年度〜) |
|---|---|---|
| リハビリテーションマネジメント計画書情報加算(Ⅰ) | 33単位/月 | 53単位/月(新設) |
| リハビリテーションマネジメント計画書情報加算(Ⅱ) | 33単位/月 |
注 別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、(中略)届出を行った介護老人保健施設において、リハビリテーションを行った場合は、当該基準に掲げる区分に従い、1月につき次に掲げる所定単位数を加算する。ただし、次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定しない。
他の加算では「新区分を作って現行区分を引き下げる」パターンが多いなか、この加算は(Ⅱ)33単位が据え置きです。
つまりこれまでどおりでも減額されない。そのうえで、一体的取組を行えば20単位上乗せされる構造です。
100床の老健で全員に(Ⅰ)を算定できれば、差は月2,000単位(1単位10円換算で約2万円)。金額としては大きくありませんが、要件の中身がケアの質に直結する加算です。
(Ⅰ)の5つの要件
イ リハビリテーションマネジメント計画書情報加算(Ⅰ) 次に掲げる基準のいずれにも適合すること。
(1) 入所者ごとのリハビリテーション計画書の内容等の情報を厚生労働省に提出していること。
(2) 必要に応じてリハビリテーション計画の内容を見直す等、リハビリテーションの実施に当たって、(1)の情報その他リハビリテーションの適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること。
(3) 口腔衛生管理加算(Ⅱ)及び栄養マネジメント強化加算を算定していること。
(4) 入所者ごとに、医師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、看護職員、介護職員その他の職種の者(関係職種)が、リハビリテーション計画の内容等の情報(中略)、入所者の口腔の健康状態に関する情報及び入所者の栄養状態に関する情報を相互に共有すること。
(5) (4)で共有した情報を踏まえ、必要に応じてリハビリテーション計画の見直しを行い、当該見直しの内容について、関係職種の間で共有していること。
| 要件 | (Ⅰ)53単位 | (Ⅱ)33単位 |
|---|---|---|
| (1) リハ計画書情報のLIFE提出 | 必要 | 必要 |
| (2) 情報の活用と計画の見直し | 必要 | 必要 |
| (3) 口腔衛生管理加算(Ⅱ)と栄養マネジメント強化加算の算定 | 必要 | — |
| (4) リハ・口腔・栄養の情報を関係職種で相互共有 | 必要 | — |
| (5) 共有を踏まえた見直しと、見直し内容の再共有 | 必要 | — |
前提となる2つの加算
| 加算 | 内容 |
|---|---|
| 口腔衛生管理加算(Ⅱ) | 歯科衛生士による口腔衛生等の管理+LIFEへの提出 |
| 栄養マネジメント強化加算 | 管理栄養士の配置基準を満たした継続的な栄養管理 |
(Ⅰ)は単独では取れません。口腔衛生管理加算(Ⅱ)と栄養マネジメント強化加算の両方を算定していることが要件です。
どちらか一方でも算定していなければ、リハビリの取組をどれだけ充実させても(Ⅱ)33単位止まりになります。
逆にいえば、すでに2つを算定している老健なら、(Ⅰ)は情報共有の仕組みを整えるだけで届くということです。自施設の算定状況をまず確認してください。
共有する情報と職種
| 共有する情報 |
|---|
| リハビリテーション計画の内容等の情報 |
| 入所者の口腔の健康状態に関する情報 |
| 入所者の栄養状態に関する情報 |
| 関係職種(条文の列挙) |
|---|
| 医師/管理栄養士/理学療法士/作業療法士/言語聴覚士/歯科衛生士/看護職員/介護職員/その他の職種 |
ちびウルフリハビリの加算なのに、歯科衛生士や管理栄養士が出てくるんですね。
リハウルフそこが令和6年度改定の核心なんだ。リハビリ・口腔・栄養を別々に回すのをやめようという方向が、報酬全体に入っている。
考えてみれば当たり前で、食べられなければ体力はつかないし、口腔が悪ければ食べられない。歩行訓練だけ一生懸命やっても、栄養が足りなければ筋肉はつかない。
リハ職の立場で言うと、管理栄養士や歯科衛生士の評価を見ずに計画を立てていた時期が長かった。それを制度が正面から要求してきた、という受け止めをしている。
通所リハでもリハマネ加算(ハ)が同じ構造で新設された。在宅でも施設でも、同じ方向を向いているということだね。
共有して終わりではない
要件(5)が重要です。共有した情報を踏まえて計画を見直し、その見直しの内容をまた関係職種に共有する——ここまでが要件です。
- ①リハ・口腔・栄養の情報を関係職種で相互に共有する
- ②共有した情報を踏まえ、必要に応じてリハビリテーション計画を見直す
- ③見直しの内容を関係職種の間で共有する
一方向の情報提供では足りません。共有 → 見直し → 再共有という往復が求められています。
常に閲覧できる状態にしておく
リハビリテーションマネジメント計画書情報加算(Ⅰ)におけるリハビリテーション、口腔、栄養の一体的取組についての基本的な考え方は別途通知(「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」)を参考とし、関係職種間で共有すべき情報は、同通知の様式1-2を参考とした上で、常に当該事業所の関係職種により閲覧が可能であるようにすること。
通知は「常に関係職種により閲覧が可能であるように」と求めています。月1回の会議で口頭共有するだけでは、この要件を満たしたと言い切れません。
様式1-2を参考にした共有シートを、関係職種がいつでも見られる場所(記録システム上・所定のファイル等)に置く——これが求められている形です。
評価のタイミング
サービスの質の向上を図るため、LIFEへの提出情報及びフィードバック情報を活用し、(中略)PDCAサイクルにより、サービスの質の管理を行うこと。なお、評価は、リハビリテーション計画書に基づくリハビリテーションの提供開始からおおむね2週間以内に、その後はおおむね3月ごとに行うものであること。
| タイミング | 行うこと |
|---|---|
| 提供開始からおおむね2週間以内 | 初回の評価 |
| その後おおむね3月ごと | 評価と必要に応じた計画の見直し |
通所リハビリのリハビリテーションマネジメント加算も「初回評価はおおむね2週間以内、以降はおおむね3月ごと」とされており、考え方は共通しています。
他サービスの対応する加算
| サービス | 加算 | 一体的取組の区分 |
|---|---|---|
| 老健 | リハビリテーションマネジメント計画書情報加算 | (Ⅰ)53単位(Ⅱ)33単位/併算定不可 |
| 介護医療院 | 理学療法・作業療法・言語聴覚療法の注 | 33単位+20単位(新設)/併算定可 |
| 特養 | 個別機能訓練加算 | (Ⅰ)12単位+(Ⅱ)/(Ⅲ)が新設 |
| 通所リハビリ | リハビリテーションマネジメント加算 | (ハ)が新設(一体的取組を評価) |
改定資料は、介護医療院について「※加算(Ⅰ)、(Ⅱ)は併算定可」、老健について「※加算(Ⅰ)、(Ⅱ)は併算定不可」と明記しています。
同じ「一体的取組の評価」でも、サービスによって構造が違います。他施設の資料をそのまま当てはめないでください。
算定にあたっての実務ステップ
- 自施設が口腔衛生管理加算(Ⅱ)を算定しているかを確認する
- 自施設が栄養マネジメント強化加算を算定しているかを確認する
- いずれか一方でも算定していなければ、まずその体制を整える
- 入所者ごとのリハビリテーション計画書の内容等をLIFEへ提出する
- 提供開始からおおむね2週間以内に初回評価を行う
- 以降おおむね3月ごとに評価し、必要に応じて計画を見直す
- リハ・口腔・栄養の情報を、医師・管理栄養士・PT/OT/ST・歯科衛生士・看護職員・介護職員等で相互に共有する
- 共有シート(様式1-2を参考)を、関係職種が常に閲覧できる状態にする
- 共有した情報を踏まえてリハビリテーション計画を見直す
- 見直しの内容を関係職種の間で再共有する
- LIFEのフィードバックを活用してPDCAを回す
- 都道府県知事へ届け出る
1つ目と2つ目で結論が出ます。2つの加算を算定していない施設は、(Ⅰ)を目指す前にそちらの体制づくりからです。
よくある質問
単位数はいくらですか?
(Ⅰ)は1月53単位、(Ⅱ)は1月33単位です。
改定前より下がりましたか?
下がっていません。改定前の33単位が(Ⅱ)として据え置かれ、一体的取組を評価する(Ⅰ)53単位が新設されました。
(Ⅰ)と(Ⅱ)は両方算定できますか?
できません。いずれかを算定している場合は、その他の加算は算定しないとされています。
(Ⅰ)に必要な他の加算は?
口腔衛生管理加算(Ⅱ)および栄養マネジメント強化加算を算定していることが要件です。
どちらか一方だけの算定でもよいですか?
いいえ。両方を算定していることが要件です。
どの職種で情報を共有しますか?
医師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、看護職員、介護職員その他の職種の者です。
共有する情報は何ですか?
リハビリテーション計画の内容等の情報、入所者の口腔の健康状態に関する情報、入所者の栄養状態に関する情報です。
共有すれば要件を満たしますか?
足りません。共有した情報を踏まえて必要に応じてリハビリテーション計画を見直し、その見直しの内容を関係職種の間で共有することまでが要件です。
会議で口頭共有すればよいですか?
通知は「常に当該事業所の関係職種により閲覧が可能であるようにすること」としています。いつでも見られる形での共有が求められます。
評価はいつ行いますか?
リハビリテーションの提供開始からおおむね2週間以内に初回評価を行い、その後はおおむね3月ごとです。
介護医療院も同じ構造ですか?
違います。介護医療院は理学療法等の注として33単位と20単位が設けられ、こちらは併算定可とされています。老健は(Ⅰ)(Ⅱ)が併算定不可です。
通所リハビリのリハマネ加算と関係がありますか?
制度としては別ですが、リハビリ・口腔・栄養の一体的取組を評価するという考え方は共通しています。通所リハビリではリハビリテーションマネジメント加算(ハ)が新設されました。
- 老健のリハビリテーションマネジメント計画書情報加算は(Ⅰ)53単位・(Ⅱ)33単位
- 令和6年度改定で(Ⅰ)が新設された
- (Ⅱ)33単位は据え置きで、減額はされていない
- (Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できない
- (Ⅱ)はリハ計画書情報のLIFE提出と情報の活用
- (Ⅰ)はこれに3つの要件が加わる
- 口腔衛生管理加算(Ⅱ)と栄養マネジメント強化加算の両方の算定が前提
- どちらか一方でも算定していなければ(Ⅰ)は算定できない
- リハ・口腔・栄養の情報を関係職種で相互に共有する
- 関係職種には歯科衛生士・管理栄養士が含まれる
- 共有した情報を踏まえて計画を見直す
- 見直しの内容を関係職種の間で再共有する
- 共有 → 見直し → 再共有という往復が要件
- 共有情報は関係職種が常に閲覧できる状態にする
- 会議での口頭共有だけでは足りない
- 様式1-2を参考にした共有シートを整える
- 評価は提供開始からおおむね2週間以内、以降おおむね3月ごと
- LIFEのフィードバックを活用しPDCAを回す
- 介護医療院の対応する加算は併算定可で構造が違う
- すでに2加算を算定している施設は情報共有の仕組みだけで(Ⅰ)に届く
- 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号) 介護保健施設サービス ナ リハビリテーションマネジメント計画書情報加算(全国老人保健施設協会 法令Q&A検索システム)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号) 第92号の2
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(老企第40号) 介護保健施設サービス(43)リハビリテーションマネジメント計画書情報加算について
- 令和6年度介護報酬改定における改定事項について(PDF) 2.(1)② 介護保険施設におけるリハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的取組の推進(厚生労働省)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示、老企第40号の留意事項通知および令和6年度介護報酬改定の資料にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(都道府県・市町村)の解釈をご確認ください。リハビリテーション・口腔・栄養の一体的取組の具体的な進め方および共有すべき情報の様式は、別途通知「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」によります。「常に閲覧が可能」とする方法、共有の記録の残し方については、指定権者によって取扱いが異なる場合があります。LIFEへの提出情報・提出頻度は「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」によります。単位数は1単位あたりの単価(地域区分)により実際の報酬額が変わります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。多職種連携の進め方に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。


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