介護医療院の認知症専門ケア加算は、(Ⅰ)3単位/日、(Ⅱ)4単位/日です。認知症介護の専門研修を修了した職員を配置し、チームとして専門的なケアを行うことを評価します。

1日あたりの単位は小さいものの、入所者ごとに毎日算定できる加算です。100床規模で(Ⅱ)を算定すれば、月に約1万2千単位になります。

実務上の分かれ目は対象者の割合要件と、令和6年度改定で新設された認知症チームケア推進加算とのどちらを選ぶかです。この2つは併算定できません。

この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)介護医療院サービスのネ、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第3号の5の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 認知症専門ケア加算(Ⅰ)3単位・(Ⅱ)4単位という単位数
  • 対象者の割合要件(2分の1以上)
  • 研修修了者の必要人数の計算方法
  • (Ⅱ)で加わる指導者研修修了者と研修計画
  • 認知症チームケア推進加算とは併算定できないこと
  • 重度認知症疾患療養体制加算との関係
ちびウルフちびウルフ

介護医療院の入所者はほとんど認知症では? 全員数えていいんですか?

リハウルフリハウルフ

数えられません。対象は「日常生活に支障を来すおそれのある症状又は行動が認められることから介護を必要とする認知症の者」です。診断があることと、この状態にあることは別です。個別に評価して割合を計算し、その根拠を残す必要があります。

介護医療院の認知症専門ケア加算とは?

介護医療院の認知症専門ケア加算は、認知症介護の専門研修を修了した職員を配置し、その職員を中心にチームで専門的なケアを提供している施設を評価する加算です。

介護医療院には、医療的な管理が必要で、かつ認知症が進んだ入所者が多くいます。点滴を抜いてしまう、経管栄養のチューブを触る、処置を拒む。医療とケアが両方必要な場面で、どちらの視点も持って関われるかが問われます。

この加算が評価しているのは、専門的な知識を持つ職員が施設内にいて、その知識が会議を通じて他の職員へ渡っているかという体制です。研修修了者の配置と、事業所内での伝達の仕組みが要件の柱になっています。

認知症専門ケア加算の単位数

区分単位数100床で30日の目安
認知症専門ケア加算(Ⅰ)3単位/日約9,000単位
認知症専門ケア加算(Ⅱ)4単位/日約12,000単位

※入所者数×単位数×30日で計算した概算です。注のただし書きにより、(Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できません。

認知症専門ケア加算の算定要件

(Ⅰ)の3要件

  • 施設における入所者の総数のうち、対象者の占める割合が2分の1以上であること
  • 認知症介護に係る専門的な研修を修了している者を、対象者が20人未満なら1人以上、20人以上なら「1に、対象者数が19を超えて10又はその端数を増すごとに1を加えて得た数」以上配置し、チームとして専門的な認知症ケアを実施していること
  • 従業者に対する認知症ケアに関する留意事項の伝達又は技術的指導に係る会議を定期的に開催していること
100床なら研修修了者は何人必要か

対象者が20人以上の場合の計算式は「1+(対象者数−19)÷10(端数切り上げ)」です。

  • 対象者50人 → 1+(50−19)÷10=1+3.1→ 切り上げて1+4=5人
  • 対象者60人 → 1+(60−19)÷10=1+4.1→ 切り上げて1+5=6人

100床規模で入所者の多くが対象者になる介護医療院では、研修修了者が5〜6人必要になる計算です。計画的に受講させないと届きません。(計算例は条文にもとづく整理ですが、端数処理の扱いは指定権者に確認してください)

(Ⅱ)で加わる要件

  • (Ⅰ)の基準のいずれにも適合すること
  • 認知症介護の指導に係る専門的な研修を修了している者を1名以上配置し、施設全体の認知症ケアの指導等を実施していること
  • 介護職員・看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、計画に従い研修(外部研修を含む)を実施または実施を予定していること

認知症専門ケア加算の注意点

認知症チームケア推進加算とは併算定できない

注のただし書きにより、次の関係になります。

  • (Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できない
  • 認知症チームケア推進加算を算定している場合、認知症専門ケア加算は算定できない

専門ケア加算は入所者ごと・1日ごと、チームケア推進加算は月単位(150/120単位)です。入所者数が多い介護医療院では、月額に直すと専門ケア加算のほうが大きくなるのが通常です。

対象者の判定と記録

対象者は「日常生活に支障を来すおそれのある症状又は行動が認められることから介護を必要とする認知症の者」です。実務では日常生活自立度Ⅲ以上を目安に整理する例が多いものの、条文の文言はこのとおりなので、判定の根拠を個別に残してください。

重度認知症疾患療養体制加算との関係

介護医療院には、認知症に関する加算がもう1つあります。重度認知症疾患療養体制加算です。こちらは看護職員の配置、精神保健福祉士やリハビリ職の配置、精神科病院との連携体制まで求められる、施設類型に近い加算です。

認知症専門ケア加算と重度認知症疾患療養体制加算の併算定について、条文に明示的な禁止規定はありません。ただし要件の重なりもあるため、算定にあたっては都道府県に確認してください。

認知症専門ケア加算のQ&A

(Ⅰ)と(Ⅱ)は両方算定できますか?

できません。いずれか一方のみです。

認知症チームケア推進加算と併算定できますか?

できません。チームケア推進加算を算定している場合、認知症専門ケア加算は算定できません。

認知症の診断がある人は全員対象者ですか?

違います。「日常生活に支障を来すおそれのある症状又は行動が認められることから介護を必要とする認知症の者」が対象です。個別に評価してください。

研修修了者は何人必要ですか?

対象者が20人未満なら1人以上です。20人以上の場合は、1に、対象者数が19を超えて10又はその端数を増すごとに1を加えて得た数以上となります。

どの研修が対象ですか?

一般に認知症介護実践リーダー研修等が該当するとされますが、対象研修の範囲は指定権者の解釈によることがあります。届出前に確認してください。

会議の頻度は決まっていますか?

「定期的に開催」とのみ定められています。運用を決め、開催記録を残してください。

重度認知症疾患療養体制加算と併算定できますか?

条文に明示的な禁止規定はありませんが、要件が重なる部分もあるため都道府県に確認してください。

届出は必要ですか?

必要です。都道府県知事に対して届出を行います。

まとめ
  • 認知症専門ケア加算は(Ⅰ)3単位/日、(Ⅱ)4単位/日
  • (Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できない
  • 対象者は「日常生活に支障を来すおそれのある症状又は行動が認められることから介護を必要とする認知症の者」
  • 対象者が入所者の2分の1以上であることが割合要件
  • 研修修了者は対象者20人未満なら1人以上、20人以上は計算式で増える
  • 従業者への伝達・技術的指導に係る会議を定期的に開催すること
  • (Ⅱ)は指導者研修修了者1名以上の配置と研修計画の作成が加わる
  • 認知症チームケア推進加算とは併算定できない
  • 届出先は都道府県知事
参考にした情報
  • 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)別表 介護医療院サービスのネ(認知症専門ケア加算)、ナ(認知症チームケア推進加算)、ム(重度認知症疾患療養体制加算)(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第3号の5(認知症専門ケア加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年厚生労働省告示第94号)(対象となる者)(厚生労働省法令等データベース)

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および都道府県・保険者の解釈をご確認ください。対象者の判定方法、研修修了者数の端数処理、該当する研修の範囲、重度認知症疾患療養体制加算との併算定については指定権者に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。本文中の月額の試算は単位数を単純に乗じた概算です。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

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リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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