介護医療院のサービス提供体制強化加算とは?

介護医療院のサービス提供体制強化加算は、(Ⅰ)22単位/日、(Ⅱ)18単位/日、(Ⅲ)6単位/日です。1日あたりの加算なので、体制系のなかでは金額の影響が大きい部類に入ります。
(Ⅰ)は22単位×30日で月660単位。100床なら月6万6千単位です。生産性向上推進体制加算(Ⅰ)の100単位/月と比べると桁が違います。
要件は職員構成の割合ですが、(Ⅰ)には「提供する介護医療院サービスの質の向上に資する取組を実施していること」という、割合以外の要件も入っています。
この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)介護医療院サービスのケ、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第100号の6(第93号を準用)の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- サービス提供体制強化加算(Ⅰ)22単位・(Ⅱ)18単位・(Ⅲ)6単位という単位数
- (Ⅰ)は介護福祉士80%以上、又は勤続10年以上の介護福祉士35%以上
- (Ⅰ)だけに求められる「質の向上に資する取組」
- (Ⅲ)の3つのルートと母集団の違い
- 定員超過・人員基準欠如に該当していないことが共通要件であること
- 処遇改善加算の上位区分との関係
ちびウルフ介護福祉士80%は、介護医療院では厳しくないですか?
リハウルフ厳しい水準です。ただし分母は「介護職員の総数」であって、看護職員は入りません。介護医療院は看護職員の比率が高い施設なので、介護職員の人数自体が特養ほど多くない場合があります。分母が小さければ、割合は動かしやすい。まず自施設の介護職員の資格構成を数えてみてください。
介護医療院のサービス提供体制強化加算とは?
介護医療院のサービス提供体制強化加算は、介護福祉士の割合や勤続年数など、職員体制の手厚さを評価する加算です。
介護医療院は医師・看護職員・介護職員・リハビリ職が働く施設ですが、日常生活を支える部分を担うのは介護職員です。その層に有資格者や経験の長い職員がどれだけいるかを、報酬に反映させる仕組みになっています。
(Ⅱ)(Ⅲ)は割合だけの要件ですが、(Ⅰ)だけは「サービスの質の向上に資する取組」という行為の要件が加わります。単に資格者を揃えればよい、という設計にはなっていません。
サービス提供体制強化加算の単位数
| 区分 | 1日 | 30日換算 | 100床の月額目安 |
|---|---|---|---|
| (Ⅰ) | 22単位 | 660単位 | 約66,000単位 |
| (Ⅱ) | 18単位 | 540単位 | 約54,000単位 |
| (Ⅲ) | 6単位 | 180単位 | 約18,000単位 |
※入所者数×単位数×30日で計算した概算です。注のただし書きにより、3区分のうち算定できるのは1つだけです。
サービス提供体制強化加算の算定要件
(Ⅰ)の3要件
(1) 次のいずれかに適合すること。
(一) 介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が100分の80以上であること。
(二) 介護職員の総数のうち、勤続年数10年以上の介護福祉士の占める割合が100分の35以上であること。
(2) 提供するサービスの質の向上に資する取組を実施していること。
(3) 定員超過利用・人員基準欠如等の減算に該当しないこと。
(一)と(二)はどちらか一方を満たせば足ります。介護福祉士80%に届かなくても、勤続10年以上の介護福祉士が35%以上いれば(Ⅰ)を算定できます。
(Ⅱ)の要件
- 介護職員の総数のうち、介護福祉士の占める割合が100分の60以上であること
- 定員超過利用・人員基準欠如等の減算に該当しないこと
(Ⅲ)の3ルート
| ルート | 要件 | 母集団 |
|---|---|---|
| ① | 介護福祉士の占める割合が50%以上 | 介護職員の総数 |
| ② | 常勤職員の占める割合が75%以上 | 看護・介護職員の総数 |
| ③ | 勤続年数7年以上の者の占める割合が30%以上 | サービスを直接提供する職員の総数(短期入所療養介護を含む) |
ここが計算を間違えやすい箇所です。①は「介護職員」、②は「看護・介護職員」、③は「直接提供する職員」と、条文が使い分けています。
介護医療院は看護職員が多い施設なので、②の常勤割合や③の勤続年数のルートのほうが有利になることがあります。同じ職員名簿から3通りの割合を計算し、最も有利なルートを選んでください。
サービス提供体制強化加算の注意点
(Ⅱ)(Ⅲ)は割合と減算非該当だけですが、(Ⅰ)には「提供する介護医療院サービスの質の向上に資する取組を実施していること」という要件が加わります。
割合を満たしただけでは(Ⅰ)は算定できません。どのような取組が該当するかは解釈が絡むため、届出前に都道府県へ確認してください。
届出後の維持が要点
- 職員名簿から、介護職員数・介護福祉士数・常勤数・勤続年数・直接提供する職員数を毎月集計する
- 3区分・複数ルートの割合を計算し、該当区分を確認する
- 退職・入職が発生した月は、翌月の割合への影響を確認する
- 要件を満たさなくなる場合は、速やかに都道府県へ届け出る
処遇改善加算との関係
介護職員等処遇改善加算の基準(告示95号第100号の7)は、訪問介護の基準を準用したうえで「介護医療院サービスにおけるサービス提供体制強化加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)のいずれか」と読み替える規定を置いています。
処遇改善加算の上位区分を狙うなら、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)の算定が関係してきます。2つを並べて検討してください。
特別介護医療院サービス費との関係
注16が列挙する「算定しない加算」の範囲に、サービス提供体制強化加算(ケ)は含まれていません。ただし請求上の取扱いは都道府県に確認してください。
サービス提供体制強化加算のQ&A
3区分は同時に算定できますか?
できません。要件を満たす最も高い区分を選びます。
介護福祉士80%に届かない場合、(Ⅰ)は無理ですか?
もう一つのルートがあります。勤続年数10年以上の介護福祉士の占める割合が35%以上であれば(Ⅰ)を算定できます。
看護職員は分母に入りますか?
ルートによります。介護福祉士の割合は「介護職員の総数」、常勤職員の割合は「看護・介護職員の総数」、勤続年数の割合は「直接提供する職員の総数」が分母です。
(Ⅰ)の「質の向上に資する取組」とは何ですか?
条文に具体的な例示はありません。どのような取組が該当するかは都道府県に確認してください。
勤続年数はどのように数えますか?
条文には年数の要件のみが定められています。同一法人内の異動の扱い等は都道府県の解釈によることがあります。
職員が退職して割合が下がったらどうなりますか?
要件を満たさなくなった場合は算定できません。速やかに届け出てください。
処遇改善加算と関係がありますか?
あります。処遇改善加算の基準の読み替えにより、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)が上位区分の判断に関係します。
短期入所療養介護の利用者も分母に入りますか?
(Ⅲ)の勤続年数ルートでは、短期入所療養介護または介護保健施設サービス等を直接提供する職員が母集団とされています。詳細は原文と都道府県の解釈を確認してください。
- サービス提供体制強化加算は(Ⅰ)22単位・(Ⅱ)18単位・(Ⅲ)6単位(1日につき)
- 1日あたりの加算のため、体制系のなかでは金額の影響が大きい
- (Ⅰ)は介護福祉士80%以上、又は勤続10年以上の介護福祉士35%以上
- (Ⅰ)にはさらに「質の向上に資する取組」の実施が必要
- (Ⅱ)は介護福祉士60%以上
- (Ⅲ)は介護福祉士50%以上/常勤職員75%以上/勤続7年以上30%以上のいずれか
- ルートごとに分母(介護職員・看護介護職員・直接提供する職員)が異なる
- 共通要件は、定員超過利用・人員基準欠如の減算に該当していないこと
- 処遇改善加算の上位区分の判断にも関係する
- 届出先は都道府県知事
- 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)別表 介護医療院サービスのケ(サービス提供体制強化加算)、フ(介護職員等処遇改善加算)、注16(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第100号の6(第93号を準用)、第93号(介護保健施設サービスにおけるサービス提供体制強化加算の基準)、第100号の7(処遇改善加算の基準)(厚生労働省法令等データベース)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および都道府県・保険者の解釈をご確認ください。割合の算定方法、勤続年数の数え方、母集団に含める職種の範囲、「質の向上に資する取組」の内容については指定権者に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。本文中の月額の試算は単位数を単純に乗じた概算です。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




