介護医療院の夜勤基準を満たさない場合の減算は、所定単位数から25単位を控除する形です。老健や特養が「97%」という率で定めているのに対し、介護医療院だけ定額の控除になっています。他施設の記事を参考にすると必ず間違えるところです。

この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)と厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準(平成12年厚生省告示第29号)の原文を確認して、減算額・必要な夜勤職員数・併設型小規模介護医療院の例外を整理しました。

この記事でわかること

  • 介護医療院の夜勤基準減算は1日25単位の控除だということ
  • 老健・特養の「97%」とは仕組みが違うこと
  • 看護職員・介護職員を合わせて30対1かつ2人以上という基準
  • 看護職員が1人以上必要だということ
  • 併設型小規模介護医療院で夜勤職員を置かなくてよい場合
  • ユニット型の基準
  • 夜間勤務等看護加算との関係
  • ショートステイの利用者を分母に含めること

介護医療院の夜勤基準を満たさない場合の減算とは?

夜勤基準を満たさない場合の減算は、夜勤を行う看護職員・介護職員の人数が基準に満たない場合に、基本報酬から25単位を差し引く仕組みです。

介護医療院は医療の必要度が高い人を受け入れる施設です。夜間に医療的な対応ができる体制があるかどうかは、老健や特養以上に重い意味を持ちます。看護職員を1人以上置くことが基準に明記されているのは、そのためです。

ちびウルフちびウルフ

老健の記事では97%と書いてありましたが、介護医療院も同じですか。

リハウルフリハウルフ

違います。介護医療院だけ「25単位を控除」という定額です。率ではないので、要介護度が高い人ほど相対的な影響は小さくなります。ここは告示を直接見ないと気づけない差です。

夜勤基準を満たさない場合の減算額

告示第21号の介護医療院サービスの注1の但し書きに定められています。

1 (前略)ただし、当該夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準を満たさない場合は、所定単位数から25単位を控除して得た単位数を算定する。

区分減算額頻度30日分の目安
夜勤基準を満たさない場合25単位1日750単位

他施設との比較

施設夜勤基準を満たさない場合
介護医療院1日25単位を控除(定額)
老健所定単位数の97%(3%減)
特養所定単位数の97%(3%減)

定額と率では影響の出方が逆になる

Ⅰ型介護医療院サービス費の要介護5が1日1,400単位程度だとすると、25単位は約1.8%にあたります。率で3%を引かれる老健・特養より、影響は小さい計算です。一方で、単位数の低い区分では相対的に重くなります。定額であることの意味はここにあります。

夜勤基準を満たさない場合の減算にならないための基準

基準は告示第29号の第7号の2にあり、第2号ハの規定を準用する形で書かれています。

従来型(Ⅰ型・Ⅱ型・特別介護医療院サービス費)

  • 夜勤を行う看護職員または介護職員の数が、入所者等の数が30またはその端数を増すごとに1以上であり、かつ2以上であること
  • 夜勤を行う看護職員の数が1以上であること
入所者等の数30対1の計算必要な夜勤職員数
1〜30人12人以上(うち看護職員1人以上)
31〜60人22人以上(うち看護職員1人以上)
61〜90人33人以上(うち看護職員1人以上)
91〜120人44人以上(うち看護職員1人以上)

看護職員1人以上が独立した要件

人数の合計を満たしていても、その中に看護職員が1人もいなければ基準を満たしません。介護職員だけで人数を揃える運用はできない、ということです。老健・特養の基準が「看護職員又は介護職員」の合計しか見ていないのとは大きく違います。

「入所者等の数」にショートステイを含める

告示は「当該介護医療院における指定短期入所療養介護の利用者の数及び入所者の数の合計数」としています。併設・空床利用のショートステイ利用者は分母に入ります。

ユニット型

ユニット型については、上記の基準に加えて、2つのユニットごとに夜勤を行う看護職員または介護職員の数が1以上であることが求められます。

併設型小規模介護医療院の例外

告示第29号は、一定の条件を満たす併設型小規模介護医療院について、夜勤を行う看護職員または介護職員を置かないことができるという例外を認めています。

  • 当該介護医療院が、介護医療院基準第4条第7項に規定する併設型小規模介護医療院であること
  • 併設される医療機関で夜勤を行う看護職員または介護職員の数が1以上であること
  • 当該併設型小規模介護医療院の入所者、ショートステイの利用者、併設医療機関の入院患者の数の合計が19人以下であること
  • 常時、緊急時における併設される医療機関との連絡体制を整備していること

医療機関に併設された小規模な介護医療院のための規定

病院や診療所に併設された小さな介護医療院では、併設先の夜勤職員が実質的に対応できます。合計19人以下という規模の制限と、緊急時の連絡体制の整備が条件です。この例外に該当する施設は限られますが、該当するなら夜勤体制の組み方が大きく変わります。

ちびウルフちびウルフ

併設なら誰もいなくてよい、ということですか。

リハウルフリハウルフ

介護医療院側に置かなくてよい、という意味です。併設の医療機関に夜勤者が1人以上いて、合計19人以下で、連絡体制がある。この3つが揃って初めての話なので、実質は併設先の職員が両方を見る形になります。

夜間勤務等看護加算との関係

介護医療院には、夜勤の体制を評価する夜間勤務等看護加算((Ⅰ)〜(Ⅳ))があります。基本報酬の夜勤基準とは別の条文(告示第29号 第7号の2ハ)で定められています。

区分根拠効果
基本報酬の夜勤基準告示第29号 第7号の2イ・ロ満たさないと25単位控除
夜間勤務等看護加算告示第29号 第7号の2ハ(Ⅰ)〜(Ⅳ)の区分で加算

夜間勤務等看護加算の基準は、たとえば(Ⅰ)なら「夜勤を行う看護職員の数が入所者等の数が15またはその端数を増すごとに1以上であり、かつ2以上」という水準です。基本報酬の30対1よりはるかに手厚い配置が求められます。減算を回避できているだけでは、加算は取れません。

夜勤基準を満たさない場合の減算の注意点

看護職員の確保が要になる

基準の中で最も詰まりやすいのが「夜勤を行う看護職員の数が1以上」です。人数の合計は介護職員で埋められても、看護職員が夜勤に入れない日が出ると基準を割ります。介護医療院を運営するうえで、夜勤可能な看護職員の確保は避けて通れません。

ショートステイの受け入れで基準が変わる

「入所者等の数」にショートステイ利用者が入るため、30人・60人・90人という境界をまたぐと必要人数が増えます。空床利用でショートを受け入れる日は、夜勤体制への影響を確認してください。

療養棟ごとに判断する

告示第21号の注1は、介護医療院サービス費を「当該届出に係る療養棟」において行った場合に算定するとしています。療養棟が複数ある場合の夜勤基準の判定については、指定権者に確認してください。

夜勤基準を満たさない場合の減算のQ&A

減算額は率ですか、定額ですか?

定額です。所定単位数から25単位を控除します。老健・特養の97%(3%減)とは仕組みが違います。

必要な夜勤職員数は?

入所者等の数が30またはその端数を増すごとに1以上、かつ2以上です。加えて看護職員が1以上必要です。

介護職員だけで人数を揃えてもよいですか?

できません。夜勤を行う看護職員の数が1以上であることが独立した要件です。

ショートステイの利用者は数に含めますか?

含めます。「指定短期入所療養介護の利用者の数及び入所者の数の合計数」で判定します。

夜勤職員を置かなくてよい場合がありますか?

併設型小規模介護医療院で、併設医療機関に夜勤職員が1人以上おり、合計19人以下で、緊急時の連絡体制が整備されている場合に限り認められます。

ユニット型の基準は?

従来型の基準に加えて、2つのユニットごとに夜勤を行う看護職員または介護職員が1以上必要です。

准看護師も看護職員として数えられますか?

告示は看護職員を看護師または准看護師としています。夜間勤務等看護加算では区分ごとに要件が異なるため、そちらは個別に確認してください。

夜間勤務等看護加算と基準は同じですか?

違います。夜間勤務等看護加算はより手厚い配置が求められ、別の条文に定められています。

減算の対象は誰ですか?

基本報酬から控除する形なので、算定するすべての入所者が対象です。

まとめ

  • 介護医療院の夜勤基準を満たさない場合は、所定単位数から1日25単位を控除する
  • 老健・特養の「所定単位数の97%」とは仕組みが違う(定額か率か)
  • 他施設の記事の減算率をそのまま持ち込まないこと
  • 基準は入所者等の数が30またはその端数を増すごとに1以上、かつ2以上
  • 加えて夜勤を行う看護職員の数が1以上であることが必要
  • 介護職員だけで人数を揃えることはできない
  • この看護職員1人以上という要件は老健・特養の基準にはない
  • 「入所者等の数」にはショートステイの利用者も含める
  • ユニット型は2つのユニットごとに1以上が加わる
  • 併設型小規模介護医療院は、一定の条件下で夜勤職員を置かないことができる
  • その条件は併設医療機関に夜勤者1人以上、合計19人以下、緊急時の連絡体制
  • 夜間勤務等看護加算はより手厚い基準で、別の条文に定められている
  • 減算を回避できているだけでは加算は取れない
  • ショートステイの受け入れで30人・60人・90人の境界をまたぐと必要人数が増える

参考にした情報

※本記事の減算額・基準は、厚生労働省の告示および通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者の解釈をご確認ください。取扱いは都道府県・市町村(指定権者)によって異なる場合があります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。運用に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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