介護医療院の退所時指導等加算は、1つの加算ではなく6つの加算の総称です。退所前の自宅訪問から、退所後のフォロー、居宅介護支援事業所への連携、訪問看護の指示まで、退所をはさんだ一連の支援がそれぞれ評価されています。

加算単位数
退所前訪問指導加算460単位
退所後訪問指導加算460単位
退所時指導加算400単位
退所時情報提供加算(Ⅰ)500単位
退所時情報提供加算(Ⅱ)250単位
退所前連携加算500単位
訪問看護指示加算300単位

条件が合えば積み上げられる構造で、居宅へ戻る1人の入所者について複数を算定できる場面があります。

この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)介護医療院サービスのヌの条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 退所時指導等加算に含まれる6つの加算と単位数
  • それぞれの算定できる場面とタイミング
  • 退所時情報提供加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の分かれ目
  • 「入所期間が1月を超える」という条件が付く加算
  • 居宅以外(社会福祉施設等)へ移る場合の扱い
  • 特別介護医療院サービス費では算定できないこと
ちびウルフちびウルフ

介護医療院は長期療養の場ですよね。退所の加算がこんなにあるんですか?

リハウルフリハウルフ

あります。介護医療院は「終の住処」と説明されることが多いですが、制度としては在宅復帰の道も残されています。在宅復帰支援機能加算があるのも同じ趣旨です。数は多くないぶん、該当したときに落とさない仕組みが要ります。

介護医療院の退所時指導等加算とは?

介護医療院の退所時指導等加算は、入所者が退所して次の生活へ移るときの支援を評価する加算群です。退所前の準備、退所時の指導、退所後のフォロー、そして地域の関係者への引き継ぎまでを対象にしています。

介護医療院から自宅へ戻る場合、そこには医療的な管理が続く生活が待っています。吸引が必要な人、経管栄養の人、褥瘡の処置が続く人。自宅の環境で本当に続けられるのかは、実際に見に行かなければ分かりません。

退所前訪問指導加算が460単位と高く設定されているのは、職員が施設を離れて自宅を訪問する時間コストを見込んでいるからです。訪問看護指示加算まで含めて、退所後の体制を組むところまでが加算の対象になっています。

退所時指導等加算の単位数

加算単位数算定できる回数
退所前訪問指導加算460単位入所中1回(早期に必要と認められる場合は2回)
退所後訪問指導加算460単位退所後1回
退所時指導加算400単位入所者1人につき1回
退所時情報提供加算(Ⅰ)500単位入所者1人につき1回
退所時情報提供加算(Ⅱ)250単位入所者1人につき1回
退所前連携加算500単位入所者1人につき1回
訪問看護指示加算300単位入所者1人につき1回

退所時指導等加算の算定要件

退所前訪問指導加算(460単位)

入所期間が1月を超えると見込まれる入所者の退所に先立って、退所後に生活する居宅を訪問し、本人・家族へ退所後の療養上の指導を行った場合に算定します。入所中1回が原則ですが、入所後早期に訪問の必要が認められる場合は2回まで算定できます。

退所後訪問指導加算(460単位)

退所後30日以内に居宅を訪問し、本人・家族へ療養上の指導を行った場合に、退所後1回を限度に算定します。

退所時指導加算(400単位)

入所期間が1月を超える入所者が退所し、居宅で療養を継続する場合に、退所時に本人・家族へ退所後の療養上の指導を行った場合に算定します。

退所時情報提供加算(Ⅰ)500単位・(Ⅱ)250単位

区分提供先提供する内容
(Ⅰ)500単位退所後の主治の医師診療状況、心身の状況、生活歴等
(Ⅱ)250単位入院先の医療機関心身の状況、生活歴等

(Ⅰ)は居宅で療養を継続する場合、(Ⅱ)は医療機関に入院する場合です。行き先で区分が変わります。

退所前連携加算(500単位)

入所期間が1月を超える入所者が退所し、居宅で居宅サービスを利用する場合に、退所に先立って本人が希望する居宅介護支援事業者に対し、診療状況を示す文書を添えて必要な情報を提供し、連携した場合に算定します。

訪問看護指示加算(300単位)

退所時に、介護医療院の医師が診療に基づき、訪問看護・定期巡回随時対応型訪問介護看護(訪問看護サービスに限る)・看護小規模多機能型居宅介護(看護サービスに限る)の利用が必要と認め、入所者が選定する訪問看護ステーション等へ訪問看護指示書を交付した場合に算定します。

退所時指導等加算の注意点

居宅以外へ移る場合も算定できる加算がある

退所前訪問指導加算・退所後訪問指導加算・退所時情報提供加算(Ⅰ)には、「入所者が退所後にその居宅でなく、他の社会福祉施設等に入所する場合であって、当該入所者の同意を得て、当該社会福祉施設等を訪問し、連絡調整、情報提供等を行ったときも、同様に算定する」という規定があります。

自宅に戻らないケースでも算定の余地があります。「在宅復帰でなければ対象外」と決めつけて落とさないでください。

「入所期間が1月を超える」条件が付く加算

  • 退所前訪問指導加算(1月を超えると見込まれる入所者)
  • 退所時指導加算(1月を超える入所者)
  • 退所前連携加算(1月を超える入所者)

退所後訪問指導加算・退所時情報提供加算・訪問看護指示加算にはこの条件がありません。短期の入所でも要件を満たせば算定できます。

特別介護医療院サービス費では算定できない

注16により、特別介護医療院サービス費・ユニット型特別介護医療院サービス費を算定している場合、ヌ(退所時指導等加算)は算定できません。

退所時指導等加算のQ&A

複数の加算を同時に算定できますか?

それぞれ算定できる場面が異なるため、要件を満たせば積み上げられます。具体的な組み合わせは保険者に確認してください。

退所前訪問指導加算は2回算定できますか?

原則は入所中1回ですが、入所後早期に退所前訪問指導の必要があると認められる入所者については2回を限度に算定できます。

退所時情報提供加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは?

(Ⅰ)500単位は居宅で療養を継続する場合に退所後の主治の医師へ、(Ⅱ)250単位は医療機関に入院する場合に当該医療機関へ情報提供したときに算定します。

自宅ではなく他の施設に移る場合も算定できますか?

退所前訪問指導加算・退所後訪問指導加算・退所時情報提供加算(Ⅰ)には、社会福祉施設等へ入所する場合も同様に算定する旨の規定があります。

退所後訪問指導加算はいつまでに訪問すればよいですか?

退所後30日以内です。退所後1回が限度です。

訪問看護指示加算は誰が指示を出すのですか?

介護医療院の医師です。診療に基づいて訪問看護等の利用が必要と認め、入所者が選定する事業所へ指示書を交付した場合に算定します。

入所期間が1月以内でも算定できますか?

加算によります。退所前訪問指導加算・退所時指導加算・退所前連携加算には「1月を超える」条件があります。

特別介護医療院サービス費でも算定できますか?

できません。注16により算定できない加算に含まれています。

まとめ
  • 退所時指導等加算は6つの加算の総称(訪問看護指示加算を含む)
  • 退所前訪問指導460単位、退所後訪問指導460単位、退所時指導400単位
  • 退所時情報提供加算は(Ⅰ)500単位・(Ⅱ)250単位で、行き先によって分かれる
  • 退所前連携加算500単位、訪問看護指示加算300単位
  • 退所前訪問指導加算は入所中1回、早期に必要なら2回まで
  • 退所後訪問指導加算は退所後30日以内に訪問すること
  • 「入所期間が1月を超える」条件が付くのは3つの加算
  • 居宅以外(社会福祉施設等)へ移る場合も算定できる規定がある
  • 特別介護医療院サービス費では算定できない
参考にした情報
  • 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)別表 介護医療院サービスのヌ(退所時指導等加算)、注16(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
  • 同 別表 介護保健施設サービスの退所時等支援等加算(比較のため)(全国老人保健施設協会 法令等データベース)

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および都道府県・保険者の解釈をご確認ください。複数の加算を組み合わせて算定する場合の可否、社会福祉施設等の範囲、情報提供の様式については指定権者に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

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リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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