介護医療院の在宅復帰支援機能加算は、1日につき10単位です。単位数は小さいものの、要件には実績の数字が含まれています。

その数字が「前6月間に退所した人のうち、在宅へ戻った人が30%を超えていること」。特養・地域密着型特養では20%のところ、介護医療院と老健は30%に設定されています。

長期療養の場とされる介護医療院に、なぜ在宅復帰の加算があるのか。制度としては「戻れる人は戻す」という機能も期待されているためです。

この記事では、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)介護医療院サービスのレ、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第91号(第70号を準用)の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 在宅復帰支援機能加算の単位数(10単位/日)
  • 在宅復帰率30%超という実績要件
  • 特養の20%との違い
  • 退所後30日以内の確認と記録が要件であること
  • 家族との連絡調整・居宅介護支援事業者との調整も要件であること
  • 入所期間が1月を超えた退所者だけが分子に入ること
ちびウルフちびウルフ

介護医療院で在宅復帰率30%は、かなり厳しくないですか?

リハウルフリハウルフ

厳しいです。ただし分母は「退所した者の総数」であって、入所者全体ではありません。介護医療院は看取りまで担う施設なので、退所の多くは死亡退所です。それも分母に入ります。だから在宅復帰を積極的に進めている施設でないと、30%には届きません。

介護医療院の在宅復帰支援機能加算とは?

介護医療院の在宅復帰支援機能加算は、入所者を在宅へ戻す機能を実際に果たしている施設を評価する加算です。

介護医療院は「終の住処」と説明されることが多い施設です。しかし制度上は、状態が安定して自宅で暮らせる見込みが立った人を、地域へ返す役割も期待されています。療養病床から転換した施設が多く、医療的な管理が落ち着けば在宅生活が可能になる人もいます。

この加算が評価しているのは、その姿勢を実績の数字で示せているかどうかです。あわせて、家族との連絡調整や居宅介護支援事業者への情報提供といった、復帰を支える具体的な行為も要件になっています。

在宅復帰支援機能加算の単位数

項目内容
単位数1日につき10単位
1月の目安(30日)300単位
算定対象要件を満たす期間中の入所者

入所者全員に対して1日10単位が付くため、100床規模なら月3万単位前後になります。単位数の小ささに比べて、施設全体への影響は小さくありません。

在宅復帰支援機能加算の算定要件

条文が直接定める2つの要件

別に厚生労働大臣が定める基準に適合する介護医療院であって、次に掲げる基準のいずれにも適合している場合にあっては、1日につき所定単位数を加算する。
イ 入所者の家族との連絡調整を行っていること。
ロ 入所者が利用を希望する指定居宅介護支援事業者に対して、入所者に係る居宅サービスに必要な情報の提供及び退所後の居宅サービスの利用に関する調整を行っていること。

基準が定める実績要件(30%超)

告示95号第91号は第70号を準用し、「百分の二十」を「百分の三十」と読み替えると定めています。読み替え後の内容は次のとおりです。

項目内容
対象期間算定日が属する月の前6月間
分母当該期間に施設から退所した者の総数
分子当該期間内に退所し、在宅において介護を受けることとなった者(入所期間が1月を超えていた退所者に限る)
基準その割合が100分の30を超えていること

退所後30日以内の確認と記録

退所者の退所後30日以内に、当該施設の従業者が当該退所者の居宅を訪問すること又は指定居宅介護支援事業者から情報提供を受けることにより、当該退所者の在宅における生活が1月以上継続する見込みであることを確認し、記録していること。

「戻したかどうか」ではなく「戻ったあと1か月以上続く見込みか」まで確認することが求められています。訪問しなくても、ケアマネジャーからの情報提供でも要件を満たします。

在宅復帰支援機能加算の注意点

分子に入るのは「入所期間が1月を超えていた退所者」だけ

在宅へ戻った人でも、入所期間が1月以内だった場合は分子に含まれません。一方で分母(退所した者の総数)には制限がありません。

短期間の入所で在宅へ戻るケースが多い施設ほど、割合の計算では不利になります。自施設の退所者を分けて集計しないと、正しい割合が出ません。

特養との比較

施設在宅復帰率の基準
介護医療院30%超
老健30%超
特養・地域密着型特養20%超

老健は在宅復帰を本来機能とする施設なので、別に在宅復帰・在宅療養支援機能加算や基本報酬の類型(超強化型・在宅強化型など)も設けられています。介護医療院にはそうした類型はなく、この10単位の加算だけです。

特別介護医療院サービス費では算定できない

注16により、特別介護医療院サービス費・ユニット型特別介護医療院サービス費を算定している場合は算定できません。

退所時の加算群と組み合わせる

在宅復帰を進めるなら、退所前訪問指導加算(460単位)、退所時指導加算(400単位)、退所前連携加算(500単位)といった退所時指導等加算も同時に視野に入ります。この加算単体で採算を考えるより、退所支援全体の報酬として捉えるほうが実態に合います。

在宅復帰支援機能加算のQ&A

在宅復帰率は何%必要ですか?

30%を超えていることが必要です。特養・地域密着型特養の20%とは基準が異なります。

対象期間はいつですか?

算定日が属する月の前6月間です。

死亡退所も分母に入りますか?

基準は「退所した者の総数」を分母としています。具体的な集計方法は都道府県・保険者に確認してください。

入所1か月以内に在宅へ戻った人は分子に入りますか?

入りません。分子は「入所期間が1月を超えていた退所者」に限られます。

退所後の確認は必ず訪問が必要ですか?

訪問のほか、指定居宅介護支援事業者から情報提供を受ける方法でも要件を満たします。いずれの場合も記録が必要です。

何を確認すればよいのですか?

退所者の在宅における生活が1月以上継続する見込みであることです。退所後30日以内に確認し、記録します。

家族との連絡調整はどの程度必要ですか?

条文は「入所者の家族との連絡調整を行っていること」とのみ定めています。運用と記録方法は指定権者に確認してください。

特別介護医療院サービス費でも算定できますか?

できません。注16により算定できない加算に含まれています。

まとめ
  • 在宅復帰支援機能加算は1日10単位
  • 前6月間の在宅復帰率が30%を超えていることが要件
  • 特養・地域密着型特養の20%とは基準が異なる
  • 分子は「入所期間が1月を超えていた退所者」のうち在宅へ戻った人
  • 分母は退所した者の総数
  • 退所後30日以内に、訪問または居宅介護支援事業者からの情報提供で在宅生活の継続見込みを確認・記録すること
  • 家族との連絡調整、居宅介護支援事業者への情報提供・調整も要件
  • 特別介護医療院サービス費では算定できない
  • 退所時指導等加算とあわせて退所支援全体で捉えるとよい
参考にした情報
  • 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)別表 介護医療院サービスのレ(在宅復帰支援機能加算)、ヌ(退所時指導等加算)、注16(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
  • 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第91号(介護保健施設サービス及び介護医療院サービスにおける在宅復帰支援機能加算の基準)、第70号(読み替え元の基準)(厚生労働省法令等データベース)

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および都道府県・保険者の解釈をご確認ください。在宅復帰率の集計方法(死亡退所の扱い、医療機関への転院の扱い等)、確認・記録の方法については指定権者に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。本文中の月額の試算は単位数を単純に乗じた概算です。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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