グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の退居時情報提供加算は、利用者1人につき1回に限り250単位。令和6年度改定で新設された加算です。

間違えやすいのは対象場面です。算定できるのは「医療機関へ入院するために退居する場合」だけで、自宅に戻る場合や他の施設へ移る場合は対象になりません。自宅へ戻るケースは、別に設けられている退居時相談援助加算(400単位)の守備範囲です。

この加算が新設された背景には、入院先の医療機関が、認知症のある人の生活歴や普段の様子を知らないまま治療にあたることへの問題意識があります。せん妄や不穏を防ぐために、GH側が持っている情報を渡すことを評価する仕組みです。

この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)認知症対応型共同生活介護費のヘおよび厚生労働省の令和6年度改定資料を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。

この記事でわかること
  • 退居時情報提供加算の単位数(250単位、1人1回)
  • 対象が「医療機関へ退居する場合」に限られること
  • 提供する情報が「心身の状況、生活歴等」であること
  • 利用者の同意が要件に含まれていること
  • 退居時相談援助加算(400単位)との使い分け
  • 令和6年度改定で新設された加算であること
  • 短期利用(ロ)では算定できないこと
  • 介護予防(要支援2)でも算定できること
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入院のときに情報提供するのは、もともとやっていることでは?

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やっている事業所は多いです。これまでは無償の善意だったものが、250単位として評価されるようになりました。やっているなら算定しないと損です。逆に言えば、同意の取得と提供内容の記録がないと算定できません。

単位数は250単位。利用者1人につき1回

告示126号の認知症対応型共同生活介護費「ヘ 退居時情報提供加算 250単位」の注は、次のとおりです。

イについて、利用者が退居し、医療機関に入院する場合において、当該医療機関に対して、当該利用者の同意を得て、当該利用者の心身の状況、生活歴等の情報を提供した上で、当該利用者の紹介を行った場合に、利用者1人につき1回に限り算定する。

項目内容
単位数250単位
回数利用者1人につき1回限り
場面退居して医療機関に入院する場合
提供先入院先の医療機関
提供内容心身の状況、生活歴等の情報
必要な手続利用者の同意

「1人につき1回に限り」という制限に注意してください。入退院を繰り返す入居者でも、算定できるのは1回だけです。2回目以降の入院時に情報提供を行っても算定できません。

対象は「医療機関へ退居する場合」だけ

厚生労働省の令和6年度改定資料は、この加算の算定要件をこう説明しています。

医療機関へ退所する入所者等について、退所後の医療機関に対して入所者等を紹介する際、入所者等の同意を得て、当該入所者等の心身の状況、生活歴等を示す情報を提供した場合に、入所者等1人につき1回に限り算定する。

退居先算定できる加算
医療機関(入院)退居時情報提供加算 250単位
自宅(居宅サービス等を利用)退居時相談援助加算 400単位(利用期間1月超などの要件あり)
他の介護施設いずれも対象外

他施設への住み替えでは、どちらの加算も算定できません。実務では情報提供を行いますが、報酬上の評価はない、という整理です。

「入院=退居」でない場合はどうなるか

グループホームでは、入院しても居室を確保したまま在籍とし、入院時の費用(1月6日を限度に1日246単位)を算定する運用があります。この場合は「退居」していないため、退居時情報提供加算の算定場面には当たりません。

退居として扱うかどうかで請求が変わる

同じ「入院」でも、

  • 在籍のまま入院 → 注9の入院時の費用(246単位、1月6日限度、初日・最終日は算定不可)
  • 契約を終了して退居 → 退居時情報提供加算(250単位、1人1回)

と、算定するものが変わります。本人・家族の意向と復帰見込みを踏まえた判断が先にあり、請求はその結果として決まります。報酬のために退居扱いにする、といった判断は当然できません。判断に迷う場面は市町村に確認してください。

何を提供すればよいのか

条文の文言は「心身の状況、生活歴等の情報」です。様式の指定はありません。GHから医療機関へ渡す情報として、実務で意味があるのは次のような内容です。

  • 認知症の状況(診断名、経過、日常生活自立度)
  • BPSDの有無と誘因、落ち着く関わり方
  • ADLの実際(歩行、移乗、食事、排泄の自立度と介助方法)
  • 服薬状況と管理方法
  • 生活歴、職歴、大切にしている習慣、呼ばれ方
  • 本人の意思表示の特徴(痛みの訴え方、拒否のサイン)
  • 家族の状況とキーパーソン

「生活歴」が条文に明記されている点がこの加算の特徴です。診療情報提供書には書かれない部分、つまりその人がどう暮らしてきて、どんな関わりで落ち着くのかを渡すことが求められています。入院中のせん妄や身体拘束を減らすうえで、実務的な価値はここにあります。

同意の取り方と記録

要件に「当該利用者の同意を得て」とあります。認知症のある人が対象のサービスなので、同意能力の判断が問題になる場面があります。様式は定められていないため、

  • 本人に説明し、同意を得る(可能な場合)
  • 本人の状況により、家族等に説明して同意を得る
  • 説明日時・説明者・同意者・提供する情報の範囲を記録に残す
  • 提供した文書の写しを保管する

という流れを標準化しておくと、算定根拠を示せます。提供文書の写しがなければ、実施したことを証明できません。

短期利用では算定できない/介護予防では算定できる

注は「イについて」と限定しているため、短期利用(ロ)では算定できません。一方、介護予防認知症対応型共同生活介護費(平成18年厚生労働省告示第128号)には退居時情報提供加算(ニ)が設けられており、要支援2の入居者についても算定できます。

よくある質問

自宅に戻る場合も算定できますか?

できません。対象は医療機関へ入院するために退居する場合です。自宅に戻り居宅サービス等を利用する場合は、退居時相談援助加算(400単位)の対象になります。

他の介護施設へ移る場合は算定できますか?

できません。退居時情報提供加算・退居時相談援助加算のいずれも対象外です。

入退院を繰り返す入居者に、そのつど算定できますか?

できません。「利用者1人につき1回に限り」と定められています。

在籍のまま入院した場合も算定できますか?

退居していない場合は算定場面に当たりません。在籍のまま居室を確保している期間は、注9の入院時の費用(1月6日を限度に1日246単位)の取扱いになります。

提供する情報に決まった様式はありますか?

告示に様式の定めはありません。条文の文言は「心身の状況、生活歴等の情報」です。市町村が様式例を示している場合はそれに従ってください。

本人が同意できない場合はどうしますか?

条文は「当該利用者の同意を得て」としています。実務では家族等に説明して同意を得る運用が一般的ですが、取扱いは市町村に確認してください。説明と同意の記録は必ず残します。

短期利用の利用者にも算定できますか?

できません。注が「イについて」と限定しています。

要支援2の入居者にも算定できますか?

できます。介護予防認知症対応型共同生活介護費にも退居時情報提供加算が設けられています。

まとめ
  • 退居時情報提供加算は250単位、利用者1人につき1回限り
  • 令和6年度改定で新設された加算
  • 対象は「退居して医療機関に入院する場合」に限られる
  • 提供先は入院先の医療機関、提供内容は心身の状況・生活歴等の情報
  • 利用者の同意が要件
  • 自宅へ戻る場合は退居時相談援助加算(400単位)の対象
  • 他施設への住み替えではいずれの加算も算定できない
  • 在籍のまま入院する場合は注9の入院時の費用(246単位)の取扱い
  • 提供文書の写しと同意の記録が算定根拠になる
  • 短期利用(ロ)では算定できない
  • 介護予防(要支援2)でも算定できる
参考にした情報
  • 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)別表 認知症対応型共同生活介護費のヘ(退居時情報提供加算)、ト(退居時相談援助加算)、注9(入院時の費用)(厚生労働省法令等データベース)
  • 指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第128号)別表 介護予防認知症対応型共同生活介護費のニ(厚生労働省法令等データベース)
  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(PDF)退所時情報提供加算・退居時情報提供加算の新設

※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および改定資料にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。グループホームは地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、取扱いが自治体によって異なる場合があります。同意の取得方法、退居として扱うかどうかの判断、様式については所在市町村に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。提供する情報の内容に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。

ABOUT ME
リハウルフ
理学療法士/介護支援専門員/「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」監著・編集/「訪問リハビリマガジン」編集長/他に3メディアの編集長/ YouTube「リハウルフ」運営/セミナー経験多数/厚生労働省のホームページを見ることが趣味
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