訪問介護の初回加算とは?サービス提供責任者の関与要件も解説

訪問介護の初回加算は、1月につき200単位です。訪問入浴介護など他サービスの初回加算と単位数は同じですが、要件はまったく別物です。
訪問介護の場合、鍵になるのは「サービス提供責任者が関与したかどうか」。条文は2つのルートを示しています。①サービス提供責任者自身が初回または初回月に訪問介護を行った場合、②その他の訪問介護員等が行った際にサービス提供責任者が同行した場合です。
つまりヘルパーだけで初回訪問を済ませた場合は算定できません。加算を取るなら、初回月のシフトを組む段階でサ責の動きを決めておく必要があります。
この記事では、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)訪問介護費のニの条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 初回加算の単位数(200単位/月)
- 算定できる2つのルート(サ責が行う/サ責が同行する)
- 「新規に訪問介護計画を作成した利用者」という対象要件
- 「初回の指定訪問介護を行った日の属する月」の意味
- ヘルパー単独の初回訪問では算定できないこと
- 特定事業所加算との関係
- 訪問入浴介護の初回加算との要件の違い
- 介護予防訪問介護は存在しないこと
ちびウルフ新規の人に初回訪問すれば、200単位もらえるんですよね?
リハウルフそれだけでは足りません。サービス提供責任者が自分で行くか、ヘルパーに同行するかのどちらかが必要です。サ責が事務所で計画だけ立てて、訪問はヘルパー任せ——という体制だと算定できません。200単位はサ責が現場に入ることへの評価です。
初回加算は200単位(1月につき)
告示19号の訪問介護費「ニ 初回加算 200単位」の注は、次のとおりです。
指定訪問介護事業所において、新規に訪問介護計画を作成した利用者に対して、サービス提供責任者が初回若しくは初回の指定訪問介護を行った日の属する月に指定訪問介護を行った場合又は当該指定訪問介護事業所のその他の訪問介護員等が初回若しくは初回の指定訪問介護を行った日の属する月に指定訪問介護を行った際にサービス提供責任者が同行した場合は、1月につき所定単位数を加算する。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単位数 | 200単位 |
| 算定単位 | 1月につき |
| 対象 | 新規に訪問介護計画を作成した利用者 |
| ルート① | サービス提供責任者が初回、または初回月に訪問介護を行う |
| ルート② | 他の訪問介護員等が行う際に、サービス提供責任者が同行する |
| 届出 | 条文上の定めなし |
「初回」だけでなく「初回月」でもよい
条文は「初回若しくは初回の指定訪問介護を行った日の属する月に」と書いています。初回訪問そのものでなくても、その月のうちにサ責が訪問すれば要件を満たす読み方です。
実務では、急ぎの受け入れで初回はヘルパーが入り、サ責はその週の後半にモニタリングを兼ねて訪問する——という流れがよくあります。その月のうちにサ責が訪問介護を行っていれば、条文上は要件を満たす形になります。
ただし「同行」ルートを選ぶ場合は、同行した事実がわかる記録(勤務実績、訪問記録の同行欄)が必要です。加算の根拠は記録でしか示せません。(運用の可否は保険者の解釈にもよるため、確認をおすすめします)
「新規に訪問介護計画を作成した利用者」とは
対象は新規に訪問介護計画を作成した利用者です。単に「初めて訪問した人」ではなく、計画の作成が起点になっています。
過去に利用していた人が再開する場合の扱いについては、条文に明示がありません。他サービスでは「過去一定期間の利用がないこと」を条件とする取扱いが示される例がありますが、訪問介護の初回加算については保険者に確認してください。
特定事業所加算との関係
初回加算とは別に、訪問介護には特定事業所加算(Ⅰ)20%〜(Ⅴ)3%があります。特定事業所加算はサービス提供責任者の体制や研修、会議の実施などを評価する率の加算で、初回加算とは性質が異なります。
| 加算 | 性格 |
|---|---|
| 初回加算 200単位/月 | 新規利用者へのサ責の関与という行為を評価 |
| 特定事業所加算 20〜3% | 事業所の体制を評価 |
条文上、両者の併算定を禁じる規定はありません。初回加算は処遇改善加算の計算基礎(イからトまで)にも含まれます。
訪問入浴介護の初回加算との違い
| サービス | 単位 | 要件の中心 |
|---|---|---|
| 訪問介護 | 200単位/月 | サービス提供責任者が実施または同行すること |
| 訪問入浴介護 | 200単位/月 | 事前に居宅を訪問し、利用に関する調整を行うこと |
単位数が同じでも、見ているポイントが違います。訪問入浴は「事前の調整」、訪問介護は「サ責の関与」。他サービスの解説をそのまま当てはめないでください。
介護予防訪問介護は存在しない
要支援1・2の人への訪問型のサービスは、介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)に移行済みです。介護保険の給付としての介護予防訪問介護は存在しません。
総合事業の訪問型サービスにおける初回加算に相当する取扱いは、市町村ごとの単価・要件によります。実施要綱を確認してください。
よくある質問
ヘルパーだけで初回訪問した場合も算定できますか?
できません。サービス提供責任者が自ら訪問介護を行うか、他の訪問介護員等が行う際に同行することが要件です。
初回の訪問日にサ責が行けませんでした。もう算定できませんか?
条文は「初回若しくは初回の指定訪問介護を行った日の属する月に」としています。その月のうちにサ責が訪問介護を行えば要件を満たす読み方です。取扱いは保険者に確認してください。
「1月につき」とは、初回月に1回だけですか?
そのとおりです。同じ月に複数回訪問しても、初回加算は1回分です。
同行したことはどう記録しますか?
様式の定めはありません。訪問記録の同行欄や勤務実績など、同行の事実が確認できる記録を残してください。
以前利用していた人が再開する場合も算定できますか?
条文は「新規に訪問介護計画を作成した利用者」としており、再開時の扱いは明示されていません。保険者に確認してください。
特定事業所加算と両方算定できますか?
条文上、併算定を禁じる規定はありません。それぞれの要件を満たせば算定できます。
届出は必要ですか?
この注には届出の文言がありません。請求上の取扱いは保険者に確認してください。
要支援の人にも算定できますか?
介護予防訪問介護は総合事業へ移行しており、介護保険の給付としては存在しません。総合事業の訪問型サービスの取扱いは市町村の実施要綱によります。
- 訪問介護の初回加算は1月につき200単位
- 対象は新規に訪問介護計画を作成した利用者
- 算定できるのは、サービス提供責任者が実施するか、同行した場合の2ルート
- ヘルパー単独の初回訪問では算定できない
- 「初回」でなくても「初回月」にサ責が訪問すれば要件を満たす読み方
- 同行の事実は記録で示せるようにしておく
- 特定事業所加算とは性質が異なり、併算定を禁じる規定はない
- 処遇改善加算の計算基礎(イからトまで)に含まれる
- 訪問入浴介護の初回加算とは要件が異なる
- 介護予防訪問介護は総合事業へ移行済み
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)別表 訪問介護費のニ(初回加算)、チ(介護職員等処遇改善加算)(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
- 同 別表 訪問介護費の注10(特定事業所加算)(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
- 同 別表 訪問入浴介護費のロ(初回加算)(比較のため)(全国老人保健施設協会 法令等データベース)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および保険者の解釈をご確認ください。初回月にサ責が訪問する場合の取扱い、再開時の「新規」該当性、同行の記録方法については保険者に確認してください。総合事業の訪問型サービスの単価・要件は市町村ごとに異なります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




