グループホームの協力医療機関連携加算とは?

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の協力医療機関連携加算は、協力医療機関が体制要件を満たしている場合は100単位/月、それ以外の場合は40単位/月です。令和6年度改定で新設されました。
算定できるのは、協力医療機関との間で、利用者の同意を得て、その病歴等の情報を共有する会議を「定期的に」開催している場合です。会議を開くこと自体が算定行為なので、届出だけしておいて実施していない状態は返還対象になります。
さらに、この加算にも「医療連携体制加算を算定していない場合は、算定しない」というただし書きが付いています。看取り介護加算と同じ構造です。加えて、特養・老健・介護医療院の協力医療機関連携加算は令和7年度から50単位に下がりましたが、グループホームは100単位/40単位のままです。他施設の資料を流用すると単位数を間違えます。
この記事では、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)認知症対応型共同生活介護費のニ、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)第105条の条文を確認して整理しました。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 協力医療機関連携加算の単位数(100単位/40単位、1月につき)
- 100単位と40単位を分ける「基準第105条第2項各号の要件」の中身
- 算定行為が「病歴等の情報を共有する会議の定期開催」であること
- 利用者の同意が要件に含まれていること
- 医療連携体制加算を算定していないと算定できないこと
- 特養・老健・介護医療院は令和7年度から50単位になったがGHは100単位のままであること
- 年1回以上の協力医療機関の届出義務(基準第105条第3項)との違い
- 短期利用(ロ)では算定できないこと
- 介護予防(要支援2)にはこの加算が存在しないこと
ちびウルフ協力医療機関はもともと決めていますよね。何が新しいんですか?
リハウルフ「決めてある」ことではなく「定期的に会議を開いて情報を共有していること」を評価する加算です。名前だけの協力医療機関では算定できません。実効性のある連携体制を作らせるのが改定の狙いです。
単位数は100単位/40単位(1月につき)
告示126号の認知症対応型共同生活介護費「ニ 協力医療機関連携加算」の注は、次のとおりです。
イについて、指定認知症対応型共同生活介護事業所において、協力医療機関との間で、利用者の同意を得て、当該利用者の病歴等の情報を共有する会議を定期的に開催している場合は、次に掲げる区分に応じ、1月につき次に掲げる単位数を所定単位数に加算する。ただし、医療連携体制加算を算定していない場合は、算定しない。
(1) 当該協力医療機関が、指定地域密着型サービス基準第105条第2項各号に掲げる要件を満たしている場合 100単位
(2) (1)以外の場合 40単位
| 区分 | 単位数 | 条件 |
|---|---|---|
| (1) | 100単位/月 | 協力医療機関が基準第105条第2項各号の要件を満たしている |
| (2) | 40単位/月 | (1)以外 |
100単位になる「第105条第2項各号」とは
省令第34号(指定地域密着型サービス基準)第105条第2項は、協力医療機関を定めるにあたって満たすよう努めるべき要件を2つ挙げています。
一 利用者の病状が急変した場合等において医師又は看護職員が相談対応を行う体制を、常時確保していること。
二 当該指定認知症対応型共同生活介護事業者からの診療の求めがあった場合において診療を行う体制を、常時確保していること。
ポイントは「常時」です。平日日中だけ相談に応じる医療機関では要件を満たしません。夜間・休日を含めて相談と診療の体制が確保されているかどうかが、100単位と40単位の分かれ目になります。
第105条第2項は「定めるように努めなければならない」という努力義務の規定です。要件を満たす医療機関を確保できなくても基準違反にはなりませんが、加算は40単位になります。逆に言えば、100単位を取るには協力医療機関側の体制を確認し、覚書などで明記しておく必要があります。「常時対応してくれているはず」という認識だけでは、実地指導で説明できません。
算定の実体は「定期的な会議の開催」
この加算で評価されているのは体制ではなく行為です。条文が求めているのは次の3つです。
- 協力医療機関との間で行う会議であること
- 利用者の同意を得ていること
- 当該利用者の病歴等の情報を共有する会議を定期的に開催していること
「定期的」の頻度は告示に数値で書かれていません。解釈は市町村によって幅が出る部分なので、月1回・3か月に1回など、自事業所の運用を決めて事前に確認しておくのが安全です。会議は開催記録(日時・参加者・共有した情報の範囲・利用者の同意の取得状況)を残してください。
- 協力医療機関の体制(相談対応・診療の常時確保)を確認し、覚書等で明確にする
- 会議で情報共有する利用者から同意を得る(同意書または記録)
- 定期開催のサイクルを決めて会議を実施し、記録を残す
- 医療連携体制加算を届け出たうえで、協力医療機関連携加算を市町村長に届け出る
医療連携体制加算が算定の前提
ただし書きにより、医療連携体制加算を算定していないグループホームは、協力医療機関連携加算を算定できません。看取り介護加算と同じ構造です。
| 加算 | 医療連携体制加算が前提か |
|---|---|
| 看取り介護加算 | 前提(注10のただし書き) |
| 協力医療機関連携加算 | 前提(ニの注のただし書き) |
| 認知症専門ケア加算・認知症チームケア推進加算 | 前提ではない |
| 夜間支援体制加算 | 前提ではない |
特養・老健・介護医療院との単位数の違い
令和6年度改定でこの加算が新設された際、施設系サービスには経過措置が置かれました。告示の附則(協力医療機関連携加算に係る経過措置)は、介護福祉施設サービス・介護保健施設サービス・介護医療院サービス・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護について、令和7年3月31日までは「50単位」を「100単位」と読み替えると定めています。裏を返せば、令和7年4月以降これらは50単位です。
| サービス | 要件を満たす場合 | それ以外 |
|---|---|---|
| グループホーム | 100単位/月 | 40単位/月 |
| 特定施設・地域密着型特定施設 | 100単位/月 | 40単位/月 |
| 特養・老健・介護医療院・地域密着型特養 | 50単位/月(令和7年度〜) | 5単位/月 |
グループホームと特定施設は100単位/40単位のまま据え置かれています。施設系向けに書かれた解説記事や研修資料をそのまま使うと、単位数を取り違えます。
基準第105条第3項の届出義務とは別物
混同しやすいのが、加算とは別に定められている運営基準上の義務です。第105条第3項は、1年に1回以上、協力医療機関との間で病状急変時等の対応を確認し、協力医療機関の名称等を市町村長に届け出なければならないと定めています。これは加算の有無にかかわらず全事業所の義務です。
また第105条第4項・第5項では、第二種協定指定医療機関との間で新興感染症発生時等の対応を取り決めるよう努めること、協力医療機関が第二種協定指定医療機関である場合はその対応について協議を行うことが定められています。後者は「協議を行わなければならない」という義務規定です。高齢者施設等感染対策向上加算の要件とも関係するので、あわせて整理しておくと運用がぶれません。
短期利用と介護予防では算定できない
注の書き出しは「イについて」。本体の認知症対応型共同生活介護費を算定している入居者が対象で、短期利用(ロ)では算定できません。
また、介護予防認知症対応型共同生活介護費(平成18年厚生労働省告示第128号)には協力医療機関連携加算そのものがありません。要支援2の入居者については算定できないという整理です。医療連携体制加算・看取り介護加算も同様に存在しません。
ちびウルフ100単位だと月1,000円ほどですよね。会議の手間に見合いますか?
リハウルフ単位だけ見れば小さいです。ただ会議は入居者ごとではなく事業所として開くもので、算定は入居者1人につき1月100単位。9人ユニットなら月900単位になります。急変時の対応方針を先に共有しておくことは、夜勤帯の判断を助けるという意味でも実利があります。
よくある質問
協力医療機関を定めていれば算定できますか?
できません。協力医療機関との間で、利用者の同意を得て病歴等の情報を共有する会議を定期的に開催していることが要件です。定めているだけでは算定できません。
100単位と40単位はどこで分かれますか?
協力医療機関が、①病状急変時等に医師又は看護職員が相談対応を行う体制を常時確保していること、②診療の求めに応じて診療を行う体制を常時確保していることの2要件を満たす場合が100単位、それ以外が40単位です。
「定期的に」とは月1回ですか?
告示に頻度の数値はありません。市町村によって解釈の幅が出る部分なので、自事業所の開催サイクルを決めたうえで所在市町村に確認することをおすすめします。開催記録は必ず残してください。
医療連携体制加算を算定していない場合は算定できますか?
できません。注のただし書きに「医療連携体制加算を算定していない場合は、算定しない」と明記されています。
特養と同じ50単位ではないのですか?
グループホームは100単位/40単位です。特養・老健・介護医療院・地域密着型特養は経過措置の終了により令和7年4月以降50単位/5単位となっており、サービスによって単位数が異なります。
会議はオンラインでもよいですか?
告示は開催方法を限定していません。ただし参加者・共有内容・同意の記録が必要であり、運用の可否は市町村の解釈にもよるため、事前確認をおすすめします。
利用者の同意は書面で必要ですか?
条文は「利用者の同意を得て」としており、様式は定められていません。同意書を用いるか、説明と同意の経過を記録に残す形が一般的です。
年1回の届出義務と加算の関係は?
基準第105条第3項の届出(1年に1回以上、対応の確認と協力医療機関の名称等の届出)は、加算の有無にかかわらず全事業所の義務です。加算の要件とは別に履行する必要があります。
要支援2の入居者にも算定できますか?
できません。介護予防認知症対応型共同生活介護費には協力医療機関連携加算が設けられていません。
- 協力医療機関連携加算は令和6年度改定で新設された加算
- 単位数は100単位/月(要件を満たす協力医療機関)と40単位/月(それ以外)
- 算定要件は、利用者の同意を得て病歴等の情報を共有する会議を定期的に開催していること
- 100単位の条件は、相談対応体制と診療体制がいずれも「常時確保」されていること
- 基準第105条第2項は努力義務規定だが、加算では100単位/40単位の区分になる
- 「定期的」の頻度は告示に明記がなく、市町村への確認が必要
- 医療連携体制加算を算定していないと算定できない
- 特養・老健・介護医療院は令和7年度から50単位/5単位。GHは100単位/40単位のまま
- 短期利用(ロ)では算定できない
- 介護予防(要支援2)にはこの加算が存在しない
- 基準第105条第3項の年1回以上の届出義務は、加算とは別に全事業所の義務
- 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第126号)別表 認知症対応型共同生活介護費のニ(協力医療機関連携加算)、附則(協力医療機関連携加算に係る経過措置)(厚生労働省法令等データベース)
- 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)第105条(協力医療機関等)(厚生労働省法令等データベース)
- 指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第128号)別表 介護予防認知症対応型共同生活介護費(厚生労働省法令等データベース)
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」(PDF)1.(3) 協力医療機関との連携体制の構築(協力医療機関連携加算の新設)
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示・省令および改定資料にもとづいて整理したものです。実際の算定・届出にあたっては原文および指定権者(市町村)の解釈をご確認ください。グループホームは地域密着型サービスであり、指定・指導は市町村が行うため、加算の解釈や届出の運用が自治体によって異なる場合があります。とくに「定期的に開催」の頻度、会議の開催方法(オンラインの可否)、同意の取得方法については所在市町村に確認してください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。実務に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




