ターミナルケアマネジメント加算とは?400単位の訪問要件と記録を解説

居宅介護支援のターミナルケアマネジメント加算は400単位(1月につき)です。在宅で亡くなった利用者について、死亡月に算定します。
算定の中心は訪問の回数と時期です。告示は「その死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上」と定めています。死亡日を含む15日間のうち、2日以上訪問していること——これが最低ラインです。
そして見落とされやすいのが、在宅死が要件でありながら例外があることです。通知は「死亡診断を目的として医療機関へ搬送され、24時間以内に死亡が確認される場合等」も算定できるとしています。最期に救急搬送されたケースでも、条件によっては算定できます。
典拠は指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第20号)の「リ ターミナルケアマネジメント加算」、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第85号の3、老企第36号の20です。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 400単位を算定するための訪問要件(死亡日を含む15日間で2日以上)
- 訪問だけでは足りず、記録と情報提供までがセットであること
- 死亡診断目的の搬送で24時間以内に死亡した場合も算定できること
- 1人の利用者につき1事業所しか算定できないこと
- 複数の事業所が該当する場合の決め方
- 同意以降に支援経過へ残すべき記録3項目
- 体制要件は24時間連絡体制+必要に応じた居宅介護支援
- 特定事業所医療介護連携加算の「15回以上」要件に関わること
算定要件は5つの動作がつながっている
告示20号の「リ」を分解すると、次の5つがすべて必要です。
- 終末期の医療やケアの方針に関する利用者または家族の意向を把握する
- 死亡日および死亡日前14日以内に2日以上、居宅を訪問する
訪問には利用者または家族の同意が必要。 - 利用者の心身の状況等を記録する
- 主治の医師および居宅サービス計画に位置付けた居宅サービス事業者に提供する
- 在宅で死亡する
この加算でもっとも落としやすいのが4つ目です。訪問して記録するだけでなく、その記録を主治医とサービス事業者へ提供することまでが要件です。
提供先は2種類あります。主治の医師と、居宅サービス計画に位置付けた居宅サービス事業者。訪問看護だけに伝えて完了、では要件を満たしません。計画に位置付けたすべての事業者が対象です。
看取り期は状況が急変します。訪問した日のうちに情報を流す仕組み——たとえば関係者間のグループ連絡網などを、同意を得た時点で用意しておくことです。
「死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上」の数え方
期間は死亡日を含む15日間です。この期間内に2日以上、居宅を訪問します。
| 期間 | 日数 |
|---|---|
| 死亡日 | 1日 |
| 死亡日前14日 | 14日 |
| 合計 | 15日間 |
「2日以上」なので、同じ日に2回訪問しても1日です。別の日に2回以上訪問する必要があります。
死亡日当日の訪問は必須ではありません。条文は「死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上」と、期間をまとめて示しているためです。死亡日前14日以内に2日訪問していれば要件を満たします。
算定するのは死亡月
老企第36号20(1)は、算定する月を明確にしています。
ターミナルケアマネジメント加算については、在宅で死亡した利用者の死亡月に加算することとするが、利用者の居宅を最後に訪問した日の属する月と、利用者の死亡月が異なる場合には、死亡月に算定することとする。
月末に訪問し、翌月初めに亡くなったケースでは翌月(死亡月)に算定します。訪問した月ではありません。
たとえば3月28日と3月30日に訪問し、4月2日に亡くなった場合を考えます。
訪問はどちらも3月ですが、算定するのは4月分の請求です。死亡日(4月2日)から前14日以内に3月28日・30日が入っているため、要件も満たします。
3月分の請求時点では加算を立てられません。月をまたいだ死亡は請求月を誤りやすいので、死亡日を確認してから区分を確定させてください。
在宅死が原則だが、24時間以内の例外がある
告示は「在宅で死亡した利用者に対して」としています。ここに通知20(4)が例外を置いています。
ターミナルケアマネジメントを受けている利用者が、死亡診断を目的として医療機関へ搬送され、24時間以内に死亡が確認される場合等については、ターミナルケアマネジメント加算を算定することができるものとする。
条件を分解すると2つです。
- 搬送の目的が死亡診断であること
- 搬送後24時間以内に死亡が確認されること
ちびウルフ治療のために救急搬送して、そのまま病院で亡くなった場合はどうなりますか?
リハウルフ通知が認めているのは「死亡診断を目的として」搬送された場合です。治療目的の搬送は、文言上この例外に当たりません。
ただし条文末尾は「24時間以内に死亡が確認される場合等」と「等」で締められています。個別の判断は保険者に確認するのが確実です。
実務としてより大事なのは、搬送するかどうかを決める前の段階です。厚生労働省のガイドラインを踏まえた意向の把握——「急変時に病院へ運ぶか、自宅で看るか」を本人・家族と主治医の間で事前に合意しておく。それができていれば、慌てた搬送は減ります。加算の可否より先に、本人の意思が守られるかどうかの問題です。
1人の利用者につき1事業所のみ
通知20(2)は、事業所が競合した場合のルールを定めています。
ターミナルケアマネジメント加算は、1人の利用者に対し、1か所の指定居宅介護支援事業所に限り算定できる。なお、算定要件を満たす事業所が複数ある場合には、当該利用者が死亡日又はそれに最も近い日に利用した指定居宅サービスを位置づけた居宅サービス計画を作成した事業所がターミナルケアマネジメント加算を算定することとする。
判定基準は「死亡日またはそれに最も近い日に利用したサービスを、どの事業所の計画が位置づけていたか」です。ケアマネの交代があった場合などに効いてきます。
体制要件は2つ
大臣基準第85号の3は、簡潔です。
| 要件 | |
|---|---|
| 1 | ターミナルケアマネジメントを受けることに同意した利用者について、24時間連絡できる体制を確保していること |
| 2 | 必要に応じて指定居宅介護支援を行うことができる体制を整備していること |
特定事業所加算の24時間連絡体制と似ていますが、対象が「ターミナルケアマネジメントに同意した利用者について」に限定されています。全利用者への24時間体制までは求められていません。
2つ目の「必要に応じて指定居宅介護支援を行うことができる体制」は、連絡を受けたら実際に動ける体制のことです。連絡がつくだけでは足りません。
同意以降に残すべき記録3項目
通知20(3)は、記録要件を具体的に定めています。「ターミナルケアマネジメントを受けることについて利用者又はその家族が同意した時点以降」が起点です。
| 支援経過として居宅サービス計画等に記録する事項 | |
|---|---|
| ① | 終末期の利用者の心身又は家族の状況の変化や環境の変化及びこれらに対して居宅介護支援事業者が行った支援についての記録 |
| ② | 利用者への支援にあたり、主治の医師及び居宅サービス計画に位置付けた指定居宅サービス事業者等と行った連絡調整に関する記録 |
| ③ | 当該利用者が、医師が一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがないと診断した者に該当することを確認した日及びその方法 |
①②は日々の支援経過として自然に残りますが、③は意識して書かないと落ちます。
求められているのは「医師が回復の見込みがないと診断した」という事実を、ケアマネがいつ、どうやって確認したかです。
「◯月◯日、主治医の□□医師より電話で回復の見込みがない旨の説明を受けた」「◯月◯日の担当者会議で主治医から説明があった」——このように日付と確認方法をセットで残すこと。診断書の写しがあればなお確実です。
①の「家族の状況の変化」も見落とされがちです。本人だけでなく、介護している家族の状態の変化とそれへの支援まで記録の対象になっています。
意向の把握にはガイドラインを参考にする
通知20(5)は、意向把握の進め方を示しています。
ターミナルケアマネジメントにあたっては、終末期における医療・ケアの方針に関する利用者又は家族の意向を把握する必要がある。また、その際には、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等を参考にしつつ、本人の意思を尊重した医療・ケアの方針が実施できるよう、多職種が連携し、本人及びその家族と必要な情報の共有等に努めること。
同じガイドラインは、特養の看取り介護加算の通知でも参照されています。施設でも在宅でも、看取りの意思決定支援は同じ枠組みに立っているということです。
特定事業所医療介護連携加算の要件になっている
この加算にはもう1つの意味があります。特定事業所医療介護連携加算125単位の要件です。
| 要件 | |
|---|---|
| イ | 前々年度3月〜前年度2月の間に、退院・退所加算の算定に係る連携回数の合計が35回以上 |
| ロ | 同じ期間にターミナルケアマネジメント加算を15回以上算定 |
| ハ | 特定事業所加算(Ⅰ)(Ⅱ)又は(Ⅲ)を算定していること |
ロが年間15回。在宅での看取りを年15件以上支援している事業所でなければ届きません。相当に高い水準です。
なお、この15回という基準には経過措置が設けられていました。
- 令和7年3月31日までは5回以上
- 令和7年4月1日から令和8年3月31日までは、令和6年3月の算定回数に3を乗じた数に、令和6年4月から令和7年2月までの算定回数を加えた数が15回以上
いずれも令和8年3月31日までの措置です。現在は本則の15回以上が適用されます。
他サービスのターミナル関連加算との違い
同じ看取り期でも、サービスごとに加算の設計が違います。
| サービス | 加算 | 評価している行為 |
|---|---|---|
| 居宅介護支援 | ターミナルケアマネジメント加算 | 訪問・記録・多職種への情報提供 |
| 訪問看護 | ターミナルケア加算 | ターミナルケアの提供 |
| 特養 | 看取り介護加算 | 施設での看取り介護 |
ケアマネの加算だけが「記録して、主治医とサービス事業者に提供する」という情報のハブ機能を評価しています。直接的なケアではなく、関係者をつなぐ役割そのものが400単位の対象です。
介護予防支援には設定がない
この加算は指定居宅介護支援の加算です。介護予防支援(要支援の方のケアマネジメント)には、ターミナルケアマネジメント加算は設定されていません。
訪問は何回必要ですか?
死亡日および死亡日前14日以内、つまり死亡日を含む15日間のうち2日以上です。同じ日に2回訪問しても1日としてカウントされるため、別の日に2回以上訪問する必要があります。
死亡日当日に訪問していないと算定できませんか?
算定できます。条文は「死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上」と期間をまとめて示しており、死亡日当日の訪問を必須とはしていません。
訪問して記録すれば算定できますか?
できません。記録した内容を主治の医師および居宅サービス計画に位置付けた居宅サービス事業者に提供することまでが要件です。提供先は主治医と、計画に位置付けたすべての事業者です。
いつの月に算定しますか?
死亡月です。最後に訪問した月と死亡月が異なる場合も、死亡月に算定します。月末訪問・翌月死亡のケースは請求月を誤りやすいので注意してください。
病院に搬送されて亡くなった場合も算定できますか?
死亡診断を目的として医療機関へ搬送され、24時間以内に死亡が確認される場合等は算定できます。治療目的の搬送は文言上この例外に含まれないため、個別の判断は保険者にご確認ください。
複数の事業所が要件を満たす場合はどうなりますか?
1人の利用者につき1か所のみです。複数ある場合は、利用者が死亡日またはそれに最も近い日に利用した指定居宅サービスを位置づけた居宅サービス計画を作成した事業所が算定します。
体制要件は全利用者に対する24時間体制ですか?
違います。「ターミナルケアマネジメントを受けることに同意した利用者について」24時間連絡できる体制を確保し、必要に応じて指定居宅介護支援を行うことができる体制を整備していることが要件です。
記録には何を残しますか?
同意した時点以降、①終末期の利用者の心身または家族の状況・環境の変化と行った支援、②主治医およびサービス事業者との連絡調整、③回復の見込みがないと医師が診断したことを確認した日およびその方法——の3項目を支援経過として居宅サービス計画等に記録します。
③の「確認した方法」とは何を書けばよいですか?
ケアマネが医師の診断をどのように確認したかです。電話での説明、担当者会議での説明、診断書の確認など、日付とあわせて具体的に記録してください。
特定事業所医療介護連携加算の「15回」に経過措置はまだありますか?
経過措置は令和8年3月31日までで終了しています。現在は本則の年15回以上が適用されます。
- ターミナルケアマネジメント加算は400単位/月。死亡月に算定する
- 要件は意向の把握・訪問・記録・情報提供・在宅死の5つがつながっている
- 訪問は死亡日を含む15日間のうち2日以上
- 同じ日に2回訪問しても1日。別の日に2回以上必要
- 死亡日当日の訪問は必須ではない
- 記録を主治医と計画に位置付けたサービス事業者へ提供するまでが要件
- 最後の訪問月と死亡月が異なる場合も死亡月に算定する
- 在宅死が原則だが、死亡診断目的の搬送で24時間以内の死亡確認は算定可
- 治療目的の搬送は文言上この例外に含まれない
- 1人の利用者につき1事業所のみ
- 複数該当する場合は、死亡日に最も近い日のサービスを位置づけた計画の事業所
- 体制要件は同意した利用者についての24時間連絡体制と、必要に応じた居宅介護支援
- 記録3項目は同意した時点以降が起点
- ③「回復の見込みがないと確認した日及びその方法」が抜けやすい
- ①には家族の状況の変化とそれへの支援も含まれる
- 意向把握は「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を参考にする
- 特定事業所医療介護連携加算は年15回以上の算定が要件
- 15回の経過措置は令和8年3月31日で終了している
- ケアマネの加算だけが「情報のハブ機能」を評価している
- 介護予防支援には設定がない
- 指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第20号)別表 指定居宅介護支援介護給付費単位数表 リ(ターミナルケアマネジメント加算)、ニ(特定事業所医療介護連携加算)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第85号の3(ターミナルケアマネジメント加算の基準)、第84号の2(特定事業所医療介護連携加算の基準)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日老企第36号)第三の20 ターミナルケアマネジメント加算について、同15 特定事業所医療介護連携加算について
- 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および保険者の解釈をご確認ください。通知は「死亡診断を目的として医療機関へ搬送され、24時間以内に死亡が確認される場合等」と「等」を付して記載しており、どこまでが例外に含まれるかは個別の判断となります。治療目的の搬送の取扱いを含め、判断に迷う場合は保険者にご確認ください。訪問回数の数え方や記録の水準についても、市町村によって求められる内容が異なる場合があります。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。看取り期の意思決定支援に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




