居宅介護支援の退院・退所加算とは?450〜900単位の区分と算定要件を解説

居宅介護支援の退院・退所加算は、(Ⅰ)イ450単位・(Ⅰ)ロ600単位・(Ⅱ)イ600単位・(Ⅱ)ロ750単位・(Ⅲ)900単位の5区分です。入院・入所期間中に1回、利用開始月に算定します。
区分を決めるのは「情報収集の回数」と「カンファレンスが含まれるか」の2軸だけです。ここを表にすると、この加算の設計思想がはっきり見えます。
(Ⅰ)ロ600単位と(Ⅱ)イ600単位が同額です。つまりカンファレンス1回は、カンファレンス以外の情報収集2回と同じ価値に設定されている。そしてカンファレンスを1回も挟まない限り、3回情報収集しても600単位で頭打ちになります。900単位に届くには、カンファレンスへの参加が必須です。
典拠は指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第20号)の「ヘ 退院・退所加算」、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第85号の2、老企第36号の17です。筆者は理学療法士16年目・介護支援専門員です。
- 5区分の単位数と、回数×カンファレンスの2軸マトリクス
- カンファレンスなしでは600単位が上限であること
- 初回加算300単位とは併算定できず、退院・退所加算が有利なこと
- 「カンファレンス」として認められる5類型の定義
- 施設のカンファレンスは入所者または家族の参加が必須であること
- 退院後7日以内なら情報を得ても算定できること
- 同一日に複数回情報を得ても1回とカウントされること
- 面談はテレビ電話でも可能なこと
5区分の単位数
告示20号の「ヘ 退院・退所加算」は次の5区分です。
| 区分 | 単位数 | 要件 |
|---|---|---|
| 退院・退所加算(Ⅰ)イ | 450単位 | カンファレンス以外の方法により1回 |
| 退院・退所加算(Ⅰ)ロ | 600単位 | カンファレンスにより1回 |
| 退院・退所加算(Ⅱ)イ | 600単位 | カンファレンス以外の方法により2回以上 |
| 退院・退所加算(Ⅱ)ロ | 750単位 | 2回受けており、うち1回以上がカンファレンス |
| 退院・退所加算(Ⅲ) | 900単位 | 3回以上受けており、うち1回以上がカンファレンス |
2軸で整理する
「情報収集の回数」と「カンファレンスの有無」で並べ直すと、こうなります。
| 情報収集の回数 | カンファレンスなし | 1回以上カンファレンスを含む |
|---|---|---|
| 1回 | (Ⅰ)イ 450単位 | (Ⅰ)ロ 600単位 |
| 2回 | (Ⅱ)イ 600単位 | (Ⅱ)ロ 750単位 |
| 3回以上 | (Ⅱ)イ 600単位 | (Ⅲ) 900単位 |
大臣基準ハは(Ⅱ)イを「カンファレンス以外の方法により2回以上受けていること」としています。3回でも4回でも(Ⅱ)イのままです。
いっぽう(Ⅲ)900単位は「3回以上受けており、うち1回以上はカンファレンスによること」。カンファレンスを1回でも挟めば、上限が600単位から900単位に上がります。
電話やFAXでの情報収集を積み重ねても600単位で止まる。最大額を狙うなら、カンファレンスへの参加を業務フローに組み込むことが答えになります。
カンファレンス1回=通常の情報収集2回
もう1つ読み取れるのが、(Ⅰ)ロ600単位と(Ⅱ)イ600単位が同額であることです。
- カンファレンス1回 → 600単位
- カンファレンス以外で2回 → 600単位
制度上、カンファレンス1回は通常の情報収集2回分に評価されているということです。時間的なコストを考えれば、カンファレンスに1回出るほうが効率的な場面は多いはずです。
初回加算とは併算定できない
告示の注に明記があります。
また、初回加算を算定する場合は、当該加算は算定しない。
| 加算 | 単位数 |
|---|---|
| 初回加算 | 300単位 |
| 退院・退所加算(もっとも低い区分) | 450単位 |
退院・退所加算の最低額450単位が、初回加算300単位を上回ります。要件を満たすなら、退院・退所加算を選ぶのが常に有利です。
逆に言えば、退院・退所加算の要件を満たせなかった場合の受け皿が初回加算という関係になります。新規利用者が退院してきたケースでは、まず退院・退所加算が取れないかを検討してください。
対象となる退院・退所元
告示は次の施設・機関を挙げています。
- 病院
- 診療所
- 地域密着型介護老人福祉施設
- 介護保険施設(特養・老健・介護医療院)
ただし在宅・入所相互利用加算を算定する場合は除かれます。ベッドシェアリングで在宅と入所を繰り返すケースは、その都度この加算を算定できません。
算定の基本要件
老企第36号(1)が整理しています。
- 病院等の職員と面談を行う
- 利用者に関する必要な情報を得る
- 居宅サービス計画を作成する
- 居宅サービス又は地域密着型サービスの利用に関する調整を行う
算定するのは利用者の居宅サービス等の利用開始月です。退院月ではありません。退院してもサービス利用が翌月から始まるなら、翌月の請求になります。
回数は入院又は入所期間中に1回のみ。同じ入院期間中に何度情報を得ても、算定は1回です。
通知(2)は括弧書きで、次を明示しています。
「医師等からの要請により退院に向けた調整を行うための面談に参加し、必要な情報を得た上で、居宅サービス計画を作成し、居宅サービス又は地域密着型サービスの利用に関する調整を行った場合を含む。」
ケアマネから働きかけた場合だけでなく、医療機関側から呼ばれて参加した面談も対象です。退院支援の場面では病院主導で会議が設定されることが多いので、この確認は重要です。
「カンファレンス」の定義は5類型
ここが実務でもっとも判断に迷うところです。老企第36号(3)①が、退院・退所元ごとに定義しています。
病院・診療所の場合
診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)別表第一医科診療報酬点数表の退院時共同指導料2の注3の要件を満たし、退院後に福祉用具の貸与が見込まれる場合にあっては、必要に応じ、福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加するもの。
診療報酬側の規定を参照しています。病院が退院時共同指導料2の注3(多職種共同指導加算)を算定する形で開かれる会議が、これに当たります。
施設の場合(4類型)
| 施設 | 根拠となる基準 |
|---|---|
| 地域密着型介護老人福祉施設 | 地域密着型サービス基準 第134条第6項・第7項 |
| 介護老人福祉施設(特養) | 指定介護老人福祉施設基準 第7条第6項・第7項 |
| 介護老人保健施設(老健) | 介護老人保健施設基準 第8条第6項 |
| 介護医療院 | 介護医療院基準 第12条第6項 |
いずれも「入所者への援助(指導)及び居宅介護支援事業者に対する情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議」とされています。
4類型すべてに、共通の但し書きが付いています。
「基準第○条に掲げる(施設名)に置くべき従業者及び入所者又はその家族が参加するものに限る。」
施設職員とケアマネだけで行った打ち合わせは、この加算でいう「カンファレンス」に当たりません。本人または家族が参加している必要があります。
また4類型すべてに「退所後に福祉用具の貸与が見込まれる場合にあっては、必要に応じ、福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加すること」という記述もあります。
ちびウルフ施設の相談員さんと2人で話しただけでは、カンファレンスにならないんですね。
リハウルフなりません。ただしそれは「カンファレンス以外の方法による情報収集」として1回にカウントされます。無駄にはなりません。
そのうえで、本人・家族が入る退所前カンファレンスに1回参加できれば、(Ⅱ)ロ750単位や(Ⅲ)900単位が見えてきます。施設側にとっても、特養なら退所前連携加算500単位、老健なら在宅復帰・在宅療養支援機能加算の要件に関わる場面です。両者にメリットがあるので、施設に日程調整を打診する価値は十分あります。
理学療法士として付け加えると、通知が「福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加すること」と名指ししているのは大きい。住宅改修や福祉用具の判断は、退所後の生活の質を左右します。ケアマネから声をかけて同席してもらってください。
退院後7日以内なら算定できる
通知(3)③に、実務上ありがたい規定があります。
原則として、退院・退所前に利用者に関する必要な情報を得ることが望ましいが、退院後7日以内に情報を得た場合には算定することとする。
急な退院で事前の情報収集が間に合わなかった場合でも、退院後7日以内に情報を得れば算定できます。ただし「原則として退院・退所前が望ましい」という前提は変わりません。
同一日に複数回でも1回
通知(3)②は、次のとおりです。
同一日に必要な情報の提供を複数回受けた場合又はカンファレンスに参加した場合でも、1回として算定する。
たとえば同じ日に、午前中にカンファレンスへ参加し、午後に病棟看護師から追加の情報を得た——という場合でも1回です。
(Ⅲ)900単位を狙うなら、3回を別々の日に行う必要があります。回数を稼ぐつもりで同日に集中させると、意図した区分に届きません。
面談はテレビ電話でもよい
通知(2)は、面談の方法についても定めています。
- 面談は、テレビ電話装置等を活用して行うことができる
- ただし利用者またはその家族が参加する場合にあっては、テレビ電話装置等の活用について当該利用者等の同意を得なければならない
- 活用に当たっては、個人情報保護委員会・厚生労働省のガイダンス、厚生労働省の医療情報システムの安全管理に関するガイドライン等を遵守する
遠方の医療機関から退院してくるケースでも、オンラインでの参加が認められています。同意が必要なのは「利用者等が参加する場合」であり、職員だけの面談なら同意の規定は及びません。
記録の要件はカンファレンスかどうかで変わる
通知(3)④が定めています。
| 情報収集の方法 | 記録 |
|---|---|
| カンファレンス以外 | 別途定める様式による |
| カンファレンスに参加した場合 | 様式ではなく、カンファレンスの日時、開催場所、出席者、内容の要点等について居宅サービス計画等に記録し、利用者又は家族に提供した文書の写しを添付する |
カンファレンスに参加した場合は、所定様式の記入が不要になる代わりに、4項目の記録と文書の写しの添付が必要です。
カンファレンスでは通常、病院や施設から本人・家族へ説明資料が配られます。その写しを居宅サービス計画等に添付するということです。
カンファレンス当日に資料を受け取り損ねると、後から集めるのは手間になります。参加時にその場で写しをもらうのを習慣にしておくことです。
特定事業所医療介護連携加算にもつながる
退院・退所加算には、もう1つの意味があります。特定事業所医療介護連携加算125単位(1月につき)の要件です。
| 要件 | |
|---|---|
| イ | 前々年度3月〜前年度2月の間に、退院・退所加算の算定に係る連携回数の合計が35回以上 |
| ロ | 同じ期間にターミナルケアマネジメント加算を15回以上算定 |
| ハ | 特定事業所加算(Ⅰ)(Ⅱ)又は(Ⅲ)を算定していること |
老企第36号15(2)アは、イについて重要な注記をしています。
退院・退所加算の算定実績に係る要件については、退院・退所加算の算定回数ではなく、その算定に係る病院等との連携回数が、(中略)35回以上の場合に要件を満たすこととなる。
数えるのは「加算の算定件数」ではなく「連携回数」です。(Ⅲ)を1件算定すれば連携3回。(Ⅱ)ロなら2回。件数ベースで35件と誤解すると、達成状況を過小に見積もることになります。
介護予防支援には設定がない
この加算は指定居宅介護支援の加算です。介護予防支援(要支援の方のケアマネジメント)には、退院・退所加算は設定されていません。
退院・退所加算の区分はどう決まりますか?
「情報収集の回数」と「カンファレンスが含まれるか」の2軸です。1回+カンファレンスなしが(Ⅰ)イ450単位、1回+カンファレンスが(Ⅰ)ロ600単位、2回以上+カンファレンスなしが(Ⅱ)イ600単位、2回+カンファレンス1回以上が(Ⅱ)ロ750単位、3回以上+カンファレンス1回以上が(Ⅲ)900単位です。
カンファレンスに参加しないと900単位は取れませんか?
取れません。(Ⅲ)は「3回以上受けており、うち1回以上はカンファレンスによること」が要件です。カンファレンスを含まない場合、何回情報収集しても(Ⅱ)イ600単位が上限になります。
初回加算と両方算定できますか?
できません。告示に「初回加算を算定する場合は、当該加算は算定しない」とあります。退院・退所加算の最低額450単位が初回加算300単位を上回るため、要件を満たすなら退院・退所加算のほうが有利です。
施設の相談員と2人で話した場合はカンファレンスですか?
なりません。施設のカンファレンスは「置くべき従業者及び入所者又はその家族が参加するものに限る」とされており、本人または家族の参加が必要です。ただし「カンファレンス以外の方法による情報収集」として1回にカウントされます。
病院のカンファレンスの定義は何ですか?
診療報酬の医科診療報酬点数表「退院時共同指導料2の注3」の要件を満たすものです。加えて、退院後に福祉用具の貸与が見込まれる場合は、必要に応じて福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加するものとされています。
退院してから情報を得た場合も算定できますか?
できます。原則として退院・退所前が望ましいとされていますが、退院後7日以内に情報を得た場合には算定することとされています。
同じ日にカンファレンスと個別の情報提供を受けました。2回になりますか?
なりません。「同一日に必要な情報の提供を複数回受けた場合又はカンファレンスに参加した場合でも、1回として算定する」とされています。(Ⅲ)を狙うなら別々の日に3回行う必要があります。
面談はオンラインでもよいですか?
可能です。テレビ電話装置等を活用して行えます。ただし利用者または家族が参加する場合は、テレビ電話装置等の活用について本人等の同意を得る必要があります。
カンファレンスに参加した場合の記録は何が必要ですか?
所定様式ではなく、カンファレンスの日時・開催場所・出席者・内容の要点等を居宅サービス計画等に記録し、利用者または家族に提供した文書の写しを添付します。
特定事業所医療介護連携加算の「35回」は算定件数ですか?
違います。通知は「退院・退所加算の算定回数ではなく、その算定に係る病院等との連携回数」としています。(Ⅲ)を1件算定すれば連携3回として数えます。件数で数えると過小評価になります。
- 退院・退所加算は450/600/600/750/900単位の5区分
- 区分は「情報収集の回数」と「カンファレンスの有無」の2軸で決まる
- カンファレンスを含まない場合、3回以上でも(Ⅱ)イ600単位が上限
- (Ⅰ)ロと(Ⅱ)イが同額で、カンファレンス1回=通常の情報収集2回の評価
- 入院・入所期間中に1回、利用開始月に算定する
- 初回加算300単位とは併算定できず、退院・退所加算のほうが有利
- 対象は病院・診療所・地域密着型特養・介護保険施設からの退院退所
- 在宅・入所相互利用加算を算定する場合は対象外
- 医師等からの要請による面談への参加も含まれる
- 病院のカンファレンスは退院時共同指導料2の注3の要件を満たすもの
- 施設のカンファレンスは4類型あり、根拠となる基準が異なる
- 施設のカンファレンスには入所者または家族の参加が必須
- 福祉用具貸与が見込まれる場合は福祉用具専門相談員や作業療法士等の参加が想定されている
- 退院後7日以内に情報を得た場合も算定できる
- 同一日に複数回情報を得ても1回としてカウントされる
- (Ⅲ)を狙うなら3回を別々の日に行う
- 面談はテレビ電話でも可。利用者等が参加する場合は同意が必要
- カンファレンス参加時は日時・場所・出席者・要点の記録と文書の写しの添付
- 特定事業所医療介護連携加算の「35回」は算定件数ではなく連携回数
- 介護予防支援には設定がない
- 指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第20号)別表 指定居宅介護支援介護給付費単位数表 ヘ(退院・退所加算)、ロ(初回加算)、ニ(特定事業所医療介護連携加算)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第85号の2(退院・退所加算の基準)、第84号の2(特定事業所医療介護連携加算の基準)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日老企第36号)第三の17 退院・退所加算について、同15 特定事業所医療介護連携加算について
- 診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)別表第一 医科診療報酬点数表 退院時共同指導料2
- 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第7条、介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成11年厚生省令第40号)第8条、介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成30年厚生労働省令第5号)第12条、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)第134条
※本記事の単位数・算定要件は、厚生労働省の告示および留意事項通知にもとづいて整理したものです。実際の算定にあたっては原文および保険者の解釈をご確認ください。カンファレンスとして認められる会議の範囲、情報収集の回数の数え方、記録の水準については、市町村(保険者)によって取扱いが異なる場合があります。とくに施設側の会議が通知に定める根拠条項に基づくものかどうかは、施設側への確認が必要になる場合があります。診療報酬側の退院時共同指導料2の注3の要件は診療報酬改定により変更されることがあるため、最新の点数表をご確認ください。制度に関する記述は2026年8月時点の内容として整理していますが、その後の改定により取扱いが変わる可能性があります。カンファレンスの日程調整に関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。




