ケアプランの自己作成(セルフプラン)とは?届出と注意点

ケアプランは、ケアマネジャーに頼まず本人や家族が自分で作ることもできます。これを「セルフプラン(自己作成)」といいます。市町村に届け出れば、ケアマネがいる場合と同じように1〜3割の負担でサービスを使えます。
ただし、ケアマネジャーの利用にはもともと自己負担がかからないので、セルフプランにしても費用は安くなりません。この記事では、介護保険法と施行規則の原文を確認して、届出のしくみ・自分でやる作業・向いている人を整理しました。
この記事でわかること
- ケアプランの自己作成(セルフプラン)が認められている根拠
- 市町村への届出をしないとどうなるか
- 自己作成で自分がやらなければならない作業
- セルフプランが向いている人・向いていない人
- 途中でケアマネに頼むときの切り替え方
ケアプランの自己作成(セルフプラン)とは?
在宅で介護保険のサービスを使うときは、ふつう居宅介護支援事業所のケアマネジャーが「居宅サービス計画(ケアプラン)」を作ります。セルフプランは、この計画を本人や家族が自分で作り、市町村に届け出る方法です。
根拠は、事業所への支払いのしくみにあります。介護保険では、利用者が1〜3割を払い、残りは市町村から事業所に直接支払われます(法定代理受領)。介護保険法第41条第6項は、この直接の支払いができる場合を厚生労働省令で決めるとしており、施行規則第64条にその条件が並んでいます。
介護保険法施行規則 第64条第1号(原文の要点)
居宅介護サービス費の代理受領ができるのは、次のいずれかに該当するとき。
イ 指定居宅介護支援を受けることをあらかじめ市町村に届け出ていて、そのサービスが居宅サービス計画の対象になっているとき
(ロ・ハは基準該当居宅介護支援、小規模多機能・看多機の場合)
ニ 「当該居宅要介護被保険者が当該指定居宅サービスを含む指定居宅サービスの利用に係る計画をあらかじめ市町村に届け出ているとき」
この「ニ」がセルフプランです。自分で作った計画をあらかじめ市町村に届け出れば、ケアマネがいる場合と同じ負担割合でサービスを使えると法令で決められています。要支援の方の介護予防サービスにも、同じしくみがあります。
届け出ないとどうなるか
ケアマネにも頼まず、自己作成の届出もしないままサービスを使うと、代理受領の条件を満たしません。その場合は償還払いになり、いったんサービス費の10割を事業所に払って、後から市町村に申請して保険給付分を受け取ることになります。
なお、居宅療養管理指導(医師や薬剤師の訪問指導など)は、ケアプランの届出がなくても代理受領の対象です(施行規則第64条第2号)。
自分で作っても費用は安くならない
「ケアマネを頼まなければ節約になる」と考える方がいますが、これは誤解です。居宅介護支援(ケアマネジャーによるケアプラン作成)は、費用の全額が介護保険から支払われ、利用者の自己負担はありません。
| 比べる点 | ケアマネに依頼 | セルフプラン |
|---|---|---|
| ケアプラン作成の自己負担 | なし | なし |
| サービスの自己負担 | 1〜3割 | 1〜3割(届出をした場合) |
| 事業所との調整 | ケアマネが行う | 自分で行う |
| 限度額の管理 | ケアマネが行う | 自分で計算する |
| 毎月の書類 | ケアマネが作る | 自分で作って市町村に出す |
お金の面でのメリットはなく、手間はすべて自分に移ります。セルフプランを選ぶ理由は「費用」ではなく、自分のことは自分で決めたいという考え方にあると考えてください。
ちびウルフタダなのに、わざわざ自分で作る人なんているの?
リハウルフ数は少ないですがいます。福祉用具だけ、デイサービスだけと使うサービスが少なくて状態も安定している方や、家族が医療・介護の仕事をしている方です。ケアマネとの相性が合わなくて、という理由の方もいますが、その場合はケアマネを替えるほうが早いことが多いです。
自分でやらなければならない作業
ケアマネジャーが毎月していることを、すべて自分で行います。市町村によって様式や提出の時期は違いますが、おおむね次の作業が必要です。
- 市町村の介護保険の窓口で、自己作成の手続きと様式を確認する
- 本人の状態と希望から、使うサービスの種類・回数・事業所を決める
- 事業所に連絡して空き状況を確認し、契約を結ぶ
- ケアプラン(居宅サービス計画)と、月ごとのサービスの予定表を作る
- 支給限度額の範囲に収まっているかを単位数で計算する
- 計画を市町村に届け出る(毎月の予定表の提出を求める市町村も多い)
- 月が終わったら実績を確認し、変更があれば計画を直して届け出る
いちばん大変なのは支給限度額の管理です。単位数の計算を間違えて限度額を超えると、超えた分は全額自己負担になります。加算の有無や地域区分による単価の違いも考える必要があります。限度額のしくみは介護保険の支給限度額とは?で解説しています。
もう一つの壁が、事業所との調整です。サービス担当者会議を開いたり、デイサービスとヘルパーの日程を組み合わせたり、状態が変わったときに急いで調整したりする作業は、慣れていないと時間がかかります。セルフプランの利用者を受け入れた経験が少ない事業所もあり、説明に手間取ることがあります。
向いている人・向いていない人
理学療法士・ケアマネジャーとして在宅の方を見てきた経験から、向き不向きを整理します。
向いている人
- 使うサービスが1〜2種類で、内容がほとんど変わらない
- 状態が安定していて、急な入院や区分変更の可能性が低い
- 本人か家族が、介護保険のしくみや単位数の計算に慣れている
- 事業所への連絡や書類作成を、毎月きちんと続けられる
向いていない人
- 医療的なケアが必要で、訪問看護や訪問診療との連携が多い
- 退院直後など、状態がこれから変わる可能性が高い
- 使うサービスの種類が多く、限度額の近くまで使っている
- 家族が遠方に住んでいる、仕事が忙しい
退院のときの医療機関との連携や、福祉用具・住宅改修の手続きは、ケアマネジャーがいることで進めやすくなる場面が多くあります。住宅改修の申請に必要な「理由書」も、ケアマネがいなければ別の資格を持つ人に書いてもらう必要があります。
ちびウルフ途中で大変になったら、ケアマネに頼み直せるの?
リハウルフいつでも頼めます。居宅介護支援事業所と契約して、市町村に「居宅サービス計画作成依頼届出」を出し直せば、ケアマネが担当する形に切り替えられます。セルフプランを始めるときも、困ったら切り替えればいいと気楽に考えてください。
ケアマネに切り替えるとき
ケアマネジャーに頼むことにしたら、次の順番で進めます。
- 居宅介護支援事業所を探す(地域包括支援センターで一覧をもらえる)
- 事業所と契約し、ケアマネジャーに今のサービスの内容を引き継ぐ
- 事業所が市町村に居宅サービス計画作成依頼の届出を出す
- 自分で作っていた計画は、ケアマネが作るケアプランに切り替わる
月の途中で切り替えると、その月の書類や限度額の管理をどちらが担うかで混乱しやすくなります。月の初めから切り替えるのがおすすめです。ケアマネの選び方はケアマネージャーは誰が決めるのか?で解説しています。
よくある質問
ケアプランは自分で作れますか?
作れます。自分で作った計画をあらかじめ市町村に届け出れば、ケアマネジャーがいる場合と同じ負担割合でサービスを使えます。
セルフプランにすると安くなりますか?
安くなりません。ケアマネジャーによるケアプラン作成は、もともと利用者の自己負担がありません。
届出をしないとどうなりますか?
代理受領の条件を満たさないため償還払いになり、いったんサービス費の10割を払って後から保険給付分を受け取ることになります。
要支援でもセルフプランはできますか?
介護予防サービスにも自己作成の届出のしくみがあります。総合事業のサービスの扱いを含め、市町村に確認してください。
毎月どんな書類が必要ですか?
ケアプランのほか、月ごとのサービスの予定表や実績の提出を求める市町村が多くあります。様式や提出時期は市町村によって異なります。
限度額を超えたらどうなりますか?
超えた分は全額自己負担です。自己作成では単位数の計算を自分で行うため、注意が必要です。
家族が作ってもいいですか?
本人のほか、家族が作成することもできます。市町村への届出は本人名義で行います。
途中でケアマネジャーに頼めますか?
いつでも頼めます。居宅介護支援事業所と契約し、居宅サービス計画作成依頼の届出を出せば切り替わります。月の初めからの切り替えがおすすめです。
施設に入っている場合もセルフプランはできますか?
特養や老健などの施設では、施設のケアマネジャーが施設サービス計画を作るため、セルフプランの対象ではありません。
まとめ
- ケアプランは本人や家族が自分で作れる(セルフプラン・自己作成)
- 計画をあらかじめ市町村に届け出れば、通常と同じ1〜3割負担でサービスを使える
- ケアマネによるケアプラン作成はもともと自己負担なしなので、費用は安くならない
- 事業所との調整・限度額の計算・毎月の書類をすべて自分で行う
- サービスが少なく状態が安定している人向き。大変になったらいつでもケアマネに切り替えられる
参考にした情報
※本記事の自己作成の届出と代理受領の要件は、介護保険法および介護保険法施行規則の条文にもとづいて整理したものです。自己作成の届出の様式、毎月提出する書類の種類と時期、給付管理の方法、介護予防・総合事業での取扱いは市町村によって異なります。実際に自己作成を始める前に、お住まいの市町村の介護保険担当窓口にご確認ください。制度に関する記述は2026年11月時点の内容として整理していますが、その後の改正により取扱いが変わる可能性があります。向き不向きや切り替えに関する記述は、筆者(理学療法士・介護支援専門員)の実務経験にもとづく整理であり、制度上の定めではありません。






